Netflix独占配信の『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「観覧」は、謎の大富豪に招待状をもらった4人の人々が過ごしたある一夜の物語です。

こちらの作品にはストロボ効果が使われているシーンがあるため、光過敏性の方はお気を付けください!
Netflixドラマ『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「観覧」情報
日本公開日 | 2022年10月25日 |
制作国 | アメリカ |
ジャンル | ホラー |
注意書き | R-16+ 暴力、ヌード、言葉づかい、薬物 |
上映時間 | 57分 |
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「観覧」主なキャスト・スタッフ
キャスト
ライオネル・ラシター ガイたち4人を自宅に招いた大富豪 | ピーター・ウェラー |
ガイ・ランドン 無名な小説家 | スティーヴ・エイジー 『リバース』『永遠に12才!』 |
ランドール・ロス かつての大ヒット音楽家 | エリック・アンドレ 『魔法が解けて』『エリック・アンドレの何デモかんでも合法化』 |
スタッフ
監督 | パノス・コスマトス |
脚本 | パノス・コスマトス アーロン・スチュワート・アン |
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「観覧」あらすじ
サンドパイパー・ハウスにて“何か”の観覧が行われるため、4人の人物に招待状が送られました。皆、指定の時間に指定の場所に現れます。
招かれたのは、天体物理学者の中年女性、超常現象を研究する若い男、かつての大ヒット音楽家である中年男性、無名の小説家である高齢男性の4名です。
深夜のトークショー番組に出たことがあるという共通点がある4人ですが、相性はあまりよくないようです。気が合わないまま、4人は案内人ヘクターと共に目的地に向かいました。
街はずれにある巨大な邸宅に招かれた4人は、どこか浮かれた気分で歩みを進めます。彼らが案内された先には、大きな円形の部屋があり――。
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「観覧」ネタバレと感想・考察
観覧への招待状
ライオネル・ラシターなる人物から、1979年9月22日 土曜日にサンドパイパー・ハウスにて行われることを“観覧”する招待状が届きました。
ある地下駐車場にて――眼鏡をかけたふくよかな女性シャーロット・ジーが、車を降りて3人の男性に近付いていきます。皆、“観覧”しにやってきたのです。
4人の共通点として、深夜のトークショーに出演した経験がありました。金髪の若い男性ターグ・ラインハード、サングラスをかけたアフロの男性ランドール・ロス――。
そこに車に乗ったまま現れたのが、口ひげを生やした中年男性ヘクターです。ヘクターに誘われるがまま車に乗ると、高齢男性ガイ・ランドンがタバコを吸い始めました。
水を差す発言ばかりのガイは無視して、ターグがシャーロットに職業を尋ねます。シャーロットは天体物理学者ですが、占星術にはうといと語りました。
ヘクターはホストからの命だと言い、4人に会話を止めオーディオを聴くよう促してきました。初対面の気まずさが解消されないまま、車は夜道を進んでいきます。
ホストである高齢男性ライオネルは、世話人である若い女性Dr.ザーラから気分を変える注射を打たれていました。数秒後、ライオネルの瞳孔が拡散していきます……。
4人が乗った車はサンドパイパー・ハウスに到着しました。大きな屋敷の自動扉が開きます。屋内を進む細い通路は、新品種の百合スターゲイザーの香りに満ちていました。
4年前にカリフォルニア女性が開発したスターゲイザーは、他の品種と違い上向きに咲きます。枯れたと思わせないために改良されたこの百合は、ラシター邸の景観にぴったりなのです。
不思議な音楽も相まって、4人はトリップしたような気分になります。ヘクターに促されて通路を進んだ先には、円形の部屋がありました。
讃歌
広い部屋の中央には飲み物が4種置かれた丸テーブルと、それを囲むソファがありました。好きな飲み物の前に座るように言われ、皆ソファへと向かいます。
ソファには、先にロングヘアの女性――Dr.ザーラが体を預けていました。ターグはビールを、ガイはオレンジのカクテルを、シャーロットはジンジャーエールを飲みます。
意外にもランドールはホットティーを選びました。ひと口飲んだランドールは、ラプサンスーチョンの紅茶だと驚きます。
その紅茶は温度も蜂蜜の量も絶妙でした。カップの隣には禁煙中のランドールが好きなチベット産メンソールもありました。入手困難な一品です。
スクリュードライバーが飲みたかったガイ以外は、各人にぴったりの好物が用意されていたのです。そのことを、ランドールは奇妙に感じるのでした。
ガイは自らが小説家であると明かします。その横で、古代文明が好きなターグは、屋敷がブルータリズム建築でありながらアステカ文明の影響が見えることに興奮していました。
彼らが雑談をしていると、屋敷の主ライオネルがやってきました。50年物の日本のウイスキーを持ってきたライオネルは、空爆や地震を生き延びたその酒を皆に振る舞います。
ライオネルは、ガイを当代随一の作家だと褒め、奇想天外な発想を期待しました。そしてターグには、ESP――超感覚的知覚の実験で出した結果を讃えました。
異星人を増やす数式やパンスペルミア説――生命の起源が地球外から来た説――を唱えたシャーロットについても、独創的な頭脳を評価しました。
多くのヒット曲を生んだスター中のスターであるランドールについては、特に強い興味を抱いているようです。ランドールが過去の人となってしまった今でも……。
白と青
ランドールがウイスキーを飲んだことで機嫌がよくなったのか、ライオネルは陽気な音楽を流し始めました。この部屋のために特別に作らせた曲です。
ベニス出身のマッシモ・コンティーニが専属だと伝えたあと、ライオネルはランドールに謝罪します。そして、エクアドルに建てる新たな屋敷に流す曲を頼みました。
超越的な感覚を重視するライオネルは、型にはめようとするターグを突っぱねます。また、備蓄ウランに投資していたために第二次世界大戦で大儲けしたと語りました。
Dr.ザーラは「フローズンヨーグルト」と書かれたマグカップからタバコのようなものを取り出します。ターグによると、吸い過ぎると妄想症になるという代物です。
皆にそれを吸わせたライオネルは会話を続けます。ランドールが心の闇が広がり続けることに悩んでいると語ると、ライオネルは気分を損ねてしまいました。
複雑な真実を教えてほしいと乞うたシャーロットに、ライオネルはDr.ザーラの優秀さを教えました。Dr.ザーラは血液学専攻でカダフィ大佐の主治医も務めたそうです。
おしゃれにうといシャーロットは、妖艶なDr.ザーラに「似ている」と言われ、えもいわれぬ気持ちになりました。
Dr.ザーラはその優秀さにより、カダフィ大佐からもライオネルからも篤い信頼を得たのです。そんなDr.ザーラは、年に一度しか手に入らない最高純度のコカインを取り出しました。
コカインに独自に開発した青い粉を混ぜると、Dr.ザーラは自らその粉を吸います。ライオネルもそれに続きました。ターグやシャーロットは、得体の知れないものを警戒していました。
しかし、回転する丸テーブルに乗ったコカインが回ってくると、皆それを鼻から吸い込みます。ライオネルの説得が妙に響いてくるためでした。
像と煙
最高の音楽について問われたランドールは、1969年を振り返ります。ギリシャで出会ったサイケデリックな曲を作る人々が聞かせてくれた、今では思い出せないその曲を――。
シャーロットも、Dr.ザーラのようになりたいという一心で初めて薬物に手を出しました。そうして招かれた4人とライオネル、Dr.ザーラは皆“いい気分”になります。
ライオネルは、これからあるものを見せると語りました。最も費用も手間もかけた逸品だという“それ”を見るため、皆は別の部屋へと導かれます。
廊下の先にあったのは、またしても丸い部屋でした。その中央には、天井からのライトに照らされた大きな像があります。
ターグは古代のトーテム像だと、シャーロットは隕石だと語ります。しかしX線も通さず、なんの検査でも結果が出ないこの像は、謎のままなのです。
ランドールは、ライオネルに何度も注意されてもタバコや薬物に火をつけて吸っていました。すると、像が息を吸うように煙を吸い取ったのです。
そのとき、像からうなり声のようなものが聞こえてきました。ライオネルは像の新たな一面を知ることができるのではと、近付いて両手でなでさすります。
ターグは、像に見られていると感じていました。するとその瞬間、像から甲高い金属音が響いてきます。ランドールは、像を壊したのだと脅えました。
けれども、壊れたのではありませんでした。崩れた像の中から出てきたのは、2本の触手を伸ばすぬめぬめとした謎の生き物だったのです。
5人ともトランス状態になりました。皆が白目をむき、鼻血を垂れ流します。そのうちに、ターグの目玉や皮膚までもが溶け出してきました。
生き残った二人
ガイの頭が爆発し、その破片が皆の体に飛び散ります。シャーロットとランドールは、鍵のかかった扉を叩いて、助けを求めました。
そんな中、Dr.ザーラは謎の生き物に近付き、触手の間をなでました。いつの間にかDr.ザーラの指は生き物と一体化し、体までもが溶けていきます。
隣の部屋の音響がおかしくなったことに気付き、案内役のヘクターが扉を開けました。シャーロットとランドールが部屋から逃げ出します。
ヘクターは屋敷の鍵を開けて二人を逃がし、壁に飾ってあった金色のライフルを手に取りました。その間に、謎の生き物はライオネルと一体化していきます。
生き物に取り込まれたライオネルは、ヘクターに助けを求めました。しかし、ヘクターの放った銃弾は生き物を通り過ぎ、壁へとぶつかります。
ヘクターに怒ったのか、生き物は雷のような激しい電流を放ってヘクターを炭にしました。その間に、シャーロットとランドールは屋敷の外にあった自家用車で一本道を飛ばします。
逃げ切ったと思った二人は、車を停めてひと息つきます。あれは現実だったのか、それとも……。二人は顔を見合わせ、安心したように笑い合います。
しかしその頃、屋敷を壊し抜け出した謎の生き物は行方をくらまし――街の排水溝から、そのうなり声を響かせているのでした。
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「観覧」まとめ
タイトルの「観覧」の意味は考える必要もないですね。あの像の正体がなんなのかを探るのが大富豪ライオネル・ラシターの目的だったのです。
業界の異端児である天体物理学者シャーロット、たくさんのヒット曲を生み出した音楽家ランドールは生き残りました。しかし、この先については分かりません。
超常現象を研究しているターグ、血液学専門である医師Dr.ザーラは溶かされ、謎の生き物の一部となったようです。
自分を大切に扱い、目覚めさせるきっかけを作ってくれたライオネルについては、一番のお気に入りだったのかもしれません。溶かすことなく、自分の中に取り込んでいました。
この話は一体なんだったのかと問われると、答えるのは難しいです。とりあえず、禁煙と言われた場所では喫煙はやめましょう!
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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