Netflixドラマ『イクサガミ』6話「死闘」【最終回】ネタバレ感想

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Netflixオリジナルドラマ『イクサガミ』6話「死闘」【最終回】は、彩八が幻刀斎と、愁二郎たちが無骨と遭遇する物語です。

ミヅチ
ミヅチ

全6話のこのシリーズは第一章だったんですねえ。第二章が始まるのが楽しみです。

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Netflixドラマ『イクサガミ』6話「死闘」【最終回】情報

公開日2025年11月13日
制作国日本
ジャンルヒューマンドラマ、アクション、歴史・時代劇、サスペンス
注意書きR-16+
暴力
上映時間53分

Netflixドラマ『イクサガミ』6話「死闘」【最終回】主な登場人物・キャスト

嵯峨愁二郎(岡田准一)
香月双葉(藤﨑ゆみあ)
衣笠彩八(清原果耶)
柘植響陣(東出昌大)
狭山進之介(城桧吏)

化野四蔵(早乙女太一)
祇園三助(遠藤雄弥)
蹴上甚六(岡崎体育)

櫻/中村半次郎(淵上泰史)

VIPの世話役・平岸(黒田大輔)
住友財閥の男・諸沢(榎木孝明)
三井財閥の男・神保(酒向芳)
安田財閥の男・近山(松尾諭)
三菱財閥の男・榊原(矢柴俊博)

カムイコチャ(染谷将太)

嵯峨志乃(吉岡里帆)

大久保利通(井浦新)
前島密(田中哲司)

刀弥(横浜流星)

貫地谷無骨(伊藤英明)

川路利良(濱田岳)

岡部幻刀斎(阿部寛)

ここから先はネタバレがあります!

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ミヅチガタリ

全6話でデスゲームが終えられるはずがないと思っていたら、このシリーズは第一章だったことが分かりました!

最終話にほんの少しだけ出てきた刀弥の活躍も見たいです。他のキャラクターと違い、美しく舞うような軽やかさが印象に残りました。

残念なのは、無骨が第一章で退場してしまったことですね。過去が振り返られたら退場するのは定番の流れなので、覚悟はしていましたが……。

無骨は本来、刀の時代が終わると共に姿を消すべき存在だったのでしょう。その命が今まであり続けたのは、愁二郎によってとどめを刺されるためだったのかもしれません。

驚いた点としては、秘書に続いて大久保卿自身も、第一章にて命を落としたことです。暗殺が起きることは知っていましたが、このタイミングとは……。

大久保卿と<蠱毒>の主催である警視局長 川路とは、昔から反りが合わなかったようです。しかし、士族を恨みながら士族を利用する川路には呆れますね。

そして最後に明かされたのは、響陣が京八流継承者たちを、幻刀斎に売ったことでした。響陣の今後の動きも気になってしまいますね。

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参加者の生死

嵯峨愁二郎
香月双葉
衣笠彩八

柘植響陣
狭山進之介

祇園三助
化野四蔵
蹴上甚六

カムイコチャ
刀弥
岡部幻刀斎

貫地谷無骨

不明

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『イクサガミ』6話「死闘」【最終回】ネタバレと感想・考察

無骨の悪夢

<悪夢>の中、嵯峨愁二郎は血と土にまみれた姿で立ちつくしていました。砲撃や銃撃によって倒れた仲間たちが、愁二郎の足下に広がります。

べったりと血がついた大剣をさげて近付いてきたのは、貫地谷無骨でした。無骨は、息のある者を斬り、撃ち……その命を奪っていきます。

「あっという間だよな。鉄砲だの大砲だの使いやがってよ。――な? これで終わりだぜ? フッ、殺した感覚もねえ。きれいな武器なこった」

銃の時代になったのだと愁二郎は諭しました。しかし、無骨は時代が変わろうと人斬りの本質は変わらないのだと言い返してきます。

大剣を振ってきた無骨に対し、愁二郎はその胸を袈裟斬りにしました。それでも、倒れた無骨の命を奪うことはしません。

「殺せよ。ここで殺さなかったら、一生お前のこと追いかけるぜ」

愁二郎は、戦争も、刀の時代も、人斬りが生きていける世も終わったのだと痛感していました。けれども、無骨は生き方を変えることはなかったのです。

――その後、罪人として牢に入れられた無骨を訪ねてきた男がいました。それは、同じ<悪夢>を生き抜いた中村半次郎――櫻です。

「無様なものだな、貫地谷無骨。10年前に姿を消したが、西南戦争に急に現れ、味方まで斬り殺すとは。――あれから、どう生きてた?」

「戦いたい」という望みを絶たれた無骨に、櫻はささやきます。<もう一度武士として生きる道>があるというのです。それは<蠱毒>への誘いでした。

愁二郎、半次郎、無骨、そして現在 内務省警視局長の川路利良が結集していた戦争は、西南戦争だったんですね。

確かに、西南戦争の新政府側には大久保利通や川路が、西郷隆盛率いる士族側には桐野利秋(改名前は中村半次郎)がいます。

愁二郎は川路を味方だと言っていました。つまり、新政府側として参加していたと考えられます。

無骨は味方を斬り殺したと、櫻が言っていました。無骨が斬った人物は銃を持っていたので、士族とは考えにくいでしょう。

そうなると無骨も新政府側だったと思われます。急に砲弾を撃ち込まれているのに、川路たちではなく愁二郎を目標にするあたり、無骨は一本気ですね。

愁二郎が新政府に与した理由を考えてみたのですが……やはり、刀の時代が終わり、人斬りとして生きることの限界を感じていたのでしょう。

最後に新政府側として一旗揚げることで、何かしらの職に就こうと思っていたのかもしれません。

けれども、皮肉なことに、新政府から職を得られたのは半次郎だったのです。

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相反するもの

内務卿 大久保利通は内務省警視局長 川路利良に手紙をしたためていました。その脳裏に、西南戦争の頃の記憶が蘇ってきます。

「大久保卿! 大久保卿、お願いします。今回の戦で士族を滅ぼさなければ、彼らは必ず新しい時代に牙をむきます」

士族は危険だ、大久保卿の暗殺も企てるに違いないと、川路は熱く語りました。けれども、大久保卿は刀を取り上げるだけでいいと冷静に語ります。

武力で武力を抑え込もうとする川路と、武力では民衆の心を得られないと主張する大久保卿とでは、意見がまとまりません。

自分の意見を押し通すために川路が取った行動が<蠱毒>の開催だったのです。その川路は、財閥の男たちを集めた洋館にいました。

VIPの世話役 平岸が、大久保卿からの手紙を持ってきます。それと同じ夜――愁二郎と香月双葉、衣笠彩八は祭りの中にいました。

二日後に待ち合わせを控え、愁二郎は双葉との別れを覚悟します。娘を見る顔で双葉を見つめる愁二郎に、彩八が<本当の家族>とは何か問いました。

「……すべてをなげうってでも、守りたいもの。人を斬ること以外の生き方を教えてくれた」

京八流の継承戦から逃走した愁二郎は、家族を築きました。そこで幸せな時間や、生きる道を見出します。

その一方で、彩八は兄たちの命を犠牲にして生き延びたものの、幸せとは縁遠い暮らしをしてきたのでした。

愁二郎って、ちょいちょい無神経ですよね。主人公補正では許されないのではないかと思うときがあります。

京八流に拾われて人斬りの技術を身に着けたものの、愁二郎に安息の地はなかったのでしょう。戦うことしかできない愁二郎は、戦い続けてきたようです。

妻 志乃とどのような出会いをし結ばれたのかは分かりません。しかし、少なくとも志乃は戦場に出る人ではありません。

人斬りとして名を上げていく愁二郎を、単純にひとりの人間として見て、愛してくれた人なのではないでしょうか。

そういった出会いは、彩八が生きる道にはありませんでした。安定した立場でないがゆえに、下卑た男たちに<女>を売るよう迫られてきたのです。

愁二郎は京八流を離れて、それよりいい暮らしをしました。けれども彩八は、血の繋がらない兄たちに可愛がられた過去のほうが幸福だったようです。

相反する人生を送ってきたのが愁二郎と彩八です。そして、相反する考え方を持つのが大久保卿と川路でした。

新政府にとって最大の問題が<士族>であることは、両者共に同じです。けれども、新政府が何を重視すべきかについての意見は真っ二つに分かれていました。

士族は武士とも言われるように、武の道に生きる者たちです。平和な世を経てもなお、新政府に対抗するときには、その<武>を振りかざしてきました。

そんな士族を武力で抑え込めば、新政府もまた<武>の組織になってしまいます。武家政権から改革しようと考える大久保卿には、耐えがたいことでしょう。

川路はそこまで頭が回らないのか、結局のところ頭が旧いのか……<武>に対抗できるのは<武>のみであると考えているようです。

意外なことに、<武>を捨てて生きてきた愁二郎と、<武>に頼らない政権運営を考える大久保卿とでは、考えが近しいんですね。

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つけ狙う者

柘植響陣は、愁二郎と彩八に危機が迫っていると告げます。その相手は京八流の弟子、化野四蔵と祇園三助でした。

近くの神社でやっている祭りには二人がいます。さらに、京八流の弟子たちの命を狙う岡部幻刀斎もいると、響陣は教えました。

木の陰で話を聞いていた狭山進之介は、幻刀斎とは何者かと問います。けれども、響陣はその問いに答えてはくれませんでした。

祭りでは、双葉が楽しげに舞っています。彩八は愁二郎から離れ、お参りをしていました。そこに幻刀斎が現れます。

「京八流継承者の八――衣笠彩八、見つけたぞ」

彩八は愁二郎たちがいるやぐらとは逆方向の、森の中へと駆け込んでいきました。職人たちによって花火が上げられている頃、やぐらの周りで叫び声が上がります。

人波が引いたところで見えてきたのは、大剣を握った無骨の姿でした。無骨は、愁二郎を目がけて一直線に駆けてきます。

無骨は、斬り合おうとしない愁二郎を見ると、周りの人に刃を突き立てます。そんな無骨に対して声を上げたのは、双葉でした。

「なぜ罪のない人を殺すのですか? そんなの武士じゃない!」

無骨は一瞬で双葉を捕まえると、その首に刃を近付けます。その頃、彩八は追ってくる幻刀斎から逃げるため、建物の中に入っていました。

京八流の弟子たちは皆、一から八まで、名前に漢数字が入っています。皆拾われた子なので、年齢順ではなく、拾った順なのではないでしょうか。

<蠱毒>参加者でいうと、上から順に愁二郎、三助、四蔵、甚六、彩八となりますね。

京八流という名であるために、8人集めたとも考えられますね。おそらく<八>は技の種類・型の数を示していると思われます。

流派の型というと『鬼滅の刃』の我妻善逸が思い出されますね。善逸は、数ある型のうち一つだけしか体得できなかったことが特徴のキャラクターです。

6種類あるうちの1種しか体得できなかった善逸と、共に稽古しほかの5種を体得した兄弟子がいましたが……。

その行く末について語るとネタバレになるので控えます。とにかく、体得した型の数よりも、それをいかに鍛え上げるかのほうが重要でした。

双葉にとって武士とは、その技と心とを共に鍛え上げ、人々のために使う人を指す言葉なのでしょう。

欲望のままに刃を振るい、人の命も自分の命もなんとも思っていない無骨は、双葉にとってはただの殺人鬼なんですね。

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武士の時代

無骨は、双葉を抱えたまま群衆の中を突っ切ります。愁二郎は無骨を追いかけ、大剣を握る右手を斬りつけました。

「武士の時代は終わった? そんなの知ったことか。んなもん……もう一度作ればいいだけだ!」

大怪我を負わされても、無骨は逃げも守りもしません。無骨の狙いは自分ひとりと知り、愁二郎は鳥居を抜け神社を離れることにしました。

門を抜けた愁二郎は、石段を転がり落ちながら無骨と戦っています。祭りにやってきた人々をかき分けながら、二人は川に出ました。

一方、神社に仕える人を目の前で殺された彩八は、幻刀斎から必死で逃げています。縁側の下で動きを止め、息をひそめました。

けれども、幻刀斎はかすかな音で彩八の存在に気付きます。彩八はぎりぎりのところまで追いつめられながらも、運の強さで逃げ切るのでした。

彩八を見失った幻刀斎は、井戸に向かって立っていました。その背中に襲いかかった彩八ですが、太ももに大きな傷を負わされ、窮地に陥ります。

そのとき、物陰からひとりの男が現れました。四蔵です。四蔵は立ち上がれない彩八から、幻刀斎を遠ざけていきます。

四蔵と息を合わせるように飛び出してきたもう一人の男は――三助でした。幻刀斎は二人の刀を、刀とその鞘で受け止め、押し返していきます。

人ならざる強さを持つ幻刀斎を前に、二人は防戦一方でした。四蔵は勝てないと悟り、彩八と三助に逃げるよう命じます。

そして、四蔵はひとり残って幻刀斎の相手をしました。充分に時を稼ぎ、幻刀斎の背に傷を負わせたあと、四蔵もその姿を消すのでした。

大久保卿の意に反し、川路が武を武で制圧するために<蠱毒>を始めた結果……無骨は<武士の世>を取り戻そうと考えるようになりました。

大久保卿の恐れていたことは、これだったのでしょう。<武>で身を立てられる世が続く限り、<武>によって抑えつけられる人々が生まれます。

警視局という<武>を担う組織を任せられたことも、川路の考えに拍車をかけているのかもしれません。

川路もヨーロッパに視察に行っているのですが、それはあくまで警視局の作り方・あり方を学ぶためのものです。

広い目で、政府と民衆とがどのような関係性にあるのかということは、把握してこなかったのでしょう。同じものを見ても、感じ方は違いますからね。

ところで、幻刀斎は目がよく見えない代わりに、尋常でなく耳がいいようです。視角が弱いと、聴覚で空間を把握できるようになるという説もありますよね。

パラスポーツのひとつ ブラインドサッカーでは、完全に目を塞いでプレーします。ボールの中に鈴が入っており、その音で位置を判断しています。

目が見える人が試しに試合用のアイマスクをしてプレーしてみると、まるでボールの位置が分からないという現象が起こります。

その一方、プレーしている弱視~全盲のアスリートは、まるで見えているかのように当たり前にサッカーをしているのです。

見えないからこそ、見えなくなったからこそ、聞こえるものがある――それは決して創作の中だけではなく、現実にもあるんですよね。

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花火の夜

愁二郎と無骨は、職人たちが花火を用意していた小屋にたどり着きました。花火玉が積まれた棚に囲まれて斬り合いをしているため、火花が上がり、炎が立ちます。

その日は花火玉へと燃え移り、小屋の中で何度も花火が爆発しました。燃え盛る小屋の中から飛び出してきた二人の体は、どちらも炎を背負っています。

二人して川に飛び込んで火を消したあと、愁二郎と無骨は刀を構えました。勝負がついたのは一瞬のことです。

愁二郎は一瞬の差で、無骨の脇腹を斬りました。無骨は大剣を落とし、膝をつきながらも、どこか満足げです。

「人斬り刻舟……俺は……幸せだよ」

心配して駆け寄ってきた双葉は、横目で無骨を見つめます。そして愁二郎へと視線を戻し、その命が無事だったことに安堵するのでした。

翌朝――池鯉鮒宿の一番乗りがカムイコチャだったことが財閥の男たちに知らされました。三菱財閥の男・榊原が賭けに勝利します。

また、無骨が愁二郎に倒されたことが報告されました。<主催>の川路は誰が亡くなろうと、一喜一憂しません。誰であろうと士族は士族、同じだと考えているのです。

大久保卿は、秘書 永瀬心平が姿を消したことを気にかけていました。しかし、警察には知らせず、内務省職員で捜索するよう指示します。

川路が出張から戻ってきたため、大久保卿は馬車で川路宅へと向かいました。その途中、返り血にまみれた半次郎――櫻が現れます。

「お久しぶりです、大久保卿。残念ながら、川路殿はこちらに向かっておりません。その代わりに、川路殿より伝言です。<さようなら>」

櫻は、大久保卿の胸に刀を突き立てました。その夜、大久保卿の右腕であった内務省 駅逓局長 前島密は、大久保卿の死の報せを受けます。

無骨にとって最大の不幸は、必要とされなくなったことでも、刀から銃へと時代が移り変わったことでもありませんでした。

武士の世、混乱の時代が終わったために「戦いたい」という欲望が満たせなくなってしまった現状だったのです。

強者を求めたのは、そのためだったのでしょう。右京やカムイコチャと戦ったときも楽しそうではありましたが、少々物足りなかったようです。

自分が倒せるか否かギリギリの相手と戦うことによって、全力で命のやりとりをするのが無骨にとっての<生き甲斐>だったのでしょう。

そうして最後の瞬間、無骨は幸福で満たされることができたのです。なんという迷惑な存在でしょう。愁二郎が西南戦争で始末しておけば……。

カムイコチャが余裕を持って池鯉鮒宿を越えられたのは、こういった因縁の相手がいないことにあると思います。

愁二郎は京八流継承者として幻刀斎に追われつつ、明治維新のいざこざによって生まれた因縁をも抱えて生きています。

<蠱毒>に参加してから生まれた関係も含めて、愁二郎の周りは関係者だらけなのです。そのために、進みが遅くなっていると思われます。

そんな中、大久保卿の暗殺が実行されました。歴史的に<紀尾井坂の変>と呼ばれるものですね。不満を持つ士族6名によって実行されたものです。

士族によって起こされた事件というところから、櫻を充てたのでしょう。ただし大久保卿に不満を持っていたのは、櫻本人ではなく、川路であるという構成です。

実際には、このときに秘書に近しい立場であったと思われる従者 中村太郎が殺されています。時代的に、まだ<秘書>は存在しなかったようですね。

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暗殺の号外

岡崎宿――愁二郎と双葉は大久保卿との待ち合わせのため、先を急いでいました。そこに、号外を配る男が現れます。

大久保卿の暗殺を知り、愁二郎は<蠱毒>が抱える闇の深さを知りました。そこに若いスーツ姿の男が現れ、声をかけてきます。

「前島殿より伝言です。<非常事態につき東京に戻る。そのまま東京を目指せ>とのことです」

愁二郎が先を急ぐ中、その目の前を馬車が通り過ぎていきました。その中にあったのは、川路の姿です。

愁二郎たちとはぐれた彩八は、三助と四蔵にかくまわれていました。兄たちと過ごした幸せな夢から覚めて、彩八は覚悟を新たにします。

愁二郎が逃げたことにより京八流継承戦は行われず、彩八を含めた兄弟たちは生き残ることができました。けれども、幻刀斎を倒さねば命の危機は続きます。

「兄弟全員で、幻刀斎を倒そう。あいつは……兄弟がそろわないと勝てない」

3人だけでなく、愁二郎や甚六も集めなければならないと、彩八は語りました。その頃、財閥の男たちにも大久保卿の暗殺が知らされます。

邪魔者がいなくなったと喜ぶ男たちは、今後の賭けに心を躍らせていました。<蠱毒>が進むにつれ、弱者が振り落とされ、強者のみになっていくためです。

その強者のひとり 刀弥が石段を舞うように刀を振っていました。子どものように無邪気な顔で参加者を倒し、ほがらかに笑います。

頼みの綱であった大久保卿が殺され、愁二郎は双葉を守り続けなければならなくなりました。

ただし、直接やりとりしたのは大久保卿ではなく前島でした。そのため、<蠱毒>から双葉を守る手段がなくなったわけではありません。

川路が岡崎にいたのはなぜなのでしょう……。発信場所である富士山のふもとというのはカモフラージュで、本当は岡崎に洋館があるのでしょうか。

どちらにしろ、わざわざ<蠱毒>の参加者がいる場所に川路が現れたことは、愁二郎にとって違和感を覚える出来事だったはずです。

<蠱毒>に警視局が関わっていることは、すでに判明しています。そのトップである川路を直接見たことで、愁二郎にはその理由まで見通せたかもしれません。

それはそうと、横浜流星さんをこんな短時間しか使わないなんてことがありますか? <国宝>ですよ?

その『国宝』にて、<横浜さんは型から、吉沢亮さんは気持ちから入る>と指導の方から言われていました。

まず<型>を入れるタイプであるがゆえに、横浜さんの動きはとても美しいのだと思います。

そして個人的にすごいなと思うのは、習うものによってそれぞれの<型>に矛盾が出てくることもあるはずなのに、それがひとつに収束していることです。

私の場合は踊りなのですが、前に違うタイプの踊りを習っていた方は、以前のものと現在のものをちゃんぽんにするきらいがあります。

そうすると、前のものの良さと今のものの良さが相乗効果になる――のではなく、それぞれの良さを打ち消し合ってしまうことが多いのです。

そのため、横浜さんのように、武術の美しさと舞踊の美しさとを両立させられることの凄さをより感じます。天性のセンスでしょうか……。

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響陣の思惑

刀弥と遭遇した甚六が脅えているとき、半次郎――櫻は鍛錬をしていました。カムイコチャは森の中で神に祈りを捧げています。

大きな招魂碑の前にいる響陣と進之介の前に現れたのは、幻刀斎でした。響陣は、幻刀斎の姿を見てにいっと笑います。

「なんや、殺せへんかったんか。せっかく場所を教えたったのに」

進之介は、響陣の言葉を受けて目を丸くします。その頃、彩八と四蔵、三助は京八流の兄弟たちを探すため、出発していました。

馬車の中、川路はひとり<蠱毒>に参加した者たちのことを考えています。そして、誰に言うでもなくつぶやくのでした。

「殺し合え、最後の一人まで」

響陣の動きについて考えてみましたが、自分の生存率を上げるために<自分は敵ではない>と幻刀斎に示す意図があったのではないかと思いました。

京八流継承者である愁二郎のそばにい続けると、幻刀斎から命を狙われる恐れがあります。

<手を組んではいるが味方ではない>と表明することが、響陣の命の期限を延ばすことに繋がるのです。

もちろん、最初から使い捨てにするつもりだったと考えることもできます。しかし、全部で7箇所ある通過点のうち、まだ3箇所しか通っていません。

利用しつくしてから切るつもりであれば、もう少しあとになると思うのです。もし現時点で京八流継承者が全員始末されたとして……。

池鯉鮒宿を通るのに必要なのは5点、愁二郎、三助、四蔵、甚六、彩八の5人分で25点以上あります。

それを響陣が総取りできたとして、現在5~6点持っているため、合計30~31点になります。最終地点まで通り抜けられる点数ですね。

しかし幻刀斎がひとりでも逃せば、それを追うために木札を取るでしょう。そして幻刀斎は、誰かと組み生き残ろうとは思っていないと考えられます。

そもそも響陣は忍びなので、本心を洗いざらい話すなんてことはしないはずです。第二章になっても、響陣には振り回されるのでしょうね。

※トップ画像・引用文はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

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