Netflix独占配信の『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「誓い」は、ブラック・ヒルズの女神と呼ばれる真実の愛を求める女神が一組の男女に試練を与える物語です。
怨霊などの執着が強い者に魅入られて崩壊を迎える人々を見てきたため、この物語は意外性があって気に入りました。女神のビジュアルも好みです!
Netflixドラマ『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「誓い」情報
日本公開日 | 2024年8月20日 |
制作国 | タイ |
ジャンル | ホラー |
注意書き | R-16+ 暴力、性描写、ヌード、言葉づかい、薬物、児童虐待 |
上映時間 | 44分 |
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「誓い」主なキャスト・スタッフ
キャスト
ナット ダオと交際している建築士 | スッティラック・サブウィチートラー 『イツカ、ミライハ』『当たりくじを奪還せよ!』 |
ダオ ナットと交際しているリゾート経営者の娘 | パラダー・ティタワチラ |
スタッフ
監督 | アビチョーク・チャンドラセン |
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「誓い」あらすじ
ブラック・ヒルズの女神は、カップルの聖地として崇められている寺院です。ナットは8年付き合っている彼女ダオに連れられ、女神を参拝しに来ました。
結婚目前だと思っているダオは、共に過ごす未来を夢見て女神に祈ります。そんなダオに、参拝の道具を販売する中年女性は女神のいわれを語りました。
ブラック・ヒルズの女神は元々、魚売りの娘でした。王子と恋に落ち、その恋は燃え上がりますが……身分違いの恋は、娘の自死で終わります。
そこまでは有名ですが、その後の話もあるのです。中年女性は、娘が女神となったあとに王子の裏切りを知り、復讐したことを語りました……。
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「誓い」ネタバレと感想・考察
あるカップルについて
これは、トンが語った恐怖の物語――2014年から15年頃に始まり19年にも起きた一連の出来事について……。
夜、プールにうつ伏せに浮かんでいた男子学生ナットを見つけた女子学生ダオは、思わずプールに飛び込みました。自分が泳げないことも忘れて……。
ただ涼んでいただけだと言うナットですが、ダオは納得していません。疑問を投げかけられたナットは、意味深な表情をして口を開きます――。
8年後、ナットとダオは恋人同士になっていました。相変わらずナットが深刻そうな顔をしているため、ダオは心配して声をかけます。
ナットは建築士として採用が決まりそうですが、まだ迷っていました。しかし、それを隠して「蒸しイカが食べたい」と茶化します。
寺院の前に停めてある車から降りたダオは、女神へ祈りを捧げに行きました。信心深いダオは静かに祈りますが、ナットはどこか不気味さを感じています。
寺院の中にはひとりの中年女性がおり、参拝に必要なものを一人前20バーツで販売しています。その女性に、ダオが自分たちを紹介し始めました。
寺院と同じ地域にあるブラック・ヒルズでリゾート経営に携わっているダオは、ここで女神に祈ったのちにナットと出会っていました。
8年もの間交際していることや、建築士であるナットがリゾートの改修に携わったこともあり、二人は夫婦のような雰囲気を醸し出しています。
さっさと話を切り上げようとするナットの手を、女性がぐっとつかみました。そして、ブラック・ヒルズの女神の伝説について語り始めます。
ブラック・ヒルズの女神
魚売りの娘だった女神は、王子に恋をしてしまいました。身分違いの恋は燃え上がります。しかし周囲の反対は激しく、耐えかねた娘は命を絶ちました。
この物語は真実の愛を語るものとして、恋人の参拝が多くなりました。しかし、この話には続きがあります。――王子には、婚約者がいたのです。
王子にとって魚売りの娘など浮気相手に過ぎません。当たり前のごとく娘を捨てた王子は、女神となった娘に復讐されました。
王子と婚約者の家を訪ねた女神は、吹きすさぶ嵐によって王子の体を切りつけました。そして、婚約者の体も同じように切りつけたのです。
愛とは生死を懸けて貫くものだと、女神は考えていました。だからこそ軽い気持ちで願うものではないと、中年女性は怪しく笑います。
ダオは女神に対し、永遠に一緒にいたいと願います。ナットは複雑な表情をしながら、番号が書かれているおみくじを振りました。
二人が引いたおみくじには、どちらにも12と記されています。12番のみくじ箋を引いたナットですが、なぜか濡れていました。
ナットは、文字がにじんでよく読めなかったと言ってみくじ箋を元に戻します。しかし、本当は読めていたのです。
そなたの愛は窮地に陥るだろう。そなたが問題を隠す限り……そなたが口をつぐむ限り……二人の愛は終わりを迎える。
心当たりのあったナットは、その文言をダオに見せたくなかったのです。しかし、その言葉通りの問題が横たわっているのは事実でした。
言えない秘密
回収された建物を見て回るダオを横目に、ナットは先ほどのメールを思い出していました。採用通知には、勤務地がスウェーデンだと記されていたのです。
早い返事を求められ、ナットは迷っていました。そのとき、ダオの父から新たな提案をされました。プーケットのリゾート開発で、設計から完成まで任せたい、と……。
二人きりの庭で、ナットはまだ口を開けずにいました。そんなナットに、ダオは無邪気に話しかけきて、生涯共にリゾートを経営しようと言います。
ナットはまた、打ち明けるタイミングを失ってしまいました。思い悩むナットがリゾートの庭にひとり寝転んでいると、どこからか鈴の音が聞こえてきます。
ふと体を起こしたナットの目には、ぼろをまとった女の姿が見えました。女の向こうには、海しかありません。人間ではない……ナットはそう直感します。
今夜はリゾートに泊まることになり、ナットはひとり恐怖を抱えていました。夜になっても、女の姿はまだリゾートと海の間にあります。
しかし、ナットが目を逸らした瞬間、女が消えました。息を潜めながらベッドルームのある2階に上ったナットは、ダオが息を呑む音を聞きます。
ダオの目線の先には、顔中にフジツボをつけたびしょ濡れの女がいました。白く光る瞳で二人を見つめた女は、ゆっくりと近寄ってきます。
逃げようとしたナットが外に出ると、体中を何かに切り裂かれてしまいました。驚いたダオが近寄ると、その傷や痛みが幻覚であったことが分かります。
うずくまる二人にゆっくりと歩み寄った女は、ひらりと一枚の紙を落とします。それは、ナットが棚に戻したみくじ箋でした。
すべてを打ち明ける夜
心の内にあるどんな秘密も隠してはならない。逃げることなくすべて打ち明けるのだ。さもなくば、無傷では済まない。心の内に秘めたものを互いに明かし合え――。
ダオは自分に隠しごとなどないと分かっているため、ナットを問い詰めます。それでも口を開こうとしないナットを前に、女神はダオへと手を伸ばしました。
ようやく、ナットは覚悟を決めます。スウェーデンの会社に募集したのは、外国に住みたいという昔からの夢を叶えるためだと、打ち明けました。
老いるまでブラック・ヒルズで過ごしたいと願うダオとは、元々食い違っていたのです。そもそも、結婚願望すらナットにはありませんでした。
本心を打ち明けたナットを残し、ダオはひとり2階に戻りました。そんなダオのもとに、女神がやってきます。
ダオは学生時代の友人の安産祈願のパーティー“ベビーシャワー”にて、こう言っていました。先に結婚し妊娠もした同世代を見ると、嫉妬にかられるのだと……。
ダオのナットへの愛情は、自覚するほど薄れてきていました。その変化を、結婚すれば改善できるのではないか……とダオは考えていたのです。
今でも、ダオはナットと一緒にいたいと願っています。昔のように素直に想い合える関係に戻り、共に過ごしていきたいと考えているのです。
そこまで打ち明けても、女神は納得しませんでした。ダオにはまだ隠していることがあると、ダオの父親の姿を借りて問い詰めます。
ダオは、ナットを就職活動の苦しみから解き放ちたいと、父親に仕事を回すよう頼みました。ダオに同情されていたと知り、ナットは失望します。
ダオの願い
ダオの父親は、自分の病状がよくないことを知っていました。だからこそ、自分に何かあったときのためにダオを支える者としてナットを選んだのです。
ナットに仕事を与えたのは、ダオの父親の願いによるものでした。ダオの父親はスウェーデンで働くことを望むナットに「今だけは」と頼んだのです。
しかし、ダオの父親は回復しました。今こそ、ダオから逃れる最後のチャンスだと思い、ナットは外国での勤務へと動き始めたのです。
声を荒らげるナットに、ダオは静かに応えます。誰でもよかった、誰かが必要だった、それがたまたまナットだっただけなのに……。
そこで、女神はダオにささやきます。ナットを縛り付けたいと願ったのはダオではないか。何としてでも、ずっとナットといたいと願っただろう、と……。
ダオの願いのせいで夢から遠ざかっていたことを知ったナットは、嵐で荒れるプールに泳げないダオを沈めます。
ダオの自分勝手な願いを責めるナットに、出会った頃のダオの声が響きます。当時、ダオは父親が経営するリゾートで人が溺れていると早合点していたのです。
プールサイドに上がったナットは語ります。15歳から付き合っていた初恋の相手を運命の人だと信じていたのに、男友達と結ばれてしまったのだと……。
そう語るナットに、ダオは微笑みます。そして、友達が少なく本心を語れる相手がいないので、そういう相手を欲していると打ち明けました。
そんなダオに、ナットは友達は数ではないと返します。語り合える相手はひとりいれば充分なのです。そう語り合って、二人は結ばれたのでした。
二人の結末
翌朝、二人は車に乗り込みました。すると、ナットのスマートフォンがメールの着信を伝えます。ナットは思い悩み、ふとバックミラーを覗きます。
そこには、ナットがきちんと本心を打ち明けるかを確かめるかのように、女神の姿が映っていました。
ナットはメールの通知が見えるよう、ダオのほうへと画面を傾けます。スウェーデンの会社への就職決定を伝えるメールです。
ダオはナットの肩をポンとたたき「なんとかなるよ」と微笑みました。もう、バックミラーに女神の姿はありません。
――ナットとダオの迎えた結末を知ったラジオパーソナリティーは、感動的な話だと締めくくります。そのラジオは、女神が祀られた寺院でも聞かれていました。
ブラック・ヒルズの女神の参拝に使う道具を売っている中年女性の瞳が、白く光ります。怪しく笑う姿は、あの女神と同じでした。
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「誓い」まとめ
ブラック・ヒルズの女神は真実の愛を求めるカップルの聖地としてあがめられていますが、その女神の伝説には知られていない後日談もありました。
その後日談の通り、女神は愛とは命懸けで貫くべきものだということを教えるため、別れの気配を漂わせる一組の男女・ナットとダオを襲います。
『テラー・チューズデイ』のいつもの流れとしては、願いを叶える代わりに命を取られたり、怨霊の執着に巻き込まれたり……と、ひどい目に遭うものです。
しかし、今回は違いました。それは、女神は寺院の販売員として常にカップルを見守る立場にあり、効果が宣伝されることに意義を感じているからです。
壁を乗り越え、お互いに本心を打ち明け合い、それぞれの夢や自由を認め合い……そうやって育むのが真実の愛なのでしょう。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
コメント