Netflixドラマ『ある呪われた学校で…:ザ・シリーズ』「ランチ」ネタバレ感想

Netflixドラマ『ある呪われた学校で…:ザ・シリーズ』「ランチ」アイキャッチ
この記事は約17分で読めます。

Netflix独占配信の『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「ランチ」は、一夜にして大人気となった校内カフェテリアのスープをめぐる真実を探っていく物語です。

ミヅチ
ミヅチ

かなりグロテスクな画が出てくるので、苦手な方は「ランチ」自体を避けたほうがいいかもしれません。

スポンサーリンク

Netflixドラマ『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「ランチ」情報

日本公開日2022年8月10日
制作国タイ
ジャンルホラー
注意書きR-16
暴力、言葉づかい、性的暴行、自殺
上映時間49分

『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「ランチ」主なキャスト・スタッフ

キャスト

コング
真実の追求者として動画配信をする男子高校生
トンホン・タンティウェーチャクン
『ドクター・クライマックス』
ヨングおばさん
大人気の校内カフェテリアで働く女性
スリダ・ポーウィモル

スタッフ

監督ソンサック・モンコルトン

『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「ランチ」あらすじ

男子高校生コングは「真実の追求者“クリック”コング」として動画の生配信をしています。そんなコングが今回対象としたのは、学校のカフェテリアでした。

一夜にして大人気となったスープを出す屋台が、学校で噂になっています。急に味が変わったことには秘密があるに違いないと、コングは真実を探り始めました。

そこで屋台でスープを作っているヨングおばさんの身辺を探ったコングは、ヨングおばさんの息子が薬物の売人であり、学校にも薬物が回っていることを突き止めます。

コングは視聴者となっている生徒たちに煽られるまま、大人気スープの鍋に近付いていきます。そして、コングは鍋の中身を撮影しようとして……。

ここから先はネタバレがあります!

スポンサーリンク

『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「ランチ」ネタバレと感想・考察

ヨングおばさんの家

とある学校のカフェテリアにて、ある屋台が一晩にして人気を得た。その人気の秘密は、ある老女がスープに入れている“肉”にあった……。

男子高校生のコングは「真実の追求者“クリック”コング」としてライブ配信を行っています。辛い豚骨スープで人気となった噂のカフェテリアが今日の舞台です。

店の名前がないため、皆は店主の名前から“ヨングおばさんの家”と呼んでいます。そして、ここで衝撃的な事実――ヨングおばさんの息子が麻薬の売人であることをコングは告げました。

ヨングおばさんの息子と親しい人物がコングのインタビューに応じ、学校ではアンフェタミンと大麻が売れていると答えます。売買の場所はトイレの後ろだと、生徒が当たり前のように話します。

ヨングおばさんも息子が学校で薬物売買をしていると知っている――そんな噂もあり、ヨングおばさんの家のスープには大麻が入っているのかも……とコングは考えたのです。

今どきな高校生ですね。都市伝説を実際に調査しに行き、その動画をリアルタイムで配信するという度胸の据わった配信者は嫌いじゃないです!

インタビューに応じてくれた人々へのモザイク処理や画角の調整なども素人とは思えない仕上がりで、これはかなり人気の配信だろうなと想像できますね。

しかも、何が入っているか分からない噂のスープを実際に食べています。高校生にしては……いや、高校生だからこその勢いでしょうか。

「真実の追求者」という自ら名乗っている二つ名がちょっとダサいのが、またいいですね!

ヨングおばさんの息子ですら、食事には“何か”が入っていると考えています。こういった取材を経て、コングはスープの入っていた鍋底を見ようと企んだのです。

視聴者たちが盛り上がる様を満面の笑みで見つめながら、コングは鍋に手を伸ばします。しかし、奥の調理場に入って行ったヨングおばさんが戻ってきてしまいました。

コングは鍋を開かせまいと抵抗するヨングおばさんを見て、興奮を抑えられなくなります。そうしてヨングおばさんともみ合っている内に、スープの鍋が倒れてしまいました。

すると、スープの鍋からは――犬の頭と思しき塊が出てきました。コングは頬を紅潮させて、周りの生徒たちに「犬の頭だ」と言い触らします。

そんな中、ヨングおばさんは“何か”が入った布の袋をそっと隠しました。それは、前日の夜に暗闇の中でさばいていた謎の肉でした……。

う~ん……犬の頭かどうかをすぐに判断はできないですね……。なにせ毛は取り除かれていますし、まだ肉が残っているので骨の形も分かりませんし……。

しかし、それを見て大騒ぎしたコングのおかげで、ヨングおばさんはもうひとつの本当に隠さなければならない袋を隠すことができたようです。

ヨングおばさんの悲しそうな顔が印象に残り、コングがだいぶひどいタイプの配信者に見えてきました。まさに炎上系ですね。

スポンサーリンク

黒い人影

コングは友人たちと集まり、今後について話し合っていました。犬の頭蓋骨と思われるものは、校長を通じて理科教師に渡されたとのことです。

配信者として名を上げたと感じたコングは、背中に「Click」というタトゥーを入れます。そんなコングを、友人たちは英雄だと褒めたたえました。

そんなとき、コングはある人影に気付きます。階下から、ベランダで話すコングたちをじっと見つめている真っ黒な人影に……。

その人影は、コングが一瞬目を離した隙に消えてしまいました。そして、コングが英雄になったと同時に、ヨングおばさんは罪人として蔑まれます。

ネット上の声を眺めながら校内を歩くコングに、黒い人影がぶつかってきました。いらだちを覚えたコングは、その人影を追いかけます。

理科の先生ならば、一目見た瞬間に犬の頭か否かは判断できるでしょう。この先、犬の頭ではなく出汁に使われるのに適した食材だと判明する可能性が出てきました。

しかし男子高校生というのは熱気に酔いやすいもので……誰ひとり、その可能性に気付いていません。

その上、調子に乗ったコングは校内の生徒にしか知られていないであろうチャンネルの名前を背中に彫ってしまいました。

自分の背中に明朝体のようなフォントで「Click」と彫られていると考えると、寒気がします……。絶対後悔するタトゥーですよね。

その上、コングに明確な敵意を持つ相手が現れてしまいました。今回の怪異はこの人影でしょう。どんな怪異なのか楽しみです!

体育館に入った人影は、深くかぶったフードの中から包丁を取り出しました。しかし、背を向けられているコングはそのことに気付いていません。

コングが人影の顔を配信してやろうとスマートフォンに目を落とした瞬間、人影は姿を消しました。そして、コングの死角から襲いかかってきます。

人影が包丁を持っていると知り、コングはあわてて逃げ出しました。しかし、人影は瞬間移動でもしているかのように俊敏に動き、コングを追います。

大騒ぎしながら体育館から出てきてネットにからまったコングを、他の生徒が撮影し始めます。そのとき、人影はもう体育館から消えていました。

コングは、真実を暴かれたヨングおばさんが誰かを雇ったのだと考えます。そして、友人ジョドをカメラマンにして生配信でヨングおばさんを追求することにしました。

黒い人影が人間ではなさそうだということが分かりました。フードの中から包丁を取り出すというのも、普通の人間ならばしないでしょう。

しかし、当のコングはそれに気付いていません。相手が瞬間移動しようと、他の人には見えなかろうと、その違和感に気付かずにいるのです。

真実の追求者を名乗りながら、こういったかなり大きな違和感に気付けないというのは、先行きが心配ですね……。

スポンサーリンク

ヨングおばさんの息子

カフェテリアで動画を撮っているとき、コングは調理場に黒い人影がいることに気付きます。やはりヨングおばさんが誰かを雇ったのだと、コングは確信しました。

しかし、ヨングおばさんは犬の頭をスープに入れたことも、コングを襲う依頼をしたことも、きっぱりと否定しました。

そこでコングは、ヨングおばさんと黒い服を着た若い男性の写真を指差しました。顔は見ていないが、この男に違いないとコングは声を荒らげます。

ヨングおばさんは、一緒に写っているのは自分の息子だと主張します。それに対し、薬物の売人で前科者の息子に復讐を頼んだのだとコングは推理しました。

すると、ヨングおばさんは写真立てを抱き締め、静かに泣き始めました。コングはそれを意に介さず、ヨングおばさんの真実を暴くと調理場に入ろうとします。

あらあら……まったくひとの話を聞かない正義マンに成り果ててしまいました。中立の立場を守れなくなったら、それはもう「真実を追求する者」ではありません。

本来ならば、犬の頭と思われるものの判定結果を待ち、それが何であったにせよ正確に皆に伝えなければならないはずです。

ただし、炎上系配信者ならば今回の行動は正解です。コングが正しかろうと間違っていようと関係ありません。今このとき、数字が取れるのが“正解”だからです。

しかし、ここまで自分の主張をはっきりと口に出してしまった以上、真実がヨングおばさんの言う通りだったとき……コングの立場は非常に危うくなります。

それを分かっているのかどうか、微妙なところですね!

ずっと様子を見ていたカフェテリアで働くおじさんが、しびれを切らして口を出します。ヨングおばさんはずっと、ひとりで作業していたのだと……。

しかし、コングも視聴者たちも止まりません。コングは大声を出しながら調理場に入りますが、そこには誰もいませんでした。

コングを追ってきたおじさんが怒りをにじませながら語ります。ヨングおばさんの息子は一月前に亡くなったのだと……。だからヨングおばさんは黒い服を着ているのです。

息子の遺影と遺骨を見て、コングは勢いを失います。その上、ヨングおばさんの息子は断頭され、頭はまだ見つかっていないとのことです。

おじさんが大きな声で話したため、カフェテリアにいる生徒たちにも話は聞こえていました。調理場から出てきたコングに、冷たい視線が刺さります。

ヨングおばさんは真面目に働いていたようで、一緒に働く人たちは味方になっています。そもそも、職場を追い出されていない時点で、信頼されている人なんですよね。

正義感を振りかざして職場の仲間を追い詰める男子生徒に対して、堪忍袋の緒が切れたということでしょう。

本来、学校のカフェテリアの店員が生徒たちにプライベートを明かすことはありませんが、この状況では致し方ないと考えたのだと思います。

そして、これは配信者の宿命――真実だという体で嘘を拡散したと分かった瞬間に、英雄は叩く対象へと変わるのです……。

スポンサーリンク

コングの味方

配信動画の視聴回数を稼ぐためにヨングおばさんを傷つけたことを、カフェテリアの店員からも生徒たちからも責められ、コングの立場は悪くなります。

コングは必死に反論しますが、そこにやってきたポブ先生にとどめを刺されました。犬の頭蓋骨だと思われたものは、鶏の頭だったのです。

大学の研究室での検査結果が出たため、コングの立てた説が間違っていたことは確実でした。コングはそれでもなお、抵抗を続けます。

ネット上の誰かが言っていた「ヨングおばさんが犬を袋に入れて叩き殺していた」という話をしますが、ポブ先生はそんな噂など信じません。

ポブ先生に説得されても、コングは自らの過ちを認めようとしません。絶対に謝らないと主張するコングを見た生徒たちは、一気に手のひらを返しました。

こうなると思っていました。犬の頭にしては筋肉のつき方が変だなあと思っていたんですよね……。

犬や猫であれば上下の歯で獲物の肉を噛み切るため、上あごと下あごが繋がっている位置に大きめの咬筋(噛むときに必要な筋肉)があるはずなんです。

そういった筋肉が見えず、斜め下に伸びていく筋しか見えなかったので……。絵を学ぶ際に筋肉だの骨格だのを覚えたことがホラーに活きることってあるんですね。

コングもコングで、すぐに過ちを認めて謝っていればよかったんですよね。今話題の「嫌知らず」の純度100%バージョンといったところでしょうか。

カフェテリアから逃げ出したコングは、親が呼ばれたことと集会での謝罪を課せられたこと、告訴されたら負けるであろうことを友人たちに語ります。

冷静な友人は、すぐに謝罪して終わらるよう勧めます。それに応じないコングに、友人たちはコングが生徒たちからどう評されているかを教えます。

コングは「クラウトチェイサー(視聴回数狙い)」と言われ、骨を入れたのもコングかもしれないと疑われる立場になっているのです。

コングはそんな生徒たちをも敵と認定し、自分は間違っていないという主張を続けます。友人たちは笑い話にして済ませようとしますが、コングの考えは変わりません。

そんなコングを見た友人たちは、もう共に行動できないと告げました。コングのやっていることはSNSいじめなのだと、静かにたしなめます。

配信に協力的だった友人たちも、もう退くしかないと理解していました。鶏の頭だと証明された時点で、コングに勝ち目はなくなったのです。

しかし、コングは変わりません。おそらく、コング自身がネットの噂に踊らされてしまい、根拠のない話を真実だと信じ込んでしまっているのでしょう。

だからこそ、コングは自身の行動を正義だと信じているのだと思います。明らかに、科学的に間違いだと証明されてもなお……。

コングは説得してくれた友人ソンを殴ったことで、校内におけるすべての味方を失ってしまいました。もう、あの人影に襲われても誰も助けてはくれないでしょう。

スポンサーリンク

堕ちた英雄

その日の夕方、ヨングおばさんはいつものようにスープの仕込みをしていました。いつものように、布の袋に入った肉も用意します。

コングは校舎の影で煙草をふかしていました。英雄として祭り上げられ、真実の追求者として活躍していたことが遠い過去のようです。

どうしてこうなってしまったのかと、コングは悔し涙を流します。それでもコングは配信を続けようとスマートフォンを掲げます。

そんな中、コングに殴られたソンがコングを罵倒する動画を配信します。その動画を見たコングは怒りをたぎらせます。

そこに一匹の猫が現れます。コングはある作戦を思いつき――血まみれの袋を金属の柵に何度も叩きつけるのでした。

猫ーーーーっ!! 英雄も堕ちるところまで堕ちました。猫を殺すようになったら、もう炎上系配信者でもなく、ただの犯罪者です。

そして今、重要なことを思い出しました。検査したのはあくまで”なんらかの頭蓋骨”であって、スープそのものは検査していないのです。

そのため、ヨングおばさんが本当のところは何を入れているのかは分かっていません。本当に食べてはいけないものを入れている可能性もあるのです。

コングが本当に「真実を暴きたい」と思っているのなら、スープを検査機関に持っていけばいいのです。しかし、コングはそうしませんでした。

コングの頭の中には、もう真実の追求など存在しません。自分の立場を悪くしたヨングおばさんへの復讐心だけが渦巻いているのです……。

ヨングおばさんの秘密のレシピは、カフェテリアの誰も知りません。そのため、噂のスープはヨングおばさんが学校を辞める月末までの限定メニューとなりました。

ヨングおばさんはスープの材料が足りないことに気付き、女性の同僚と共にカフェテリアを出ました。共に働くおじさんも食器の片付けを終えてカフェテリアを出ます。

そっと調理場に忍び込んだコングは、スープの材料が置いてある調理台を見つけます。調理台の上は、まるで黒魔術の儀式を行うようにセットされていました。

キャンドルで囲まれた食材、そして布の袋――その奥にはヤギの頭の骨があり、一番奥にヨングおばさんの息子の遺影が置いてあります。

ヨングおばさんがただの料理人ではないと分かり、コングは死んだ猫が入った袋を置きます。そしていつも通り、生配信を始めようとスマートフォンを手に取りました。

そういえば、あの布の袋――ちょうど人の頭が入りそうな大きさだったような……? まさか、息子の頭で出汁を取っているのでしょうか!?

しかし、そうなると黒魔術はなんのために? という疑問が湧きます。息子の復活を願っているのでしょうか?

例の黒い人影は、フードの奥から包丁を取り出していました。頭があったら難しい動きなので、人影には頭がないと考えられます。

そうなると、黒い人影=ヨングおばさんの息子ということになります。コングの推理は当たっていたわけですね。

しかし、亡くなったヨングおばさんの息子が怪異となってコングを襲っていると言ったところで、誰が信じるのかという大問題があります。

スポンサーリンク

大人気スープの出汁

まるで言うことをきかないスマートフォンに集中するコングの背後に、何者かがぴったりと張り付きます。コングはすぐに振り向きますが、人影は消えてしまいました。

コングは怖くないと強がりますが、人影に襲われると悲鳴を上げました。しかし、それでも心は折れていません。

ヨングおばさんの息子なのだろう、首を切られて殺されたのだろう……そうコングに問われた人影は、深くかぶっていたフードを外します。

そこに頭は――ありませんでした。何度も襲ってきた人影が人ならざる者だったと分かり、コングはカフェテリアの調理場を逃げ出します。

職員室に向かったコングは、必死な顔で教師たちに助けを求めます。しかし、コングには薬物中毒の疑いがあるため、教師たちの態度は冷たいものでした。

コングは真実にたどり着きましたが、その真実は誰にも伝えられません。調子の悪いスマートフォンには何一つ記録されていないからです。

もちろん、黒魔術が行われている調理場に人を連れて行けば、その人は異様な状態に疑問を持ってくれるでしょう。

しかし、今のコングには……誰かの信用を得て、夜に調理場へとついてきてもらうことなど不可能に近いことです。

教師たちは、夜に調理場へと忍び込んだコングを責めるばかりでした。コングは教師たちを頼ることをやめ、ひとりきりで人影に立ち向かうと決意します。

大きなカッターを手にしたコングは、再びカフェテリア奥の調理場へと向かいました。そこでやっと、コングは謎の袋の存在に気が付きます。

コングはカッターで結び目を切り取ると、袋をほどきました。そこには、大人のものと思われる人間の頭が入っていました。

再びコングの前に現れた人影に、ヨングおばさんは「もういい」と声をかけます。コングは、ヨングおばさんが人殺しだと理解し、ひたすら謝りました。

しかし、コングは忘れていました。ヨングおばさんを陥れるために用意した猫の死体を、調理場に置いたままにしておいたのです……。

コングのアホさが際立ってきましたね。黒魔術のセッティングをしている以上、ヨングおばさんは確実にその場に戻ってきます。

そして儀式を行ったあと、すべてを片付けるはずです。そうしなければ、もっと早くに黒魔術セットの目撃者が現れているでしょうから……。

黒い人影がヨングおばさんの息子で、ヨングおばさんと敵対している自分を襲ってくる以上、人影とヨングおばさんが組んでいるのは確実です。

ヨングおばさんが戻ってきたら2対1の不利な状況になるということに、気付いていなかったようですね。

そして、土壇場になって謝る覚悟が決まったのはいいけれど、自分の悪意の証拠を目につく場所に置いておくのもなかなか……。

スポンサーリンク

真実を追求した結果

ヨングおばさんはコングとのいざこざを避けるため、静かに学校を去るつもりでいました。しかし、コングの悪意に気付き、気が変わったのです。

愛する息子と永遠に共にいたい。屋台を人気店にしたい。独りで生きていくために生計を立てていきたい。

ヨングおばさんの望みは小さなものばかりでした。しかし、コングが余計な詮索をし、それに失敗してもなお悪意をぶつけてきたことによって、望みが絶たれようとしています。

ヨングおばさんはコングの体に何度も何度も包丁を突き立てます。コングの知りたかった真実を全て教えた上で、死の鉄槌をくだしたのです。

たとえ黒魔術やら、死んだ息子の骨で出汁をとっている事実やらがなかったとしても、ヨングおばさんにはコングを殺す動機があると思います。

おばさんとは呼ばれていますが、もう高齢者でしょう。その年齢で、今まで続けてきた仕事とは別の仕事を探さなければならないというのは、かなり困難な状況です。

それが動画の視聴数稼ぎのためであり、その上、悪くなった立場を逆転させるために罠を仕掛けにきたと知ったら……。

今回は殺される側のコングにまったく同情できない話となってしまいました。

翌日――大人気のスープの味がよりおいしくなったと、生徒たちは楽しげに話しています。コングの友人たちも、謝りたくないから出てこないだろうと笑います。

コングの友人たちがスープを口に運ぶのを見ながら、ヨングおばさんは口角をつり上げます。しかし、ギラギラと光るその目に気付く者はいません。

しかし、より美味しくなったスープの中に「Click」と彫られた肉が出てきた瞬間――コングの友人たちは悲鳴を上げてカフェテリアから逃げ出しました。

他の生徒たちも、スープに人肉が入っていることに気付きます。カフェテリアの中は悲鳴と足音だけが響く悲惨な空間となりました。

――コングが最後に撮影した動画は、このようなものでした。視聴回数のために間違ったことをした、自分がバカだったのだ……。

これでコングを許してしまいそうになりますが、この謝罪動画を撮影したあと、コングは友人ソンに罵倒される動画を見ています。

そこでカッとなったコングは、自分の立場を回復させるためだけにヨングおばさんへと罠を仕掛けることを計画し、猫を殺したのです。

撮影した謝罪動画をアップして、そのまま帰宅していればよかったのです。友人からの親切に見せかけた悪意など、無視すればよかった……。

コングは数多くの失敗をしていますが、最後の一手は猫を殺してヨングおばさんをはめようとしたことになるでしょう。

コングとつるんで動画を撮影していた友人たちにも、ヨングおばさんは復讐したのかもしれません。友人の肉を食べさせることで……。

開き直ったヨングおばさんは、無敵の人になってしまったのでしょう。そこまで追い詰めたのはコングであり、友人たちであり、そして無責任な視聴者たちです。

誰も幸せにならない話でしたね。

スポンサーリンク

『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「ランチ」まとめ

箸休めの回である「首なし教師」を挟んだからといって、こんなにグロテスクな話を持ってくるとは思いませんでした。

布の袋の大きさでなんとなくスープの材料を察することはできたものの、ストーリーの先を読むのは中々難しかったように思います。

結局、どうしてヨングおばさんの息子が亡くなったのかは分かりませんでした。誰かが殺したのか、薬物中毒が原因で亡くなったのか……。

首を切り離したのもヨングおばさんなのかどうか分かりません。分かるのは、ヨングおばさんが息子の頭をスープの出汁にしていたことと、亡き息子を黒魔術で復活させたことだけです。

この作品はミステリではなくホラーなので、掘り下げなくともいいことです。ヨングおばさんのことについては、こちらで想像するしかないのでしょう……。

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

ミヅチをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました