Netflixドラマ『なりすましの鼠』エピソード7ネタバレ感想

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Netflix独占配信ドラマ『なりすましの鼠』エピソード7は、ムンジェの叔父との出会いによって新たな事実が判明する物語です。

ミヅチ
ミヅチ

主人公のムンジェが、これまで思ってきた<ムンジェ>ではなかったかもしれない……という驚きがありました。本当に複雑ですね。

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Netflixドラマ『なりすましの鼠』エピソード7情報

日本公開日2026年8月28日
制作国韓国
ジャンルウェブトゥーンが原作、ミステリー、犯罪、サスペンス
注意書き16+
暴力、言葉づかい
上映時間1時間3分

『なりすましの鼠』エピソード7主なスタッフ

スタッフ

原作ウェブ漫画『들쥐』
Ludovico
監督キム・ホンソン
脚本イ・ジェゴン

『なりすましの鼠』エピソード7あらすじ

因縁のある相手 ノジャに刺客を送ったチンピラ スンギュでしたが、またしても失敗となりました。チンピラ ノジャは逮捕され、同行していた天才小説家 ムンジェは連れ去られます。

ムンジェを連れ去った者たちを追ったスンギュは、彼らがノジャの仲間であることに気付きました。かつて同じ組織にいた者同士ですが、気が合いそうにはありません。

スンギュたちと、ノジャの仲間たちとは、死闘を繰り広げます。その頃、ノジャを追っていたパク刑事と、病院に連行されたノジャとが顔を合わせていました。

ノジャからムンジェの叔父 ハン・ヒスのことを聞いたパク刑事は、<本物>と<偽物>とを見分ける策を思いつきます。それにより、ムンジェを名乗るユミンが動き始めました。

ここから先はネタバレがあります!

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ミヅチガタリ

ユミンがムンジェになり替わることは、スンギュが生業とする<個人情報売買>を見て思いついたことでした。すべて計画通りというわけではなかったんですね。

ユミンが最初から<ムンジェになり替わりたい>と思っていたかどうかすら、不確定となりました。確実なのは、嫉妬を募らせるユミンに対し、ムンジェが「俺になりたいんだろう」と言ったことです。

そう言ってきたムンジェが、ある日突然姿を消してしまった――というのが、ユミンから見た3年前の出来事ではないでしょうか。友人のユミンも、恋人のミニョンも捨て、ムンジェは突然いなくなったのです。

もしかしたら、最初のきっかけは<ムンジェに捨てられた怒り>だったのかもしれません。なぜムンジェに捨てられたのか分からず、その理由を知るためにムンジェを調べ尽くしたのかも……。

ムンジェを陥れることが目的ならば、ノジャから資金を横領した時点で告発すればよかったのです。また、なり替わることだけが目的ならば、すでに目的を果たしています。さっさとムンジェを始末すればよいのです。

ユミンには、間違いなく目的があります。スンギュを陥れて、運命共同体にすることで操って――それでもムンジェ自身を手にかけないのは、そうしてしまうと目的を果たせないためでしょう。

3年前、ユミンは現在の騒動に巻き込まれている人物たちのうち、ほとんどの人物を調べ尽くしていました。刑事たち以外は、ユミンの手のひらの上にいると考えていいでしょう。

そうなると、ムンジェはもちろん、チンピラたちの性格や思考をよく知っているユミンを上回れるのは……パク刑事をはじめとした刑事たちだということになります。これまでも、パク刑事はユミンを上回ってきました。

しかし、これはあくまで物語なので――勝負を決めるのは主人公のムンジェであってほしいですね。ムンジェがこの事件を通して自分が何者かを知り、真実の自分として生きていけるようになってほしいです。

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『なりすましの鼠』エピソード7ネタバレと感想・考察

アンダーラインが引いてある役名をタップすると、キャストと簡単な役柄紹介が表示されます。

<夜の世界>にて

身分を乗っ取られた天才小説家 チェ・ムンジェは、腹を撃たれたあと幻覚に襲われました。メリーゴーランドの前にあるテーブルに座るムンジェを呼ぶ声がします。現実世界のムンジェは、なんとか道路脇の草むらをはい上がって車道に出たところでした。

ムンジェが発見されている頃、協力者のチンピラ キム・ヨングン――ノジャは警察官に囲まれていました。そのノジャを始末するよう指示を出した若きチンピラ パク・スンギュは、ノジャがいる小屋を探しています。

子分たちに報せが入りました。ノジャは逮捕され、ムンジェは行方不明だと、刺客が送ってきたのです。ムンジェを回収したトラックは、ノジャの仲間たちのものでした。スンギュは、そのトラックを追うことにします。

ノジャの情報屋である寿司屋の大将が、闇医者と共にムンジェを助けに来たのです。<夜の世界>と記された施設の中で、ムンジェは手術を受けることになりました。幸運なことに、弾丸は肝臓に当たっていません。

スンギュは、子分たちと共に<夜の世界>へと乗り込みました。かつてノジャとスンギュと同じく、大将も裏社会の組織の一員だったのです。スンギュに馴れ馴れしく<兄貴>と呼ばれ、大将は顔をゆがめます。

「タレコミしたかを聞く。イエスなら殺し、ノーなら殺す。ところで、あいつは何者だ? ノジャとつるんで、俺に苦労させやがって」

手術室の前で乱闘が起きようとしているとき――ノジャは、治療を受けた病院で刑事 パク・スニョンと顔を合わせていました。パク刑事はノジャを一発殴ったあと、ムンジェの行方を尋ねます。

パク刑事に対し、ノジャは<チェ・ムンジェ>と<野ネズミ>との関係を話しました。どちらが本物か、パク刑事の力を借りて突き止めようというのです。その頃、大将たちとスンギュたちは血みどろで戦っていました。

パク刑事と後輩 ミノ刑事に遅れて、捜査隊が病院へとやってきます。ムンジェの叔父について聞いたパク刑事は、叔父のもとへと向かいました。同じ頃、手術を終えたムンジェはそっと手術室から逃走します。

子分たちは建物を出てムンジェを捜しますが、乱闘によって視界がぶれ、発見できませんでした。その腹いせか、スンギュは床に倒れた大将にとどめを刺します。物陰で震える闇医者を置いて、スンギュは去っていきました。

ムンジェが本物かどうか突き止めるまでは、死んでもらっては困る――というのがノジャの考えのようです。一方で、ノジャに恨みを募らせるスンギュにとっては、タレコミと無関係であっても、ムンジェは殺害対象です。

スンギュは相手が<兄貴>であれ、自分のほうが力があると思えば、強気に出て上位に立ちます。寿司屋の大将のように、組織を離れてもなおノジャに忠誠を尽くすことは、理解不能なのでしょう。

ノジャと大将との過去については、何も語られていません。しかし、これだけ大将が尽くすのであれば、何か命や立場を救われたり、仇を討ってもらったりした経験があったのではないでしょうか。

そうでなくとも、現在のムンジェのように、孤立した状況のときに寄り添ってもらった経験があるのかもしれません。ノジャには暴力のほかに知性という武器もあるため、様々な場面で恩を売れる存在なんですよね。

<命懸けで任務を遂行する>という姿勢そのものは、パク刑事と通ずるところがあります。こういった人材を味方につけられるノジャと、裏切りが連鎖する関係しか持つことのできないスンギュとは、まるで正反対ですね。

そのパク刑事はというと、ムンジェの叔父 ハン・ヒスの話をノジャから引き出しました。ノジャは、ムンジェに化けたユミンとは正反対のことを言っています。それでもパク刑事は斬り捨てることなく、話を聞いていました。

パク刑事の優れた面は、こういったところにもあります。ムンジェに化けたユミンに対して疑いを持っていることもあり、一方の言い分を信用することはできないと、勘が告げているようです。

その疑いに、ノジャは気付いたのかもしれません。ムンジェと付き合いの長いハン編集長も敵に回った現在、<野ネズミ>ユミンに疑いを持ってくれる相手ならば、刑事であろうと構わないということでしょうか……。

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自分のもの

パク刑事は、就寝中の上司 ハンス班長に身元照会の依頼をしました。ハンス班長は、ムンジェの叔父 ハン・ヒスについて調べることにします。隣にいたために眠りを妨げられた妻は、不機嫌そうでした。

「嫉妬で怪物になった人を見たことは?」

ムンジェと付き合いの長い編集長 ハン・ジヘは、ムンジェになりすますソ・ユミンに違和感を覚えます。正体を確かめようと、ハン編集長はパニック障害の薬をかばんから取り出しました。

それに気付いたユミンは、小さなナイフを右手に持ったまま、ハン編集長に語りかけます。『野ネズミ』下巻出版までは正体を探らないようにと、ユミンは笑いました。その夜、ハン編集長はどう行動すべきか悩みます。

3年前――ユミンは、ハン編集長やムンジェのマネージャー ソン・スヒョンを尾行しました。そこでムンジェの周りで起きていることを知ったのです。また、ムンジェと関わりを持ったノジャをも調べていました。

その頃、ノジャとスンギュの兄貴分 カン・ミョンスとは、ノジャの興信所で取引をする仲でした。ミョンスを追ううちに、ユミンはスンギュの裏稼業<個人情報の売買>を支える<ホームレス殺害>を目撃します。

自分のものを取り戻す――

火事になった建物から、3名の遺体が運び出されました。そのひとつは、ノジャの仲間の寿司屋の大将です。その現場に向かう消防車を眺めながら、パク刑事とミノ刑事とは食事を摂っていました。

ハンス班長
6月24日 火曜

身元調査の結果が出た。
名前:ハン・ヒス
住民登録番号:630304-118635
住所:
江原カンウォン市海辺路3道17番地

二人はカップラーメンを食べるのをやめ、ハン・ヒスのもとに向かいます。それはムンジェも同様でした。けれども、長距離バスに乗れるだけの所持金はありません。さらに、腹の傷から血が流れ出してきました。

ターミナルを見回っている警備員の目を逃れるため、ムンジェはトイレの個室へと入ります。ムンジェがノジャと連絡を取りたいと考えているとき――ノジャはユナム総合病院から警察へと連行されていました。

これまで私は、ユミンがムンジェになりすますことを決めてから、すべての情報を集めたのだと考えていました。しかし、正反対でした。ムンジェの周囲を調べていたところ、ムンジェになりすます方法にたどり着いたのです。

ムンジェがペンネームしか名乗らない引きこもりの天才小説家であることは、最初から知っていた――もしくは、予測できていたようです。担当のハン編集長がムンジェと接触しているのを確認し、確信したのでしょう。

その後、ムンジェと会計士 スヒョンとの関係を知りました。スヒョンがムンジェの信頼を悪用し、ノジャの資産を奪った事件は、ユミンによってリアルタイムに目撃されていたのです。

この時点で、ムンジェは犯罪者として告発できる存在となりました。ただムンジェを陥れたいだけならば、ここで告発し、スヒョン共々落ちぶれさせればよかったのです。しかし、ユミンはそうしませんでした。

観察を続けたユミンは、ノジャを追い始めます。表の世界に出ることが叶わず興信所の主となったノジャは、かつて組織で共に働いていたミョンスを取引先としていました。チンピラがはびこる裏社会の出来事です。

そんな裏社会の出来事にも、ユミンは突っ込んでいきました。ミョンスを追ってスンギュを知り、ついにスンギュの本業<密かに殺した人物の個人情報売買>へとたどり着いたのです。

これまで、なぜユミンがスンギュから金を借り続けたのか、その理由が分かりませんでした。ユミンはスンギュの短絡さと、ミョンスが抱えるスンギュへの不満を利用するため、わざとに借金を重ねたのでしょう。

すべては<チェ・ムンジェ>という存在を、自らのものとするための行動でした。チンピラの手を借りて自らの死を偽装し、ムンジェの周囲にいる人物の弱みを握ってなりかわる――遠大な計画は3年前から動いていたのです。

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本物と偽物

パク刑事は、ムンジェになりすますユミンへと電話をかけました。叔父 ハン・ヒスについて尋ねると、ユミンは知らないと答えます。なりすましが叔父に危害を加えるかもしれないため保護すると、パク刑事は告げました。

「二人とも、叔父の存在を知らない。本物はなんとしても会いたいはず。偽物はなんとしても殺したいはず。これから暴れ回るやつが……偽物だ。そいつを捕まえて殴り倒す」

悩むユミンは、朝食の準備をやめてムンジェの書類を確認し始めました。家族関係証明書や家族関係登録簿には父母のみが記され、2024年12月12日付けの養子縁組証明書には実子と記されているのみです。

叔父の存在など、どこにも記されていません。ユミンは怒りに任せてタブレットを叩き割ると、フッと笑いました。ムンジェはというと、トイレに警察がやってきたことを知り、窓から逃げ出します。

二階から出て、屋根からバスの上へと飛び乗り、地面へと転がりました。腹の傷に響く痛みをこらえながら、ムンジェはターミナルを去ります。その頃ノジャは、警察車両で署へと向かっていました。

霧の中、警察車両の横っ腹に突っ込んできた車がいました。横転した警察車両に、ライフルを持った男が近寄ってきます。それは、スンギュからノジャ殺害を指示された刺客でした。

ノジャを移送していた警官は、刺客へと発砲します。すると刺客は警官を車から引きずりだし、ナイフをその胸に突き立てました。その騒動の隙を突いて、ノジャは車から抜け出します。

「3人が死亡し、ひとりが重傷を。捜査隊は大騒ぎです」

その報せを受け、ハンス班長は現場に向かいました。パク刑事とミノ刑事とを連れ戻すためです。刺客の存在を知らないハンス班長は、捜査隊を襲ったのがノジャだと考えているのです。

スンギュと子分たちは、車を別の色に塗り直していました。そこに、010-811-0925から電話がかかってきます。知らない番号に疑問を抱きながらスンギュが通話ボタンを押すと、見知らぬ人物が親しげに挨拶してきます。

ユミンの弱点として言えることがいくつかあります。まず、ユミンはムンジェ本人が知らないことは、知ることができないのです。高校時代の出来事はスヒョンから聞き出せますが、それ以前のことは分かりません。

公的書類にも記されていない叔父のことは、ムンジェ本人すら把握していないことに入ります。それこそ、裏社会に生きる人物でもなければ、徹底的に洗うことなどできないでしょう。

パク刑事は、それを隠すのではなく、明かしました。本物と偽物とを見分けたいパク刑事にとって、千載一遇の好機だったのです。両者の行動が正反対に出てくる機会ならば、見分けるのにちょうどいいでしょう。

スンギュは、依頼に命をかけることを鼻で笑っていました。一方、スンギュからノジャ殺害を依頼された刺客は、ひどいけがを負いながらも、諦めずにノジャを追い続けます。職人気質な刺客ですね。

スンギュの兄貴分 ミョンスを名乗る殺人犯のチンピラ クァク・サンチョルはというと……パク刑事の口車に乗せられて、洗いざらいしゃべってしまったようです。組織にいた頃のノジャの殺人遍歴を語ったんですね。

今さらその証拠を集めることは難しいでしょうし、そもそも組織で行っていることのため、大人数が関わっています。警察も、その主犯としてノジャを逮捕しても立件が難しいことなど理解しているはずです。

証拠のあいまいな容疑しかないため、ノジャはずっと警官に盾突いているわけですね。ノジャが重ねてきた悪行から考えると「どの口が言っているんだ」と思ってしまいますが、法的にはノジャが正しいと思います。

また、ここにきてムンジェが意識的に罪を犯しました。金もなく警察に追われているとなれば、もう犯罪に手を染めるしか手段はないでしょう。無事に叔父さんのもとへたどり着けるといいのですが……。

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ユミンの計画

スンギュを呼び出したのは、ムンジェに化けたユミンでした。しかし、スンギュは本物と偽物との区別がつかないため、本物のムンジェだと思い込みます。そんなスンギュを見て、ユミンはからからと笑いました。

スンギュは、やりとりをするうちに、目の前にいるムンジェがユミンだということを確信しました。驚きで声を失うスンギュに、ユミンは笑顔を向けます。

草むらを抜けたノジャは、バーベキューを行う男たちを見つけます。血をにじませ、ボロボロの姿で、ノジャは男たちに携帯電話を貸すよう頼みました。使用料として紙幣を差し出すと、男たちは驚きで固まります。

ノジャはバーベキューの肉をつまみながら、ムンジェへと電話をかけました。それに警官が出たため、ノジャは声を出さずに電話を切ります。そして、何が起きているのかを知るため、ネット記事を漁りました。

記事には、ムンジェを守ってくれた仲間である寿司屋の大将が亡くなったと記されています。もし裏社会から足を洗うことができたら、故郷の友人から魚のさばき方を習って店を出したいと笑った、可愛い弟分でした。

ノジャは涙をにじませながら、酒を一気飲みします。そして席を立つと、ひとり歩いていくのでした。男たちはただならぬ様子に声をかけることなく、その後ろ姿を見送ります。

ユミンは、タレコミをしたのは自分だとあっさり認めました。そして、裏カジノの金庫にあった金を持っていったのも自分だと告げます。壁際に立たされ、ナイフを突きつけられながらも、ユミンは笑っていました。

「漢江で発見された彼女を覚えてますよね。……しまった、言い忘れてた。最近、彼女の個人情報を社長に売りました。書類を送りましたよ。覚えてません?」

ソ・ミニョンを殺したのはユミンですが、その個人情報を売ったのはスンギュです。ユミンがミニョンを殺した日から、スンギュは知らぬうちにユミンと運命共同体になっていたのです。

スンギュにナイフを突きつけられても、ユミンはマイペースに語り続けます。ユミンを殺したところで、スンギュは逃げられません。追い詰められているのは自分だと、スンギュはようやく気付きました。

「やつが勝てば、あんたは終わる。嫌でも俺たちは同じ船の上だ。それに、俺が誰だろうと関係ないだろ。金だけ考えて。――叔父を見つけて始末を。よろしく」

ユミンがミニョンを殺した理由は、のちにスンギュを思い通りに動かすためだったんですね。スンギュは短絡的で暴力一辺倒のため、綿密な計画を話して納得してもらうという策は通じません。

スンギュの兄貴分 ミョンスは、弟分であるスンギュが上位についたことや、金を自由に使えないことなどの不満を利用されました。そのため、金を渡すという約束さえすれば動かせたのです。楽な相手でした。

そこのところ、スンギュはもう少しひねりを加える必要があったんですね。<こいつを殺せば事態が丸く収まる>という状況では、スンギュは協力してくれません。運命共同体になることでしか、動かせない人物なのです。

ミニョンを殺したのちに、その個人情報をスンギュに渡すことで、ミニョンの殺害と個人情報の売買とは繋がっている――と警察は考えるでしょう。殺害現場の映像が残っているため、殺害にも関与したと判断されます。

スンギュは<死体安置所>からミニョンの死体が盗まれ、漢江に遺棄された――と考えていました。しかし、それはスンギュの勘違いだったのです。ミニョンはユミンによって漢江で殺され、漢江で発見されただけでした。

この事実関係に気付かないままに、スンギュはミニョンの個人情報を売ってしまったようです。売買の事実がある以上、警察が捜査すればスンギュは<ミニョンの個人情報を売った人>となります。

スンギュはこれまで、ホームレスを殺害し、その個人情報を売ってきました。ミニョンの件だけが別だと考えてくれる親切な判事はいないでしょう。もし立件されれば、スンギュは殺人犯として裁かれることになるのです。

ミニョンはいわゆる<冷蔵庫の女>――男性キャラクターを鼓舞するために危機的状況に陥る女性キャラクターかと思っていました。しかし、ミニョンは誰の動機付けにもなっていない存在に思えてきたのです。

確かに、ユミンがムンジェに憧れや嫉妬を抱く原因を作ったのはミニョンでした。片思い相手のミニョンがムンジェの恋人となったことが、ユミンの心をゆがませる大きな要因となったのです。

しかし、ムンジェのパニック障害が重症化したのち、ミニョンはユミンと共に暮らすこととなりました。異性愛者の男女が3年間生活を共にしていれば、恋人関係になっていたと考えるのが妥当でしょう。

だからこそ、ミニョンには生かす価値がなくなってしまったのではないでしょうか。もしミニョンが、ずっとムンジェを想い続けていたのならば、殺されることはなかったのだと思います。

ユミンの目的は、ムンジェになり替わってムンジェのすべてを手に入れることです。ミニョンの心がムンジェのもとにあれば、ミニョンもまた<ムンジェのもの>と考えられたはずです。

ユミンにとってのミニョンは、スンギュを動かすための<アイテム>でしかなかったのです。かつて抱いていたのも、恋愛感情ではなく、支配欲だったのかもしれない――と思ってしまいました。

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叔父 ハン・ヒス

パク刑事とミノ刑事のもとに、ハンス班長たちがやってきました。ムンジェの叔父 ハン・ヒスの自宅前に車を停め、皆で見張っています。けれども、その家の窓枠にはほこりが溜まっており、人の気配はありません。

「ハンさんならいないよ。数ヶ月前、施設に入った。長い間<もぐり>をしてたのが体に障ったんだね」

ハン・ヒスは体がうまく動かないため、ずっと家にこもっていたようです。施設に入った理由は、アルツハイマーになったためでした。その施設には、パク刑事より前にムンジェがやってきていました。

ムンジェは怒りに任せて怒鳴りつけますが、ハン・ヒスはぼんやりと虚空を見つめているだけです。病室を出て駐車場へと向かったムンジェは、またしても幻覚に襲われました。

それは以前見たときと同じ――メリーゴーランドのある遊園地でした。テーブルの脇に停められた乳母車には、赤ん坊が乗っています。そこに男の子が現れ、プラスチックのフォークを頭上に振り上げました。

「僕がチェ・ムンジェだ。……僕がチェ・ムンジェだ!」

夜になり、ノジャとノジャの命を狙う刺客との追いかけっこが再開しました。刺客は警官から奪った拳銃を構え、ノジャを撃ちます。しかし、ノジャは体の前に持ったドラム缶で全弾を受け止めました。

刺客ひとりを相手にするつもりで、ノジャはスコップを手に取ります。しかし、ノジャの隠れたビニールハウスに現れたのは、数え切れないほどのチンピラたちでした。ノジャは死を予感しながらも、咆哮を上げます。

ムンジェが去ってから1時間後、パク刑事たちが施設へ到着しました。しかしムンジェの叔父 ハン・ヒスは自分のことさえ分からず、ぼんやりしたままです。そこでパク刑事は、施設を訪れたのは<本物>だと確信しました。

「ムンジェ……どれだけお前を探したか。ムンジェ……」

ムンジェは遊園地の中で行方不明になり、ハン・ヒスに発見されていました。恐竜の像の足もとで泣いているムンジェを、若きハン・ヒスが発見します。その<ムンジェ>は、オーバーオールを着た幼児でした……。

もう一度整理します。この作品の中には、チェ・ムンジェが3人います。事実のみで整理すると、このようになります。

<1>1993年生まれのチェ・ムンジェ
<2>1980年代に生まれたチェ・ムンジェ
<3>チェ・ムンジェになりすますソ・ユミン

ユミンが持っていた書類が証明している人物は<1>を指しています。そして、今まで主人公のムンジェは<1>だと思われていました。しかし、遊園地のシーンのところで違和感が生まれました。

ムンジェが<1>だとすると、ムンジェの視点は赤ん坊側にあるはずです。それなのに、ムンジェは<2>の視点から叔父 ハン・ヒスを見上げていました。つまりムンジェは記録上<1>で実態は<2>ということになります。

主人公のムンジェが<2>だとするならば、雑誌の写真に家族で写っているのはムンジェ自身ということになります。ムンジェにはその記憶はありませんが、ほかにも記憶がないことがあるため、不自然ではありません。

不自然なのは両親のほうです。先に<2>がいたが手放して、新たに<1>を迎えています。その上で、<2>を存在ごと消し去っているのです。同姓同名の兄弟が両者生存しているというのは、不自然なことです。

<2>が亡くなっていれば、この一連の出来事には説得力がありました。<2>が生きている上で、これに納得感を与えるとするならば、<2>が実子ではなかったという説が濃厚でしょう。

養子として迎えた<2>を育てていたものの、実子の<1>が生まれたため<2>が不要となり捨てたのです。そののち、叔父 ハン・ヒスが<2>を引き取ったのではないでしょうか。

これだけであれば、<2>は叔父のもとで、<1>は両親のもとで育つこととなったでしょう。けれども、そうはなりませんでした。<1>は死亡してしまい、その代わりとして<2>を再び引き取ったのではないでしょうか。

つまり、死んだ兄の代役に弟を充てたのではなく、死んだ弟の代役に兄を充てたのです。そう考えると、<1>と<2>との関係性と事情とに納得できる説明がつけられます。新たな事実が見つからなければ、ですが……。

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

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