Netflixドラマ『恐怖の劇場』ネタバレ考察「トラ」いい夫と悪い妻とトラが出会う時――

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ドラマ『恐怖の劇場』はNetflixにて2019年からシーズン1が独占配信されている作品です。

台湾の出版社「鏡文学」の短編小説を原案としており、シーズン1では30分程度の短編SFスリラーが7話公開されています。

この記事ではNetflixオリジナルドラマ『恐怖の劇場』シーズン1「トラ」のネタバレ、解説と考察を行っています。

ミヅチ
ミヅチ

「トラ」では、夫婦間での愛情表現の違いが悲劇を生んでしまいます。相手を試すとろくなことがないですね……。

ここから先にはネタバレがあります!
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「トラ」のネタバレあらすじ

「虎山」は事故現場として、立入禁止となっています。無断でトラの展示場に入った女性が、トラに襲われて死亡したためです。

虎山

うなり声を上げて闊歩するトラを、眼鏡をかけた中年男性(ウー・クンダーさん)がじっと見つめています。彼は塊肉とカットスイカを持ってきていました。

ガラス越しにトラを眺めながらカットスイカをかじった男は、肉とスイカを入れたクーラーボックスを肩にかけると、トラに向かって「誰よりも大切にする」と叫ぶのでした――。

男には若く美しい妻がいました。男とスイカを口移しで食べている妻は、楽しそうに微笑んでいます。

妻は、頬にある傷跡に悩んでいるようでした。そんな妻が飲食店の隅で下ごしらえをしていると、客の男性が話しかけてきます

夫はすぐにそれに気付き、妻に金を渡して買い物に行くよう勧めました。しかし、妻は外出先でも男に愛想よく接し、誘うような素振りをします

夫は、妻に夢中でした。妻の奔放な振る舞いを注意することもできず、気まぐれにスキンシップを拒否されてもすぐに引き下がります。

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不倫

夫が汗をかきながら料理を作っている時、妻は客の男性と話し込んでいます。しかし夫は、「虎山」がニュース番組で取り上げられているのを見ています。

ある夜、妻は酔って遅くに帰ってきました。しかし、それは夫がしつこく電話をしたからです。帰ってきた妻は「ウザい」と夫を叩きます。

着替えもせずにベッドに倒れ込んだ妻は「怒ってよ!」と夫を責めます。夫の優しさは、妻の求める愛情とは違うのでした。

ある日――帰宅した夫は、妻が他の男と行為にふけっている声を聞いてしまいます。相手の男は以前、店にやってきた客でした。

不倫相手の男は、妻に「トラを見に連れてってあげる」と言っていました

夫は逃げて行く相手の男を呼び止めることもなく、冷やしてあったスイカを食べ続けます。妻がやってきても、何も言いません。

いい夫

妻を責めることもできない夫は「虎山」にやってきました。しかし、トラの姿が見えません。周りのカップルや親子連れは、がっかりして帰っていきました。

夫は、関係者以外立入禁止の場所に踏み込みました。それは、トラの展示場へと通じる通路なのでした――。

帰宅した夫を、妻が責め立てます。「ずっとそばにいるって言ったじゃない」と、自分の不貞を棚に上げて言いたい放題です。

妻は「ロブスターやって」と言って、夫にロブスターの真似をさせました。妻を喜ばせるために必死になる夫に、妻が歩み寄ります。

「町中の男と寝たらどうする?」そう言って妻は楽しげに笑いました。「優しい夫に感謝すべき? そういうあなたにうんざりなのよ!」

夫は「いい夫はやめる。約束する」と叫びました。

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逢瀬

夫は、妻ではない女と床に入ります。金で買った女は夫を誘いますが、夫は勃起不全を起こしてしまいます。

夫は女を置き去りにして帰宅しました。出迎えた妻は、夫の浮気に激しく怒ります。そして、二度と浮気をしないよう命じるのでした。

翌朝、夫は飼い猫にエサを与えますが、そっぽを向かれてしまいます。夫は仕方なく、外階段の下にエサを置くのでした。

出かける妻に、夕食は好物を用意すると夫は話します。そして妻が家を出ると、夫は肉を持って「虎山」に向かいました

妻は、この前の男とデートする予定でした。行き先は分かっています。不倫相手は妻に「トラを見せる」と言っていたのですから……。

ペンチで南京錠を壊しながら、夫はトラの展示場に入っていきます。そんなことも知らず、妻と不倫相手は「虎山」でのデートを楽しんでいました。

好奇心旺盛な妻は、トラを近くで観ようと考えます。そして、夫が鍵を壊しておいた立入禁止エリアに入っていきました

展示場に入った妻がトラに見入っていると、突然トラが妻に襲いかかりました。離れた場所にいた不倫相手は、妻を置いて逃げ出します。

妻は亡くなりました。しかし、夫が傷付いている様子はありません。それどころか、元気に妻の亡くなった「虎山」に通っていました。

事件後に意気消沈していたトラですが、夫が持ってくる肉を食べて元気を取り戻していました。

夫は、そんなトラに話しかけます。しかし――夫には、ガラスの向こうにいるのがトラではなく、愛する妻の姿に見えていました

夫は、ガラス越しに「妻」に話しかけます。「欲しいものは何でもやる。君を大切にする。誰よりも大切にする」……。

しかし「妻」は夫の話を聞かず、そっぽを向いて去って行くのでした。

ジグ ジグ ジグ 墓石の上で死神がかかとでリズムを刻むサン・サーンス『死の舞踏』

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解説と考察

ミヅチ
ミヅチ

ウェイおじさんじゃないか!!

Netflixドラマ『返校』で、現在のウェイ・ジョンティンを演じていたウー・クンダーさんが主役の中年男性を演じていました

『返校』でも気がおかしくなっていましたが、『恐怖の劇場』でも正気を保つことはできなかったようです……。

愛とは何か

夫にとっての愛とは「性に奔放な妻を縛りつけないこと」でしたが、妻が求める愛は「独占欲を傾けてくれること」だったのでしょう。

いつも「いい夫」であった夫は、男を引っかけても何も言わず、自宅に男を引き込んで寝ても怒りませんでした。

しかし、妻はそれを不満に思っていたようです。勝手に不倫して、勝手に「怒れ!」と言ってくるというのは、なかなか理解しがたいですが……。

とはいっても「怒れ」と言ってきた妻に対して「トラに食わせる」という手段に出た夫もだいぶ理解不能です。

ここまで振り切れていると、いっそお似合いの夫婦なのかなとすら思えてきますね。

妻はどうなった?

冒頭で「展示場に無断で入った女性がトラに襲われて死亡した」という報道が出ていたので、妻は亡くなっています

夫は、自ら妻をトラの展示場に引き込んでおきながら、妻の死を受け入れられなかったのでしょう。そして、気が狂ってしまったのです。

妻を喪っては生きていけない精神状態の夫は、妻を襲ったトラに妻の姿を重ねていました

気まぐれな猫に似ている妻は、大きな猫であるトラへと姿を変えた――というのが、ホラーっぽい言い回しになるでしょうか。

ミヅチ
ミヅチ

不倫相手の人妻が目の前でトラに食われたことで、相手の男もトラウマを抱えていそうですね。トラだけに……。

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

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