Netflix独占配信の『地面師たち』Episode#01は、地面師がある小物をめぐってどのように動いていくかを丁寧に描いた物語です。
序章ですね。いわゆるエピソード0というか……。地面師とはどうやって詐欺を働いているのかを教えてくれます!
Netflixドラマ『地面師たち』Episode#01情報
日本公開日 | 2024年7月25日 |
制作国 | 日本 |
ジャンル | ヒューマンドラマ、サスペンス |
注意書き | R-16+ 暴力、性描写、薬物 |
上映時間 | 54分 |
『地面師たち』Episode#01主なキャスト・スタッフ
キャスト
辻本拓海(つじもと・たくみ) 地面師・交渉役 | 綾野剛 『新聞記者』 |
ハリソン山中(やまなか) 地面師・リーダー | 豊川悦司 |
竹下(たけした) 地面師・情報屋/図面師 | 北村一輝 『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと』 |
麗子(れいこ) 地面師・手配師 | 小池栄子 |
後藤(ごとう) 地面師・法律担当 | ピエール瀧 『サンクチュアリ -聖域-』『忍びの家』 |
長井(ながい) 地面師・ニンベン師 | 染谷将太 『サンクチュアリ -聖域-』 |
下村辰夫(たつ) 捜査二課の警部 | リリー・フランキー 『ちひろさん』『パレード』 |
青柳(あおやぎ) 石洋ハウス開発事業部部長 | 山本耕史 『離婚しようよ』 |
ナレーション | 山田孝之 『忍びの家』『リラックマとカオルさん』 |
真木(まき) マイクホームズCEO | 駿河太郎 |
川井菜摘(かわい・なつみ) 光庵寺住職/地主 | 松岡依都美 |
大久保(おおくぼ) 下村辰夫警部の部下 | 平原テツ |
佐々木/島崎(ささき/しまざき) なりすましを行う老人 | 五頭岳夫 |
スタッフ
監督・脚本 | 大根仁 |
原作 | 新庄耕『地面師たち』 (集英社文庫刊) |
音楽 | 石野卓球 |
『地面師たち』Episode#01あらすじ
ハリソン山中は、海外でハンティングをしたときにアクシデントで大きな熊と遭遇してしまいました。それがハリソンの価値観を変えてしまいます。
慣れたハンターですら逃げ出す場で、ハリソンは銃を構えて熊に立ち向かったのです。殺すか、殺されるか……文字通り、決死の勝負でした。
そのときに得た感覚はハリソンの中に残り、ハリソンは他の地面師たちとは違い、より高みを目指すようになったのです。
そんなハリソンから目をつけられたのは、地面師によって人生をゆがめられた青年・辻本拓海でした。ハリソンは拓海を地面師として育てていったのです……。
『地面師たち』Episode#01ネタバレと感想・考察
熊を撃つハリソン
外国人男性が3人、馬に乗って駆けていきます。ムースという人物の情報が不確かだったようで、ハンターは怒っていました。
そのひとりに日本人がいました。馬に乗ってハンティングを楽しむために海外へと足を運んだその男は、自らを地面師と名乗ります。
――突然、叫び声が響きました。ハンターに責められ本部へ連絡しに森の奥へと入っていった案内人のもののようです。
ハンターと地面師が駆けつけたところ、案内人が大きな熊に襲われていました。ハンターは熊の大きさに恐れをなし、立ち去ります。
しかし地面師は違いました。冷静な顔つきのまま、ずんずんと迫ってくる熊に銃口を向けたのです。そして、何発もの弾を放ちました……。
地面師――ハリソン山中は、その時の興奮を辻本拓海に語っていました。地面師に狂わされた拓海の人生を、地面師となって覆そうと言うのです。
地面師とは、土地の所有者になりすまして土地を売る不動産詐欺師のことです。地面師は多くの役割を分担し、集団で動いています。
戦後の混乱から生まれ、書類の電子化で一時期は勢いが衰えたものの、2020東京五輪を機に盛り返してきたという歴史があります。
ハリソン山中はそのリーダーであり、一癖も二癖もある曲者たちを率いている人物なのです――。
白骨遺体
2017年6月、東京――新橋愛宕署管内の雑居ビルでの異臭が通報されました。不動産詐欺に使われたとされているビルです。
ビルへと入った捜査二課の刑事・辰は、白骨化したビルのオーナー女性を発見しました。20億円の不動産詐欺の関係者とのことで、世間は大騒ぎです。
そんな中、地面師たちは新しい案件に取りかかっていました。手配師・麗子と法律担当・後藤がなりすましの指導をしていました。
そこに、拓海の姿もあります。演技が上手くいかないおじいさんに、あなたは佐々木ではなく島崎健一なのだと優しく語りかけていました。
勢いのままに必要以上に話してしまう佐々木に、麗子も後藤も頭を抱えています。しかし、ハリソンのご指名だからと諦め半分でした。
指先に特殊フィルムで別人の指紋を貼りつけた状態で、拓海は偽造書類を並べていきます。マイナンバーカードとパスポートはわざと作りませんでした。
人物によってどのような書類を作っているのが自然かと考えるのも地面師の仕事のうちです。書類を確認したハリソンは、拓海にあるものを渡しました。
ハリソンを残し、拓海たちは決済へと向かいます。この頃にはもう、ハリソンと拓海が組んでから4~5年が経っていました。
何度もお手洗いに立つ佐々木を待つ間、後藤はある記事を拓海に見せます。後藤はこの件のなりすまし女性が行方不明だと語りました。
誰が犯人なのか――興味を持ちつつも知らないほうがいいこともあると後藤はつぶやきます。
ハリソンの過去
二課の刑事・辰は年下の中年刑事にハリソン山中について教えます。80年代に地上げ屋だった元暴力団だったハリソンは、バブル崩壊後に一度逮捕されました。
5年の懲役ののち出所したハリソンは、ITバブルと共に再び動き始めました。そして、2007年に再び警察と相まみえます。
なりすまし男性や麗子、後藤も逮捕される中、警察はハリソンにたどり着きます。そこで辰はハリソンの手強さに難儀したのです。
結局、なりすましを行った高齢男性以外は皆不起訴になりました。なりすまし男性が認知症で供述が不安定だったためです。
12憶もの詐欺に有名企業であるナパがだまされたことに、中年刑事は首を傾げます。しかし、辰はそれこそが地面師たちのやりがいだと語るのでした。
拓海たちはマイクホームズへと出向きます。拓海は不動産コンサルタントの井上秀夫として、後藤は不動産会社の部長・山下勝哉として――。
今回扱う土地は、恵比寿駅から徒歩5分のところにあります。本物の島崎健一はガンの治療の末、熱海のホスピスに移住しています。
土地の情報収集と物件選定をするのは情報屋・竹下の仕事です。ザ・恵比寿という立地で抵当権もなく、478平米で坪単価は980万の優良物件です。
さらに第二種住居地域のため、高い建物も建てられます。9億で売るとハリソンは決め、土地ブローカーが偽情報をリリースします。
伸び盛りの企業・マイクホームズCEOの真木は破格の値段に驚き、飛びついてきました。そこで法律屋・後藤が真木に接触します。
10億の取引
法律屋・後藤はマイクホームズを前のめりにさせる手に出ます。売り主を納得させるためにと、CEO・真木は10億で契約すると言いました。
その頃には、手配師・麗子が動いていました。なりすます人物を選ぶには、第一に身寄りがなく、社会的対応ができ、負い目があり、金に困っている……。
そういった人物を常に数十人ストックしている麗子は、元・塾講師の男を推します。しかし、ハリソンは交通誘導員だった佐々木をキャスティングしました。
ハリソンはリアリティを重視したのです。しかし、会わせるのは一度だけです。その代わり、後藤はターゲットに物件を下見させるのです。
後藤は解体業者および取り壊しの費用を仲介業者――自分たちの取り分にすると明かし、相場より安い理由をターゲットに悟らせます。
そして最後に動くのがニンベン師です。偽造書類等作成を担う裏社会の職人は、なりすましと共に信憑性を背負う二本柱なのです。
これらの偽造書類が揃ったら、本人確認と最終決済となります。土地の権利証の代わりである本人確認書類を作るのは、なりすましだと知らない弁護士です。
権利証は紛失したという形で話を進めます。ターゲット側の司法書士がごねた場合は、後藤がお得意の圧をかけたり、なりすましが不調を装ったりします。
CEO・真木はこの契約をなんとしても成立させたいという欲にかられ、慎重に進めようとする自分たち側の司法書士を止めるのです。
所有者になりすましている佐々木は調子が悪いようですが、不測の質問にも拓海の誘導でなんとか答えていきます。
ハリソンの一手
よく行く近所のスーパーを聞かれ、あせった佐々木はおしっこを漏らしてしまいました。拓海はすかさずフォローに入ります。
お手洗いに向かう途中、佐々木はふと立ち止まりマイクホームズCEO・真木たちのほうへと向き直りました。
佐々木は、島崎健一の個人情報を繰り返したあと、駅の近くにあるピーコックのことや外苑西通りを渡った先のライフのことを話しました。
真木や司法書士たちは納得し、契約は成立しました。1億の前払いと合わせて9億がハリソンの口座へと入ったのでした。
その一週間後、拓海と後藤、麗子、竹下たちはハリソンと共に中華料理店で打ち上げを行いました。そこで拓海は種明かしをします。
想定外の質問のため……相手を見くびることなく、小物なりのあがきに対応できるようにとハリソンが拓海にワイヤレスイヤホンを渡していたのです。
そして拓海はイヤホンを佐々木の耳に入れるため、佐々木の股間にお茶をぶちまけたのです。佐々木はハリソンの言ったことを復唱しただけでした。
取り分は、拓海と後藤がそれぞれ1億5000万、麗子が8000万、竹下が2億、ハリソンが4億2000万でなりすました佐々木が300万です。
佐々木が長崎へと移り住んでいたころ、CEO・真木は大きな契約をまとめた高揚感からかグラドルと関係を持ち週刊誌にすっぱ抜かれていました。
法務局からCEO・真木へと申請却下が届くよりも早く、地面師たちは次を狙い始めます。死人がごろごろ出るような土地を、とハリソンは語ります。
光庵寺へ
ハリソンは、現在のチームは史上最高だと評します。そして、今のチームなら誰も登ったことのないヤマに登れると夢見るような目をします。
すると竹下は、高輪台の土地を紹介しました。現役の宗教法人である光庵寺の隣にある駐車場と建物は、光庵寺とは別に登記してあるのです。
寺の一人娘の尼には夫がいましたが数年前に失踪し、現在はひとりきり。そして、100億に達する土地は絶対に売らないと主張しています。
竹下は、準備金として1000万をハリソンに要求しました。麗子にも後藤にも動き出すよう、ハリソンは冷静に指示を出します。
100億の土地など売れるものかと、後藤は首を傾げています。しかし、ハリソンには罠をかければ獲物はかかるという確信がありました。
その頃、株式会社 石洋ハウスグループホールディングス開発事業本部長・青柳隆史のもとにある書類が届いていました。土地売買契約の取り止めを伝えるものです。
同じ頃、ハリソンの映像を確認していた辰は一緒に歩いている人物を見つめていました。それは他の誰でもない、拓海でした。
そして同じ夜――長崎の田舎道を歩いていた佐々木が大型トラックにひかれて無残な姿になっていました。
ハリソンは、ただひとり残った拓海に笑いかけます。竹下、麗子、後藤などの仲間たちと拓海は、ハリソンにとってまったく違う存在なのだと……。
一から育て上げた地面師である拓海に、彼らを信用しないよう釘を刺し――ハリソンは去っていくのでした。
拓海の過去
拓海は光庵寺に忍び込み、そっと一人娘の尼をのぞき見ました。読経する尼の周囲にあるろうそくの炎で、拓海の脳裏によみがえる光景があります。
燃え上がる建物を見て泣き叫ぶかつての拓海は、地面師として働く今の拓海とはまったく違う雰囲気です。
拓海がかつての痛みに涙を流している頃、ハリソンはある映像を見ていました。それは、あの大型トラックに搭載されていたカメラのものです。
後ろから迫りくるトラックに気付いた佐々木が、驚愕と恐怖の表情を浮かべています。それを意に介さず、運転手はスピードを保って直進します。
肉がつぶされる音が響く中、ハリソンはグラスを回して酒を口に運びます。その表情は、まったく読めませんでした……。
『地面師たち』Episode#01まとめ
辻本拓海が主人公でありながら、拓海がなぜ地面師になったのかは分からないまま物語が進んでいってしまいましたね。
しかし、ハリソンがより大きな快感を追っていることは分かりました。大きな熊と戦って生き残ったあのときを上回るような、と……。
そんなハリソンに周囲の仲間たちは引き気味でしたが、拓海はそうは見えませんでした。どこか共感できる部分があるのかもしれません。
話の中心はマイクホームズとの不動産取引だったのですが、そこよりも気になる部分がたくさんありましたね。
とりあえず、地面師にはどういう役割を負っている人がいて、どういう順番で動いていて、何が重要なのかというポイントは覚えておきましょう!
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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