『呪怨(ビデオオリジナル版)』は、『呪怨』シリーズの始まりとなった作品であり伽椰子・俊雄が登場する6本の短編集です。

90年代を生きた人にとっては懐かしくなる分厚いストレートな携帯電話やポータブルCDプレーヤーなど本物のアイテムが出てきて楽しいですよ!
『呪怨(ビデオオリジナル版)』情報
| 公開日 | 2000年3月18日 |
| 制作国 | 日本 |
| ジャンル | ホラー |
| 注意書き | R-16+ |
| 上映時間 | 1時間10分 |
『呪怨(ビデオオリジナル版)』主なキャスト・スタッフ
キャスト
「俊雄」
| 小林俊介 小学校教師 | 柳憂怜(柳ユーレイ) |
| 小林真奈美 俊介の妻/妊婦 | 優恵 |
| 佐伯俊雄 小林のクラスの男子生徒 | 小山僚太 |
「由紀」
| 由紀 柑菜の家庭教師 | 三輪ひとみ |
| 村上柑菜 霊障に鈍感な女子中学生 | 三輪明日美 |
| 村上典子 柑菜の母 | 吉行由実 |
| 村上強志 柑菜の兄/彼女は瑞穂 | 安藤一志 |
「瑞穂」
| 田村瑞穂 村上強志の彼女/他校生 | 栗山千明 |
| 中村 強志の学校の女性教師 | 洞口依子 |
| 手塚 強志と仲がいい同級生 | 木内淳一 |
「柑菜」
| 吉川 バラバラ遺体の事件を捜査する刑事 | でんでん |
| 神尾 吉川と共に捜査する刑事 | 諏訪太朗 |
| 飯塚 吉川と共に捜査する刑事 | 芹沢礼多 |
| 監察医 バラバラ遺体の検分を担当 | 並樹史朗 |
「伽椰子」
| 佐伯伽椰子 俊雄の母/剛雄の妻 | 藤貴子 |
| 佐伯剛雄 俊雄の父/伽椰子の夫 | 松山鷹志 |
「響子」
| 鈴木響子 達也の妹/霊視ができる | 大家由祐子 |
| 鈴木達也 響子の兄/鈴木不動産の社長 | 芦川誠 |
| 北田良美 呪いの家の新たな住人 | 藤井かほり |
| 北田洋 呪いの家の新たな住人 | 翁華栄 |
| 事務員 鈴木不動産の社員 | 斎藤繭子 |
スタッフ
| 監督・脚本 | 清水崇 |
ミヅチガタリ
『呪怨』のビデオオリジナル版は、映画『呪怨』が作られる約3年前に公開された作品です。
ビデオであるからこその怖さがある――と私は考えています。高精細な映像では立ち上がってこない雰囲気のようなものが、ビデオの画質にはあるんですよね。
有名な俳優さんというと、栗山千明さんとでんでんさんくらいですね。当時の知名度でいうと、お二方とも現在ほどではなかったと思われます。
けれども、有名な人を使っているからこそ忖度のようなものが一切なく、まっすぐにホラーと向き合っている誠実さを感じます。
『呪怨(ビデオオリジナル版)』は、「俊雄」「由紀」「瑞穂」「柑菜」「伽椰子」「響子」の6話の短編集という形です。
時系列で整理すると、「俊雄」「伽椰子」は1993年、「由紀」「瑞穂」「柑菜」は1990年代後半、「響子」はおよそ2000年前後と考えられます。
そして「俊雄」「伽椰子」の2話が同日、「由紀」「瑞穂」「柑菜」の3話が同日です。
いまや邦画ホラーの代表格となった『呪怨』シリーズですが、その始まりとなったビデオ版を知らないままでいるのはもったいないですね!
『呪怨(ビデオオリジナル版)』ネタバレと感想・考察
じゅおん【呪怨】つよい怨みを抱いて死んだモノの呪い。それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、「業」となる。その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。
俊雄
あるマンションの205号室には、小林俊介と真奈美の夫婦が暮らしています。小林は小学校教師をしており、真奈美は妊娠中です。
小林は学校に来ていない小学1年生の男子生徒 佐伯俊雄を気にかけています。父 剛雄はイラストレーターで、6歳下の母 伽椰子は小林の知り合いでした。
小林と真奈美とは同じ大学出身で、伽椰子のことを知っていたのです。真奈美も伽椰子のことを覚えていて、気持ちの悪い子だったと語りました。
息子の担任として再会した際、伽椰子は弱々しい印象でした。どうにも気になった小林は、練馬区寿町にある佐伯家を訪ねます。
呼び鈴に応答がなかったため、小林は敷地へと入っていきました。玄関横にはゴミが散乱しており、ハエがたかっています。
家の壁に沿って進んでいくと、格子窓から俊雄が両腕を垂らしていました。その顔にも腕にも、紫色の痕が残っています。
小林が俊雄に質問をしていると、急に俊雄が背中から倒れていきました。小林は急いで家に入り、倒れた俊雄を応接間のソファへと運びます。
応接間も玄関横と同様に散らかっていました。小林はそこには触れず、俊雄が描いた絵を取り出して褒めます。
両親は俊雄を置いて出かけたと、俊雄は語りました。しかし、どうもおかしいのです。先ほどから佐伯家には、大人が暮らしている気配がありません。
小林は、カーテンの隙間から外を覗きました。どこかから猫の鳴き声が聞こえてきます。それが俊雄の口から発せられていることを、小林は知りませんでした。
由紀
夏休み――村上柑菜の家庭教師をしている由紀は、猫の置物の向きをひとつずつ変えています。柑菜の視線も気にせず、すべて自分と反対方向へと向けました。
そこに柑菜の母 典子がやってきます。そこで、猫の声が聞こえてきました。最近、村上家の周りでは猫の声がよく聞こえるようになっているのです。
不安げな由紀を励まし、典子は買い物へと出かけました。柑菜はすぐにでもおやつを食べたいのですが、由紀は勉強を進めるよう指示します。
村上家は、俊雄たち佐伯一家が住んでいた家に暮らしています。そのせいか由紀は、村上家でいつも書き物をするような物音を聞いていました。
由紀は物音が聞こえるたびに訴えるのですが、柑菜には何も聞こえません。気味悪がっていると、突然柑菜が飼育当番だったと言って着替え始めます。
出がけに柑菜は、柑菜の兄 強志に瑞穂という彼女ができたことを明かします。由紀は瑞穂のことを聞き出そうとしますが、強志は自室に戻ってしまいました。
柑菜の部屋に戻った由紀の耳に、今度は人のうなり声のようなものが聞こえてきます。由紀は持参したCDプレイヤーを再生し、イヤフォンで音楽を聴き始めます。
すると、突然CDが音飛びしました。ふたを開閉してみますが、音飛びは直りません。イヤフォンをはずした由紀の耳に、またしても苦しげな声が聞こえてきます。
由紀は、荷物をまとめて柑菜の部屋から出ました。するとそこは村上家ではなく、同じ間取りの真っ暗な家になっていたのです。
黒猫が足もとにやってきたため、由紀は部屋に戻ります。イヤフォンのコードで遊ぶ黒猫を避けて、由紀は押入れの上段にのぼりました。
そこで由紀は、先ほどの声が天井裏から聞こえてきていることに気付きます。天井裏に頭を突っ込んだ由紀は、暗闇を照らそうとライターに火をつけました。
由紀の目の前には、長い髪を下げた真っ白な女がいました。大きく開いた口からは、空気を途切れさせるようなうめき声が響いています。
驚きと恐怖でいっぱいの由紀は、女に引き上げられるように天井裏へと引きずられていきます。学校へと出かけた強志は、そんなことには一切気付きませんでした。
瑞穂
田村瑞穂は、彼氏 村上強志を探しています。学校の玄関には強志の自転車があり、その近くには何者かの携帯電話が落ちていました。
玄関から飛び出してきたのは、強志の男友達 手塚です。強志と手塚はいつも一緒にいるのですが、今日は違ったようです。
強志の携帯電話は中村先生に取り上げられてしまい、連絡を取ることができません。困っている瑞穂を置いて、手塚は走り去ってしまいました。
瑞穂が拾った携帯電話をいじりながら強志を待っていると、中村先生が声をかけてきました。瑞穂は他校生であることを隠し、中村先生についていきます。
学校を閉める時間だというのに敷地内にいる瑞穂に、中村先生は怒っているようです。中村先生は瑞穂を職員室へ連れていき、校内放送で強志を呼び出しました。
職員室にひとり残された瑞穂は、拾った携帯電話を使って村上家に連絡します。やはり強志はまだ帰っていないとのことでした。
電話をしている最中、瑞穂は部屋が暗いことが気になりスイッチをつけます。けれども、蛍光灯は何度か点滅したあと消えてしまいました。
暇つぶしにデスクライトをつけたり消したりしていると、突然つかなくなってしまいます。瑞穂は、机の下に入って抜けたコンセントをさそうとしました。
そこで、目の前を駆け抜けていく真っ白な脚が見えたのです。瑞穂が固まっていると、携帯電話の着信音が鳴りました。
机から出るのが怖い瑞穂は、左腕を机の上に伸ばします。その指先に触れたのは携帯電話ではなく、誰かの素足だったのです。
瑞穂が思わず叫び声を上げると、それに応じるかのように机の上で<何か>が飛び跳ねました。いつしかその揺れは収まり、瑞穂はそっと机の下から出ます。
携帯電話の画面には、<444444444444>からの着信だと表示されていました。瑞穂は携帯電話を置いたまま、職員室から出ようとします。
けれども、ここは勝手を知らぬ他校の校舎です。瑞穂は諦めて携帯電話のもとへと戻り、電話を取りました。
猫の鳴き声が聞こえたと同時に、腰のあたりを引っ張られる感覚に襲われます。ゆっくりと視線を落とすと、そこには真っ白な肌の小さな男の子がいました。
先ほど電話口から聞こえてきたのと同じ猫の声が、男の子の喉の奥から聞こえてきます……。
柑菜
血まみれの遺体の前に、監察医が座っています。そこに刑事 吉川がやってきました。ウサギの死骸が混ざっている奇妙な遺体について聞くためです。
「第三者が関わった形跡は何も出てきていません。まるで、自然の力でねじ上げられて、ちぎられたような……」
バラバラの遺体の中には、人間のあごも混ざっていました。遺体にはあごが残っているため、別の人物のものです。
けれども、その人物のあご以外の部位は見つかっていません。不可解な事件に、吉川刑事も同行した神尾刑事も困ってしまいました。
「発見者の教師から事情聴取が取れました。え~……本日、午後2時過ぎ、発見現場の中学校に3年生の女子生徒がふたり、ウサギの飼育当番で来ていたそうです。え~、こっちが吉沢久代、こっちが村上柑菜」
部屋に入ってきた飯塚刑事が、セーラー服を着た女子ふたりの写真を差し出します。吉川刑事はあごを失って生きている人物などいるかと考えこんでいました。
村上家には、何度も佐伯剛雄宛の封書が届きます。帰宅したばかりの村上典子は、息子 強志の彼女 瑞穂からの電話を受けました。
2階に上がった典子は、強志はもちろん、娘 柑菜の姿もないことに気付きます。瑞穂と電話している最中、誰かが帰ってきて階段を上る音が聞こえました。
声をかけようと、典子は階段へと駆け寄ります。すると、階段が流血で汚れているのです。帰宅したのは強志ではなく、血に染まったセーラー服を着た柑菜でした。
よろよろと階段を上りきった柑菜は、ゆっくりと振り向きます。その顔は血の気を失って真っ白になっており、あごは引きちぎられたようになくなっていました。
伽椰子
小学校教師 小林俊介は、学校に来ていない生徒 佐伯俊雄の家で両親の帰宅を待っていました。俊雄は疲れたのか、眠り込んでいます。
窓辺には、破かれた家族写真がありました。それをパズルのように組み合わせると、佐伯家の妻 伽椰子の顔だけがないことが分かります。
どこからか猫の声が聞こえてきました。小林は、俊雄がいた風呂場を開けてみます。開けた窓から猫の声が聞こえたのかと思いましたが、何もいませんでした。
ふと小林が足もとに視線を落とすと、変なものが見えました。浴槽の中で黒猫を殺したあと、真っ赤に染まった手を見下ろす様です。
小林はすぐに風呂場を出て、俊雄を寝かせていた応接間に戻りました。けれども、俊雄の姿がありません。他の部屋を覗いても、俊雄は見つかりません。
すると、2階から女の声と俊雄の声が聞こえてきました。どうやら俊雄は母 伽椰子と話しているようです。
俊雄は、父 剛雄にいじめられていると訴えます。剛雄が飼い猫 マーを殺したのだと言われても、伽椰子は落ち着いた調子のまま話をそらし続けます。
小林は俊雄の部屋に入りました。しかし、そこにいるのは俊雄ひとりです。小林が伽椰子の居場所を尋ねると、伽椰子の声が聞こえてきました。
俊雄の部屋を出て階下を見ていると、階段脇の部屋のドアがひとりでに開きます。小林は引き寄せられるように、その部屋に入りました。
机の上には、いくつもの写真からちぎり取られた伽椰子の顔がありました。小林は、その下にあるノートを手に取ります。
91年 10月 3日
今日、小林クンと目が合った♥♥♥♥
小さな字で隙間なく書かれた日記でした。伽椰子は、大学時代に小林のストーキングをしていたのです。絵や図も用いて、ひとつも書き漏らすまいとしています。
ゾッとして立ち去ろうとした小林ですが、どこかから虫の羽音が聞こえてきます。違和感を覚えた小林は、虫の発生源を探しました。
押入れの上段の暗闇を照らそうと、小林はライターで火をつけます。するとそこには、屋根裏からずるりと首を垂らしている伽椰子の遺体がありました。
小林は伽椰子の部屋を飛び出し、俊雄を抱えて佐伯家を出ようとします。応接間に置いた荷物を取って家を出ようとすると、突然携帯電話が鳴りました。
『今日から、俊雄の面倒はよろしくお願いします。今まで、私が先生の代わりに育ててきたんだ。そろそろ交代です。そうだ、先生……赤ちゃん、生まれましたよ。これ、女の子ですね』
伽椰子の夫 剛雄は、血まみれで電話ボックスにいました。その手には、真っ赤な塊を抱えています。
剛雄の言葉で何が起きたのかを悟った小林は、床にへたれこみました。その脇で、俊雄が小林の携帯電話を使って伽椰子と会話しています。
会話を終えた俊雄は、2階を見上げて大きく口を広げました。すると、2階から何かが落ちた音が響きます。そのあと、ビニール袋を引きずる音が聞こえてきました。
剛雄に殺された伽椰子が、その姿のまま、はいずるように階段を下りてきたのです。俊雄は棒立ちになり、喉の奥から猫の鳴き声を響かせています。
小林は伽椰子から逃げようと、玄関ドアへとにじり寄ります。けれども、小林の背後にあった玄関ドアが開くと、そこには伽椰子の姿がありました。
驚いて声も出せずにいる小林に、すっかり血を失って真っ白になった伽椰子の顔が近付いてきました――。
剛雄は取り出した胎児を黒いカバンに入れました。そして、その黒いカバンをガードレールやアスファルトに叩きつけたり、蹴り飛ばしたりします。
最後に剛雄は、ゴミ集積場に黒いカバンを叩きつけました。すると、その中にあった半透明の袋がもぞもぞと動き始めます。
その中にいたのは、剛雄が殺した妻 伽椰子でした。腰が抜けて立てない剛雄に近付いてきた伽椰子は、ゆっくりとゴミ袋を破り、その手を剛雄に伸ばします。
響子
鈴木響子は仕事終わりに、兄 達也が営む鈴木不動産へと入りました。女性事務員も帰り、達也は一杯飲もうと響子を誘います。
しかし、息子 信之のために早く帰るようにと響子は促しました。そして、達也が急に響子を呼び出した理由を問います。
達也は、いわくつきの一軒家について語り始めます。前の住民が一家全員が死亡または行方不明になっている物件です。
元妻 しのぶへの慰謝料の支払いもある達也は、買い手のつかない物件に悩んでいました。そうして響子が連れてこられたのは、村上と表札がかかった家でした。
階段を上ってすぐの部屋を見上げた響子は、何者かの影がすりガラス越しに映るのを見ました。そこで響子は、村上家の顛末について尋ねます。
「まあ、父親のほうは生きてるんだけどな。警察の話じゃ、病院にいるらしいけど。そりゃ、女房と娘が一度に死んだんじゃな」
その話を聞いた響子は、そのほかにもこの家で死んだ人がいることに気付きます。ふと靴箱の上に目をやると、佐伯剛雄宛の郵便物がたくさんありました。
達也は応接間に向かいますが、響子は導かれるように伽椰子の部屋に向かいます。伽椰子の霊を追って階段脇の部屋に入った響子は、すぐに強い霊力を感じました。
響子は、達也が持ってきた清酒を口に含み、すぐに屋外へと吐き出します。とてつもなくまずいものを口に入れたときの反応に見えました。
「これから私の言うことを必ず守ってほしいの。いい? ――もしこの家を買いたいって人がいたら、必ずこのお酒を飲んでもらって。そのとき、もしその客がまずそうにしたり、吐き出したりしたら、その人には絶対この家を売らないでほしいの」
清酒は霊の力を感じ取りやすいものです。そのため、それを飲んだ人の反応で、その人の霊に対する感度が分かるのです。
響子にはまずくて飲めなかった清酒でしたが、達也は何も感じずに飲めました。その後、達也は約束通り清酒を使ったテストをして、あの家を売りました。
けれども、問題はありました。あの家は何事もなく売れたものの、達也の息子 信之は最近様子がおかしいのです。
響子は、あの家の新たな住人を見に行きます。そこには<KITADA>と表札がかけられていました。
窓辺に立つ女性は、物件を見にきた日に目撃した女性の霊のような、真っ白なワンピースを着ています。その女性から生気のない目で見つめられ、響子はゾッとするのでした。
※トップ画像・引用文はNetflixから引用いたしました。



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