Netflix独占配信の『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「教室の亡霊」は、臨時採用の新人女性教師オイルが欠席続きの男子生徒ニックを気にかけるところから始まる物語です。
序盤に描かれているオイルの仕事に対するやる気のなさがリアルで嫌な感じです。せめて見た目だけでも取り繕おうと思いました。
Netflixドラマ『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「教室の亡霊」情報
日本公開日 | 2024年8月20日 |
制作国 | タイ |
ジャンル | ホラー |
注意書き | R-16+ 暴力、性描写、ヌード、言葉づかい、薬物、児童虐待 |
上映時間 | 40分 |
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「教室の亡霊」主なキャスト・スタッフ
キャスト
オイル 臨時採用の女性教師、ニックの担任 | チャヤニット・チャンサンガーウェ 『ロスト・イン・ウォーター 神秘の島』 |
ナム・ポンサコーン 薬物中毒のOB、ニックの父 | チョラウィット・ミートンコム |
ニックの祖母 ポンサコーン家にある変化をもたらした | ワサナ・チャラコーン |
ニック・ポンサコーン 欠席ばかりの男子中学生 | タナチャノン・ウォラーノンタナワス |
スタッフ
監督 | マシュー・チューキアット・サックヴィーラクル |
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「教室の亡霊」あらすじ
奇妙な祭壇の前で祈りを捧げていた老女は、突然ある男に襲われます。その老女は、近隣でも有名な問題のあるポンサコーン家の祖母でした。
ポンサコーン家の息子は中学1年生ですが、新学期になってから特進クラスを欠席し続けています。担任である新人女性教師オイルは、家庭訪問に行くことにしました。
オイルはまだ正式採用されていないため、ニックを登校させられれば採用できるという甘い言葉に乗ってしまったのです。
しかし、噂で聞いていたポンサコーン家の人々は、オイルの想像を上回る奇妙さを持っていて……。
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「教室の亡霊」ネタバレと感想・考察
不登校の男子生徒
祭壇の前で、老女が木製の楽器を奏でながら祈りを捧げています。すると、そこに返り血に染まったタンクトップを着た若い男がやってきました。
男は突然、手に握っていた棒で老女を殴りつけます。老女は悲鳴を上げますが、男は意に介さず、何度も棒を振り下ろしました。
部屋のカーテンに血しぶきが飛び、老女は声を上げることもできなくなりました。気が済んだ男が去って行ったあと、老女はゆっくりと起き上がります……。
――ノン・サム・ワン校の校庭では、男の子たちがサッカーを楽しんでいます。そこにスクールバスがやってきました。
バスの中で眠りこけていた若い女性教師オイルは、生徒にからかわれます。そういった怠惰な部分は他の教師にも知られており、オイルは上手くやっていけていないようでした。
オイルが担当している中学1年の特進クラスには、新学期が始まって以来、4回連続で欠席している男子生徒ニック・ポンサコーンがいます。
生徒たちの間では、ニックはとっくに亡くなっており、夜な夜な自分の席で勉強しているという噂が立っていました。
教師たちは、ニックが有名な問題のある家庭の子だと知っています。そのため誰も家庭訪問に行かず、ニックの欠席問題は放置されていました。
かつて生徒だったニックの父親は問題児で、酒と薬物に溺れ女性を妊娠させたために退学処分となった経験があります。誰も関わりたくない家庭なのです。
もしニックを登校させ試験を受けさせることができれば、オイルは正式採用されるかもしれません。オイルは思いきって、ニックの家に行くことを決めました。
ニックの行方
オイルがポンサコーン家を訪問すると、刺青の入った若い男が声をかけてきました。彼が噂の問題児だったニックの父親のようです。
教師が家庭訪問に来たと知り、ニックの祖母もやってきます。しかし、変な人という噂の通り、何かが浮いている飲み物を差し出してきました。
オイルはニックのことを尋ねます。すると、ニックは薬物に溺れて正気を失い、祖母をひどく殴りつけたあと、家のものを盗んで出て行ったと言われました。
薬物をやっているというクラスメイトたちの噂は本当だったのか……ひどい臭いがしてハエまでたかっているポンサコーン家で、オイルは確信めいたものを感じていました。
学校に戻ったオイルは、夜回り当番までの時間を女友達ファンとのチャットでやり過ごします。年配の教師は、そんなオイルの態度に不信感をあらわにしました。
夜、オイルが暇を持て余して動画を見ていると、母親が電話をかけてきました。母は、公務員になるためなのだから夜間の業務も我慢しろと説教をしてきます。
面倒くさくなったオイルが電話を切ると、どこからか木を叩くような音と、誰かが校内を歩く足音が聞こえてきました。
何かあったら用務員を呼ぶよう言われていたオイルは、その通りにします。しかし用務員はすでに飲み会を始めており、電話を切られてしまいました。
オイルは自分で見回りをすることに決めました。すると、昼間に聞いたニックの話が頭をめぐり始めます。ニックがこの教室にいるのかもしれない……。
中学1年の特進クラスに入ったオイルは、ニックの机を確かめました。そこには誰もおらず、誰かがいた形跡もありません。
隠者との出会い
何も起きていないことに安心したオイルは、ニックの机に背を向けます。そのとき、オイルの足が何者かにつかまれました。
悲鳴を上げて尻餅をついたオイルの前には、血まみれのニックがいました。ニックは「父と祖母に殺される」とオイルに訴えます。
そのとき、廊下から木製の楽器――ギロを鳴らす音が聞こえてきました。ニックは父と祖母がやってきたと、震えながらオイルにしがみつきます。
ニックの言葉通り、二人が教室へと入ってきました。祖母は「ニックを忉利天(とうりてん)に送り、お釈迦様に仕えさせる」と語ります。
ニックの父がナイフを手に迫ってきました。オイルは二人の要求に応えるふりをして、隙をついてニックを逃がします。
学校の出入口はチェーンでふさがれていて、外に出られません。困ったオイルは倉庫に隠れて警察に連絡しますが、お偉方の用事で動ける警官はいないと言われてしまいました。
恐怖で幻覚を見始めたニックに、オイルは落ち着くよう諭します。するとニックは荒い息を整えながら、何があったのかを話し始めました。
ニックの祖母はある日「自分は羅漢の再来だ」と語る隠者と出会います。聖者のふりをして人々に薬物を売る男を信じ、祖母は父を薬物中毒にしました。
次の標的はニックでした。何ヶ月にも渡り、ニックは薬物を摂取するよう強制され続けます。父と祖母からの暴力に耐えかねたニックは、隙を見て自宅を逃げ出したのです。
オイルは衝撃的な話を聞いて、どう答えたらいいか分からずにいました。しかし、救いを求める生徒を前に、二人と対峙することを選びます。
霊薬の効果
ニックの父と祖母が倉庫に入ってきます。ニックに静かにするよう指示して、オイルは二人の前へと出て行きました。
オイルは、ニックはもう逃がしたと嘘をつきました。そして、家族を犠牲にするなんておかしいとニックの祖母に説きます。
しかしニックの祖母は、ヴェッサンタラ王子は妻子を捧げたではないかと反論します。二人とも、神々はいるのだと主張して譲りません。
そしてオイルを押し倒すと、霊薬――薬物が入ったお茶をオイルの口に注ぎ込みました。黙って見ていられなくなったニックは、思わず叫びます。
連れて行かれたニックを助けるため、オイルはふらつきながら倉庫の外に出ます。すると、目の前に仮面をつけた隠者が現れました。
幻覚に違いないと言い聞かせるオイルですが、隠者は執拗にオイルを責め立てます。オイルが抱えている不安を言い当てる隠者に、オイルは怒りを込めて蹴りを食らわせました。
聞こえてくる音楽をたどり、オイルはある教室に入ります。そこでは、ニックの祖母が笑いながら踊っていました。
小さな祭壇の前には椅子が置かれており、背中に深々とナイフを刺されたニックが縛り付けられています。ニックはもう――動いていませんでした。
ニックを守れなかったことを悔やみ、オイルは涙を流します。そんなオイルに、ニックの父は優しく声をかけ、悟りを開けたかと尋ねました。
オイルは、ニックの父を誘うように体を寄せます。その気になったニックの父は、祖母を部屋から追い出し、オイルと行為に至ろうとしました。
オイルの決断
オイルは自分の体を壁にして、そっと机の上のナイフを手に取りました。そして、ニックの父の欲望に応えるように、しゃがんでいきます。
オイルがニックの父のジーパンにあるジッパーを下げると、ニックの父は恍惚となり視線を上へと泳がせました。
その瞬間、オイルはニックの父の下腹部にナイフを振り下ろしました。オイルの顔は返り血で真っ赤に染まり、ニックの父は床に倒れ込みます。
外にいたニックの祖母が、叫び声を聞いて部屋に戻ってきました。そんなニックの祖母に、オイルは切り取ったばかりの男性器を投げつけます。
ニックの祖母はあまりの出来事に動転し、死んだニックが生き返る幻覚を見始めます。そして、ニックに殺されるのを恐れて学校から逃げて行きました。
オイルは、ひとり残されたニックの父に刃を向けます。ニックの父が元凶なのだと語ったオイルは、命乞いには一切耳を貸しませんでした。
そして、逃げようとするニックの祖母のもとへも向かいます。鍵がなくて学校から出られないと焦るニックの祖母に、オイルは鍵の束を見せました。
息子と同じように、ニックの祖母も命乞いをします。しかしそれはオイルに対してではなく、お釈迦様に対してでした。
「お釈迦様は涅槃に入られた」――ニックの祖母を助ける存在などこの世にないのだと、オイルはニックの祖母に教えてあげたのでした。
戻ってきた者
翌朝、登校した生徒たちは建物の外に落ちている男性器を見つけます。すぐにニックの祖母の遺体も発見され、校内は大騒ぎになりました。
オイルはというと――今も祭壇が置かれた教室にいます。床には男性器が切り取られ、めった刺しにされたニックの父の遺体が……。
祭壇の前に置かれた椅子には、夜から変わらず椅子に縛り付けられたまま刺され息絶えたニックの遺体がありました。
オイルはそわそわとせわしなく歩いています。頭から浴びた返り血はすっかり乾いており、赤黒く変色していました。
笑いながら歩いていたオイルは、ふと立ち止まります。そして「ニックを学校に戻せた」と肩を揺らして笑うのでした。
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「教室の亡霊」まとめ
2024年のネタバレ納めがこんなスプラッター作品になるとは驚きです。男性器を切り取るといえば阿部定ですが、私としてはこちらの話のほうが好みです。
それにしても気になるのは、冒頭のシーンはなんだったのか……。祖母はニックに殴りつけられたと言っていましたが、ニックは否定していました。
ニックの祖母を殴りつけた男が着ていたタンクトップはニックのもののように見えましたが、もしかしたら10代の頃のニックの父の仕業かもしれません。
やる気がなかった新人教師オイルは教え子を守る意識に目覚め、周りに避けられていたニックは唯一信じられる大人に出会え、そこまでは幸せな話だったんですが……。
この先オイルがどんな人生を歩むのかは分かりません。しかし、いざとなったら気の強さを発揮するオイルのことですから、隠者のことも始末しに行くかもしれませんね。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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