Netflixドラマ『今際の国のアリス』シーズン2-6【ネタバレ感想】はあとのきんぐ「てんびん」

Netflixドラマ『今際の国のアリス』シーズン2タイトル
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ミヅチ
ミヅチ

こちらにはNetflixのオリジナルドラマ『今際の国のアリス』シーズン2 エピソード6のネタバレと感想があります。

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主な登場人物・キャスト

アリス(山崎賢人)
ウサギ(土屋太鳳)

チシヤ(村上虹郎)
アン(三吉彩花)
ニラギ(桜田通)

クイナ(朝比奈彩)
ヘイヤ(恒松祐里)
リサ(山本千尋)

ヤシゲ(橋本じゅん)
ダイモン(佐津川愛美)
アスマ(兼松若人)

クズリュウの顧客(今井朋彦)
チシヤの上司(山中崇)

クズリュウ(阿部力)
ボーシヤ(金子ノブアキ)
アグニ(青柳翔)

ここから先はネタバレがあります!

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ネタバレまとめ

げぇむ

♠Q「ちぇっくめいと」

難易度:Q

るぅる

クイーンチームvs挑戦者チーム

ゲームの参加者16人は全員「挑戦者チーム」となり、スペードのクイーン率いる「クイーンチーム」の4人と戦う。

ゲーム開始時に20人全員が背中側にボタンがついたベルトを装着する。
挑戦者チームの色は青クイーンチームの色は赤

ターン制

1ターン5分間の攻守交替制で、全16ターンのゲームを行う。
奇数ターンはクイーンチームの攻撃、偶数ターンは挑戦者チームの攻撃となる。

攻撃するチームは、相手チームのメンバーの背中にあるボタンを押す。
ボタンを押されたメンバーには電流が走り、そのターンは動けなくなる。また、次のターンからは相手チームのメンバーとなる。

勝利条件

全16ターンが終わったあと、人数が多いチーム全員が勝利となる。
敗北したチームは全員死ぬ。

なお、両チームにはひとりずつ「王様」がおり、王様はチーム間の移動ができない。
クイーンチームの王様はスペードのクイーン、挑戦者チームの王様は10歳の少年コウタである。

「げぇむ」の参加者

アリス
ウサギ
コウタ
他 挑戦者チームの13名

元クイーンチームの3名

リサ

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げぇむ【チシヤ参加】

K「てんびん」

難易度:K

るぅる

0~100

参加者5人は、最高裁判所の中の椅子に拘束された状態でゲームに参加する。
各座席にはタブレットが置いてあり、他の座席からは見えない状態になっている。

参加者は、制限時間である3分以内に0~100の中から、ひとつだけ数字を選ぶ

勝利条件

5人が選んだ数字の平均値を出し、その値に0.8をかけたものが最終的な値となる。
その値に最も近い数字を選んだ参加者が勝利となり、他の参加者は1ポイント減点される。

減点されるたびに参加者の頭上にある天秤の皿に硫酸が注がれていく。
マイナス10ポイントになった参加者はゲームオーバーとなり、頭上の皿がひっくり返る。

最後に残ったひとりだけがゲームクリアできる。

追加ルール

敗者が出るたびに新しいルールが追加される。

追加ルール1:同じ数を選んだ参加者は全員無効となり1ポイント減点される。
追加ルール2:正解の値を当てた参加者はピタリ賞。他の参加者は2ポイント減点される。
追加ルール3:0を選んだ参加者がいる場合に限り、100を選んだ参加者が勝利となる。

「げぇむ」の参加者

チシヤ

アスマ
ヤシゲ
ダイモン

クズリュウ

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ミヅチガタリ

そもそも「ちぇっくめいと」はリサが不利なゲームではないか? という指摘が出ていますね。また、ルールが破綻しているとも……。

しかし、それは原作にもある7「かくれんぼ」でも言われていることでした。こちらは♠なので、また一味違うのが面白いところですね。

♠のゲームなだけあって、リサは圧倒的な身体能力で参加者を仕留めていきます。リサを敵に回すという恐怖が最初に与えられるのです。

そんな状況で、リサは一筋の希望を与えます。リサが主催する「ちぇっくめいと」が行われる限り、仲間になった人々は生き延びられると……。

絶望と希望、言い換えれば飴と鞭、DV加害者による爆発期とハネムーン期のように、参加者はリサの言動に心をかき乱されてしまいます。

しかし最後に皆の心を動かしたのは、厳しい現実を生き抜いてきたウサギの「元の世界でやり直したい」という切なる思いでした。

リサが生きるも死ぬも迷わず決める一方で、クズリュウはずっと悩んでいました。元の世界で貫けなかった公平と平等を求めてゲームを行っているのです。

冷徹に見えたチシヤの中にも、クズリュウと同じ思いがありました。チシヤはゲームを通し、クズリュウが信念を貫き通すチャンスを与えます。

クズリュウは最期の瞬間、満足したように微笑み一筋の涙を流します。理想を笑われた弁護士ではなく、理想を貫いたひとりの男として……。

死に場所を探すアグニはまだ迷いの中にいます。アグニにもいつか救いのときが訪れるといいですね……!

詳細なネタバレはこの下です!

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今際の国のアリス シーズン2 エピソード6

ウサギの想い

13ターン目――アリスをクイーンチームに入れたいスペードのクイーン・リサは、その邪魔をするウサギへの敵意をむき出しにします。

「誰も子どもを殺したいとは思わない。でもね、自分の命が懸かるとなると話は別。他人の命より自分の命を守るの。人間なんて、みんなそんなもの」

そう語るリサに、ウサギは本当に大切な人がいないからそういう考えになるのだと返します。

しかし、ウサギの言葉は偽善だとリサははねつけます。今や13人もが、10歳のコウタの命よりも自分の命と安全を選んでいるからです。

14ターン目、ウサギとアリスは合流しました。ウサギは自身の身体能力の高さを活かして、不意打ちで元挑戦者チームを襲う計画を立てます。

まずはユズル、トバ、カズキが集まって話し合っているところを襲撃しました。アリスはすぐに移動しようとしますが、ウサギは立ち止まります。

ゲームに参加し戦い続けることに疲れ、スペードのキングに脅え続けることに嫌気が差した3人に、ウサギは自分の考えをぶつけます。

「あなたたちは間違ってる。今、一番大事なのはこのゲームに勝つことじゃない。元の世界に戻ること」

ウサギは、絵札のゲームに勝ちジャック、クイーン、キングを全員倒せば元の世界に戻れる可能性があると説きます。

しかし、すでに心が折れてしまっている3人は元の世界に戻ることなど遠い幻のように感じており、ただ生き延びることだけを望みます。

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偽善

「ゲームはちゃんとした規則に沿って進んでる。絵札のやつらも、ゲームに負けたら殺されてる――ってことは、全部の絵札を倒せば必ずこのゲームは終わる。その先にもうゲームはない」

アリスの言葉も絶望した3人には届きません。なぜなら、3人が過ごしてきた元の世界は戻りたいほどいいものではなかったからです。

今際の国のほうがまだいいかもしれないと思えるような現実を過ごしてきた3人に、ウサギは本音を吐き出します。

現実はいいことばかりではありません。しかしウサギは今際の国での経験を経て、元の世界を愛おしく思うようになっていました。

「もう一度、あの世界に帰ってやり直したい」

ウサギが力強く語ると、壁の奥からフジキが出てきました。フジキは元の世界にいる家族に会いたいと語ります。

15ターン目――クイーンチームの最後の攻撃ターンが始まりました。お互いに攻撃ターンは残り1ターンずつしかありません。

ウサギは別々に動いて過半数の人数を集めようと考えますが、アリスには別の考えがありました。

「この国で偽善が無意味だと教えてあげるの」

リサはアリスをチームに引き入れ、王様であるコウタと目障りなウサギを敗北に追い込もうとしていました。

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最終ターン

クイーンチームは全員がアリスを追って動き始めます。その中には、カズキの姿もありました。

アリスは元挑戦者チームのカズキたち数人に見つかり、角に追い詰められます。そのとき、15ターン目が残り30秒となりました。

遅れてやってきたリサが余裕の笑みを浮かべた瞬間、アリスに向かってクイーンチームのメンバーが襲いかかってきました。

しかしアリスの体は宙に浮き、人々の手を逃れます。クイーンの最終ターンはそのまま終わりました。

アリスがつかんだチェーンの先にはウサギとユズルがいます。アリスと入れ替わるように着地したウサギは、一気にふたり分のボタンを押しました。

トバとフジキは挟み撃ちでひとりのボタンを押し、そのあとは勢いに乗ってどんどん挑戦者チームが増えていきました。

ターンが終わるとき、クイーンチームはリサひとりだけになっていました。挑戦者チームの勝利となり、歓喜の声が響きます。

「みんなに何を吹き込んだのか知らないけど、お見事でした。偽善者さん」

元の世界に戻りたいと語るウサギに、リサは今際の国のほうがよほどいいと返します。リサの心が揺れることはありません。

アリスは、キューマたちのように、リサもはじめはプレーヤーだったのだろうと問いかけます。しかしリサは答えません。

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リサの言葉

「すべてのゲームが終わったら分かることよ。ゲームをクリアしたときにだけ、その答えが分かる」

リサは敗北してもなお、強気で余裕たっぷりの態度を崩しません。それが今際の国に根を下ろしたリサの生き様でした。

「私は最期まで自由に生きたいの。さようなら」

リサはレーザーに撃たれる前に、闇夜に身を投げました。落ちていくリサの頭に、上空からレーザーが放たれます。

ビザの残り日数が増えたコウタをノゾミに預け、アリスとウサギはその場を去りました。答えを知りたい……その共通の思いを持って。

匂いに導かれて温泉に辿り着いたふたりは、瓦礫の中の温泉で2頭の象と遭遇します。象たちも温泉で疲れを癒しているようでした。

尊い瞬間を目撃したことで、アリスもウサギも感動を覚えます。しかし次の瞬間、お互い裸であることを思い出して目を逸らしました。

ウサギが心を許したことで、アリスはやっと距離を縮めることができました。ふたりは唇を重ね、お互いの想いを確かめ合います。

その頃、クイナは母・貴美子の病室を訪ねていました。写真立てにはクイナと母が微笑む写真が飾ってありますが、本人の姿はありません。

アンは山を下りている最中に鹿の死体を見つけます。鑑識官として見た子どもの遺体の無垢な目が、鹿の目とよく似ていました。

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ダイヤのキング

最高裁判所――ダイヤのキングが統べる場には、チシヤの姿がありました。チシヤはそこで意外な再会を果たします。

「へえ……あんたがダイヤのキングだったんだ。元ビーチ幹部、ナンバー2――クズリュウ」

クズリュウが行うゲームは「てんびん」です。最高裁に集まったのはダイヤのキング・クズリュウとチシヤを含めた5人でした。

「てんびん」では、参加者5人が制限時間3分の間に0~100の中から数字をひとつ選びます。

そして全員が選んだ数字の平均値に0.8をかけます。その数値に一番近い数字を選んだ人が勝者となるのです。

独特な雰囲気の中年男性ヤシゲ、サラリーマン風の壮年アスマ、派手な見た目の女性ダイモンが頭を整理するようにルールを復唱します。

「0.8が天からの一滴ってわけだ」

勝者を除く4人は1ポイント減点されます。そして-10点となった参加者はゲームオーバーとなり、最後に残ったひとりがゲームクリアです。

ただし――敗者が出る度に新しいルールが追加されます。ゲームのタイトルである「天秤」の説明はなされないまま、ゲームが始まりました。

各テーブルには他の参加者からは見えない位置にタブレットが設置されており、そこに0~100の数字が書かれたボタンが並んでいます。

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天秤の意味

アスマが33、ダイモンが40、クズリュウが29、ヤシゲが30、チシヤが32を選択しました。このままなら平均値は32.8です。

そこに定数0.8がかけられ、26.24となりました。最も近い数字を選んだのはクズリュウとなり、他の4人は-1点となります。

定数0.8がなければ勝者はアスマでした。しかし均衡を崩すための定数0.8があるために、クズリュウが勝者となったのです。

「全員が40を選んだら、平均値は当然40。そこに0.8をかけると32だ。もし全員が同じ読みをして32を選んでも、結局平均値に0.8をかける限り、値はさらに低くなるだけ。全員が同じ数を選んでも、勝者はいない」

ヤシゲは独り言のように語ります。ダイモンは先の先を読む必要があると気付き、いかにもハートのゲームらしい心理戦だと伸びをします。

「チェスであれポーカーであれ、あらゆる頭脳戦は相手の手の読み合いでしょ? でも読むのは相手の心理じゃなくて、合理だ。……だよね?」

ふと、頭上から水音が聞こえてきました。参加者それぞれの頭の上にある天秤の皿に、硫酸が注がれていきます。

天秤は片方の皿が参加者の頭の上に、もう片方が参加者の背後にあります。参加者は椅子から離れられないため、逃げることはできません。

-10ポイントになると天秤は傾き、皿に溜まった硫酸が敗北者にかかる仕組みでした。「てんびん」というタイトルの由来はこれだったのです。

「このゲームの会場は裁判所。巨大なオブジェ。弁護士バッジの意味するものは、公平と平等。自身の命も含め、すべての命の価値は平等。そう言いたいの?」

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公平と平等

クズリュウは皿に注がれているものが硫酸であること、過去に弁護士だったことは答えましたが、それ以外の質問には一切答えませんでした。

ダイモンは1回戦を前提に考えますがキリはなく、投資家であったらしきアスマは数字を銘柄と捉えて考えます。

理数系の教授か講師であろうヤシゲは、相手の合理性を読む計算式を立てていました。

2回戦ではアスマが15、ダイモンが21、クズリュウが14、ヤシゲが16、チシヤが17を選びます。平均値は16.6となりました。

定数0.8をかけた値13.28に最も近かったのは、またしてもクズリュウでした。他の4人の皿に硫酸が注がれます。

結局のところ数字は小さくなり続け、最終的には0になります。その場にいる皆がそのことに気付きました。

「クズリュウ、何となく見えてきたよ。あんたが測りたがっているもの――命の価値だろ」

クズリュウは弁護士として働いている頃、誰もが法の下に平等だと考えていました。しかし顧客が弁護士に求めるものは違ったのです。

クズリュウが持つ理想――平等や公平は、お互いを食らい合う魔物の棲む世界では不要なものだったのです。

3回戦ではアスマが0、ダイモンが1、クズリュウが0、ヤシゲが0、そしてチシヤが100を選びました。平均値は20.2です。

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-10

定数0.8をかけた値は16.16になり、勝者はダイモンとなりました。ダイモン以外の皿に硫酸が注がれます。

「どういうことだ? 100を選んでも、お前は負ける。勝者になる確率は0%だろ?」

合理的ではない行動を取ったチシヤに、ヤシゲはひどく驚きます。しかしチシヤは自分にマイナスが増えたことなど、まったく気にしていません。

全員がチシヤに惑わされ、場が荒れます。7回戦目終了時、アスマが-7、ダイモンが-5、クズリュウが-3、ヤシゲが-7、チシヤが-6でした。

10回戦目、アスマとヤシゲは-9で後がなく、クズリュウは-4、ダイモンは-6、チシヤは-7の状態でゲームが始まります。

追い詰められたふたりが0を選ぶことは明白でした。しかし、まだ余裕のあるダイモンは仕掛けてくるはずです。

こういう展開になることをクズリュウは読んでいたはずだと、チシヤは考えます。そしてクズリュウはまたしても最適解を選びました。

10回戦目はアスマとヤシゲが0、ダイモンが7、クズリュウが2、チシヤが1を選びました。平均値は2、そこに定数0.8をかけた値は1.6です。

アスマとヤシゲが-10ポイントとなり、頭上の皿から硫酸がこぼれてきました。椅子に縛り付けられたふたりは動けません。

ぽたぽたと垂れる雫による痛みにふたりがもだえた数秒後、耐え切れなくなった皿がひっくり返りました。

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ピタリ賞

滝のように勢いよく落ちてくる硫酸によって、アスマとヤシゲは真っ黒な骨と化しました。ダイモンは顔をゆがめてのけぞります。

ふたりが息絶えたあと、ルールが追加されました。同数は無効票となり-1ポイント、正解を当てられたら敗者は-2ポイントとなるのです。

11回戦目、3人全員が0を選びました。すべてが無効票となり、ダイモンが-8、クズリュウが-5、チシヤが-9となります。

余裕のない中、チシヤは23を選びました。ダイモンが62、クズリュウが1を選んだため、最終値は22.93でした。

12回戦目でチシヤはピタリ賞を獲得した勝者となったため、ダイモンが-10、クズリュウが-7になりました。

ダイモンは、チシヤがカンニングしたのだと訴えます。しかしチシヤにはダイモンの行動を読むことができました。

「仮に失敗しても次がある――だから君は、自分が勝つことより、彼と俺が潰し合うことに懸けた」

-8でまだ余裕のあるダイモンは、チシヤとクズリュウが前半の数字で潰し合うと推理し、後半の数字を選ぶことにしたのです。

しかし90~100はあまりに極端、ゾロ目はかぶるかもしれない、ウソをつくときに使いがちな5・3・8も避ける、素数もダメ――。

まるでダイモンの頭の中を覗いていたかのように、チシヤはよどみなく数字を消していく順番を述べていきます。

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運頼み

残りは、62、64、69、72、74、76に絞られました。しかしまだ幅があります。チシヤはもう一段階、踏み込んだのです。

64はゲーム機の名称、72は映画のタイトル、76と69はブランドのロゴ――すると選択肢は62と74のふたつになりました。

「ここいらが限界? あとはまあ……運だよね」

74を選んでいれば-10にはならなかった、そう気付いたダイモンが悲鳴を上げながら硫酸を浴びます。

クズリュウは硫酸によって焼かれた3人を一切気にかけることなく、自分の考えに深く沈みこんでいました。

富裕層を相手に弁護士をしていたクズリュウですが、世界の裏側にはたった数円を払えずに死んでいく者がいると、その目で見ていたのです。

ダイモンの死により、ルールが追加されました。公平と平等――クズリュウの信念を形にしたようなルールです。

「0を選択した方がいる場合に限り、100を選択した方が勝者」

0を選び続ければ、マイナスの少ないクズリュウは必ず勝ちます。しかし最後の追加ルールによって、ゲームが根本から変わりました。

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チシヤの過去

一方が0を選び、もう一方が100を選べば終了。一方が100を選び、もう一方が1を選べば1を選んだ方が勝利です。

こうして「てんびん」は0と1と100だけを使った三すくみ――じゃんけんという形になりました。

公平にこだわるクズリュウに疑問を覚えるチシヤでしたが、当の本人は完全なる公平と平等などないと分かっていました。

たとえ100万本のワクチンが用意できたとしても、100万人を“選ばなければならない”のです。全員分を用意できない限りは――。

「なるほど、今ので分かった。あんたは命の価値を測りたいんじゃなくて、命の価値を決めたくないってことか」

ワクチン100万本を誰に配るかと問われたチシヤは、親や金を持たない子に配ると答えました。理想論だと分かった上で……。

平等や公平など理想でしかない。そう分かっていて、だからこそ理想を形にするために闘うのだとクズリュウは力をこめます。

チシヤは元の世界で医者をしていたときのことを思い出します。担当していた男の子・隼人は、移植手術を控えていました。

しかし、寸前で順番が変わってしまいます。大学病院に多額の寄付をしている人の孫が優先され、隼人は後回しになりました。

一週間後――隼人は亡くなりました。そんなやりとりは一度で終わるはずもなく、何度も“優先順位”によって人の命は軽んじられたのです。

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100

「俺は100を選ぶ。ささやかな手助けだ。ここに俺という死に向かって突き進む命がある。この命に価値があるのかないのか、ぜひとも決めてくれ」

チシヤは、このゲームをするために今際の国に来たのかもしれないとすら感じていました。クズリュウとチシヤは同じ理想を持っているからです。

クズリュウは一度、理想に燃えるボーシヤについていくことにしました。しかしビーチは燃え落ち、クズリュウは新たなゲームに参加します。

体力が尽きて諦めかけたクズリュウに、タクマという青年が手を差し伸べました。それは、アリスが救った青年でした。

「僕も前のゲームで、ある青年に助けてもらったんです。だから今度は、僕が助ける番です。後悔なんてしませんよ。これが僕の生き方なんで」

0を選べばチシヤが勝利し、1を選べばクズリュウが勝利します。過去を思い出したクズリュウが出した結論は――0でした。

理想を捨てるか、自分の命を捨てるか……そんな2択において、クズリュウは二度にわたって理想を選びました。

クズリュウもチシヤも-9となりました。チシヤにも、死を恐れる気持ちはありません。100を選んだ画面をクズリュウに見せます。

「まじょがり」で魔女の役を引き受けたモモカも、理想を語っていました。モモカは理想のために命を投げ打つと覚悟したのです。

「私が魔女として死ぬのは、あなたたちのルールに負けたからじゃない。あなたたちの思惑通りになんていかないってこと、殺し合いなんか起きないってことを見せつけてやるためだから」

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0

「私には、命の価値もその意義も分からない。きっとこの先も決められる日はこないだろう。私が決めるべきことは……」

15回戦目、チシヤが100を選んだ証拠を見てもなお、クズリュウは0を選びました。チシヤはその表情から、クズリュウの思いを読み取ります。

「命の価値を自分では決めないことに、決めたんだね」

クズリュウが持つ“公平と平等”という理想において、他人の命の価値を決める立場になることは受け入れられないことです。

理想に苦しめられたボーシヤ、理想に命を懸けたモモカ、デメリットに構わず理想を貫いたタクマ……。

クズリュウは生きる道を悩み続けた末に「他人の命の価値を決めない」という最大の理想を貫くことができたのです。

勝ち逃げされたようだと、誰もいない法廷でチシヤはつぶやきます。最期のクズリュウの表情は、穏やかなものでした。

アリスとウサギ、クイナは元の世界に戻るという決意を新たにします。アンは今際の国の謎を解くため、歩き出しました。

ヘイヤはアグニと共に生きると決め、歩き出します。傷だらけのニラギもまた、足を引きずりながら進んでいきます。

スペードのキングはまだ健在、そしてアリスたちをセカンドステージへといざなったミラもまた健在――ゲームの終わりが近付いていました。

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

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