Netflixドラマ『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」ネタバレ感想

Netflixドラマ『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」アイキャッチ
この記事は約17分で読めます。

Netflix独占配信の『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」は、安いボロアパートに引っ越したばかりの青年バードが隣の美女との出会いをきっかけに始まる物語です。

ミヅチ
ミヅチ

「妹」を見ておくと予習になるかもしれません。主人公が下半身でものを考えるタイプなので、女性ウケは悪いかもしれませんね。

スポンサーリンク

Netflixドラマ『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」情報

日本公開日2024年8月20日
制作国タイ
ジャンルホラー
注意書きR-16+
暴力、性描写、ヌード、言葉づかい、薬物、児童虐待
上映時間39分

『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」主なキャスト・スタッフ

キャスト

バード
ボロアパートの407号室に引っ越してきた若い男性
ナット・キチャリット
『DELETE/デリート』『ジョコ・アンワルのナイトメア&デイドリーム』
ジェーン
406号室の美女
チャラダ・イムラポーン

スタッフ

監督プリン・キーラティラタナラク

『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」あらすじ

若い青年バードは職を失い、金もなく、安いボロアパートに引っ越すことになりました。男友達キイはそんなバードを気にかけ、付き添います。

バードはアパートのエントランスで衝撃的なものを見ました。目の前に真っ赤なワンピースを着た女性が落ちてきたのです。

しかし、その死体はすぐに消えてしまいました。嫌な感じはしたものの、他に選択肢がないバードは安アパートに住むことを決めます。

そんな先行き不安なバードに希望の光が差し込みました。隣の部屋に入っていく美女を見かけたのです……。

ここから先はネタバレがあります!

スポンサーリンク

『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」ネタバレと感想・考察

ボロアパートへの引っ越し

自家用車の助手席に若い男性バードが乗っています。男友達キイが運転する車で新居にやってきたバードは、荷物を引きずりながらエントランスへと向かいました。

そのとき、エントランスのすぐ横に女性が落ちてきました。血で真っ赤に染まった顔がバードの足もとにあります。バードの顔も血しぶきで汚れてしまいました。

衝撃的な出来事に、バードは言葉を失います。しかしキイは平然と話しかけてきました。すると、目の前にあった死体も顔に飛んだ血しぶきも嘘のように消え去っています。

バードとキイは407号室に入りました。バードは先ほどのことを話さず、言葉少なに引っ越し作業を進めていきます。

部屋の外に置かれた荷物を取りにドアを開けると、隣の406号室に入っていく若い女性の姿が見えました。隣人が美女だと分かり、バードの口角が上がります。

振り返りながらドアを閉めるのは、女性の一人暮らしあるあるですよね。女性側から見れば警戒心による行動ですが、男性には感知できないようです。

しかし、まだ部屋に入っていないうちに霊障――それも飛び降り自殺を間近で体験するという最悪なものを味わうとは……。

いくら隣に美女が住んでいても、どれだけ安い物件だとしても、無理だなあ……と感じてしまいます。

バードもキイに借金をして返せない状況にあったり、親とうまくコミュニケーションを取れない環境でなければ、そう思えたのでしょうか?

にやついた顔で戻ってきたバードを見て、キイはいい女がいたのだとすぐに察しました。バードは隣の美女へのメッセージを書きながら、キイの言葉に応じます。

トレーダー職を続けたほうがいいとキイは言います。しかしバードは、家族経営をしているキイに、雇われであるバードの立場など分からないとはねのけました。

かたくなな態度のバードを見て、キイは説得することを諦め帰宅します。キイを見送る際に、バードは406号室のドアに挨拶文を書いた付箋を貼りつけました。

キイの乗ったエレベーターを見送り戻ってくると、もう付箋はありませんでした。バードは気分が良くなり、部屋に戻って薬物を吸い込みます。

バードは美女がシャワーを浴びる様子を妄想しながら、ベッドに横たわりました。妄想の中で、美女はシャワーを終えて浴室から出てきます。

二人がどんな経緯で出会ったのか、そして仲良くなったのかは分かりません。しかし、キイがとてもいい人だということは分かります。

仕事がうまくいかなくなった友人に金を貸し、まだ返してもらっていないのに、引っ越しのために車を出してあげているんですから……。

そんな親切を通り越して慈悲すら感じるキイに対して、バードの態度はなかなかのものです。あなた、お金を借りている立場ですよね?

薬物にのめりこんでいるバードですが、調べてみたところ、タイの違法薬物に対する最高刑は死刑だそうです。一刻も早くやめるべきでしょう。

美女といい仲になっている妄想くらい、薬物がなくてもできます!

スポンサーリンク

初めての夜

ふっと正気に戻ったバードは、妄想と同じように、浴室のドアが開いていることに気付きます。不安な気持ちになりながら玄関に向かったバードは、紙切れを見つけました。

それは、隣の美女からのメッセージのようです。何か聞こえても人を呼ぶな――夜12時以降に音が聞こえても応答するな――部屋からも出るな――部屋を暗くし物音を立てるな――。

バードは、隣の美女は商売女だと決めつけます。夜12時以降に部屋に客を連れ込むため、隣人に音を立てないでほしいと頼んでいるように思えたためです。

美女の言葉にいらだちを覚えながらも、バードはメッセージを捨てることはできませんでした。冷蔵庫に、マグネットでメモを貼りつけます。

そして夜になり、アパートのいたるところから物音が聞こえてきました。夫婦がケンカする声、女性が泣く声、そして性行為に励む声――。

ホラーあるあるが出ましたね! 禁止事項です。「妹」でもありましたね。しかし、何かをしてはならないと言われたら、破りたくなるのが人のサガ。

――などと思っていたのですが、バードは違うところに引っかかっていました。隣の美女は売春婦だったのだと、勝手にショックを受けています。

しかし、あれほどの美女がボロアパートに住んでいるというのは違和感のある状況ですよね。髪から靴まで見た目を整えるお金はあるのに? と思ってしまいます。

それが、そういうお仕事をしているのだと思うと、納得できてしまうんですよね。美しさを保つ費用は必要経費であって、部屋はなんだっていいのだろう、と……。

そうであったとしても、メモの内容は変です。バードの予想通りだったとしても「部屋から出るな」には違和感があります。

仕事中に邪魔をされたくないだけならば、静かにしていてくれと頼むだけでいいからです。出るな、とは何事かと思ってしまいますよね。

隣の美女が“仕事”をしているのだと思ったバードは、ベランダの柵から身を乗り出します。隣の部屋で行われていることを見ようとしたのです。

しかし、カーテンを閉じきらないまま行為に及んでいたため、美女本人と目が合ってしまいます。バードはあわてて室内に戻りました。

すると、激しくドアを叩く音が聞こえてきました。バードはおびえながら玄関へと向かいます。そのとき、美女からのメモが目に入りました。

「夜12時以降は」――ふと時計を見ると、0時5分を過ぎています。しかしバードは、激しいノック音と部屋の外を行き来する人影に誘われるように、玄関へと進みました。

息を潜めたまま、バードはドアスコープを覗き込みました。すると、音と振動がぱたりと止みます。ドアの前にも廊下にも、人の姿はありませんでした。

お隣さんが商売女だったとしても、隣の部屋の様子をベランダから覗き込むのはいかがなものかと思います。

しかしそこは美女が一枚上手でした。バードが興味津々で覗き込んでくるであろうことを予測して、わざとカーテンに隙間を作り、窓側に顔を向けていたのです。

まさか目が合うと思っていなかったバードは即座に部屋に戻り、トレーダーとしての仕事をしようとしますが、ここで霊障が起こります!

バードは、言われた通りに部屋の電気を消しデスクライトのみで過ごしていました。しかし、ベランダから戻ってくる音がうるさかったみたいですね。

数秒、霊障の原因となっているモノの姿が見えました。どうやら女性のようです。しかしまだ、霊なのか、他の何かなのかは分かりません。

正体はまだ分かりませんが、かなり沸点の低い霊・化物ですね。0時以降はケンカする声も泣き声も聞こえなくなるくらい、アパートの住民に恐れられているようです。

スポンサーリンク

406号室

ドアスコープをふさぐ手が現れて、バードは一度身を引きます。すると再び激しいノック音と振動が始まったため、バードは再びドアへと向かいました。

しかし、またしても相手の姿が見えません。バードがドアから遠ざかったとき、キイから電話がかかってきました。バードの忘れ物についてです。

バードは声をひそめながら応答し、隣の美女がドアをたたいてくるのだと伝えました。性行為を覗いたバードをからかうキイにいらだち、バードは電話を切ります。

そうして眠りについたバードでしたが、悪夢を見ました。エントランスに落ちてきた女性の目が開き、バードを見つめてくるのです。

朝、部屋を出たバードは驚きます。406号室のドアには、チェーンが巻かれ南京錠がつけられていたのです。美女に何かあったのではと、バードは室内へ呼びかけました。

バードはすさんだ生活をしてはいますが、根っから悪い人ではないんですよね。美女の相手はサディストじゃないかと推測するキイの話から、美女を心配し始めています。

しかし、アパートのドアにチェーンと南京錠がつけられていたら、それは「この部屋には人が住んでいません」という印だと思うんですが……。

本当に監禁しているとしたら、他人の目が届く場所に分かりやすく南京錠なんてかけないと思います。

部屋に灯りがともり、急にドアが開きました。隙間から美女の姿が見えましたが、バードに言葉をかけることはなく、そのまま閉まります。

大変な事態だと思ったバードはエントランスに向かい、隣の部屋に人が監禁されていると伝えました。しかし警備員は「406号室には誰も住んでいない」の一点張りです。

確認すらしない警備員に怒りを覚えつつ、バードは買い物に出かけました。美女を救うため、バールで部屋に押し入ろうと考えたのです。

ベランダを伝って406号室に押し入ったバードは、人の気配がする浴室へと向かいました。しかし、そこにいたのは――ぐったりと便器に座り込むバード自身でした。

深呼吸すると、そこはバードの部屋でした。406号室に押し入ったのは、バードの妄想だったようです。

美女は部屋、もしくは部屋の前までしか出られないのかもしれません。美女が霊だと決めつけていますが、そろそろ確定していい頃かと思います。

おそらく、エントランスに飛び降り自殺したのも隣の美女なのでしょう。顔が真っ赤になっていたため分かりにくくなっていますが……。

警備員は「406号室の人は数年前に引っ越した」と言っていました。これはおかしな話だと思います。安アパートなら、なおさら変です。

部屋を常に埋めていることで賃貸は利益を得られるのだ、と聞いたことがあります。それを、数年間も空けたままにしておくのは異常なことでしょう。

何か“空けておかなければならない理由がある”と考えるのが妥当ですよね。どうにもならないくらい部屋の中が汚れてしまった、だとか……。

そして、バードが薬物中毒者であることにより、どこまでが現実でどこまでが妄想なのかを判断するのが難しいです!

スポンサーリンク

夜12時を過ぎて

電話をかけてきたキイに、バードは美女からのメモを撮って送りました。キイは妙なメモだと言い、406号室の所有者を探してくれることになります。

美女の様子を伝えたバードは、少しだけ不安が解消されました。そして、夜12時になる前に部屋を出ようと考えます。

しかし、トレードに打ち込むうちに夜11時55分になっていました。母からの着信を切り、バードはすぐに部屋を出てエレベーターへと向かいます。

そのとき、着信音がバードの部屋の中から聞こえてきました。スマートフォンを机の上に置き忘れてしまったのです。

もう時刻は夜12時まで1分を切っていました。バードはためいきをつき、部屋に戻ります。406号室からチェーンと南京錠がはずれていることなど、まったく気付かずに……。

キイとの会話そのものが妄想でないのだとしたら、美女からのメモは現実に存在していることになります。

しかし、キイとの電話をした際、浴室に置いてある薬物とそれを吸うためのストローのようなものが映りました。これは、妄想かもしれませんね。

「妹」では男友達そのものが妄想でしたが、今回はどうでしょうか。さすがに車を出してくれて、運転もしてくれたキイが妄想の産物とは思えませんが……。

もはやバードが感知している世界のどこまでが現実なのかを探るゲームになってきました。

部屋に戻ったバードは、電話をかけてきたキイに怒ります。しかし、電話口のキイのほうがよほど怒りに燃えていました。

バードの母から、バードがクビになった理由が薬物依存だと聞かされたのです。貸した金を薬物に使われたと思ったキイは、幻覚に溺れるバードにきつく当たります。

そしてキイは、明日406号室の所有者を連れて行くため、真実が何か分かると言います。バードは、現実と幻覚の区別くらいできると悪態をつくばかりでした。

怒りのままに薬物を吸い込んだバードは、美女からのメモを丸めて床に捨て、何度も踏みつけます。そしてメモの内容を無視して、部屋を出ました。

すると、美女が406号室から出てきます。出かけようとするバードに、共に過ごさないかと誘ってきました。美女は風呂を上がったばかりで、バスタオル1枚しか身に着けていません。

薬物中毒者に対してなんて優しい人なんだろう……と思っていたら、キイはそのことを知らなかったんですね。

あまりにも電話に出ない息子を心配し、バードの母は息子の友人であるキイに連絡を取ったのでしょう。

そこでキイはバードの薬物中毒を知ったのです。――そうなると、キイは実在する人と考えてよさそうですね。

妄想であれば、バードにとって都合の悪いことは起こらないはずです。少なくとも「妹」で描かれた前例はそうでした。

そして、キイに美女からのメモを見せたことも現実だったようです。ええっ、そんなところにミスリードを……?

それはさておき、美女が動きました。夜12時を過ぎて部屋を出た人に何が起きるのか、楽しみですね!

スポンサーリンク

407号室

翌朝、目を覚ましたバードは玄関に差し込まれた文書に気付きます。それは、管理人から全住民に対して建物の不具合を知らせるものでした。

異臭や熱の発生源は調べずに自室で過ごすこと――騒音には防音保護具を使うこと――配管が故障しているため水に触れないこと――自室に人がいても目を合わさず話さないこと――。

そしてやはり、自室を出るなと締めくくってありました。いつの間にか、部屋の時計が止まっています。しかし、バードはそのことに気付いていません。

部屋のドアは開かず、スマートフォンも通じません。ベランダに出て外の人に呼びかけても無視され、灰皿を落としても――なぜか元の場所に戻っています。

飛び降りた女性と同じ真っ赤なワンピースを着た女性がベランダの柵に腰かけています。バードはそのことには気付かず、部屋へと戻りました。

怪異がてんこ盛りです。おそらく、バードはまだ目覚めていないのだと思います。まだ……まだ、と言える状態だといいのですが……。

「自室に人がいても目を合わさず話さないこと」なんて言われたら、怖くて二度と戻りたくなくなりますね。

なんだよこれ! と怒りたくなる気持ちもわかります。――とは言っても、ホラーの主人公にあるまじき鈍感さが、同情する気持ちを削ってきますね。

あと下半身に素直すぎます。行動力はもっと別のところで発揮しないと、いつかキイからも縁を切られてしまうでしょう。

キイは406号室の所有者と会っていました。その頃、バードは部屋に入った瞬間、夜になったことに脅えていました。

浴室の灯りが点滅しています。便器からは水があふれてきました。背後に誰かがいる気配はしますが、振り返ると誰もいません。

キイは、深夜のルールについて所有者に尋ねました。すると、問題があるのは406号室ではなく407号室なのだと返されます。

406号室の所有者は、看護師の妻と二人で生活していました。そして、その向かいにある407号室に住んでいた美女こそが――バードが見た“隣の美女”だったのです。

いつしか美女と不倫するようになった所有者は、妻が帰ってくる夜12時を目安に美女を407号室に帰していたのです。しかし、不倫はすぐに妻の知るところとなりました。

そうなると、バードが目撃した美女のお相手は406号室の所有者だったんですね。美女がかつての記憶をバードに見せていたのでしょう。

美女は商売女ではありませんでした。しかし、既婚者を前に胸元がゆるい服を着て誘っているあたり、かなりたちの悪い女性だったと言えますね。

それでも妻の勝利が信じられるのは、彼女が看護師だからです。よく聞きますよね。看護師は非常に気の強い人が多いと……。

かなりストレスの多い職業ですし、気が強くないとやっていけないというのが真実かもしれません。

スポンサーリンク

ジェーンの不幸

不倫を知られた406号室の所有者は、美女に「何か聞こえても助けを呼ばないように」とメモを渡しました。妻が美女に当たり散らすと分かっていたためです。

所有者の妻は何度も美女――ジェーンの住む406号室のドアを激しく叩き、出てくるように繰り返し怒鳴りました。その間、ジェーンは声をひそめて泣くことしかできません。

所有者はジェーンに離婚すると約束しましたが、その約束は守られませんでした。翌朝、妻に付き従い406号室から引っ越していったのです。

ジェーンは裏切りで心を病み、ベランダから飛び降りました。それを聞いたキイは、バードに危険が迫っていると感じ駆け出します。

怪異の続く部屋にいるバードは、燃え盛る火から逃れるために必死でドアを叩きます。バールでこじ開けようともしますが、バールが熱を持ち火傷してしまいました。

ホラー好きとしての察しのよさにより、気付いてしまいました……。それはそうと、ジェーンは不倫は不倫として割り切って楽しむタイプではなかったんですね。

ただ露出度が高いだけの清純な美女――男の妄想でしょうか。もうちょっと見た目が違っていれば物語に入り込めた気がします。

そして不倫する人が言う「離婚する」はただの鳴き声で意味など持たないというのは、タイでも同じなんですね。

406号室で自分と同じ恐怖を味わったバードを、自分と同じく地獄に引きずり込もうという考えでしょうか……。独りぼっちは、さみしいもんな。

ドアの外からキイの声が聞こえてきたため、バードは必死に叫びます。しかし、部屋の外から激しいノック音が聞こえてきて、バードは飛びのきました。

バードのいる“箱”に、キイが手を添えて謝ります。そして、読経が始まりました。バードの母は儀式の順番通り、“箱”に水をかけます。

バードは警告文を思い出し、防音保護具――ヘッドフォンで耳をふさぎました。また、天井からしたたり落ちる水に触れないよう、部屋の隅でひざを抱えます。

突然ドアが開き、バードの母が入ってきました。話さず、目も合わすな――その言葉通り、バードは母と話しませんでした。

しかし、部屋を出るなという一文は守れませんでした。母を追いかけ、ドアを開けて廊下に出て行ってしまったのです。

やはり、バードはもう死んでいたんですね……。現実と幻覚が入り混じって不明瞭ではありましたが、あの文書はどちらでもなさそうだと思っていました。

また“時計が止まる”という描写が、もうバードは時と共に進むことはないと示しているのではないかと……。

生きている人から無視されるというのも、幽霊あるあるですよね。ものを動かすことができないというのも、死んだばかりで力を持たない霊魂ならありがちです。

また、美女ジェーンが死者だと分かっていたため、ジェーンと共にいるというのはつまり――と察してしまったわけです。

スポンサーリンク

あの夜の真実

最後にバードが住んでいた部屋を見ようと、親族が訪ねてきていました。バードの母は、突然407号室のドアが開き、驚いて振り返ります。

まだ息子が部屋にいるのでは……そんな表情をするバードの母に、親戚が優しく声をかけます。「バードは天国にいる」と……。

ドアを開いたバードでしたが、母の姿を見ることは叶いませんでした。その代わりに、昨夜に起きた出来事を見ることとなります。

バードは美女ジェーンに「私と一緒にいる?」と誘われて407号室に入りました。そして、そのままベランダに出て柵を乗り越え、飛び降りていたのです。

自分の身に何が起こったかを知り、バードは立ち尽くします。その後ろで407号室のドアが閉まり、新たな入居者を募集し始めるのでした……。

警告文の「部屋を出るな」という一文が何を示していたのかは分かりません。もし部屋を出ていなかったら、バードは無事に天国に行けたのでしょうか?

ところで、仏教は自殺を完全に悪だとは定めていません。そこで、自殺したというだけでは悪霊にはさせられない……という考え方もできますね。

仏教では、不倫や浮気は明確に地獄行きの条件となっています。そして“破戒”――約束を破ることは、不幸になる行動とされています。

生きている間に破戒を繰り返していたバードですが、それは自殺をさせるためのきっかけでしかなかったのかもしれません。

ただの霊を地縛霊にするための最後の一押しとして、霊魂である状態での破戒が必要だった――そう考えると、念押しの警告文にも意味が出てきます。

もはや何もかも手遅れです。ただ、どこからやり直せばよかったのかを考えると、引っ越しではなく薬物依存を治療する施設に入るべきだったと思いますね。

スポンサーリンク

『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」まとめ

「隣の美女」は「妹」と似通った部分がありましたね。現実と妄想との区別がつきにくいことと、サブタイトルがミスリードになっていることです。

主人公はバードでしたが、おそらく視聴者は皆キイと同じ目線で物語を見ていたのではないでしょうか。

バードの見ている現実はどこまでか、どこからが妄想なのか、そしてどれが霊現象なのか――。いや、そもそも美女ジェーンは本当に存在しているのか?

そうして信頼できない語り手のひとつである“狂人”であるバードは、視聴者にすら信じてもらえず孤立し、美女ジェーンへと心を寄せていくことになります。

ジェーンを心配する心根の優しい青年であったバードですが、皆そうした長所を拾い上げず短所ばかりを見て、本気で助けようとはしませんでした。

仏教が思考のベースにしっかり入り込んでいることもあってか、気付かされることの多いドラマシリーズですよね……。

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

ミヅチをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました