Netflix独占配信の『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「墓場のネズミ」は、墓荒らしをして借金を返している中年男性マッソンが大繁殖しているネズミと戦う物語です。

しっかりネズミが出てきます。ペットになるような可愛いネズミではなく、脂ぎっている丸まると太ったドブネズミです。お気を付けください。
Netflixドラマ『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「墓場のネズミ」情報
日本公開日 | 2022年10月25日 |
制作国 | アメリカ |
ジャンル | ホラー |
注意書き | R-16+ 暴力、ヌード、言葉づかい、薬物 |
上映時間 | 38分 |
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「墓場のネズミ」主なキャスト・スタッフ
キャスト
マッソン 墓守をしている中年男性 | デヴィッド・ヒューレット |
ドゥーリー マッソンと取引している死体安置所の職員 | ジュリアン・リッチングス 『世にもおぞましい物語』『アンブレラ・アカデミー』 |
スタッフ
監督 | ヴィンチェンゾ・ナタリ |
脚本 | ヴィンチェンゾ・ナタリ ヘンリー・カットナー |
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「墓場のネズミ」あらすじ
ある夜、とある墓場に二人組の墓荒らしが現れました。しかし二人があらかたお宝を取り終えた頃、銃を持った墓守マッソンが現れます。
マッソンは二人に聖書から引用した言葉で注意をし、通報せずに逃がしてやりました。それもそのはず、マッソンは実は二人と同じ墓荒らしだったのです。
墓守と名乗ったことで二人から奪ったお宝を持ち、自分で掘らずに済んだ墓へとマッソンは降りていきました。そして、遺体から歯を抜きます。
しかし、最近大量発生しているネズミのせいで、歯を回収し損ねてしまいました。おまけに、ネズミにかじられて手を怪我してしまいます。
このネズミのせいで、マッソンの墓荒らしはまるでうまくいかなくなっているのです。そんなマッソンに、借金取りからある要求が突き付けられ……。
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「墓場のネズミ」ネタバレと感想・考察
墓荒らし
深夜、二人の男が墓荒らしをしています。19歳で亡くなったキャサリン・L・パジェットの亡骸は、大きな宝石がついたジュエリーで飾られています。
笑いながら棺から出てきた男たちを待っていたのは、墓守マッソンでした。マッソンは墓荒らしに銃口を向け、墓を荒らさないよう説きます。
ジュエリーを渡し脅えたままの男たちの目の前で、マッソンは夜空へ向けて一発撃ちました。男たちはすぐさま逃げ出していきます。
二人が去っていったことを確認すると、“墓守”マッソンはキャサリンの棺へと飛び降りました。そう……彼もまた墓荒らしだったのです。
マッソンはペンチを手に取り、キャサリンの歯を抜きます。しかし、その歯はマッソンの指からこぼれ落ち、転がっていきました。
遺体と棺の隙間に手を差し入れて、マッソンは落とした歯を取ろうとします。しかし、その手を大きなネズミにかじられてしまうのでした。
マッソンは借金の返済のため、墓で手に入れたものを金貸しのところへ持っていきます。しかし大した金額にはならず、返済金が足りないのは三度目だと注意されました。
ギャンブルで作った借金はいつも返してきたと、マッソンは語ります。そして、返済が滞っているのは墓で大繁殖するネズミのせいだと言い出しました。
交易船に乗ってやってくるネズミは異教の国からやってくる――カルト集団を作る異教徒のように守りの堅い巣を作るのだと、マッソンは必死で言葉を繰り出します。
金貸しは、一週間だけ猶予を与えると言いました。しかし、それまでに金を工面できなければ、今度はマッソンが墓に入ることになるのです。
金歯はどこに
マッソンは、ドゥーリーの家を訪ねました。「帰れ」と言ってもマッソンが騒ぎ続けるため、ドゥーリーは仕方なく家に引きずり込みます。
遺体の保管をしているドゥーリーは、墓荒らしであるマッソンの頼みの綱なのです。マッソンはいつも要求される薬物を渡し、遺体を見て回ります。
金歯を持っている人がいないかと、マッソンは一体ずつ遺体の口を開いていきます。結果は散々でしたが、マッソンはあることに気付きました。
ドゥーリーはカーテンの向こうを隠そうとしているのです。マッソンはドゥーリーの隙をつき、カーテンを開きました。
そこに横たわる遺体には、金歯が何本もあります。裕福な貿易商人のため、検視官や遺族が来るということを理由に、ドゥーリーはマッソンを止めました。
マッソンとドゥーリーがもみ合っているところに、検視官が遺族を連れてきました。足音を聞いた二人は、即座に物影に隠れます。
遺体の夫人は、外見を美しく保つよう検視官に頼みます。そして、墓に埋葬する際にはすべての勲章を胸に飾り、その手にはジョージ国王から授かったサーベルを……と語りました。
その話を聞いていたマッソンは、目を見開きニイっと笑いました。それだけの装飾品があれば、借金を返すだけでなく、一生金に困らずに過ごせるかもしれません。
ネズミに横取りされる前に、なんとしても棺に納められたものを手に入れなければなりません。そんなことを考えているとき、マッソンは自室の天井に奇妙なものを見つけます。
それはネズミのしっぽでした。天井の隙間はネズミが引きずり出されたことで広がり、音を立てて天井が崩れ――天井裏に棲むネズミが大量に降ってきました。
納棺業者マッソン
目を覚ましたマッソンは、大量のネズミに襲われたことが夢であったと分かり一息つきます。そしてまともな格好に着替えると、墓守としての仕事を始めました。
サウス・セイラム納棺業者の住む安アパートを出て、教会へと向かいました。夫人の言葉通り、遺体の首には勲章がかけられ、手にはサーベルが握られています。
マッソンはこみあげてくる笑みを抑えつつ、悲しみに沈む夫人に美しい言葉を綴り聞かせます。葬式は滞りなく進み、やがて夜になりました。
日が落ちてすぐに墓を掘ったマッソンでしたが、その棺の中からはすでにネズミの声が聞こえてきます。マッソンは急いで棺を開けました。
しかし、そこはすっからかんでした。なんと、ネズミたちは棺の側面に穴を開け、装飾品ごと遺体を巣穴に引きずり込んでいたのです。
連れて行かれた遺体は、サーベルを持っていました。あのサーベルを持ち帰ることができなければ、次に棺に入るのはマッソン自身です。
生きたまま棺に入れられ、釘でふたを打ち付けられる――そんな妄想が頭をよぎります。マッソンは覚悟を決め、ネズミの穴に入ることを決めました。
ネズミたちの声に脅えつつ、マッソンははいつくばって進んでいきます。成人男性の重みに耐えきれず大穴が開いてしまったり、頭上から石が大量に降ってきたり……。
困難が目の前に現れるたびに、マッソンは自分で自分を励まします。ネズミへの恨み節を繰り返していると、突然背後から大量のネズミが近付いてきました。
マッソンはネズミを遠ざけようとして、右手に持っていた銃を撃ちます。しかし、その弾が当たったのはマッソン自身の足先でした。
ネズミの穴
マッソンは狙いを定め、自分を見ていた一匹のネズミを撃ち殺します。やっと一匹、殺すことができたのです。マッソンは高笑いしました。
しかし、その直後に何か“大きな生き物”の気配を感じました。マッソンが背後にある穴へと光を当てると、穴の向こうには肉食獣のようなうなり声を上げる生き物がいました。
その“何か”と目が合わないよう、マッソンはすぐにライトを引っ込めます。そして、もう一度確認しようとして振り返りますが――そこには何もいませんでした。
“何か”はマッソンのすぐそばに迫ってきていたのです。太い牙の生えた大きな口を開けた、その“何か”は――まるで大きなネズミでした。
自分の顔よりも大きな口に間近まで迫られ、マッソンは息を殺します。そして、手放してしまった銃へと、そっと手を伸ばすのでした。
マッソンは大ネズミののどの奥に向かって銃を撃ちます。すると、大ネズミが暴れた拍子に右手を弾かれ、銃を落としてしまいました。
この怪物には勝てないと直感したマッソンは、すぐに穴を戻っていきます。しかし、あと少しで墓に出られるというとき、足をつかまれ引きずり降ろされてしまいました。
その先にあったのは、人間の骨が無数に転がっている場所でした。脅えるマッソンでしたが、骨の間に指輪を見つけた瞬間、目の輝きを取り戻します。
人骨の間には、いくつもの宝飾品がありました。それらをかき集めているうちに、マッソンは当初の目的だったサーベルを発見します。
すっかり元気になったマッソンは、お宝を抱えて立ち上がります。ライトで照らしてみると、そこは祭祀を行うための間――暗黒の教会のようでした。
私のペンダント
ふとマッソンが向いた方向には、色とりどりの宝石が輝くペンダントをつけた人骨がありました。その人骨は、悪魔の像に向かって手を合わせています。
マッソンがペンダントを外した瞬間、人骨が動き、マッソンの両腕を握りました。恐怖で震えるマッソンに、人骨は「私の物だ」と抱きつき耳をかじります。
マッソンは人骨を投げ飛ばすと、人ひとりがようやく通れる細い縦穴を必死で上り始めます。神への信仰を誓いつつ、マッソンはようやく横穴にたどり着きました。
しかし、下からは人骨が追ってきています。天井を落とそうとするマッソンは、横穴の先から大ネズミのうなり声が聞こえてくることに気付きました。
もう、他にどうすることもできません。マッソンは持ってきたサーベルを手に取り、どちらに相対するべきかを考えました。
マッソンは襲いかかってきた大ネズミを受け止め、天井から生えているツルをつかみました。大きな岩が落ちてきて、大ネズミは息絶えます。
幸運なことに、人骨が上ってきていた穴も落下した岩によって塞がれていました。顔を返り血で真っ赤にしながら、マッソンは光が見えるほうへと進んでいきます。
今度こそ生まれ変わり、神への信仰を胸に生きていくのだと誓いながら、マッソンはひたすら前へとはいずっていきました。
しかし、行き止まりにあったのは「安らかに眠れ」と刻まれた銀のプレートでした。それは、マッソンがよく見てきたものです。
棺の内側に刻まれた、遺族の祈りの言葉――。マッソンが着いた先は、深い土の中に葬られた棺だったのです。足元の穴からは、ネズミたちが迫っていました。
ある夜――墓守マッソンに追い返された二人組の墓荒らしが棺を開けると、そこには冷たくなったマッソンが横たわっていました。
その口の中から、よく太ったネズミがぬらりと出てきます。墓荒らしたちは悲鳴を上げ、即座に逃げ出しました。
人骨が「私の物」と言っていたペンダントは、亡きマッソンの胸の上で輝いています。しかし、大量のネズミがはい回るマッソンの胸元からそれを奪える者などいないのでした。
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「墓場のネズミ」まとめ
「神はお題目さえ唱えていれば、信仰すると誓いさえすれば、どんな困難からも救ってくれる」という都合のいい考えは捨てましょうという教えが込められていましたね。
主人公マッソンは墓守として働いているため、教会には頻繁に出入りしています。それこそ、近くの教会で葬式が行われるたびに足を運んでいるはずです。
それでも、神がマッソンを救うことはありませんでした。信仰している善き人たちを足蹴にして、自らの利益のために盗みを働き死者を冒とくしていたからでしょう。
仏教ではお題目を唱えることに意味があります。人生で心がけるべき考えがたくさん詰まっているからです。しかし、キリスト教では違うんですね。
自分が仏になろうとする仏教と、父である神に見守られながら生きていくキリスト教の大きな違いを感じられた話でした。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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