Netflixドラマ『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「大好きなおばあちゃん」ネタバレ感想

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Netflix独占配信の『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「大好きなおばあちゃん」は、祖母がいなくなったことで母と娘が仲違いすることから始まる物語です。

ミヅチ
ミヅチ

ちょくちょく述べていますが最初の話「妹」と似通った部分が多くあります。「妹」と見比べると、より楽しめる話だと思います。

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Netflixドラマ『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「大好きなおばあちゃん」情報

日本公開日2024年8月20日
制作国タイ
ジャンルホラー
注意書きR-16+
暴力、性描写、ヌード、言葉づかい、薬物、児童虐待
上映時間42分

『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「大好きなおばあちゃん」主なキャスト・スタッフ

キャスト

祖母
誕生日に川で行方不明になった
ニーラヌク・パタマスート
モンタ
祖母の娘、ヌレックの母
ナムティップ・ジョンラチャタウィブーン
ヌレック
祖母の孫娘、モンタの娘
スピチャー・サンカチンダー
『レッドライフ』

スタッフ

監督エッカシット・タイラート

『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「大好きなおばあちゃん」あらすじ

祖母の誕生日、母モンタは“吉の時間”に徳を積めるよう、魚を放流する用意をしていました。しかし祖母は、ウナギがないことに不満を言います。

ごねる祖母から離れ、モンタは会社からの電話に出ました。目を離した一分ほどの間に、祖母は履いていたサンダルを残し姿を消してしまいます。

帰宅したモンタを、祖母を慕う娘ヌレックは激しく責め立てました。モンタはヌレックのためにも祖母を呼び戻そうと、人気の占い師を頼ります。

占い師は、祖母が難しい状況にあるため、ある儀式をしなければならないと告げました。モンタはその儀式を行い、禁忌を犯さぬよう気を付けるのですが……。

ここから先はネタバレがあります!

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『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「大好きなおばあちゃん」ネタバレと感想・考察

姿を消した祖母

ウナギを川に放したいとごねる祖母を、できないのだと母モンタが説得しています。砂泥もない場所にウナギは放せず、徳も積めないと続けました。

“吉の時間”のうちに魚を放すため、二人は河原にいるのです。モンタはライギョもキノボリウオも用意したから十分だろうと主張しますが、祖母は頑なです。

そのとき、モンタのスマートフォンが震えました。母は一度その場を離れ、会社からの電話に応じます。

電話を終えて振り返ると、祖母の姿はありませんでした。バケツの中の魚はそのまま、祖母が履いていたサンダルだけが残されていたのです。

祖母が呼びかけに応えることはなく、モンタは帰宅します。モンタの娘ヌレックは、共に出かけたはずの祖母がいない理由を厳しく問いただしました。

実の母親を「モンタ」と呼び捨てにすることは考えにくいですし、モンタはヌレックの継母なのでしょうか……。

ヌレックは祖母を大切に思っているようなので、祖母とは血が繋がっているのかもしれません。そうでなくとも、とても可愛がられてきたのでしょう。

モンタは会社の社長かそれに準ずる立場のようですね。その立場では、プライベートなイベントに割く時間が惜しいと思ってしまう気持ちも分かります。

しかし、何をしでかすか分からないくらいに思考力が落ちてしまった祖母から目を離したのは、かなり危険な行動だったと言えるでしょう。

ヌレックは普段のモンタから、家族よりも会社を重視している姿勢を感じていたのかもしれませんね。

誕生日に魚の放流をするため、モンタは祖母に付き添ったのです。悲しみに暮れるモンタに、ヌレックは追い打ちをかけます。

家族を大切にできないような人だからパパも家を出たのだ、モンタは家族にとって疫病神なのだ……ヌレックはそう言い放ち、自室に戻りました。

ヌレックは友人アリスとチャットをします。アリスは母に寄り添うよう助言しますが、育児放棄され祖母を母代わりとしてきたヌレックは意見を変えません。

そんなヌレックを元気づけようとしたのか、アリスは突拍子もないことを言い出します。祖母は隠れているのではないか、と――。

ヌレックの祖母は隠れ遊びが好きでした。それを聞いていたアリスは、祖母は消えたのではなく、探しにきてくれるのを待っているのだと言うのです。

う~~ん、分からないですね……。しかし、モンタが実の母であったとしても、ヌレックにとっての“母”は祖母であることは確かです。

おそらく、この家を支えているのはモンタの稼ぎでしょう。その反面、家族の心が離れてしまうほど仕事にのめりこんできたわけです。

ヌレックの父が家を出た理由は分かりません。写真立てを見る限り、おそらくはヌレックが幼い頃に出て行ったのだと思います。

そうだとすれば、モンタが仕事人間になった原因は明白です。祖母と娘の生活を支えるために、そうするしかなかったのでしょう。

ヌレックの友人アリスは客観的に見られるため、こういったことに気付いているのだと思います。育児放棄されたというヌレックの印象は変わりませんが……。

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足縛りの儀式

翌朝、ヌレックは母モンタの怒鳴る声で目を覚ましました。モンタは、まるで動いてくれない警察に抗議の電話をしているのです。

モンタは半狂乱で、家のものを壁に投げつけながら泣き叫んでいました。そんなモンタと顔を合わせす気にならず、ヌレックは自室にこもります。

電話を終えたモンタは、すぐに車に乗り込み市場へと向かいました。その手には、昨日祖母が履いていたサンダルが握られています。

モンタが向かったのは、市場の奥にある占い師のところでした。数十人が待つ人気の占い師のため、モンタは日暮れまで待つことになります。

待ち疲れたモンタがうたた寝から目覚めて部屋に入った途端、占い師は祖母が近くにいると告げました。霊が帰り道を塞ぎ、その姿も隠してしまっていると言うのです。

そして、祖母を自宅に導く儀式をすれば三日以内に戻ってくると続けました。しかし、四天王に助けを請うため高価になるのだそうです。

おそらくこの占い師が基盤にしているものも仏教だと思うので、仏教における四天王とはなんなのかを調べてみました。

サンスクリット語で「チャトゥル・マハーラージャ」と呼ばれるものが、四大王衆天、もしくは四大王、四天王なのだそうです。

そして、東を守る持国天、南を守る増長天、西を守る広目天、北を守る多聞天(別名:毘沙門天)が四天王に当たるとのことです。

大阪には“四天王寺”という地名がありますが、この地名は四天王を由来としています。聖徳太子の時代から、日本にも四天王に対する信仰があったんですね。

中国で四方を守るものというと、日本では四神のほうが有名ですよね。東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武からなる四神は、多くの作品に引用されています。

しかし四神は中国神話から生まれたものなので、仏教から生まれた四天王とは関係がありませんでした。

モンタは“足縛り”の儀式として、祖母が残したサンダルに祖母の写真を貼り、紅白の紐で縛りつけました。そして、あるルールを告げられます。

車で家に戻る間ずっと、祖母の帰宅だけを考えなさい。そうでなければ他のモノを招いてしまうことになる、と――。

帰宅したモンタは、儀式を行ったサンダルを祖母のベッドに置きました。そして、姿の見えない祖母に呼びかけます。帰ってきて、お願い……。

祖母の部屋から出てきたモンタを、モンタの娘ヌレックは冷めた目で眺めていました。母は詐欺にかかったのだと、モンタは友人アリスに伝えます。

ヌレックは「いつもの無駄金」とぼやいているので、モンタがこういったスピリチュアルな方法に頼るのは珍しくないことなのでしょう。

そしてまた、ホラーにおける重要項目“禁止事項”が出てきましたね! 「妹」では、これを破ったために主人公に不幸が訪れました。

さて、仕事人間として十数年間生きてきたであろうモンタが、ずっと祖母の帰宅を考えていられたのでしょうか?

ヌレックは祖母のことを想ってはいますが、何か具体的な行動に出たわけではありません。ただ行方不明になったペットたちの張り紙を見て、思いをはせるだけです。

それを思うと、意味があるか分からない行動とはいえ、実際に動いたモンタのほうが祖母への想いが強いように思えますね。

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祖母の部屋

ヌレックは、またしても向かいの部屋に住んでいる男がこちらを覗いていることに気付きます。時刻は真夜中1時半過ぎ――ヌレックはため息をつくことしかできませんでした。

儀式を行って一日、二日と過ぎますが、何も起こりません。会社はヌレックの母モンタが出勤しないことで、問題が起きているようでした。

そして三日目……夜になり、雨が降ってきました。ヌレックは、モンタが意味のない儀式にいくら遣ったのかと、友人アリスに愚痴をこぼします。

向かいの変な男を確認しようとカーテンを開けたヌレックは、ふと地面に目を落とします。そこには、濡れた足跡が点々と続いていました。

祖母が家に戻ってきたのです。モンタからそれを知らされ、ヌレックもすぐに祖母の部屋に向かいました。ベッドの上に座る祖母が、ヌレックにほほえみかけます。

ヌレックは自分を大切にしてくれない母に嫌気が差してはいますが、アリスに対してすら母を全否定する発言はできずにいます。

心のどこかで、母との関係を構築し直したいと思っているのでしょう。しかし10代半ばであろうヌレックは、今まさに反抗期を迎えているはずです。

働き盛りの母と反抗期の娘が時間をかけて向き合うことは、とても難しいです。ほぼ不可能と言ってもいいでしょう。

しかし、この戻ってきた祖母とやらが本当の祖母ではなく、何か別のモノだったとしたら――雨降って地固まるといった風に、母娘の関係が変わる可能性はあります。

翌朝、目を覚ましたヌレックは祖母が本当に帰ってきたのかを確かめようと決めました。祖母の部屋からは、奇妙な音が聞こえてきます。

部屋の中に、祖母の姿はありませんでした。奇妙な音の出どころをたどると、ひっくり返った小さな茶碗がベッドの柱に何度もぶつかっています。

ヌレックは、落ちていたタオルを拾おうと身をかがめました。すると、その手に向かって茶碗が近付いてきます。

茶碗の中からヤモリが飛び出し、パジャマの裾からヌレックの顔に向かってきました。ヌレックは即座にパジャマを脱ぎ、その中にいるであろうヤモリを踏みつけます。

ふと目を上げると、いつも部屋を覗き込んでくる男がいました。下着姿を見られて動揺したヌレックは、急いで自室に戻りベッドへと潜り込みます。

ヌレックに悩み事が多すぎて、可哀想になってきました。

ヌレックは母モンタよりも祖母と接する機会が多かったためか、帰宅した祖母に違和感があるようですね。

もしくは、モンタのスピリチュアルな行動はいつも悪い結果となっていたのに、今回に限ってよい結果が出ていることに納得がいかないのかもしれません。

さて、一瞬しか姿を見せないこの生き物がイモリかヤモリか悩んだのですが、湿っているようには見えなかったのでヤモリとしました。

念のためイモリでもヤモリでも仏教との関係を調べてみましたが、特に目に付くものはありませんでした。単に“女子が苦手なもの”として描かれたのだと思います。

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草葉の陰から

頭までベッドに入って震えていたヌレックは、視線を感じて横を見ます。するとそこには、ゾンビのような灰色の肌の老婆がいました。

ベッドから飛び出したヌレックでしたが、もしやあれは祖母なのでは……とシーツをめくります。そこにいたのは、いつも通りの祖母でした。

しかし、ヌレックの部屋は2階にあります。膝が痛む祖母が上ってくることなどありませんでした。違和感を覚えつつも、ヌレックは祖母に甘えます。

祖母が帰宅したため、ヌレックの母モンタは普段通り出勤していました。そこに、モンタが仕事を放り出してしまうほど衝撃的な電話がかかってきます。

ヌレックは、祖母がいつも歌ってくれた歌をせがみました。祖母は、ヌレックが幼い頃から聞かせ続けてきた子守歌を口ずさみます。

話が一発で通じないなど妙なところはありますが、それは老人全般に起こることで、いなくなる前の祖母にもあったことです。

これが老人相手でなければ、もっと強く違和感を覚えるのかもしれません。しかし、一度迷子になったこともあり、より症状がひどくなったように思えてしまうのです。

ヌレックはスピリチュアルに対してまるで興味がないようですし、祖母が別のモノに入れ替わっているなどとは思わないでしょう。

私が思うに、ベッドの中にいたゾンビのような祖母こそ現在の祖母なのではないかと……。おそらく、あのあとすぐに祖母は亡くなったはずです。

祖母は徳を積めないことにがっかりして、それならばと身を投げてしまったように感じるのです。それが行動の理由ならば、戻ってくることはないでしょう。

警察からの知らせを聞いて、モンタは河原に駆けつけました。そこには、あの日祖母が着ていた服をまとった遺体がありました。

その肌はすっかり土気色になり、穏やかだった表情は恨めしさを訴えるように虚空を見つめています。

車に戻ったモンタは、娘ヌレックに電話をします。しかし、ヌレックは1階のリビングにスマートフォンを置きっ放しにしていました。

そこでモンタは思い出します。占い師から言われた、帰宅する道中に祖母の帰宅以外のことを考えてはいけないという言葉を……。

祖母の膝の上で子守歌を聞いていたヌレックは、ふと目を開けて驚きます。祖母の影から、頭がはずれて浮き上がっていくのです。

やはり本物の祖母はあの日亡くなっていたんですね……。そして、母モンタは帰宅中に別のことを考えていたようです。

さすがに、車の運転中に一つのことを考え続けるというのは無理があります。「あ、信号赤だな」などと考えるのは当然でしょう。

たとえ歩いて帰るとしても、それは同じです。この禁忌を破らずにいられるのは、誰かに送ってもらえる人だけでしょう。

モンタがヌレックを連れて行っていれば、ヌレックがひたすら祖母の帰宅を考えるということもできたのでしょうね……。

しかし、あの占い師が言ったことが本当だったのかという疑問は残ります。あれほど外見が変わってしまっているのならば、死んだのは数日前でしょう。

川に落ちた日に死んでいたとすれば、占い師の言葉は嘘だということになります。ヌレックの考え通り、モンタは無駄金を遣い悪い出来事を招いたわけですね。

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隠れ遊び

祖母の姿をしたモノは、膝枕をしている孫娘ヌレックに語りかけてきます。一緒にいようと言われ、ヌレックは恐怖で涙を流し始めました。

祖母の口から、数えきれないほどの量のウナギがこぼれ落ちてきました。ヌレックは壁まで身を投げ出し、祖母と距離を取ります。

すると祖母は、隠れ遊びをしようと言ってきました。祖母とヌレックがよくやっていた遊びです。しかし、ヌレックはもう子どもじゃないと拒否しました。

すると祖母は、子どもではないからルールを変えると言いながら包丁を取り出します。20まで数える間に隠れ、見つけたら片耳を切り落とすと――。

次に見つけたときはもう片方の耳を、最後にはヌレックののどを切り裂くと祖母は告げます。ヌレックはやりたくないと言いますが、祖母は聞く耳を持ちません。

祖母の体を借りたモノは、祖母が放流したウナギなのでしょうか? 流れが速く砂泥もない川に放されて、苦しみながら死んだウナギと考えると納得がいきますね。

祖母はそのことを理解して、自殺したのかもしれません。徳を積むためにやってきた放流が、ウナギの命を無駄にする行動だったと分かって……。

そのモノは祖母自身はもちろん、祖母を慕う家族にも恨みを募らせたということでしょう。当てはまる人物として最も適当なのはヌレックです。

祖母の体を借りてヌレックに恐怖を与え、そして殺す――それが、祖母に苦しめられたウナギたちの復讐だと、私は考えました。

祖母は1、2……と数え始めました。隠れ遊びをしなければならないと分かり、ヌレックは1階に降りていきます。

窓から逃げようと考えましたが、何か大きな力が働いて窓は塞がれてしまいました。ヌレックは祖母の部屋に入り、隠れる場所を探します。

そこでヌレックは、自分がパジャマを脱いでいたことを思い出します。人が隠れる場所がありそうなタンスの中にパジャマをかけ、裾を挟みました。

そのとき、ヌレックの手にヤモリが落ちてきます。ヌレックは叫び声を抑えながら後ずさり、残りカウント2になったところでキッチンに隠れました。

ヌレックが隠れた場所の扉はルーバーになっており、光が差し込んできます。そこから、祖母の姿を見ることができました。

祖母の姿をした祖母ではないモノが家にいると分かり、母モンタはヌレックの身を案じています。

しかし、ヌレックはスマートフォンを手に取る機会がないため、まだそれに気付いていません。ひとりきりで祖母から逃げなければならないと思っていることでしょう。

そのモノはすでに霊能力を発揮しているため、母が家に駆けつけても中に入れないかもしれません。

しかし、あの大人気の占い師を家まで連れてくるというのは現実的ではありません。そうなるともう、モンタにできることはなさそうですね。

何度も隠れ遊びを繰り返していれば、確実にヌレックは命を失います。それを防ぐきっかけになりそうなのは……もしかして、あの変な男なのでしょうか!?

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あの夜の出来事

祖母が去ったのを確認して、ヌレックは外に出ようとします。しかし、ふと気付くとすぐ横に祖母がいました。

抵抗する間もなくヌレックは右耳を切り取られてしまいます。痛みと恐怖で震えるヌレックに、祖母は次は左耳だと隠れるように指示しました。

ヌレックはあわてて浴室に飛び込みます。そして、高いところにある窓を割って外に出ようとしました。しかし、割った窓のかけらが腹に食い込みます。

もがいているヌレックのもとに、祖母が走ってきます。窓にぶら下がったままのヌレックは、すんでのところで庭に転がり落ちました。

そして家の敷地から出ますが、包丁を振り上げた土気色の祖母はどこまでも追いかけてきます。ヌレックが泣き叫んでいても、誰も出てきません。

途中からロックが流れてきて、祖母の動きもやたらコミカルになり、どういう感情で見たらいいのか分からなくなりました。

祖母の遺体とされる人形と、それに似せた特殊メイクをした役者さんのクオリティがあまり高くないことを自覚しての演出なのでしょうか……。

しかし、おなかに尖ったガラスが刺さっているヌレックの痛がり方が妙にリアルなので、そちらのシーンを見ているのがつらかったです。

おなかにあれだけ傷を負っていながらあんなにしっかり走れるものかと思ってしまう冷静さが嫌になります……。

車道に飛び出したヌレックは、自分に向かって走ってくる車を見て叫び声を上げます。しかし、運転手はそのままヌレックを引きずっていきました。

その車から降りてきたのは、ヌレックの母モンタです。モンタが車の前に回ると、そこにはヌレックがよく履いていた学校の上履きが落ちていました。

その上履きは紅白の紐でくくられ、ヌレックの顔写真がつけられていました。モンタは当たり前のようにその上履きを拾うと、後部座席に置きます。

ある夜――許しを請うモンタに向かって、食器が投げつけられました。その外では、あの変な男が配信をしています。

女性一人しか住んでいない家……母親と言い争いをした娘が交通事故に遭い亡くなった家で、霊現象が起きていると男は語ります。

男が楽しげに撮影した動画を編集していると、画面に何者かが映りこみました。その気配に男が脅えていると、男の頭が抑えつけられます。

画面に映っているのは、祖母とヌレックでした。男は二人に見つかってしまったのです。男の首は、見えない包丁によって切り裂かれるのでした。

つまり、ヌレックは祖母が川で姿を消したその日に、家を飛び出して車にはねられ亡くなったんですね。

モンタは一日で母と娘を喪うこととなり、どちらも取り戻そうとして占い師を頼ったのでしょう。そしておそらく、儀式は別日に行われたのだと思います。

つまり、今までヌレック目線で進んでいた物語は、“足縛り”の儀式によって戻ってきたヌレックが体験した出来事ということですね。

祖母の儀式は失敗しましたが、ヌレックの儀式は成功したようです。しかし、失敗した儀式による被害を受けるのはモンタではなく、ヌレックでした。

友人アリスとやりとりしているから、これは現実なのだろう……というトリックは「妹」でも使われていましたね。

モンタは霊現象に悩まされるひとり暮らしの女性ではありません。自ら霊現象を起こすように仕組み、霊現象によって家族の存在を感じている女性なのです。

そして、変な男がヌレックを救うスーパーマンではなく、ただの迷惑配信者でがっかりしました。まあ……あの尺じゃ無理ですよね……。

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『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「大好きなおばあちゃん」まとめ

儀式によって喪った家族を取り戻そうとすることも、禁忌を破ったであろうモンタの行動も、トリックによって事実を誤認させるやり方も「妹」と同じでしたね。

しかし「妹」では儀式を行っている本人が自分の中で事実をねじ曲げ誤認しており、「大好きなおばあちゃん」では呼び戻された霊が過去を忘れてしまっています

出来事はほとんど同じですが、主人公のポジションが違うんですね。そのため「妹」を見るならば「大好きなおばあちゃん」も見たほうが深掘りできるわけです。

モンタにとっては、たとえ反抗的な態度を取られたとしても、娘が生きて戻らなかったとしても、家族と一緒にいることが大切だったんですね。

それを生きているうちに母や娘に伝えられなかったことが、モンタにとって最大の苦しみなのでしょう。気持ちは言葉にしないといけませんね。

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

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