こちらにはNetflixのオリジナルドラマ『今際の国のアリス』シーズン2 エピソード8【最終回】のネタバレと感想があります。
主な登場人物・キャスト
アリス(山崎賢人)
ウサギ(土屋太鳳)
チシヤ(村上虹郎)
アン(三吉彩花)
ニラギ(桜田通)
クイナ(朝比奈彩)
ヘイヤ(恒松祐里)
タッタ(渡辺佑太朗)
バンダ(磯村勇斗)
ヤバ(毎熊克哉)
チョータ(森永悠希)
カルベ(町田啓太)
ボーシヤ(金子ノブアキ)
アグニ(青柳翔)
ミラ(仲里依紗)
ネタバレまとめ
げぇむ
♥Q「くろっけぇ」
難易度:Q
るうる
ハートのクイーン・ミラを相手にクロッケーを3セット行えばゲームクリア。
武器の使用も可能。
途中棄権した場合はゲームオーバー。
「げぇむ」の参加者
ミヅチガタリ
ハートのクイーン・ミラが持ちかけてきたのは、クロッケーを3セット、途中棄権せずにプレイするというゲームでした。
ただの球技かと思いきや、ミラはアリスが今際の国が何なのか知りたがっているという点に目をつけてアリスの心を揺さぶります。
アリスはミラの口車に乗って棄権させられそうになりますが、それを必死で止めたのはウサギの命を張った説得でした。
アリスとウサギの絆の深さに感動を覚えたミラは、人生最後のクロッケーを存分に楽しんでゲームを終えます。
ゲームが終わって迫られたのは、今際の国の永住権を手にするか放棄するかの2択でした。
アリス、ウサギ、アグニ、ヘイヤ、クイナ、チシヤ、ニラギは永住権を放棄し、元の世界に戻ることを選びます。
アリスはチョータとカルベに再会しましたが――それは、ただの夢でした。アリスは病院に運び込まれます。
渋谷区で隕石が爆発したことで、その近辺には死傷者があふれていました。アリスたちは今際の国の記憶を失い、元の世界に戻ったのです。
今際の国で永住権を手にした人には、元の世界で起きたことなど分かるはずがありませんでした。アリスは勝ち抜いたことで、答えを手にしたのです。
元の世界で再会したアリスとウサギは、アリスのたどたどしいナンパという形で再び親しくなります。
今際の国のアリス シーズン2 エピソード8【最終回】
ルール説明
アリスとアグニが引き起こした爆発によってまだくすぶっている渋谷駅前の街には、最後のゲームに参加しなかった人々がいます。
ぼんやりと空を仰ぐアグニ、死ぬ前にアグニと会いたいと願うヘイヤ、アンの亡骸の横で死を待つクイナ……。
ウサギを守ってニラギに右胸を撃たれたチシヤと、アリスに散弾銃で撃たれたニラギは最後のゲームが行われるビルを見上げます。
そのビルの屋上にあるハートのクイーン・ミラが設置したゲーム会場には、アリスと足を引きずるウサギがいました。
「ルールの説明をさせてもらうわね。これから私たちが行うゲームは、難易度ハートのクイーン『くろっけぇ』」
ミラは楽しそうに身振り手振りをつけて語ります。クロッケーはイギリスの球技で、芝生のビリヤードとも呼ばれるものです。
意外なことに、クロッケーの勝敗はゲームの勝敗とは関係ないとミラは言います。
「クロッケーを3セット途中棄権せずに、ただやり終えることがゲームクリアの条件。途中棄権すればゲームオーバー。武器の持ち込みもOK」
ミラの設定したルールや条件があまりにも簡単すぎて、アリスもウサギも戸惑ってしまうのでした。
クロッケー
クロッケーは、マレットという名の木槌とふたつのボールを使い、定められた順序で6つのフープを二度ずつ通過させます。
そして、最後のフィニッシングペグにボールを当てた方が勝利です。しかしこれはクロッケーの勝利であり、ゲームとは関係ありません。
試しに一度打ってみるアリスでしたが、フープに当たってボールがはね返ってしまいます。
ミラはさくさくと打ち進めていき、1セット目はすんなりとミラが勝利しました。ミラは満足そうに笑います。
「3セット、途中棄権せずにやり終えればゲームクリア。俺たちの勝ち。あと2セット。――何考えてんだ、あいつ」
アリスは自らの敗北――死を招くクロッケーをためらいなく進めていくミラが理解できず、困惑します。
2セット目になり、ミラはフープを通さずにボールを転がすようになりました。そこでウサギは気が付きます。
「彼女はただ、ゲームを引き延ばしてるだけじゃないの? 彼女は楽しみたいだけ」
そう語るウサギの太ももからは、血が流れ続けています。息も荒く、浅くなってきました。
早くクロッケーを終わらせなければと、アリスは真剣にボールを打ちます。ミラの妨害にも負けず、勝利を収めました。
ティータイム
「2セット目は私の負けね。あなた才能あるわ。……ふう、疲れちゃったわね。お茶でもいかがかしら?」
ウサギのケガの具合を心配するアリスは、ティータイムなどせずにすぐに3セット目を始めたいとミラに進言します。
「ゲーム中のティータイムは紳士淑女のたしなみよ。さっ、遠慮なく召し上がれ」
アリスはクロッケーを続ける気がないならと、ミラにゲームが終わったら元の世界に帰れるのかと問います。
しかし、ミラも答えてはくれません。しかし、アリスが問い詰めるとミラは今際の国について教えると言い出しました。
「ただし、これから何を聞いたとしても、それを知りたがったのはあなた自身よ。それだけは忘れないで」
ミラは、未来の世界を想像したことはあるかと問いかけてきます。そして、元の世界で夢であった技術は現実のものになったと言います。
たった30年で世界の人々は同じ生活水準になり、50年経つと人は長寿化したのだと……。
「私は今、あなたたちに1000年先までの未来の話をしてるのよ」
突然の話についてこられくなっているアリスとウサギのことなど気にせず、ミラは静かに語り続けます。
ミラの語る未来
10年後には仮想現実が生活を占め、50年後には遺伝子工学によりすべての病が治療できるようになり、100年後には災害がなくなった。
200年後には記憶や思考の移植ができ、300年後には自然死を克服し、400年後には万物の因果律が科学で証明された。
500年後にはイレギュラーが発生しなくなり、その先の500年間は脳の快楽物質を摂取していれば300歳までも生きていける世界になった。
ミラが語った未来の話を聞いたアリスは、庭にある花壇に目をやります。白薔薇の中には、隠しカメラが設置されていました。
「今、まさにあなたたちは仮想現実でゲームをしてる最中。没入してるあなたはそれを忘れている」
発展した技術によって生きる目的を得られなくなってしまった人々は、1000年前にあった死や世界終焉への危機感を求めたのです。
「ちなみに私は、このシステムの管理人」
真面目な顔でそう語り終えたミラは、次の瞬間にいたずらっ子のように笑い出しました。
「な~んていうのは、全部ウソ。本当はね――」
ミラの作戦
異星人によって遺伝子操作された植物が街を覆い、人類を捕獲しては記憶を消し実験をしている……。
実は核戦争によって地上は人が住めない世界になり、地下に住む富裕層が人工記憶を植えつけたアンドロイドにゲームをさせて賭けをしている……。
ミラはいくつもの説を並べていますが、そのどれも真実とは思えません。アリスもウサギもイライラし始めました。
アリスはクロッケーもやらず、質問にも真面目に答えてくれないミラに向かって銃を構えます。
しかし引き金に指をかけたとき、アリスはある考えに辿り着きました。アリスは震えるほどの怒りを必死で抑えます。
「これも、あんたの作戦なんだろ? ゲームの最中にあんたを殺させること」
主催者であるミラが死ねば、ゲームのクリア条件もオーバー条件も満たせなくなってしまいます。
最後のゲームであるくろっけぇが永遠に終わらなくなり、今際の国にいる人々はビザ切れを待つだけの存在になるのです。
「世の中の仕組みとか、世の中の目的とか、そんなの気になっていた? そんなこと、どうでもいいと思わなかった?」
元の世界にいる頃のことを問われても、アリスの信念は揺らぎません。それを知ったミラは、ふざけた態度でいることをやめました。
カウンセリング
「結論から言いましょう。今、あなたが見ている世界は、現実ではない。幻覚」
ミラは今まで語ってきたことを、すべて引っくり返すようなことを言い始めます。こんな世界は有り得ないと……。
おにごっこにしろ、かくれんぼにしろ、発想が幼稚です。技術の進んだ宇宙人ならば、こんな馬鹿馬鹿しいことはしないでしょう。
今際の国で起きたすべての出来事はアリスの脳内で起きたことだと語るミラの言葉を遮るように、ウサギが声を上げます。
しかし、ミラは語ることをやめません。アリスは冷静なミラの言葉によって、失くしていた記憶を取り戻していきます。
「あなたは大切なお友達を亡くした。そのショックで記憶を失った。私はあなたの主治医、加納未来。精神科医」
白衣を着たミラ――加納未来とアリスが向い合わせに座っています。そのカウンセリングを見ていたのがウサギでした。
病院の中で仲良くなったアリスとウサギは、大切な人を亡くした者同士でお互いを見守り合っていたのです。
花火が上がったとき……本当に起きていたのは、チョータとカルベの交通事故死でした。
花火に気を取られたチョータと、チョータを急かしていたカルベは突っ込んできた車にひかれて亡くなっていました。
本当のこと
「あなたが知りたかったのは、自分が何者なのか。何のために生きているのか。その答え。存在理由そのもの」
診察室には、クロッケーの様子を描いた絵がかかっていました。父にも弟にも存在を無視され、愛してくれた母は亡くなり……。
「お前は何のために生きてるんだ。こんな生活をいつまで続ける気だ。おい、生きてる意味があるのか?」
父・賢治からの問いはアリスの胸に深く突き刺さりました。その上、チョータとカルベを目の前で喪ったことでアリスの心は壊れてしまったのです。
しかし絶望に浸るアリスを、ウサギは放っておきませんでした。肩を揺さぶり、アリスの心を繋ぎとめようとします。
そんなウサギを厳しく叱りつけて、ミラはアリスに語りかけます。優しく穏やかな声で、アリスに救いの手を差し伸べたのです。
「さあ……アリス、終わりにしましょうか。途中棄権の意志を確認できれば、ゲームは終わる」
ウサギはミラの言葉を繰り返します。そして、今までのゲームが幻ではなかったと確信しました。
その瞬間、ウサギの両太ももから血が流れ出します。ウサギは痛みに耐え切れず、床に倒れ込みました。
「さあ、アリス……最後の確認をしましょうか。ゲームを、途中棄権するわね?」
命懸けの訴え
アリスは、ミラに勧められた薬を飲もうとします。しかし、ウサギが力ずくでそれを止めました。
「アリス、言ったよね? 私のこと命を懸けて守るって。ミラがどう言おうと、私は間違いなくここにいる。ここで生きてる」
床に叩きつけられて割れたグラスのかけらを握りしめて、ウサギは必死で語りかけます。
もし本当にウサギが、アリスの作り出した幻の存在ならば――アリスは黙ってウサギが死ぬのを見ていられるはずです。
そう言って手首を切ったウサギを見ていたアリスは、自分が倒れ込んでいる場所が次々と変わっていくのを感じていました。
今まで参加してきたゲームの会場を転々とする中で、アリスはウサギの姿を見ます。流血を続けるウサギは、どんどん弱っていきました。
「生きる意味なんて、あっても……なくてもいい。ずっと迷いながら一緒に歩いてきたじゃない。それだけでよかった。それだけで……」
ウサギも生きる意味を迷ったことがあるだけに、アリスを見捨てることはできません。か細い息でアリスに語りかけ続けます。
そして、アリスの目の前でウサギはふっと目を閉じました。そんなウサギの頭をなでながら、ミラは笑います。
「かぁわいそうに。私の勝利ね。ゲームを棄権……するわね、アリス」
アリスの決断
ゲームが終わったことを確信して笑うミラですが、アリスの手がゆっくりと動くのを見て表情を変えます。
アリスがつかんだのはミラの差し出した薬ではなく、ウサギの腕でした。アリスは、血まみれのウサギの腕をそっとつかみます。
「ウサギ……俺は、ウサギともう一度手をつなぎたい。もう一度一緒に歩きたい。一緒に飯を食いたい」
ウサギはその言葉で目を開けると、アリスと同じ気持ちでいることを告げます。一緒に生きたいというお互いの想いを確認し合いました。
「ゲームを…………続けよう」
アリスは強さを取り戻した目でミラを見据えました。ミラは一筋の涙を流します。そして、ハンカチを差し出しました。
「素晴らしいわね。……感動しちゃった。彼女のためにも、ゲームを終わらせましょ」
クロッケーの3セット目が始まりました。アリスもミラも、最後の1セットのため勝利に向けて真剣です。
フィニッシングペグにボールを当てたミラはクロッケーでの勝利を収めると共に、ゲームの敗者となりました。
日も落ち、闇に包まれたゲーム会場でミラは笑っていました。クイーンとしての威厳が、そこにはありました。
ふたつの選択肢
「ふたつの選択肢。どちらを選んでも、答えは分かる。あなた自身が何者なのかも、そこで分かる。人生って……ゲームみたいなもの。もっと楽しみなさい」
ミラはレーザーに撃ち抜かれて倒れました。合成音声がセカンドステージの終了を告げます。
ハートのクイーンを下げた飛行船が爆発すると共に、空に無数の花火が打ち上がりました。
クロッケーを見守っていたウサギの隣に座り、アリスも夜空を見上げます。そこに、合成音声が流れてきました。
「これより生き残ったプレーヤーの皆様全員に、ふたつの選択肢が与えられます。この国の国民となる永住権を手にするか手にしないかお答えください」
アグニは手にしないと言ったとき、ヘイヤはやっとアグニのもとに辿り着きました。そしてヘイヤも、手にしないと答えます。
アグニがヘイヤに手を差し伸べると、ヘイヤはアグニの胸に顔をうずめるのでした。
薬局の裏に横たわっていたクイナも永住権を手にしないと言い、アンと一緒に帰ると決めます。
ヤバとバンダは永住権を手に入れられることを喜び、チシヤは迷いながら手にしないと答えます。
ニラギも永住権を手にしないと言いました。そして――アリスとウサギももちろん、手にしないと答えます。
花火のあとで
アリスはカルベの働くバーに行き“いつもの”を楽しみました。その横にはチョータもいて、カラカラと笑っています。
しかし、すべてが元通りになったわけではありません。ゲームに参加したときの記憶は、全員に残っています。
爆死してゲームオーバーとなったチョータとカルベに対し、アリスは今でも罪悪感を抱えているのです。
しかし、チョータもカルベも、アリスが申し訳なさを抱えながら生きることを望んではいませんでした。
「お前の命を最後まで、全力で使い切ってみせろよ」
――本当はあのとき何が起こったのか、花火のあとに起きたことが発覚します。渋谷駅前に、アリスとチョータ、カルベがいました。
そしてその近くには、ウサギがたたずんでいたのです。スクランブル交差点の向こうにはニラギが腰かけています。
すれ違った人々の中にクイナとチシヤが、地下から出てきた人々の中にボーシヤとアグニがいました。
運送業をしていたタッタはトラックの運転席にいます。そして赤信号に取り残されたアリスたちは、急いで駅のトイレに駆け込みました。
花火そっちのけで逃げるアリスたちを見送ったのはアンでした。そして街の一角には、友達と歩くヘイヤがいます。
アリスたちが駅の中にいるとき、いくつもの大きな光が渋谷に落ちてきて……渋谷を中心に東京都心は大爆発に巻き込まれたのです。
隕石の爆発
爆発に巻き込まれた人々へと、多くの隊員が救命活動をしています。その隣では、消火活動も行われていました。
多くの報道が流れています。東京上空で隕石が爆発したことで、渋谷区や隣接する新宿区、目黒区が被害を受けました。
「身元が判明した被害者の方は、竜田 康大さん、紫吹 小織さん、弾間 剛さん、岡田 渉さん、苅部 大吉さん、赤巻 潤美さん、井上 萌々花さん、九条 朝陽さん、勢川 張太さん……」
今際の国でゲームオーバーになった人たちの名が読み上げられていきます。カルベとチョータの名前も、そこにありました。
なぜ自分だけが生き残ったのかと疑問を持つアリス――有栖 良平に、弟・始が「サバイバーズギルト」という言葉を教えます。
災害や事故などで生き残った人は自分のことを責めてしまうものだと始は語ります。
「でも、兄貴もレスキュー隊に発見されたとき、心臓が完全に停止してたらしいよ。しかも1分間も……兄貴も1分だけ、今際の際にいたんだよ」
その1分間にどこか遠くに行っていたように感じると、良平はつぶやきます。そんな良平に始は、父が泣いていたことを伝えました。
ニラギ――韮木 傑は全身に火傷を負った状態で目覚め、そんな韮木をチシヤ――苣屋 駿太郎が見ていました。
心肺停止していた者同士、ふたりは語り合います。事故の前と比べて見た目が派手になったと自嘲する韮木に、苣屋は静かに語りました。
「ずいぶんとムダな生き方をしてきたから、これからはもう少しマシな生き方ができそうな気がする。そんなところかな」
JOKER
ヘイヤ――塀谷 朱音は記憶がないにも関わらず、なんとか命をつないだアグニ――粟国 杜園の姿に目を奪われます。
そして手術室では、アン――安 梨鶴奈の手術が行われていました。心拍が戻らないアンに医者が必死で手を施します。
クイナ――水鶏 光は看護師に付き添われながら母を探していました。車椅子に乗った母と再会し、光は母と抱き合います。
生きて戻ってきた光を見て、光の性自認について受け入れられずにいた父も喜ぶのでした。
病院の庭にはゲームの中で出会った人々が大勢いるのですが、良平がそれに気付くことはありません。
しかし、良平とウサギ――宇佐木 柚葉は自動販売機の前で再会しました。ジュースのおつりを取り忘れたことで、ふたりは会話を交わします。
「あの……どっかで会ったことありましたっけ?」
「さあ?」
「待って。ほんとに会ってません?」
「え?……それって、ナンパですか?」
記憶の隅にウサギの姿が残っているのか、良平は柚葉をしつこく呼び止めます。そんな良平に対し、柚葉は興味を持ったようでした。
良平の不器用なナンパに応えることにした柚葉は、会ったことがあるという良平の言葉に乗っかります。
――しかし、まだ誰も重大な事実に気が付いていません。トランプには数字と絵札の他に、ジョーカーがあるということに……。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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