Netflixドラマ『ある呪われた学校で…:ザ・シリーズ』「夜の学校」ネタバレ感想

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Netflix独占配信の『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「夜の学校」は、幽霊否定派の一軍男子ボイドと肯定派の親友タムによる怪談をめぐる物語です。

ミヅチ
ミヅチ

学校にまつわるスタンダードな設定が2作品連続できましたね! やっぱり学校は夜に忍び込んでナンボです!

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Netflixドラマ『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「夜の学校」情報

日本公開日2022年8月10日
制作国タイ
ジャンルホラー
注意書きR-16
暴力、言葉づかい、性的暴行、自殺
上映時間49分

『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「夜の学校」主なキャスト・スタッフ

キャスト

ボイド
死後の世界や幽霊を否定する男子
スパポン・ウドムケーオカンチャナー
『恋する幽霊バスターズ』『シング・アゲイン』
タム
ボイドのクラスメイトで親友の男子
ワチラウィット・ルーアンウィワット

スタッフ

監督タナドル・ナルシュート

『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「夜の学校」あらすじ

一軍男子のボイドは、生徒たちの前で幽霊や死後の世界を否定する発表を行います。ボイドのカリスマ性や論理的な語り口は、拍手を呼びました。

そんなボイドは、親友タムと共に自分の理論を証明しようと考えました。夜の10時に学校へと忍び込み、数々の怪談を論破しようというのです。

気弱なタムは乗り気ではありませんでしたが、親友の誘いに乗ることを決めます。そして、その夜ふたりは学校に向かうことにしました。

生配信で同級生たちが見守る中、ボイドは怪談を紹介し、その怪談が論理的におかしいのだとつっこみを入れるのですが……。

ここから先はネタバレがあります!

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『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「夜の学校」ネタバレと感想・考察

幽霊否定派のボイド

学校には、怪談が少しずつ形を変えて語り継がれていく――幽霊は、死に対する無意識の恐怖から生まれたものだと男子生徒ボイドは語ります。

現代の量子物理学者は、人間は素粒子とエネルギーの塊であるため、脳と心臓が止まれば素粒子が消滅すると言っているのだから……。

死後の世界や精霊・幽霊について否定する発表を終えたボイドは、発表を見に来てくれた男友達タムとある約束を果たそうとしています。

気弱なタムは気が乗らない様子ですが、自分の理論を信じているボイドは絶対に譲りません。二人は、夜の10時に学校に忍び込む計画を立てていました。

しかし、予定の時間になってもクラスメイトとのビデオ通話にタムが現れません。タムを待つボイドは、いつの間にかうたた寝をしていました。

「午前7時」で描かれた怪談を、ボイドは嘘だと笑い飛ばしていましたね。クラス丸ごと消えても“消えた生徒たちの記憶ごと”消えてしまうから仕方ありません。

また、全て同じ学校で起きているわけではない――同じ学校名であったとしても、女子校だったり共学だったりしたので――のも信用できないポイントでしょう。

最後の話で怪談や不思議な世界を否定する少年を主役にしたというのが面白いですね。しかし、ボイドは悪夢を見ることがあるようで……。

もしかしたら、死後の世界が“あったらいいな”ではなく“あっては困る”という立場にあるのかもしれません。

母親の手伝いで忙しくしていたタムは、時間が迫っていたため単独で学校に向かっていました。連絡を受けたボイドも、バイクを飛ばします。

閉門時間は午後10時半のはずなのに、既に校門は施錠されていました。しかし、タムはもう入ってしまっています。

ボイドは校門をよじ登り、校内へと入りました。しかし、先に入っているとメッセージを送ってきたタムの姿が見当たりません。

校舎に入ってタムを探していると、ある一室に電気が点きました。タムの名を呼びますが、反応はありません。ボイドはそのドアの前ににじり寄ります。

すると、顔の下に懐中電灯を構えたタムが現れました。思わず声を出してしまったボイドを、タムは笑います。幽霊なんて信じていない立場だろう、と……。

昼間は自信満々で拍手を浴びるのが似合う一軍エリートなボイドですが、さすがに夜の学校に入るといつも通りとはいかないようです。

怪談が嘘だと証明するためにわざわざ夜に学校へとやってきたとのことですが、ひとつやふたつではないであろう怪談のどれを選んだのでしょうか……。

そして、昼間は気弱で優柔不断なタムですが、夜の学校に忍び込むことに成功したということでハイになっているのか――かなり陽気です。

昼と夜でテンションや性格が逆転しているように見える二人が面白いですね!

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ラブレター

見回りの警備員がやってきたため、二人はタムが隠れていた倉庫に入ります。ボイドは、何世紀も信じられてきた迷信を打ち破るのだと決意を新たにし、倉庫を出ました。

ボイドは前を照らすための懐中電灯をタムに持たせます。そして、ボイド自身は自撮り棒がついたスマートフォンを自分たちへと向けました。

ボイドは生配信で怪談を否定する証拠を皆に見せるつもりなのです。最初に選ばれたのは、伝統舞踊クラブでした。

生配信を見るため、かなり多くの生徒が集まってきていました。多くのコメントを満足げに眺めながら、ボイドは企画を進めていきます。

ボイドに促され、タムは祭壇のろうそくに火を点けました。その瞬間から、閲覧者のコメントが意味を持たない文字の羅列に変わります。

さらに、ボートシードやミンなどの級友たちが電話をかけてきます。ボイドはうっとうしそうに通話拒否をしながら、電話をかけてこないよう注意しました。

さっそく怪異が起きているじゃないですか……しかし、ボイドはまったく気付いていないようです。

伝統舞踊クラブというだけあって、祭壇のような場所には舞踊に使われるのであろうお面が飾ってあります。

仏壇のように、お線香の灰をためておく香炉のようなものもあります。タイのお香によくある円錐の形がちらっと見えますね。

花かんむりや装飾のついたオノ、3段の塔のような置物もあります。かなりしっかりした祭壇だなという印象を受けました。

おそらく、お面は神聖なものなのでしょう。舞踊に使う前に祈りを捧げたり、あとでお祓いをしたりといった儀式が必要なのだと思われます。

それはそうと、ボイドが着ているTシャツに「秘密」と漢字で書いてあるのが気になってしまいます……!

文字化けしたコメントをするなとボイドが言ったとき、ある子が「後ろの、本物みたい」と書きます。ボイドは何を言っているのかと、目を細めました。

すると、画面越しに白い猿のような面が向きを変えてボイドをにらみました。ボイドは、タムがやったのだと決めつけます。

そして、ボイドは「ラブレター」という怪談を紹介し始めました。心が女性のヌイはヒロインのシーター役は演じられず、神の子ハヌマーン役しか任せてもらえません。

そんなヌイを可愛いと褒めるラブレターが届きます。しかし、それは誰かのイタズラでした。敵の王ラーヴァナ役の男性アートと踊り子の女性たちは、集団でヌイをいじめていたのです。

怒ったヌイは、舞台で使う武器トライデントを本物の凶器にすり替えました。ヌイは舞台上でラーヴァナ王を演じるアートを刺殺し、のちに自分の首も刺したのでした。

なかなかに胸糞悪いストーリーですね。トライデントとは、三つ又に分かれたナイフのような武器です。

日本では手持ちの刃物として、こういった形状になっているものは見かけません。先が三つ又になっているものといえば、やはり三叉槍ですよね。

海の神ポセイドンが持っている槍(矛)を想像すると分かりやすいです。セーラーネプチューンのマークも三叉槍ですよね。

医学的な知識はそれほど多くはないのですが、傷の近くに別の傷があると手当てがしにくいと聞いたことがあります。

トライデントで刺すと近い場所に三つの傷ができるため、特に首という場所においては治療が難しい、もしくはできなかったものと思われます。

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トライデントと猿の面

ボイドは祭壇に置かれていたトライデントを手に取り、話を続けます。演劇部が行う公演において、裏方や教師たちの目を盗んで武器のすり替えなど不可能だと……。

そのため、「ラブレター」は主君を殺す戯曲「マクベス」を脚色したものだろうとボイドは考えたのです。また、ラーヴァナ王役のアートは今も生きています。

その話に、タムが反論してきます。アートという名はめずらしくなく、同じ名前なだけではないか……そして、この事件はニュースになった過去もあるのです。

また、踊り子役の女性たちが「ハヌマーンの霊が一緒に踊っていた」と言い、気絶したという一件もあります。しかし、ボイドはその件を集団ヒステリーだと結論付けました。

生配信を終えたボイドがスマートフォンを下ろした瞬間、トライデントを構える影が現れます。タムは息をのみますが、偶然ボイドがしゃがんだため事なきを得ました。

ヌイが怒ったのでしょうか……? ボイドのほうへと向きを変えた白い猿のようなお面は、ハヌマーンを演じる際にかぶるものでした。

トライデントをすり替えるのが可能か否かですが、私は可能ではないかと思います。上演が始まって以降は、多くの人が舞台上を最優先に動くと考えられるからです。

小道具が置かれている場所をじっくり見ている人などいないでしょう。足りないものがあったら別ですが、ぱっと見で同じであれば、そこまで気にかけないと思われます。

また、踊り子たちが気絶したのが集団ヒステリーだと言い切ることもまた、難しいと思います。もちろん、ダンスや歌でトランス状態になることはよくありますが……。

自分たちの行動によって殺人未遂や自殺をした部員がいるからという理由で、いじめっ子たちが集団ヒステリーになるというのは……そんなにやわな神経じゃないでしょうと……。

もし気絶したのがいじめっ子ではなく、怪談を聞いただけの無関係な女子だったら――ハヌマーン姿の乱入者を見て「ヌイだ」と理解できるだろうかと疑問です。

また「マクベス」の脚色というのもつっこみどころです。タイの伝統的な演目にシェイクスピアをなぞらえるものでしょうか?

マクベスは主君を討って王位を手にした人です。しかし、ハヌマーンは主人公ラーマ王子と共に戦う存在であり、王位をつかむのはラーマ王子です。食い違っています。

怪談を面白くするためにテキトーに脚色した誰かがいると言われたらおしまいですが……。

トライデントがかすったのか、ボイドの頭からは血がたれていました。しかし、トライデントを構えるハヌマーンの影を見ていないボイドに危機感はありません。

夜の学校でハヌマーン姿の何者かが目覚めたことを知らぬまま、ボイドとタムは次の目的地へと向かいました。警備員は眠気に襲われ、ろくに監視カメラ映像を見ていません。

体育館についたボイドは「体育館の幽霊」という怪談を紹介します。ボイドはタムに怪談が書かれたメモを渡し、腰の高さの平均台の前で音読させました。

体操の代表選手になれなかった候補者が、平均台に画びょうを置きました。それを踏んで平均台から落ちた代表選手は不幸にも首を骨折し、亡くなったのです。

それ以来、夜な夜な練習する音が体育館から聞こえてくる――そんな話でした。ボイドはタムの音読を聞き終えると、すぐに反論を始めます。

ボイドは「柵にぶつけた」と言っていましたが、伝統舞踊クラブの部室に生徒がけがをするようなものを置いてあるとは思えません。

祭壇には色々なものが置いてありましたが、とがったものはそこに集められているように見えました。

しかし、タムもわざわざ影が見えたなどと言ってボイドを刺激することはしません。今見たことは心の内に潜めたまま、次の場所に向かいます。

もしかしたらタムは気付いているのかもしれません。幽霊が狙ったのは怪談肯定派のタムではなく、否定派のボイドでした。

タムが怪談を否定したりバカにしたりしない限りは、幽霊に狙われずに済むかもしれないのです。それならば、生贄のボイドには何も知らせないほうが得策ですからね……。

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体育館の幽霊

国の代表選手が練習するときに、平均台に画びょうが置いてあることなど有り得ないとボイドは語ります。コーチやスタッフが必ずチェックするものだからです。

また、夜中の不審な音については、木が水分を吸って膨張する音だと言い切ります。それを、怪談を聞いた人が「練習する音だ」と思い込んだのだと……。

ボイドは生配信を切り、体育館を出て行きます。すると、走る音が響いてきました。そして、関節がおかしな方向に曲がった血まみれの女子選手が、その首をボイドのほうへと向けます。

二人は非常口を通って校内に戻ってきます。次はどの怪談を取り扱うのかと、タムはボイドに尋ねます。ボイドはすべての怪談を知っていると自信満々でした。

そんなボイドに、タムはボイドが知らないであろう怪談があると匂わせます。すると、ボイドはプライドが傷付いたのか、煽るように生配信を始めました。

首しか折れてないと思っていたのですが、他の場所も骨折してしまったんですね……。その体で毎夜練習していたのかと思うと、苦労が偲ばれます。

怪談が事実だとしたら、真っ向から否定する話をされたら幽霊たちはどう思うか――今まで考えたこともありませんでした。新しい切り口ですね。

少なくとも、いじめと殺人・自殺を否定されたヌイと、卑劣なイタズラにより命を落とした女子選手は激怒しているようでした。

幽霊には幽霊の感情があるのだと、それを否定すると“新たな怪談”になってしまうかもしれないと……そういう教訓めいた話なのかもしれないですね。

タムは3つ目の話を始めます。昔――親友ふたりが怪談は嘘であると暴こうとしました。選ばれた場所は、閉鎖された学校の最上階です。

二人は、ミッションを思いついたらコインを投げ、勝者は敗者に命令できるという賭けを始めます。そして……。

ボイドは、タムの怪談を途中でさえぎりました。まったく聞いたことのない話だったため、タムの作り話だと思ったのです。

そして、ボイドは怪談を全否定して生配信を終えました。しかしタムは、幽霊は見えないだけで存在するのだと、かたくなに言い張ります。

そのとき――校舎の電気が消え、真っ暗になりました。そして、廊下の先だけにポッと赤い光が灯ります。そこには、伝統舞踊の踊り子の姿をした人物がいました。

ボイドの生配信が完全に終わったところで、幽霊たちのブチギレタイムが始まったようです。

タムは相変わらず幽霊を肯定します。ボイドが配信の中でタムごと否定派だと言ったため、少しあせっているようにも見えました。

しかし、ここまで頑固だと幽霊を信じているということの他に理由があるのではないかと勘繰ってしまいますね。

もしかして、タム自身も幽霊なのか……タムは以前に幽霊を見たことがあるのか、召喚したことがあるのか、そういう家系なのか……。

それはそうと、ボイドがこの先どんな目に遭うのか、楽しみにしてしまっている自分がいます!

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幽霊たち

ボイドは廊下の先にいる踊り子の近くまで行き、誰だと尋ねました。すると、ひとりだったはずの踊り子は二人になり、踊り始めます。

彼女たちの足もとは煙っているようで、ひざから下が見えません。いつの間にか、廊下は一面真っ赤な灯りに包まれていました。

タムに戻ってくるよう急かされたボイドは、タムのもとへと走ります。しかし、前にも後ろにも踊り子が現れ、尻餅をついてしまいました。

怪談の通り、踊り子4人に囲まれてしまったのです。すると、踊り子たちは横並びになって一斉にボイドを指さしました。そして、大きな叫び声を上げます。

タムに抱えられ、ボイドは転がるように校舎を出ました。タムが仕組んだのだと邪推するボイドに、タムは本音をぶつけます。タムに、ボイド以外の友達などいないのだと……。

やけにタムとボイドの二人きりのシーンが多いなと思っていたら、タムは他の同級生とはほとんど交流を持っていないんですね。

ボイドは、色々な誘いにすぐ乗ってくれるタムの都合の良さに甘えていたのかもしれません。ボイド自身がタムの唯一の選択肢であるとは気付かずに……。

タムはボイドを見捨てる気なのかと考えていましたが……一軍エリートのボイドがいなくなったらタムの立場は地に落ちると思うと、なんとしても助けそうですね。

しかし、そこまで頼りきっていながらも幽霊肯定派なところだけは曲げないというのが、やっぱり気にかかります。

生配信を見ていた同級生たちが二人を怖がらせるためにやっているのだと、ボイドは新たな結論に達します。二人はいつの間にか、体育館にやってきていました。

すると、誰かがやってくる音が聞こえます。それは体操の女子選手でした。二人は、あわててバスケットボールをしまう金属のカゴの影に隠れました。

女子選手は流れるように準備を進めると、平均台の上で演技を始めます。そして、端まで来たとき――バランスを崩して床に落下しました。

女子選手は血まみれになり、腕や脚があらぬ方向に曲がっています。さすがのボイドも怪談は事実だったと認め、二人は体育館を出ようとします。

しかし、知らぬ間に女子選手の霊が目の前まで迫っていました。ボイドは足をつかまれ馬乗りにされますが、ゆっくりした動きの隙を見て逃げ出します。

いわゆる「えっ、今からでも入れる保険があるんですか!?」の状況になってきました。

踊り子たちは死んでいない(はず)なので、生き霊ということでしょうか? ボイドが恐ろしさを心底からは感じられないのは、それが理由だったのかもしれません。

しかし、体操の女子選手の幽霊は……ガチです。話の上で亡くなっていますので、死んだシーンを再現するとなると、ボイドも言い訳がきかなくなってきます。

「画びょうが置いてあるなんて有り得ない」とボイドは言っていましたが、本当に“画びょう”だったのかは分からないんですよね。

幽霊が事故の再現をしたときに画びょうらしきものは映っていなかったので、裸足の足裏に衝撃を与えるような何か別のものがあったのかもしれません。

コーチやスタッフすら見落としてしまうような、実際に踏まなければ分からないような何か……そういうものだった可能性もありますよね。

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アース

校内を逃げ回るボイドとタムを、ハヌマーン姿のヌイと踊り子たち、女子選手の幽霊が追いかけます。そこでタムは、上の階へ逃げるようボイドを急かしました。

最上階についたタムの背後から、ハヌマーンのお面を取ったヌイの幽霊が現れます。タムを押し倒したヌイは、ボイドに襲いかかりました。

二人がかりでヌイをドアの向こうへと追いやると、タムは鉄のフェンスに囲まれた運動場へと入ります。するとボイドは、下の階に行こうと言い出しました。

二人の目の前には、一つ目のついた木のドアがありました。気味が悪いからそこを去りたいボイドに、タムはコイントスを提案します。

下の階に幽霊たちがいるため最上階にいたいタムと、下の階から校外に出たいボイドのどちらの意見を選ぶか――賭けをしようと言うのです。

基本的に逃げる場所といえば“1階”ないしは“出口のある階”です。火事でもなければ、上の階に逃げることは考えにくいです。

「幽霊がいるのは下の階だから」という理論もなかなか苦しいですよね。たった今、最上階でヌイに襲われているわけですから……。

一気にタムの行動が怪しくなってきました。なぜなら、タムが最後まで語らなかった3つ目の怪談と、今からやろうとしていることが完全に同じなのです。

親友ふたりがどんな結末を迎えたのか、タムは知っているようです。そして、それを今再現しようとしているんですね……。

タムは勝手に最上階に残るのが表、下の階に行くのが裏と決めてコインを投げました。ボイドは手を伸ばしてコインをつかもうとしますが、失敗します。

床に落ちたコインは表でした。そこでタムは、一つ目がついた木のドアに二人で行くか、タムを先に行かせるのか――とボイドに尋ねます。

ボイドは幼い頃のことを思い出します。当時の親友アースと共に最上階にやってきたボイドは、コイントスの勝者となっていたのです。

アースは一つ目のドアがある場所へと上っていき、ゆっくりとドアを開きました。そしてすぐに助けを求めます。

しかし、アースの必死な声が聞こえていながらも、ボイドはその場を去ってしまいました。怖くなったボイドは過去を振り切るため、幽霊否定派になったのです。

ボイドが悩まされていた悪夢は、ボイド自身が過去にしてしまった失敗を悔やむ気持ちから生まれたものでした。

また、その失敗が幽霊に関するものだったため、ボイドは過去から逃れるために幽霊や霊界を否定する理論にしがみつくようになります。

タムが3つ目の怪談を語るのを止めたのは、聞き覚えのない話だったからではなく、当事者として過去の失敗をほじくり返されるのが嫌だったからなんですね。

しかし、どうしてタムはその怪談を知っているのでしょうか? その場にボイドとアースしかおらず、ボイドが口をつぐんでいる以上、話がもれるはずがないのですが……。

タムが繰り返し言っている「見えないだけで、いないとは限らない」という言葉は、タムには霊界にいるアースとの接点があったという意味なのでしょうか……?

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ボイドの決断

そのとき、ボイドのスマートフォンが着信を知らせます。電話をかけてきた同級生は、大切な話があるからグループチャットを見るようにと告げました。

そこには、バイクの事故によってアスファルトの上に横たわるタムの写真がありました。つまり――今までボイドはひとりで生配信をしていたのです。

タムは当時のアースへと姿を変え、ボイドに問いかけます。また置いていくのか、と……。一つ目のドアの前にいたアースがつうっと涙をこぼします。

アースは優しくほほえむと、ドアの向こうへと進んでいきます。その近くには血まみれのタムもおり、階段を上ってドアへと向かっていきました。

ボイドは思い出します。ある日、卒業しても仲良くいられるかと不安がるタムに、ボイドは親友だから離れないと答えたのです。

そしてボイドは決断しました。かつて見捨ててしまった親友アースと、そして、ずっと一緒にいると誓った親友タムと共にいることを……。

タムの振る舞いに疑問点はいくつもありましたが、死んだ時期が夜の学校に向かう途中というのは想定外でした。

もともとアースと近しい存在だったのかと思ったのですが……ほんの数時間前に出会った存在だったんですね。

しかし、ボイドの親友という共通点を持つ者同士、通じ合うものがあったのでしょう。最も分かりやすいのは、どちらも優しい子だということです。

そして、ボイドは優しくて孤独な子を傍に置いて“親友”としています。他の同級生に対する信用がほとんどないようなので、自分だけを頼る存在が必要なのでしょう。

一軍には一軍の苦労があるという描写が多かった『ある呪われた学校で…』ですが、ボイドは一軍になってしまった不幸を最も強く感じたキャラクターでした。

スクールカーストでどの位置につくかは、本人が選べるものではありません。なりたくてなる、目指して到達する人もいますが、そうでない人は大変ですね……。

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『ある呪われた学校で…ザ・シリーズ』「夜の学校」まとめ

かつての親友アースを霊界へと向かわせたまま見捨ててしまった一軍男子ボイドによる、悲劇を乗り越えるための歪んだ努力と、本来すべきだったことを描いた物語でした。

何かを強烈に否定する人は、その否定している物事に強く執着している場合が多いんですよね。ボイドもそのタイプだったと思います。

印象的だったのは、日本のホラーでは描かれることの少ない『ラーマーヤナ』ですね。古代インドの7巻におよぶ大長編抒情詩――神話です。

踊り子やハヌマーンなどを出すことで独自性を出し、欧米では描かれない形のホラー描写をぶつけてきたと考えるのが妥当でしょうか?

和製ホラーからは貞子や『呪怨』の伽椰子が世界進出を果たしましたし、この先『ある呪われた学校で…』で描かれた存在が世界進出を果たす日も来るかもしれませんね!

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

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