こちらにはNetflix独占配信のポーランド製ドラマ『目覚めれば』(原題:『Otwórz oczy』)シーズン1エピソード6【最終話】のネタバレと感想があります。
病院で目覚めたカロリナは、夢や幻覚に出てきた赤毛の少女と出会います。そして、衝撃的な事実を知らされます。
今までカロリナがいた記憶回復施設「セカンドチャンス」は存在せず、自宅での火事も起きておらず、家族も生きていたのです……。
しかしセカンドチャンスで過ごした日々が全て夢だったとは考えられないカロリナは、少しずつ事実へと近付いていきます。
そのヒントとなるのは、目が覚めてから上手く弾けないピアノと、違う名前で存在している友人たちでした――。
主な登場人物・キャスト
ユリア/カロリナ(マリア・ヴァヴレニウク)
アダム/クサヴェリ(イグナツィ・リス)
シモン(ヴォイチェフ・ドラトフスキー)
ゾフィア・モルスカ先生(マルタ・ニエラドキエヴィッチ)
マグダ/ヤニナ・ハス(サラ・ツェラー・イェジェルスカ)
赤毛の少女/パトリツィア(ポーラ・クロール)
ピョートル先生(マルチン・ツァーニク)
アニエラ(マルティナ・ノヴァコフスカ)
目覚めれば 6話【最終話】
カロリナ
ユリア――本名・カロリナたちが侵入したことで、メインフレームは未だ危ない状態にありました。
カロリナ自身はというと、自ら池に飛び込んだ後に赤毛の少女に深みへと引きずり込まれた後……知らない部屋で目覚めます。
ベッドサイドテーブルに置かれたデジタル時計を見て、カロリナは記憶回復施設「セカンドチャンス」に連れ戻されたのではと驚きます。
しかしベッドの横にいたのはゾフィア先生ではなく、赤毛の少女でした。そしてカロリナがいたのは病院だったのです。
赤毛の少女が医者を呼んできました。ヤヌシェフスキという大学病院の神経科医は、カロリナが数週間に渡り病院にいたと言います。
カロリナは「水に落ちて溺れた」と話しますが、ヤヌシェフスキ先生は「君は自動車事故に遭った」と訂正します。
4週間以上も気を失っていたカロリナは、自分の名前も曖昧でした。「カロリナ……それかユリア」
そこに火事で亡くなったはずのカロリナの母親がやってきました。カロリナは驚きながらも、アダムの行方を聞きます。
母はアダムについて何も知らず、隣に立つ赤毛の少女を引き寄せました。彼女はカロリナの妹パトリツィアだったのです。
「本当にいた」そう喜ぶカロリナに、パトリツィアは「違うよ。私は悪夢に出てきた妹の幽霊だよ」とつぶやくのでした……。
ヤネク
目を覚ましたカロリナは検査を受けます。あまり状態がよくないようで、ヤヌシェフスキ先生は顔をしかめます。
ヤヌシェフスキ先生はカロリナの語るゾフィア先生について確認しましたが、少なくともこの大学病院にはいませんでした。
ヤヌシェフスキ先生はゾフィア先生のこともアダムのことも夢だろうと考え、カロリナの母に休養が必要だと語るのでした。
その夜――カロリナはうなされて目を覚まします。「カロリナ」今までとは違う、うなるような男の声がカロリナを呼んでいるのです。
カロリナはふらつく足で病室を出ると、声の主のもとへと急ぎました。その声がアダムのもののように聞こえたからです。
病棟の奥には、青い電灯が明滅する廊下がありました。カロリナがそこに入っていくと、ゾフィア先生が現れます。
「ほらね、薬をやめると妄想がひどくなるのよ」ゾフィア先生とピョートル先生、教員たちがカロリナに迫ってきます。
逃げようとしたカロリナが転んで倒れていると、精神科医のヤネクがやってきました。ヤネクは、搬送されたカロリナを処置したと語ります。
火事に遭った記憶の中にいる救急隊員のヤネクでもなく、昔から仲のいい従兄弟でもなく、単なる医師ヤネク……。
イグナツィ
カロリナは、今までのことが夢だったのかと思いつつも、何が本当か分からずに混乱していました。
カロリナは、ヤネクにセカンドチャンスの生活を語ります。イザベラ、シモン、パヴェウ、ミレナ、そしてアダム――。
ゾフィア先生とのことも、夢にしては具体的だったとカロリナは語ります。ヤネクは、脳は謎に満ちた存在だとつぶやくのでした。
カロリナの腕には火傷の痕はなく、体中に交通事故の傷跡が残っていました。ぎこちなく動くカロリナを、母と妹が世話します。
妹パトリツィアは、昏睡状態のカロリナに好きな物語や音楽を聞かせ、呼びかけ続けていたのです。
カロリナの父は数年前に亡くなり、カロリナが昏睡になった事故の原因は、運転しながら口論していた母の不注意でした。
廊下に出たカロリナは、同室にいた少年イグナツィの父と出会います。イグナツィはエレクトロが好きな少年でした。
イグナツィの写真を見せられたカロリナは驚きます。その少年はセカンドチャンスで友人になったダンサー志望のシモンその人だったのです。
ひどい脳炎だったイグナツィは闘病する体力を失って浮腫になり、そのまま亡くなってしまったと医者が話してくれました。
セカンドチャンスでのシモンとのやりとりを思い出しながら、静かに涙を流すのでした。
ヤニナ・ハス
退院するカロリナに精神科医ヤネクが駆け寄ってきます。ヤネクと連絡先を交換したカロリナは、母と妹パトリツィアと共に車に乗りました。
帰宅途中、バス停にオペラ『トゥーランドット』の広告を見つけました。カロリナは3年前に『蝶々夫人』を観に行ったことがあったのです。
その主演を務めていたヤニナ・ハスは、マグダにそっくりでした。カロリナの母は、ヤニナもスキー事故で昏睡状態になったと話します。
マグダは回復し、復帰公演として『トゥーランドット』を行うことにしたのです。
帰宅したカロリナは、記憶のままの自宅に入っていきます。アダムと共に侵入し、お互いへの想いを深めたその場所に……。
カロリナは自室へと戻り、友人たちと頬を寄せ合う写真を見つめます。すると、窓にカラスがやってきました。
カロリナはパトリツィアと共にカラスの「キオク君」を飼っていたのです。キオクは姉妹に挨拶すると、飛び立っていきました。
ピアノを弾こうとするカロリナですが、上手くいきません。しかし100万人に1人の才能だとパトリツィアに評され、カロリナは挑むことにしました。
選んだ曲はやはり「月の光」――しかし、夢の中のように流暢には弾けません。ショックを受けたカロリナは、自室に戻りました。
そんなカロリナに、パトリツィアが優しく寄り添います。才能を発揮したがらない過去にいらだったことは忘れるから、今は休むようにと……。
ジグムント・タナトフスキ
カロリナはピアノの才能が失われたのだと思っていました。記憶回復施設「セカンドチャンス」で何かをされたのだと……。
そんなカロリナに、パトリツィアは夢の中のことだと語りかけます。しかしカロリナは、それこそが真実だと感じていました。
その夜、カロリナは記憶回復施設「セカンドチャンス」での自室で目を覚まします。カロリナは助けを求めるアダムを見ました。
そして、拘束具をつけて車椅子に座ったままオペラを歌い上げるマグダの姿を見ました。
カロリナは自宅のベッドで飛び起きて、ヤニナ・ハスについて検索しました。そして劇場へと出向きます。
受付スタッフが席を外したタイミングで、カロリナは舞台上で練習するヤニナのもとへと向かいました。
昏睡状態から回復したヤニナも今まで通りに歌えなくなっており、苦しんでいました。カロリナは、ゆっくりとヤニナに近付きます。
「マグダ?」そう呼びかけたカロリナを脅えた目で見たヤニナは、カロリナを追い出すように伴奏者に指示しました。
記憶回復施設「セカンドチャンス」にいたことも、そこでの名前がマグダだったこともヤニナは認めようとしません。
しかし、立ち去るカロリナを呼び止めて一冊の本を渡しました。ジグムント・タナトフスキ著作『セカンドチャンス』を……。
アニエラ
『セカンドチャンス』を読んだカロリナは、夢で見た施設が「アニエリン」という名で本の中に出てきたことに驚きます。
検査後にヤネクを呼び出したカロリナは、妹パトリツィアを連れて失語症と健忘を専門とした精神科医タナトフスキの家に向かうことにしました。
その途中で寄ったガソリンスタンドは、記憶回復施設「セカンドチャンス」を脱走した時にアダムと共に来た場所そのものでした。
アダムを捜すカロリナを心配するパトリツィアでしたが、読み聞かせた本が「真夏の夜の夢」だと語るカロリナを見て協力することにします。
タナトフスキ家に向かうと、エディータという女性が迎え入れてくれました。改装中だという屋敷の中は、セカンドチャンスと瓜二つでした。
タナトフスキ教授の元妻のエディータは、亡くなった娘アニエラの名前を取って屋敷の名前は「アニエリン」なのだと話します。
タナトフスキ教授は昔、たまにですが記憶喪失の患者を宿泊させていました。その屋敷の一部は、現在私立の保育所になっています。
その保育所では子どもの才能を見つけ育むことを目的にしていました。そこにはエディータの娘も通っています。
駆け寄ってきたエディータの娘は、セカンドチャンスにいた幼い少女アニエラでした。夢と同じように、エディータの娘は「見ている」という仕草をします。
クサヴェリ
カロリナは不可解さを感じていました。才能を持つ人が事故で昏睡状態になり才能を失う現象と、金持ちの子どもに才能を植え付ける保育所――。
事故以前は即興で作曲までできたカロリナですが、今は楽譜を読むことすらできません。
セカンドチャンスに何かあると感じていたカロリナですが、事故直前にはオーディションが嫌で練習をやめていたのです。
セカンドチャンスが原因なのではなく、才能が失われたのは練習不足や事故のせいだろうとヤネクは結論付けました。
ヤネクはカロリナが少し不安定なことも受け入れて、関係を続けていこうと考えてくれました。
久し振りに登校したカロリナは、女友達と再会します。しかし授業に向かおうとした時、どこからか「月の光」が聞こえてきました。
それを弾いているのは、他の誰でもない……アダムでした。プロ並みの腕前でピアノを弾くアダムは、途中で靴を脱ぎます。
ペダルが踏みにくくなって途中で靴を脱ぐ癖は、カロリナと同じでした。カロリナはアダムの健康そうな姿を見て涙します。
「アダムじゃない、クサヴェリ。人違いだと思うよ」人懐っこい笑顔はそのままでしたが、アダムに『ユリア』の記憶はありませんでした。
呆然と立ち尽くすカロリナの前に、ピョートル先生が立ち塞がります。「君の記憶はない。君も忘れるんだな」
ゾフィア・モルスカ
カロリナは、記憶回復施設「セカンドチャンス」での出来事が全て夢だと思い込むことは無理だと感じていました。
荒れた気持ちで帰宅したカロリナに、母が心理学者を紹介してきました。自信を取り戻す支援をする人だと……。
「こんにちは、カロリナ」――そこに現れたのはゾフィア先生でした。カロリナは思わず距離を取ります。
ゾフィア先生は、ピョートルの息子がアダム――本名クサヴェリなのだと語ります。しかしそれは未来のためだとゾフィア先生は語ります。
シモンは才能と同時に命まで失いました。しかし『マグダ』と『ユリア』は最後まで闘い、命からがら逃げ切ったのです。
ゾフィア先生もセカンドチャンスから追い出されてしまいました。しかし野心的なゾフィア先生は、まだ何も諦めていません。
イザベラやパヴェウ、ミレナ――『ユリア』と仲良くなってくれた友人たちを救うため、カロリナはセカンドチャンスに戻ることを決意します。
ゾフィア先生はカロリナがそう言うと分かっていたのか、かばんの中から黒い立方体を取り出します。
そして、カロリナは記憶回復施設「セカンドチャンス」へと戻るのでした……。
ミヅチガタリ
なるほど……こういう終わり方なら、シーズン2があると確信した記事が出ることにも納得できますね!
中にはシーズン2は2022年3月に配信されると語っている方もいらっしゃいますが、2021年9月現在、シーズン2の情報は出ていないようです。
しかし少なくとも、シーズン1の全6話で記憶回復施設「セカンドチャンス」の狙いは分かりましたね!
失語症と健忘を専門とした精神科医ジグムント・タナトフスキ教授は、自宅に患者を宿泊させることがありました。
亡き娘アニエラの名を付けた屋敷「アニエリン」で研究を続けていたタナトフスキ教授は、いつしか才能を抽出する方法に辿り着いたのかもしれません……。
現在はアニエリンの一角に、金持ちの子どもを集めて才能を開花させる保育所が開かれています。
ゾフィア先生やピョートル先生はタナトフスキ教授の研究を進めて、金を産み出すまでに至ったのでしょう。
まず、事故に遭った才能を持つ人の精神を、黒い立方体で精神世界にしか存在しない記憶回復施設「セカンドチャンス」に繋げます。
才能を持つ人が昏睡状態にある間に、メインフレームに各人が持つ才能を入力・蓄積していきます。
次に才能を持たない人の頭に電極装置をつけ、メインフレームに蓄積された才能を入力していくのです。
こうして『ユリア』の持つ才能が『アダム』へと移っていったのです。カロリナの靴を脱いでペダルを踏む癖も一緒に……。
こちらはゾフィア先生とユリアの関係や、タナトフスキ家とカロリナの関係を疑っていたので、ピョートル先生とアダムの親子関係には一切気付きませんでした。
原作は小説とのことですが、緻密に組み上げられた作品だなと思いました。映像化しても難解さはほとんど低下しなかったのではないでしょうか?
人間は電気信号で動いているという考え方は現代における常識となっていますが、それを知っていても真相には辿り着けませんでした!
精神病という要素をひとつ足したことで、幻覚と事実を分けようとしてしまって「全て幻覚だった」という結論が見えなくなったのです。
シモンが死んでしまったことは個人的にすごくショックでした……。おそらく「退所」は現実における死に繋がるのでしょう。
命を取り留めた『マグダ』と『ユリア』の共通点は、セカンドチャンスの中で自殺に成功したことです。
2人のように才能を持つ人からメインフレームへの接続を遮断されると、死に至らしめることはできなくなるのでしょう。
シーズン2があるとしたら、カロリナは友人たち全員に自殺させなければいけません。これはかなり難易度が高いですね……。
しかし、常に友好的に接してくれたイザベラやメインフレーム侵入に協力してくれたパヴェウは助けてあげたいですよね! ついでにミレナも。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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