ABEMAオリジナルドラマ『死ぬほど愛して』エピソード5「終わりの始まり」は、北海道で出会った二人の震災孤児の男の子についての物語です。

5話はほとんど過去の話なのですが、何が起こるか分かっているのにドキドキしちゃいました!
ABEMAオリジナルドラマ『死ぬほど愛して』エピソード5「終わりの始まり」情報
公開日 | 2025年4月24日 |
制作国 | 日本 |
ジャンル | ヒューマンドラマ、犯罪、サスペンス |
注意書き | R-16+ 大人向けのテーマ |
上映時間 | 36分 |
『死ぬほど愛して』エピソード5「終わりの始まり」主なキャスト・スタッフ
キャスト
神城 真人 澪の夫/幼少期に火事に遭った | 成宮寛貴 |
神城 澪 真人の妻/前夫からDVを受けていた | 瀧本美織 |
石黒 颯馬 週刊玉石の記者・南沢夕陽の先輩 | 細田善彦 |
南沢 夕陽 殺害された週刊玉石の記者 | 久間田琳加 |
水樹 カウンセラー/澪の古くからの友人 | 松井玲奈 |
吉岡 富沢刑事の部下/夕陽の事件を追う | 粟大和 |
富沢 刑事課の警部補/夕陽の事件を追う | 山口馬木也 |
スタッフ
原作 | 天樹征丸 |
漫画 | 草壁エリザ |
監督 | 城定秀夫 |
脚本 | 城定秀夫 高橋幹子 |
『死ぬほど愛して』エピソード5「終わりの始まり」あらすじ
阪神淡路大震災の15年後、成長した金倉茜は岩手で恋人 隆二と同棲していました。その兄 俊紀も北海道に身を置いたまま、特殊詐欺の主犯格となっています。
震災孤児である茜は岩手県の親戚に引き取られました。俊紀は北海道の親戚を頼ったものの、そのあと児童養護施設 札幌育樹の園に預けられます。
金倉俊紀と神城真人とが出会ったのが、札幌育樹の園でした。俊紀は職員の脳裏に強く残るほどに特徴的な子どもだったそうです。
札幌育樹の園に取材をしに行った週刊玉石の記者 南沢夕陽は、二人の男の子の奇妙な関係性に気付きます……。
『死ぬほど愛して』エピソード5「終わりの始まり」ネタバレと感想・考察
茜と俊紀
阪神淡路大震災から15年が経ったある雪の日――金倉茜は、兄・俊紀へと手紙を書いていました。茜は岩手に、俊紀は札幌にいた頃のことです。
茜は、花巻にある宮沢賢治記念館に行ったことをしたためます。昔、俊紀は幼い茜に宮沢賢治の作品を読み聞かせていました。
その頃は分からなかった宮沢賢治の作品が理解できるようになってきたと、茜は懐かしそうです。そして、俊紀の就職を祝う言葉を記します。
俊紀は、大企業ソニック電機に勤めていると嘘をついていました。しかし本当は、特殊詐欺グループのかけ子をまとめる立場に就いています。
茜は、居酒屋のバイトをしながら保育士の勉強をしていました。俊紀からの仕送りを断りつつ、今の生活を彩らせる工夫をしていると伝えます。
茜には同棲している男 隆二がいました。隆二は、コトミが職場に出てこなかったことで悩み、茜に代わりを務めるよう頼みます。
刑事課の富沢警部補は、週刊玉石の記者 石黒颯馬に呼び出されます。そこで石黒は、後輩 南沢夕陽が遺したSDメモリーカードを出しました。
神城真人は、落ち着いていたはずの病気が悪化して亡くなった夕陽の叔母 彩にも、そのことを取材していた夕陽にも、先日殺された小泉彩葉にも近しい立場にいます。
話を聞いた富沢刑事は、態度を改め、前のめりになります。石黒は静かな声で淡々と、真人の取材に対して夕陽が命を賭したことを伝えました。
夕陽は、児童養護施設 札幌育樹の園を取材します。取材に応えたのは吉本理事長でした。そこに神城真人がいたのは、吉本理事長が赴任したての頃のことです。
吉本理事長と写真嫌いだった真人の写真を探します。夕陽は、”真人”と同じ右腕の火傷のある子の写真を見つけました。
けれども、吉本理事長が指さしたのは、その隣にいる子でした。驚く夕陽に、火傷のある子は金倉俊紀であると吉本理事長が告げました。
俊紀の過去/真人の現在
金倉俊紀が北海道に来たのは、母方の親戚がいたためでした。けれども、大人しくて絵ばかり描いている俊紀は、いじめの恰好の的となります。
年上の男子 ユウジやカズヤは、俊紀のスケッチブックを奪ったり、義父からタバコを押しつけられてできた傷痕をからかったりと、やりたい放題です。
虐待の痕を気持ち悪いと言われた俊紀は、ユウジたちからライターを奪います。そして、タバコの痕の上にライターの火を当てました。
ユウジたちがうろたえる一方、少し離れた場所から様子をうかがっていた真人が駆け出します。真人が騒いだことで、職員たちも飛んできました。
俊紀と真人とが仲良くなったのは、その一件のあとでした。真人は高校卒業まで施設にいましたが、俊紀は中学生の頃に施設を飛び出し行方不明になります。
吉本理事長は、俊紀が描いた妹 茜の絵を差し出しました。岩手の親戚に預けられた茜に、俊紀はいつも会いたがっていたそうです。
金倉茜が入院している岩手県立常葉病院を訪ねた夕陽は、偶然”真人”の姿を見かけます。”真人”は、もうすぐ仕事で大金が手に入ると茜に告げます。
茜に親しげに話す様子から、夕陽は確信しました。叔母 彩の夫”神城真人”は、金倉俊紀その人であると……。
そして現在――妻 澪の大学時代からの友人でカウンセラーの水樹から頼まれ、真人はカウンセリングを受けました。
絵を描くように言われ、真人は木と自分の顔とを描きます。そのとき真人は、簡単でいいと言われながらも、真剣に描きたいと強いこだわりを見せました。
話を聞く限りでは”すごくいい旦那さん”の真人ですが、水樹にはどうしても引っかかる部分があるようでした。
再会と別れ
警視長浅丘警察署に呼ばれた石黒は、富沢警部補からデータの裏取りが甘いと指摘されます。調査途中という事情もあり、それは当然のことでした。
ところが、富沢警部補は南沢記者の腕を讃えます。そして部下 吉岡刑事も同伴し、警察が調べたことを石黒に伝えました。
金倉俊紀は2010年当時、特殊詐欺の主犯格として北海道警に追われる立場にありました。そんな俊紀は、13年前――逃亡先の東京で亡くなっています。
死亡原因は、寝たばこによる火災でした。俊紀は東京のアパートにて、全身まる焦げになって見つかったのです。
自分自身を描くように言われた真人は、椅子を傾けながら昔のことを思い出していました。妹 茜が自殺を図り、病院に運び込まれたと知った日のことです。
茜は、温かい体のまま静かに眠っていました。自力で呼吸することも難しい状態のため、俊紀は何が起きたのか、まったく分かりません。
特殊詐欺の職場に戻った俊紀がタバコをくゆらせていると、警察が踏み込んできます。俊紀は金の詰まったかばんを抱えて、窓から飛び降りました。
ちょうど真下にトラックの積み荷があったため、俊紀は怪我ひとつせず逃げのびました。金をつかませたタクシードライバーに行先を任せ、俊紀は目をつぶります。
タクシーが着いたのは東京で、俊紀はパチンコ屋に勤め始めます。そこにたまたま通っていたのが、本物の神城真人だったのです。
真人は高価なアクセサリーを身に着けて、楽しそうに見えます。それもそのはず、真人は前の月に3000万円の万馬券を当て、豊かな暮らしをしていました。
その話を聞き、俊紀は酔っ払った真人を自宅に連れ帰ります。俊紀は眠り込んだ真人からアクセサリーを外し、ガソリンをまいて火をつけました。
真人の成長
保険証で知った真人の自宅には、言葉通り大金が隠してありました。俊紀の家に向かう消防車と救急車のサイレンが聞こえてきます。
夜の闇の中、俊紀の家は火柱を立てて燃えています。真人は間違いなく命を落としたでしょう。その火にまかれたのならば、真っ黒に焼け焦げているはずです。
俊紀は真人として生きていくため、まずは顔を変えました。けれども、自分自身であることを証明する右腕の火傷の痕は残しておきました。
“真人”はトシとしてホストクラブTOP DANDYで働き始めます。そこに通っていた客が夕陽の叔母 彩だったのです。
真人は同僚カズの太客を寝取り、逆鱗に触れてしまいました。そこで顔を殴られた真人は激怒し、アイスピックでカズの手を突き刺します。
彩は、そんな真人を自宅に連れ帰りました。真人は、彩が自分に気があるものと思い込みます。ところが彩は、真人には教養と社会性が足りないと突き放しました。
人間としての知性を身に着けるように言われた真人は、言われた通りに大人しく帰ります。そして、知性を身に着けるため図書館に通い始めました。
一般教養を身に着けるよう諭された真人は、現代日本の基礎言語2011、民主主義と自由主義、基礎から学ぶカウンセリング心理学などの様々な本を手に取ります。
そんな自らの人生を思い出しながら、真人は自分の顔――整形手術によって手に入れた顔を描いたのでした。
真人の描いた木からは、情緒も人間関係も良好で、社会的かつ生命力あふれる人物だと分かります。大きな目標に向かう最中だとも分かりました。
水樹は、真人の人間性が分からず戸惑います。その間にも澪の真人に対する依存は強くなっていくのでした。
『死ぬほど愛して』エピソード5「終わりの始まり」まとめ
4話の終盤で、南沢夕陽記者によって現在の神城真人は神城真人本人ではなく、金倉俊紀であると突き止められていたことが分かりました。
5話では、俊紀が真人と出会った児童養護施設 札幌育樹の園のこと、警察から逃れた俊紀が偶然に真人と再会したことが描かれました。
本物の真人は気のいい人物で、震災孤児となったあとも明るく生きていました。運がよかったのも、その人の好さに引き寄せられたからかもしれません。
本物の真人は、俊紀が人生をやり直すためにすべてを奪われました。俊紀は他人から奪うことで幸せになるという方法を、ここで学んだのでしょう。
そんな“真人”が魅力的な人物へと進化するきっかけを与えたのは、他ならぬ夕陽の叔母 彩だったんですね……。
5話のサブタイトルは「終わりの始まり」――俊紀が真人と成り代わった瞬間を指しているように、私は思いました。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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