Netflix独占配信映画『ビッグ・フェイク』は、画家志望の男がローマに出て美術商や裏社会の人々と出会い人生を狂わせていく物語です。

「えっ……これが事実ベース!?」となる物語です。劇中に出てくる事件が衝撃的で、とても印象に残りました。
Netflix独占配信映画『ビッグ・フェイク』情報
| 公開日 | 2026年1月23日 |
| 制作国 | イタリア |
| ジャンル | ヒューマンドラマ、サスペンス |
| 注意書き | R-16+ 言葉づかい |
| 上映時間 | 1時間50分 |
Netflix独占配信映画『ビッグ・フェイク』主なキャスト・スタッフ
キャスト
| トニ(アントニオ) 画家志望の男 | ピエトロ・カステリット 『ムッソリーニの財宝を狙え』 |
| ドナ(ドナータ) 美術商/<黒>と交流がある女 | ジュリア・ミケリーニ |
| ヴィット(ヴィットリオ) トニの幼馴染/聖職者 | アンドレア・アルカンジェリ |
| バルボ <黒>のリーダー格 | エドアルド・ペッシェ 『サンド・バギー ドカンと行こう!』 |
| <仕立て屋> バルボも恐れる男 | クラウディオ・サンタマリア |
| ファビ(ファビオーネ) トニの幼馴染/<赤>の一員 | ピエルルイージ・ジガンテ 『バスターズ:ザ・シリーズ』 |
| ヴィルジニア ズピッポの付き添いの女 | アウロラ・ジョヴィナッツォ 『ニュー・オリンポスで』 |
| ズピッポ バルボの取引相手 | ファブリツィオ・フェラカーネ 『私を殺さないで』 |
| サンシーロ 偽造パスポートを求める男 | マティア・カラーノ |
スタッフ
| 原作 | N・ビオンド、M・ヴィネツィアーニ『IL FALSARIO DI STATO』 |
| 監督 | ステファノ・ロドヴィッキ |
| 脚本 | サンドロ・ペトラリア |
Netflix独占配信映画『ビッグ・フェイク』あらすじ
幼馴染の3人の男がローマへと出ていきました。画家志望のトニは、その3年後に命を落とすこととなります。
司祭の侍者 ヴィット、上司に不満を持つ労働者 ファビは、それぞれ勤務先を見つけました。しかしトニは、いつまで経っても路上の絵描きのままです。
そんなある日、トニは美術商の女性 ドナと運命的な出会いを果たしました。二人は一枚の絵をきっかけに、公私ともにパートナーとして過ごすこととなります。
一方、ファビは仕事を辞め、ある組織に所属する身となっていました。そしてトニは、ドナを追ってひとりのギャングと出会います。
ミヅチガタリ
『ビッグ・フェイク』は、実際に存在した犯罪者トニや、実際に起きたアルド・モーロ事件、その他の強盗事件や殺人事件をもとに執筆された原作本から作られた映画です。
アルド・モーロ事件は、イタリア語のWikipediaで見ると短編小説ほどの文章量があります。様々な作品の題材にもなっている知名度の高い事件ですね。
そんな事件を中盤の盛り上がりに持ってくることはもちろん、恋人との別れの前振りにするという構成に驚きました。
他にも、武器庫強盗に銀行強盗、パスポート偽造に贋作絵画作り、テロ組織の声明文の偽造に犯罪組織との交渉……犯罪行為のオンパレードですね。
けれども、この作品の核となっているのは、これらの犯罪行為ではありません。最後の最後、何を選ぶか、何を守るかを問われた主人公が出した答えが重要なのです。
恋人から言われた通り、主人公には大きな問題があります。自分の現状に満足できず、実力にふさわしくない好待遇を求めて欲をかいてしまうのです。
その欲につけこまれて、主人公は幾度も犯罪を重ねていきます。関わってはならない人物とも親しくなり、衝突し、罰を受けるのです。
本当の自分を認められない主人公が<偽物>から<本物>になったのはいつだったのか……そう考えながら見ていくと面白いかもしれませんね。
Netflix独占配信映画『ビッグ・フェイク』ネタバレと感想・考察
トニの才能
トニ(アントニオ)
70~80年代に、ある贋作師が絶大な権力と機密に翻弄された。
これは彼の物語である。
もしくは、可能性のひとつである。
ある雨の夜――自由を求めたひとりの男が、その代償として命を奪われた日――そこからさかのぼること3年前、ドゥケッサ湖にて物語は始まりました。
幼馴染の3人の男……芸術家 トニ、司祭の侍者 ヴィット、労働者 ファビはボロの車でローマへと向かいます。
大物になる夢を抱いたトニは、ローマで似顔絵を描く生活を始めました。しかしローマには芸術家志望が多く、トニは貧しい日々を送ります。
そこに現れた若い女性の手引きで、トニは今売れている画家の様子を見ることができました。その男は女性に囲まれ、酒か薬かでハイになっています。
その画家の寝室に忍び込んだトニは、美術商の女性 ドナと出会います。ドナは、トニという名では売れないとアドバイスをくれました。
盗難した自転車に乗って、二人はトニの自宅へと向かいます。トニの絵を見たドナは、需要に沿っていないため売れないと語りました。
「でも才能はある。人体描写はうまい。ヌードとか……個性的なら売れる。独創的なヌード画はある?」
そして二人は一夜を共にしました。先に目覚めたドナは、トニが描いた<贋作>であるベルニーニの『自画像』を発見します。
ドナは実物を見ず、本を真似て描いた<贋作>のあまりの出来の良さに驚きました。そして、モディリアーニの絵を模写するようトニに指示します。
変化する人生
ファビ(ファビオーネ)
後日、モディリアーニの贋作を描いていたトニのもとへ幼馴染 ファビがやってきました。ファビは、ローマでの仕事を辞めたと打ち明けます。
「赤い旅団に所属してこそ、世界を変えられる。お前もだ」
自由でいたいと思っていたトニでしたが、金を得られるとなると話は別です。昔からファビは厄介事を持ち込み、トニはそれに付き合ってきました。
武器庫に忍び込んだ二人は、順調に事を進めます。しかし、そこに警備員がやってきました。トニをおとりにして、ファビは警備員の背後に回り込みます。
突然、死角からファビに襲いかかられ、警備員は発砲しました。その弾はファビの腕をかすめるものの、致命傷とはなりませんでした。
戻ってきた二人を出迎えたのは、もう一人の幼馴染 ヴィットです。ヴィットは不慣れな手つきで、ファビの銃創を縫いました。
ヴィットは、ローマに来てから人生が荒れていっていることを気にしています。そんなヴィットとファビとの間には、深い溝ができていました。
夜が明けると、トニはヴィットの運転で美術商 ドナのもとへ向かいました。出来上がった贋作をドナに見せるためです。
サインまで精巧に真似をした贋作に、ドナは感動します。ドナは売価の1割だと言って、30万リラを渡してきました。
バルボとの出会い
バルボ
大金を受け取ったトニは、ドナと共にクラブへと出かけました。そこでドナは、踊るトニを置いて他の男と店の奥に入っていきます。
ドナを追ったトニは、裕福そうな男たちのいるテーブルにたどり着きました。するとドナは、寄り添うように座っている隣の男 バルボを紹介してきます。
バルボは宝飾品を専門に取引している裏社会の男です。バルボは強盗犯の<豪腕>に婚約指輪を出せと命じました。
指輪ふたつで300万だと言われたトニは、小切手にサインをして渡します。現金で渡せと迫るバルボでしたが、トニの偽サインを見て気が変わったようです。
「受け取ってやる。だが<帰結>がある。――もしお前が問題を起こしたら、<運転手>が訪ねる」
<運転手>は、車を用いて用済みの者を始末する仕事を請け負う男でした。その後、偽サインは銀行に受け取られ、トニはバルボに認められます。
ギャングの世界は狭いため、トニは彼らのことを知っていました。けれども、先日ファビと共に荒らした武器庫がバルボのシマであったことは知りませんでした。
ファビは<赤の旅団>による政治用途のために、金と武器を手に入れたかったのです。バルボはその情報を得たあと、見知らぬ男たちに何かを指示しました。
バルボは、トニに明るいアトリエを用意することを約束します。そこはバルボの仲間が使っていた倉庫でした。
仲間だった前の住人が裏切ったことで、この場所が空いたのです。トニには家賃を支払うことのできない広さの家でしたが、バルボは気にしていませんでした。
「仕事をしろ。芸術関係さ。大体はな」
駆け上がるトニ
最初にトニが任されたのは、芸術性の低い仕事でした。裏切り者の顔に電動ドリルを向け、好きな場所に穴を開けろと言うのです。
トニは笑顔を浮かべてドリルを扱いました。すると裏切り者――前の住人は、判事に密告したのは自分ではないと必死で訴えます。
それを聞いたトニは、ドリルを引き上げました。けれどもバルボは前の住人を許さず、密告したに違いないと彼を射殺したのでした。
モディリアーニの贋作は800万で売れ、3割の240万がドナに、7割の560万がトニに入りました。
「これを仕事にして。あなた向いてるわ。いくらでも稼げるわよ。……絵を描くのよ。類いまれな才能を持ってる。でも才能だけじゃダメ。絵を選ばなきゃ」
美術商であるドナは、20世紀初頭の作品をと望みました。トニは、女性としても魅力的なドナと共に仕事も恋もやっていこうと決めます。
そしてトニは、モネ、ボッチョーニ、デ・キリコと様々な画家の贋作を描いていきました。ドナと共に暮らす家も決め、トニにとって幸福な日々です。
トニはドナと暮らす家に、幼馴染 ヴィットを自宅に招きました。楽しく過ごしたあと、ヴィットがトニに耳打ちします。
「ファビオーネが聖木曜日に来いと――ここまで来たら、うまくやれよ」
裏社会のバルボと関わって幸福をつかんだトニを見て、真面目に生きてきたヴィットは複雑な気持ちになるのでした。
ヴィルジニアとの出会い
サンシーロ
大金を稼いだことで欲が増したトニは、ドナに隠して夜遊びするようになります。夜の店でバルボは、サンシーロという若い男を紹介してきました。
バルボの依頼により、トニはサンシーロのパスポートを偽造します。サンシーロはあだ名で、その由来はサッカーチーム インテルナツィオナーレ・ミラノでした。
トニは、ヴィットが勤める教会へと出かけます。そこにファビもやってきました。再会を喜ぶトニに対し、ファビの表情は厳しいものです。
「<黒>の仲間なのか? 人を殺すために電車を爆破する連中だ。やめとけ。お前に政治は分からん」
表向きはタイプライター販売業のトニに、ファビは購入したいと告げます。明日、灰色のフォードに積んでほしいとのことでした。
『キリスト教民主党党首 アルド・モーロ氏がテロリストにより誘拐されました。事件は公邸の外で発生しました。テロリストは党首と護衛を銃撃しました。その後、党首を……』
バルボたちと移動しているとき、カーラジオからニュースが流れてきました。バルボが引き合わせた白髪の男 ズピッポは、この誘拐を投資の機会と語ります。
ズピッポの連れている若い女 ヴィルジニアは、トニの描いた贋作を気に入りました。それを見たズピッポは『サン=ベルナール峠を越えるボナパルト』を依頼します。
トニはズピッポの依頼を無料で引き受けることにしました。するとズピッポは、トニはローマ人とは違うと、バルボの振る舞いを注意します。
そんな中、トニはヴィルジニアに声をかけていました。ただの模写ではない美しい絵と評価され、トニは笑顔を浮かべます。
新たな関係
ヴィルジニア
『12時50分に電話が鳴り、相手はこう告げました。「テウラーダ通りの電話ボックスに赤い旅団の声明がある」声明文はタイプされており、五芒星が記されていました』
新聞には、声明文がIBMのタイプライターで作られていたことが記されていました。それは、トニがファビに売ったものと同じものと思われます。
アルド・モーロ党首の報道は連日続いていました。第6の声明文では、党首が死刑に処されたことが告げられます。
アトリエでナポレオンを描いているとき、ドナがやってきました。無償で受けた仕事より優先して、ゴーギャンの贋作を描くようにと指示してきます。
サッカー中継を聞きながら楽しく絵を描いていたトニは、気分を悪くしました。すると再びドアをノックされます。
またドナかと思いきや、ズピッポからの書類を持ってきたヴィルジニアでした。絵のモデルをすることになり、ヴィルジニアは服を脱ぎ始めます。
トニはヴィルジニアの誘いに乗り、関係を持ちました。そのあと休んでいると、バルボに呼び出されます。<仕立て屋>がトニを呼び出したのです。
「気をつけろ。こいつらは本物の悪だ」
<仕立て屋>が頼んできたのは、赤い旅団からの声明文を偽造することでした。今までと同じ形式で作ることができるかと、トニは問われます。
「必ず党首は死亡したと書け。あとは任せる。これで……星印外側の円を測れ。これで本物と偽物を見分ける。いいな。党首をお守りするためだ」
声明文の偽造
<仕立て屋>
トニは、さっそく第7の声明文の偽造に取りかかりました。ズピッポから依頼されたナポレオンの絵も、ドナから指示されたゴーギャンの絵も、今は目に入りません。
『ドゥケッサ湖に来ています。赤い旅団が7番目の声明文で、モーロ氏の遺体があるとした場所です。夜明けから今まで消防士、警察、憲兵隊とも成果はなし。言質を捜索する警察や憲兵には、情報が寄せられています』
トニはいつになってもゴーギャンの贋作を描こうとしません。あせるドナに対し、声明文の偽造に成功したトニは上機嫌で、まるで話を聞いていないのです。
司教になれるはずだったヴィットは、バチカンに顔の利く男にその座を奪われてしまいました。トニは、その話すらまともに聞いていません。
トニは裏稼業での成功に機嫌を良くして、幼馴染すらどうでもよくなっているのです。トニが去ったあと、ヴィットはトニの席でトニの食べ残しを楽しむのでした。
ドナは、トニが日替わりで女遊びをしていることを知っていました。バルボはドナの気持ちを心配しますが、ドナはわきまえた遊びならいいと割り切ります。
その帰り道、トニの前に<仕立て屋>が現れました。<赤い旅団>に対して、100億リラと党首とを交換することを伝えろと言うのです。
<仕立て屋>はトニの幼馴染 ファビが<赤い旅団>であることも、ドナのことも知っていました。ドナは<仕立て屋>とトニが取引していると知り、態度を変えます。
裏社会に20年間身を置いているドナは、取引の危険性をよく理解していました。浅い考えで取引しているトニに、強く警告します。
取引の行方
ヴィットが勤める教会で、幼馴染3人が集まりました。教会の行事に参加しながら、トニはファビへと<仕立て屋>の要望を伝えます。
アルド・モーロ党首が生存している証を出すよう<赤い旅団>に伝えることを、ファビは承諾しました。
後日、赤ペンで丸をつけられた地図がトニのアトリエに届きます。トニはその住所に向かうと、ファビが待っていました。
「この三つ目の棚まで来て、ラグを動かしカネを置いて去れ。無人で受け渡しを。これがモーロの生存証明だ。今日の新聞を持ってる」
<赤い旅団>の旗の下に座らされた党首の写真を見て、初めてトニは恐れを抱きました。そして、ファビへと共に逃げようと提案します。
ファビはほほ笑んでトニの頬をなで、その誘いを断りました。ファビにとっての居場所は幼馴染の間ではなく、<赤い旅団>になっていたのです。
後日、トニは橋の上で神父と取引しました。しかし、神父は金を持ってきませんでした。教皇は取引の中断を決めたのです。
取引中止となり、トニは肩を落として帰ります。<仕立て屋>は取引が成功したらトニを射殺する算段でしたが、そちらも中止となりました。
最寄りの電話ボックスに入ったトニは、ファビに逃げるよう言ってくれと、ヴィットに伝言しました。
<仕立て屋>の正体
『速報です。ローマで衝撃的な事態が発生しました。市の中心部でモーロ党首と思われる男性の遺体が発見されました。正式な発表はまだですが、遺体は袋に入っていた模様。繰り返します。発見現場はカエターニ通り。キリスト教民主党の本部と、イタリア共産党本部にほど近い場所です』
トニのアトリエの前が騒然としています。群衆の中心にある事件現場を見るため、トニは建物を登り始めました。
アルド・モーロ党首の遺体があった車の近くに、見知った顔があります。それは、トニに声明文の偽造を依頼した<仕立て屋>でした。
多くの捜査員からの報告を受けている<仕立て屋>を見て、トニはあぜんとします。その後、バルボは<仕立て屋>についてトニに教えてくれました。
「仕立て屋は上客だった。全員、言いなりさ。警察も判事も弁護士も。だが、約束を破ったら思い知らせる」
トニが身代金の受け取りに失敗したことで命拾いしたことを、バルボは見抜いていました。<仕立て屋>の立場としては、救出されたら困るのです。
<赤い旅団>の一員であるファビは、死か終身刑になるとバルボは語りました。<仕立て屋>は<赤い旅団>と敵対する共和党と手を組みたいと考えているのです。
そこに、噂の<仕立て屋>がやってきました。党首の拘束場所を突き止めたのに、友人を釈放する約束が反故にされたことで、バルボは怒りをぶつけます。
<仕立て屋>にも部下にも危害を加えると、バルボは宣言しました。車で去っていく<仕立て屋>は、ひとり立ちつくすトニをじっと見つめるのでした。
別れの連続
ズピッポ
『サン=ベルナール峠を越えるボナパルト』の完成披露パーティーが開かれました。依頼人のズピッポは大満足で、何か要望はあるかと聞いてきます。
しかし、トニはそれどころではありません。テレビでは<赤い旅団>の本拠地が突き止められたことが繰り返し報道されています。
「トニ。自分の部隊が凍死すると聞き、ナポレオンは何をした? 分かるか。ノーだろ。何もしなかったからだ。流れにあらがうのは愚かだ。それに危険だ。分かるな。今は楽しめ」
帰宅したトニは、ドナから怒りをぶつけられました。ドナから頼まれたゴーギャンの絵は、完成にほど遠い状態です。
けれども、約束を破って絵を完成させなかったことも、女遊びが激しかったことも、別れの決め手ではありませんでした。
「才能が無いより救いがないのは、半端な才能。自分に価値がないと理解できてしまうから。元の原画がなきゃ何もできない」
その日を境に、トニの人生はどんどん悪い方向へと転がっていきました。田舎道をドライブしていたバルボは、ブレーキが利かなくなった車の中で亡くなります。
ブレーキホースが切られていたため、殺人であることは明らかでした。葬儀に現れた<仕立て屋>に、トニはつかみかかります。
「党首の手記が要る。新聞で公開された以外の全文だ。探す者は他にもいる。君の友達なら見つけられないだろうか」
<赤い旅団>の一員である幼馴染 ファビは音信不通です。強制捜査を続けてきた<仕立て屋>からファビのことを言われ、トニは怒りを爆発させました。
失ったものと得たもの
ドナ(ドナータ)
ある夜、トニの身に悲劇が降りかかります。幼馴染 ヴィットから寄付のお願いの電話を受けていた際、暴漢が自宅に乗り込んできたのです。
暴漢はトニをテーブルにおさえつけ、両手を執拗に打ちのめしました。絵筆を持つまでに半年、絵を描くことはまだできずにいました。
この事件を仕組んだのは、ズピッポだったのです。バルボとトニとは同じ間違いをしたために、彼らによって処分されました。
絵を描けずに苦しむトニに寄り添ったのは、幼馴染のヴィットとファビでした。聖職者 ヴィットは、いまだにドナを想っているようです。
<赤い旅団>のメンバーが次々と摘発される中、ファビは逃走しようと考えていました。トニは偽造パスポートを、ヴィットは新車を用意することにします。
別れの日が近づく中、3人は昔のようにサッカーを楽しみました。その夜を最後に、3人が再び集まることはありませんでした。
トニは金を入手するため、ドナが唯一残していったベルニーニの『自画像』の贋作を持ち出します。そして、ドナに売却するよう頼みました。
そこでドナが、トニとの子を妊娠していることを知ります。ドナとの間にできた唯一の<本物>に、トニは感激しました。
トニが作った偽造パスポートのお礼として、ファビは党首が遺した手記の残りを渡します。ファビは、南米のフエゴ島へ行き、二度と戻らないつもりでした。
トニが手記を読んでいるそのとき――隠れ家にいたファビは警察の銃弾によって、その体を何度も貫かれていました。
銀行強盗
トニは手記を隠しておくため、ヴィットに安全な場所を尋ねます。そして、万一自分に何かあったときには、ドナに手記を渡すよう託しました。
帰宅したトニを出迎えたのは、戻ってきたドナです。トニはまだ性別も分からない子を<フラヴィオ>と呼び、愛おしそうにドナのお腹をなでました。
そしてトニは、ズピッポへとある提案をしました。ズピッポから大金を盗んだ銀行員は、オーレリアの倉庫にその金を隠しています。
その金を取り戻すため、強盗をしたいと言ったのです。一度は反対したズピッポでしたが、その仕事を最後に消えるというトニの提案に乗りました。
トニは<赤い旅団>を名乗り、銀行の夜勤をする警備員を脅します。交代で入る警備員の車に乗って銀行に忍び込み、最初に警備室を乗っ取りました。
<赤い旅団>だと聞くと、警備員たちは縮み上がりました。金庫は開かれ、恐ろしい量の札束をカバンへと詰め込んでいきます。
トニは、持ち込んだ<赤い旅団>の旗を金庫の中に掲げ、その下に拘束した警備員たちを座らせます。そして、その様子を写真に収めました。
金庫のテーブルに置かれたものを見て、<仕立て屋>は金庫強盗がトニの仕業だと気づきました。トニは、遺された手記を手に入れたことを<仕立て屋>に報告します。
その頃、ヴィットは新しい服を仕立てていました。すると、突然<仕立て屋>がやってきます。<仕立て屋>は、柔和な笑顔で話を始めました。
<仕立て屋>は、ヴィットが教会のお金を私的流用したことを指摘します。そして、様々な理由をつけて手記を渡すよう迫るのでした。
愛の応酬
ヴィット(ヴィットーリオ)
帰宅したトニを出迎えたのは、かつて偽造パスポートを作ってあげた青年 サンシーロでした。サンシーロは、妊婦であるドナは安全な場所に移したと語ります。
「聞くべき質問は<見返りは?>だ。インテル仲間じゃないか。だろ? 助け合おうぜ。それに借りを返す」
トニの暗殺依頼を受けたサンシーロは、かつての見返りにトニを救いにきたのです。命の保険となる手記がない今、トニはかつてなく危険な立場になっていました。
そして、冒頭の雨の夜となります。枢機卿になるという夢を追って、ヴィットはいつものレストランに足を運んでいました。
そこがトニとヴィットとの最後の場になるはずでした。しかしそこにトニの姿はなく、トニからの手紙がヴィットの手に渡ります。
お前より口下手だが、愛してると言わせてくれ。
何があっても愛している。
愛するお前に車を贈る。
お前のセダンは野暮ったいからな。
じゃあな。
サンシーロが必要としたのは、トニの代わりとなる死体でした。トニがヴィットに贈った車の後部座席には、サンシーロが隠れていたのです。
雨の夜、殺し屋によって命を奪われたのは――トニとよく似た背格好の幼馴染 ヴィットでした。そしてトニは命を繋ぎ、ドナと共にイタリアを後にします。
※トップ画像・引用文はNetflixから引用いたしました。











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