ドラマ『恐怖の劇場』はNetflixにて2019年からシーズン1が独占配信されている作品です。
台湾の出版社「鏡文学」の短編小説を原案としており、シーズン1では30分程度の短編SFスリラーが7話公開されています。
この記事ではNetflixオリジナルドラマ『恐怖の劇場』シーズン1「ペット飼育禁止」のネタバレ、解説と考察を行っています。
「ペット飼育禁止」では、少女ジアチンの健気な努力が描かれます。
「ペット飼育禁止」のネタバレあらすじ
少年――チェン・ニャンヤン(バイ・ルンインさん)が、少女に声をかけます。「何してるの?」そう聞かれた少女は、死んだネズミを指さしました。
ネズミが怖いなら猫を飼えばいいと言う少女ですが、2人が暮らしているマンションは「ペット飼育禁止」と定められているのでした。
ケーキ
アパートに引っ越してきたばかりのニャンヤンは、少女――フー・ジアチン(シャオ・イン・バイさん)に引越しの挨拶用のケーキを持っていきたいと母親に話します。
しかし、ジアチンの母親は酒浸りで暴言を吐くからと、ジアチンとは関わらないように注意されてしまいました。
ニャンヤンはケーキを大きく切ってもらうと、それを持ってひとつ上のジアチンの部屋を訪ねました。
ジアチンは寝ている母を置いて、ニャンヤンと玄関先に出ます。ケーキを半分もらったジアチンですが、母の分だと言って食べようとしません。
ニャンヤンは、自分の分をジアチンに半分あげることにしました。ケーキを食べながら、ニャンヤンはジアチンの母について聞きます。
遅くまで働いているジアチンの母は、昼間に寝ていることが多いのです。そんな母が起きてきたため、ジアチンは部屋に戻りました。
「また遊びにきてね」とジアチンの母に言われ、ジアチン自身からは飴をもらい、ニャンヤンは上機嫌でした。
母
学校からの帰り道、ジアチンは「猫を飼いたい」とニャンヤンに話します。そんな2人は、捨てられている子猫を見つけました。
「アパートはペット禁止だ」とニャンヤンは注意しますが、ジアチンは反論します。2人は言い争いになってしまいました。
自室に戻ったニャンヤンは、母に「本当にペット禁止なの?」と尋ねます。ペットを好まない母は、ニャンヤンの話を突っぱねました。
その頃、ジアチンの家に母が帰ってきていました。かなりアルコールを摂取したようで、娘が誰かも判断できなくなっています。
気持ち悪さに耐え切れなくなり、母は薬物を摂ります。「あたしの最大の過ちは、あんたを生んだことよ。あんたなんかいなきゃいいのに」
母からの言葉を聞いて、ジアチンは深く傷付きます。それでも、着の身着のままで寝てしまった母の面倒を見ることはやめません。
メイク落としで母の化粧を落としたジアチンは、母の隣に滑り込むのでした。
臭い
翌朝、ニャンヤンを迎えに行ったジアチンは、ニャンヤンの母が自分をよく思っていないことを察します。
ジアチンはニャンヤンと関わることを自らやめると、捨てられた子猫にミルクを与えに行きました。
そこで何かを思いついたジアチンは、猫砂を飼って家に戻ってきました。そして、玄関前で待っていたニャンヤンと鉢合わせます。
重い猫砂を2人でジアチンの部屋へと運び込みました。しかし猫砂が散らばってしまい、それが大人に見つかってしまいます。
ニャンヤンは、母の話を聞いてしまいました。ジアチンの部屋の前の廊下が散らかっていることや、夜中に洗濯機を回すことに文句を言っていたのです。
ニャンヤンは翌朝、それをジアチンに話しました。しかしジアチンは、臭いがするからと言って忙しそうにしています。
ニャンヤンはジアチンの部屋にいる猫を見せてもらおうとしますが、ジアチンは頑なに見せようとしません。
ジアチンは部屋の中に猫砂をまき、ドアの隙間に丸めたタオルを差し込んでいきます。
翌朝――ニャンヤンの部屋にまで、ジアチンの部屋から発せられる汚臭が届くようになっていました。
ニャンヤンの母は、ジアチンの家に文句を言いにいくと話すのでした。
真実
ジアチンは学校を休みました。何の連絡もないため、教師もジアチンを心配して家に電話をかけます。
その電話を聞いて何事かが起きていると感じたニャンヤンは、学校を飛び出してジアチンの部屋へと向かいました。
ジアチンの部屋からは、担架が運び出されていきました。大人たちは「死後50時間経っている」と話しています。
大人の女性に連れられて部屋を出てきたジアチンは、ニャンヤンの顔を見て泣き出しました。
ジアチンは、眠りについたまま起きない母親に猫砂をかけて、臭いを取ろうとしていたのです。
夜中に洗濯機を回していたのは、母の遺体から染み出た液体がシーツを汚してしまったからでした。
今や猫砂に埋もれてしまった母親の遺体の横で、マスクをつけたジアチンが眠りにつきます。
「ママは寝てるだけよ。連れていかないで。お願い……」
解説と考察
あまりに哀しいストーリー……。ジアチンはママが大好きだったんですね。
「ペット飼育禁止」というタイトル自体がミスリードだったんですね。
捨てられた子猫、そして猫砂というアイテムだけで「猫がいる」と思ってしまうニャンヤンの純粋さが心に残りました。
ジアチンの気持ち
夜の仕事をしているであろうジアチンの母は、子どもがいるということを負担に感じているようでした。
ジアチンは母から疎まれていることを分かっていても、母を愛し続けていたところが哀しいです。
ジアチンは母が死んだことを頭では分かっているのだと思います。でも、その現実を心が受け止め切れないのです。
猫砂で母を覆うのは、臭いで母の死を周りに知られないようにという努力だったのだと思います。
一秒でも長く母と一緒にいたいと願うジアチンの健気さに胸が詰まりました。
引っ越してきたばかりなのに真上の部屋から腐乱死体が出てきたニャンヤンの母親はどんな気持ちでしょうね……。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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