Netflix独占配信映画『木曜殺人クラブ』は、高齢者施設クーパーズ・チェイスの入居者が作ったクラブの老人たちが殺人事件を解決していく物語です。

登場人物の半分以上が高齢者という珍しい設定ですが、サスペンスとミステリが満載で楽しかったです!
Netflix独占配信映画『木曜殺人クラブ』情報
公開日 | 2025年8月28日 |
制作国 | アメリカ |
ジャンル | コメディ、サスペンス、ミステリー |
注意書き | R-13+ 暴力、言葉づかい |
上映時間 | 2時間 |
Netflix独占配信映画『木曜殺人クラブ』主なキャスト・スタッフ
キャスト
エリザベス・ベスト クラブの中心人物/経歴は謎 | ヘレン・ミレン 『サラ・クーパーのすべて順調』 |
ロン・リッチー クラブのメンバー/元労働組合のリーダー | ピアース・ブロスナン 『ギリ義理ファミリー』『ユーロヴィジョン歌合戦~ファイア・サーガ物語~』 |
イブラヒム・アリフ クラブのメンバー/元精神科医 | ベン・キングズレー 『ウォーターシップ・ダウンのウサギたち』『紅海リゾート―奇跡の救出計画―』 |
ジョイス・メドウクロフト クラブの新メンバー/元看護士 | セリア・イムリー 『呪われた死霊館』『ため息に乾杯』 |
ドナ・デ・フレイタス フェアヘイブン署の女性巡査 | ナオミ・アッキー 『マスター・オブ・ゼロ』『このサイテーな世界の終わり』 |
クリス・ハドソン フェアヘイブン署の主任警部 | ダニエル・メイズ 『ホワイトライン』『チキンラン:ナゲット大作戦』 |
ボグダン・ヤンコフスキ 外国から来た建設業者 | ヘンリー・ロイド=ヒューズ 『ベイカー街探偵団』『ザ・イングリッシュ・ゲーム』 |
ジェイソン・リッチー ロンの息子/元ボクサー | トム・エリス 『プレイヤーズ:本気の恋、始めます!』『LUCIFER/ルシファー』 |
スティーブン・ベスト エリザベスの夫/認知症 | ジョナサン・プライス 『三体』『ザ・クラウン』『2人のローマ教皇』 |
ジョン・グレイ ペニーの夫 | ポール・フリーマン |
トニー・カラン 施設の共同経営者/建設業者 | ジェフ・ベル |
ボビー・タナー 犯罪組織の親玉 | リチャード・E・グラント 『説得』『イカれてる?!』『ことりのロビン』 |
ジョアンナ・メドウクロフト ジョイスの娘/金融業 | イングリッド・オリバー |
スタッフ
原作 | 『木曜殺人クラブ』 リチャード・オスマン 著 羽田詩津子 訳 |
監督 | クリス・コロンバス 『クリスマス・クロニクル PART2』 |
脚本 | ケイティ・ブランド スザンヌ・ヒースコート |
Netflix独占配信映画『木曜殺人クラブ』あらすじ
高齢者施設クーパーズ・チェイスの入居者エリザベス、ロン、イブラヒムの3名は、<木曜殺人クラブ>で未解決事件について推理する活動をしています。
そこで扱われているのは70年代に起きた殺人事件です。犯人は見つかっておらず、医療の知識が必要なため、3人だけではこれ以上捜査できません。
そこに現れたのは、元看護士のジョイスでした。3人がジョイスを巻き込んでクラブ活動をしていると、街で殺人事件が起こります。
殺されたのは施設のオーナーのひとり、トニーでした。トニーがいなくなれば、共同経営者イアンの考えにより施設は潰されてしまうかもしれません。
クーパーズ・チェイスを守るため、木曜殺人クラブの面々は動き出します……。
Netflix独占配信映画『木曜殺人クラブ』ネタバレと感想・考察
クラブの新メンバー
未解決事件は1973年5月11日の午前0時48分頃に始まりました。ロンドン東部ブリックレーンにて、その男は恋人アンジェラ・ヒューズの家を訪ねる途中でした。
男が角を曲がったとき、アンジェラの部屋から争うような声が聞こえてきました。次の瞬間、アンジェラは窓を突き破って落ちてきたのです。
その胸にはナイフが刺さっていました。覆面男が、慌てた様子で建物から出てきます。そして男の姿を見るやいなや、走り去っていきました。
<木曜殺人クラブ>のメンバーである白髪の老女エリザベス・ベストが説明します。それに対し、白い髭をたくわえた老人ロン・リッチーが疑問を投げかけました。
アンジェラは貧乏な若者に過ぎず、盗まれたものもありません。強盗の目的が分からないのです。それにスキンヘッドの老人イブラヒム・アリフが続きました。
覆面男を目撃したのは恋人の男――25歳の整備士ピーター・マーサーだけなのです。体を負傷して戦場を退いたからには、トラウマによる犯行かもしれません。
ピーターが姿を消したこともあり、これ以上のことを3人で探るのは難しそうです。アンジェラは、医療に詳しい者が必要だと語るのでした。
3人が過ごしているのは、クーパーズ・チェイスという高齢者施設です。そこにハックニーに暮らす老女ジョイス・メドウクロフトが娘ジョアンナと共にやってきました。
ジョイスは、施設で暮らすことを心配する娘ジョアンナと話し合うつもりです。そのため、施設が充実していることを教えていました。
木曜日以外はパズル部屋になっている<木曜殺人クラブ>の部屋に、二人が入ってきます。しかし、遺体の写真を見ても驚きませんでした。
エリザベスが調べたところ、ジョイスは医療訓練を受けた元看護士――女医といってもいい存在でした。3人は、ジョイスを未解決事件の推理に巻き込みます。
ジョイスはアンジェラが助かる方法があっただろうかと尋ねられました。体重によるが、46kgならば助かった可能性はあるとジョイスは答えます。
ジョイスは確かな医療知識を持つ人物だと、エリザベスは確信しました。木曜殺人クラブに誘われたジョイスは、どこか楽しそうに微笑むのでした。
友情
中年の男イアン・ヴェンサムは、妻ジェマと争っていました。ジェマはイアンの浮気の代償として車、金、マヨルカのアパートを求めてきていました。
ジェマがなんとしても離婚する気のようだと聞き、イアンは怒りを爆発させます。資産を増やすため、墓地と教会を取り壊すと言い出しました。
土地の所有者であるイアンですが、独断で売却することはできません。共同経営者で建設業者のトニー・カランが反対するのが分かっているからです。
イアンは、トニーの代わりに建設業者ボグダン・ヤンコフスキーに解体を持ちかけます。ボグダンはポーランドにいる母の治療費を必要としているためです。
ボグダンは、トニーは危険人物だと恐れていました。イアンは自分こそが最も危険なのだと圧をかけ、ボグダンを頷かせるのでした。
トニー・カランは、クーパーズ・チェイスに住むモードおばさんを訪ねていました。トニーは木曜殺人クラブのメンバーとも顔見知りです。
トニーは80年代に修道院を買い、自力で改修を行いました。資金のためにイアンとの共同経営を始めましたが、意見が対立していることは周知の事実です。
イアンが施設を高級マンションにしようと企んでいることは入居者も知っていることでした。そのため、入居者はトニーを重要視しています。
4人になった木曜殺人クラブは<白をまとった女性事件>の推理を再開させます。そのとき、ジョイスがなぜ事件の詳細を知ることができるのかと尋ねました。
当時、女性刑事ペニー・グレイ警部は、男性刑事たちによって捜査を妨害されました。ペニーはエリザベスの親友であり、創設メンバーでもあります。
ペニーは現在ホスピス棟におり、クラブに参加することはできません。そんなペニーのために、エリザベスは事件を解決しようと考えているのです。
ドナ巡査
ペニーの夫ジョンは、エリザベスに感謝していました。それまで退屈していたペニーを救ったのは、エリザベスと立ち上げた木曜殺人クラブでした。
エリザベスの夫スティーブンは認知症になっています。日によって、親しんできた夫であるときもあれば、そうでないときもあります。
よい状態であるときを大切にするよう、ジョンはエリザベスを諭します。エリザベスは悩み深き日々を過ごしているのです。
ある日、フェアヘイブン署から女性警察官ドナ・デ・フレイタス巡査がやってきました。入居者たちに家の防犯について教えるためです。
ドナ巡査は、話をまぜっかえす老人たちに苦心します。そんなときふと外に視線をやると、熱心な駐車委員がパトカーにタイヤロックをつけていました。
1時間は施設から動けないこととなり、ドナ巡査は木曜殺人クラブと食事を共にすることにしました。
交通違反の取り締まりばかりで一日を終えるドナ巡査は、会話を楽しみ始めます。そこで、自己紹介が行われました。
イブラヒムは軍人のPTSD専門の精神科医でした。ロンは<レッド・ロン>と呼ばれた有名な労働組合員で、活動熱心なリーダーでした。
ジョイスは看護師で、エリザベスは外交関係――あまり他言できない活動をしていました。食事を終えた4人とドナ巡査は、皆で庭に出ます。
そこにロンの息子で有名人のジェイソン・リッチーがやってきました。ドナは、チャンピオンまで極めた元ボクサーのジェイソンと会えて感激します。
トニーの死
クーパーズ・チェイスの庭の隅で、施設を共同経営しているイアンとトニーが言い争っています。トニーは、イアンを訴えると息巻いています。
ロンは、契約書には住民との協議が必要だと書いてあるため、住民集会を開くと言います。トニーも対決する気満々でした。
集会当日、入居者たちの前にイアンが現れました。補償も住居も用意すると言うイアンに、住民たちは「生涯契約を結んでいる」と主張します。
イアンは、自分の土地に何をしようと勝手だと語りました。墓を掘り起こしてでも金を得ようとするイアンに、入居者たちは非難の目を向けます。
数日後――撲殺されたトニーが発見されました。凶器の行方は分かりません。ラジオでそれを知ったジョイスは、木曜殺人クラブの面々に声をかけました。
庭に集められた3人は、ジョイスからトニー殺害の件を聞かされます。警察内部にいる人物から容疑者を聞き出して、犯人を捜すことに決めました。
フェアヘイブン署にいるドナ巡査は、この殺人事件に興味を持ちます。しかし、クリス・ハドソン主任警部から「他に仕事があるだろう」と追い出されてしまいました。
エリザベスとジョイスは、いつもとは違う身なりで街に出ます。一方でロンは部屋を荒らし、トニー殺人の情報を提供すると署に電話しました。
いかにもおばあちゃんといった風情の服装になった二人は、ボケたふりをしてフェアヘイブン署を訪ねます。そして修道女のため、女性警察官を出せと迫りました。
ドナ巡査は、録音付き取調室に二人を通しました。ドナ巡査は二人の勢いにおされ、捜査に協力すると決めます。
ロンは身なりを乱し、警察嫌いを演じます。そして、ドナ巡査にしか証言はしないと言い張りました。そうして、ドナ巡査は捜査に加わることになります。
第3の男
その夜、エリザベスはクーパーズ・チェイスの2023年 年次報告書に目を通しました。トニーとイアンの他に、3人目の投資家がいることが判明します。
とはいえ、会計報告書は専門知識がなければ理解できません。娘ジョアンナが金融業をしていることもあり、ジョイスは一肌脱ぐことになりました。
トニーには傷害や武器の所持など多くの前科があります。クリス主任警部が犯人とにらんでいるのは、ツーショット写真の人物でした。
その人物はボビー・タナー――ロンドン警視庁が探している犯罪組織の親玉です。そして、その写真には、腕に刺青のある男も写り込んでいました。
ジョアンナから、会計報告書の情報が届きました。そこには、トニーの取り分がイアンへ渡っていたことが記されています。重要な情報でした。
エリザベスは、敵国のスパイを尋問するようにクリス主任警部を責めようと考えます。けれどもジョイスは、優しく接することで口を割らせようと言います。
ロンとイブラヒムの間に座ったクリス主任警部は、証言を聞いていきます。そして、ロンの息子ジェイソンもトニーと知り合いと知り、興味を持ちました。
エリザベスは、クーパーズ・チェイスの3人目の投資家はブルーミン・マーベラスという事業体を使っていると語ります。
そして、さらなる情報と引き換えに死亡時刻が知りたいと告げます。そこでドナ巡査は、11時24分だと答えました。スマートウォッチに記録されていたのです。
そこにジェイソンがやってきたため、クリス主任警部はツーショットを撮ります。そこでドナ巡査は、ジェイソンの刺青が<あの刺青>と同じだと気付きました。
B.T.
エリザベスは、甥トニーが殺されたばかりのモードに声をかけます。モードは犯人に心当たりはあるようですが、警察に話すつもりはないと頑なでした。
モードに贈られた花束は、トニーの旧友である<B.T.>からのものでした。エリザベスが推理を進める一方で、ロンは息子ジェイソンに反発されます。
署に戻る車の中で、ドナ巡査はジェイソンが第3の男だと告げます。ジェイソンには、トニーや犯罪組織の親玉ボビーの下で働いていた過去もあり、容疑者となりました。
また、クーパーズ・チェイスの第3のオーナーがボビーであることが分かります。資金を得るため、トニーが引き込んだのです。
イアンは、何年もボビーの姿を見ていないため、死んでいると思っていました。また、自分にはアリバイがあるとも語ります。
クラブの4人は、イアンがトニーを殺害できるかどうか調べるため車を走らせます。イブラヒムの超安全運転により立証されたのは、不可能だということでした。
それはドナ巡査に伝わりました。車で移動したら死亡時刻を7分過ぎてしまうことは、警察の検証でも同様でした。
エリザベスは、夜道をひとり歩きながらドナ巡査と通話します。そこに見知らぬ男が現れ「死人を起こすな」と告げ、去って行きました。
男の顔は暗すぎて分かりませんでした。エリザベスはこの出来事を隠すと決め、まずは月曜のデモに全力を尽くすことにしました。
入居者たちは墓地の前に人の壁を作り、掘り起こさせないように邪魔する構えです。抗議デモを率いるのはレッド・ロンでした。
ロンの息子ジェイソンも含めて、皆が抗議デモを行っているとき――墓地の中で、こっそり動いている人がいました。
マリーナ
エリザベスは、ボグダンが墓地を掘り返しているところを見つけました。ボグダンは、母と同じ名前<マリーナ>を名乗るエリザベスに興味を持ちます。
そこでエリザベスは、ボグダンの母語であるポルトガル語で語りかけました。ポーランドの大麦スープ クルプニクのことを話し、ぐっと距離を縮めます。
トニー亡き今、ボグダンは第一建設業者です。しかし、ボグダンはトニーの生前からイアンと手を組んでいました。
ボグダンは、イアンのために古い骨を掘り返すことはしても、殺人はしないと語ります。そんな中、車で帰ろうとしたイアンが急に倒れました。
ジョイスにより、イアンの死が確認されます。抗議デモに参加していた入居者たち全員が<殺人の目撃者>となりました。
イアンの死因は、フェンタニルの過剰摂取だったのです。死の直前に投与されたと思われます。薬も注射器も、入居者全員が入手可能なものでした。
エリザベスは、トニーの殺害現場にあった写真について、クラブのメンバーに話します。しかし、ロンの息子ジェイソンについては口ごもります。
その代わりに、ボビーがクーパーズ・チェイスの3人目のオーナーであるため、居場所を探るべきだと語気を強めました。
3人のオーナーの中で、現在生き残っているのはボビーひとりです。木曜殺人クラブの今後の方針が決まったところで、エリザベスは帰宅しました。
そこには、状態のいい夫スティーブンと仲良く話すジェイソンがいました。ジェイソンは、ボグダンに<マリーナ>と名乗った女性を探していたのです。
エリザベスはすぐにマリーナと名乗ったことを認めます。そして、ポルトガル語に切り替えてボグダンと今夜墓地で会う約束をしました。
白骨遺体
アイススケートを始めたジェイソンのもとに、フェアヘイブン署からクリス主任警部とドナ巡査がやってきました。
『刑事コロンボ』のセリフを引用するクリス主任警部に、ドナ巡査が続きます。イアンはトニーと口論したあと、ジェイソンに3回も電話していたためです。
イアンに借金をしていたジェイソンは、イアンからも臨時の仕事を請け負っていたのです。クリス主任警部はジェイソンの言動を怪しみ、ジェイソンの身柄を拘束しました。
イブラヒムとロンは、施設の入居者に怪しい人物がいないか考えています。そのとき、ロンに息子ジェイソンから助けを求める電話がかかってきました。
ボグダンは、土の中にあった棺の上に置かれた白骨死体をエリザベスに見せます。翌日、すぐにクリス主任警部とドナ巡査とが墓地を訪れました。
エリザベスは、ボグダンの名を出さずに証言します。水仙を植えるためにスコップで土を掘っていたという、あまりにも無理がある証言でした。
ロンは息子ジェイソンを牢に入れられた恨みもあり、クリス主任警部の捜査を批判します。するとクリス主任警部は<火曜死亡組合>とクラブをバカにしました。
エリザベスは、ドナ巡査に耳打ちします。あの白骨死体は今回の連続殺人に関係があると考えたのです。ドナ巡査は頷き、クリス主任警部と共に去りました。
エリザベスは夜中、物音によって目を覚まします。キッチンから走り去る人物がいました。そして、残された花束には「手を引け」と書かれていました。
翌朝、ドナ巡査は白骨遺体がピーター・マーサーだったと報告します。その男ピーターは、エリザベスの親友で元警部のペニーが追っていた犯人でした。
50年以上前に埋められたピーターの遺体が発見されたことを、ペニーに報告します。するとペニーの夫ジョンは、ドナ巡査の活躍を知り喜ぶのでした。
ジェイソンの秘密
フェアヘイブン署でクリス主任警部はジェイソンに事情聴取を行います。そこに派手なスーツ姿のロンが現れ、法定代理人だと主張しました。
続いてイブラヒムが現れ、精神鑑定を行うと言い出します。ジェイソンはPTSDを発症しているため、聴取を続ければ過失事件になると続けました。
言葉を失うクリス主任警部の前に、ジョイスもやってきます。大きなレモンケーキを持ってきたジョイスに、クリス主任警部は耐えかねて大声を出しました。
犯行時刻の行動さえ証言すればいいとクリス主任警部が告げます。ロンが問い詰めると、ジェイソンは溜息と共に、イアンの妻ジェマといたことを話しました。
ジェイソンはジェマの不倫相手だったのです。スマートフォンにはベッドの上で裸になっている二人の写真もありました。ジェイソンの釈放が認められます。
エリザベスはMI6から退職祝いにもらった車にドナ巡査を乗せ、ある花屋に向かいます。警告に使われた新鮮な花束は、近くで買ったものでしょう。
また、警告文が書かれたカードは、トニーのおばモードに届いたカードと同じ模様でした。それは、モートンにある花屋ソーニー・ブルームスのものです。
経営者はデレク・ウォード――おそらくボビーの偽名です。花の注文をしていたエリザベスは、ボビー本人に会うため階下へと向かいました。
その頃、エリザベスの夫スティーブンはボグダンとチェスをしていました。そしてスティーブンは、殺人犯が分かったと言い出します。
パスポート
デレクは、あっさりと自身がボビーだと認めました。そして犯行時刻には、ドーチェスター・ホテルで21歳になるカリド王子の誕生日パーティーのため花を活けていたと語ります。
ボビーのアリバイを証言できる人は200人近くいます。意外にも、ボビーは花を活けることに情熱を持っていました。真面目に花屋として働いているのです。
エリザベスは、クーパーズ・チェイスをどうする気かとボビーに尋ねます。魅力的な投資先ではなくなったため、土地を売るつもりだとボビーは答えました。
エリザベスはドナ巡査を部屋から出します。そして、違法労働のために労働者からパスポートを取り上げている罪は25年の拘禁刑になると告げました。
ただし、違法労働とパスポートの件とをやめて、クーパーズ・チェイスをエリザベスが選んだ相手に市場価格で売るのならば、すべて黙っていると続けます。
スティーブンは、ボグダンに寄り添います。母親の治療費で悩むボグダンに、その果てにトニーを殺してしまったのではないかと問いかけました。
動機は分かりませんが、犯人がボグダンであることだけは確かだとスティーブンは語ります。
するとボグダンは、事故だったのだと打ち明けました。ボグダンは奪われたパスポートを取り戻すため、トニーと争ったのでした。
エリザベスは、ボビーがトニーと労働者を分けており、トニーもパスポートを保管していたことを知ります。
ボビーはたまに労働者にパスポートを返し、ガス抜きをしていました。けれども権力欲の強いトニーは、決してパスポートを渡しませんでした。
真犯人
スティーブンに突然、認知症の症状が出ます。そこでボグダンは紅茶を勧め、キッチンに置かれた薬瓶に目をやりました。
エリザベスはドナ巡査を連れ、急いで自室に戻ります。しかし駆けつけたとき、スティーブンはすでに紅茶を飲んでいました。
逃げようとしたボグダンでしたが、木曜殺人クラブの皆に止められます。そこでボグダンは、何か証拠があるのかとわめきました。
エリザベスは、スティーブンの上着のポケットからレコーダーを取り出します。体が不自由になったスティーブンはマス目を口に出してチェスを打つのです。
あとで戦略を練るための試合の録音でした。そこに、ボグダンの自白も残されています。観念したボグダンは、トニー殺害を認めました。
けれども、ボグダンはスティーブンに毒を盛ってはいません。ボグダンは、スティーブンをよき友人だと思っていたのです。
ロンの息子ジェイソンのスケートショーをテレビで見ながら、木曜殺人クラブの面々ははしゃいでいます。そこでエリザベスは、ある事実に気付きました。
親友ペニーの昔の写真を見ていて気付いたのです。<白をまとった女性事件>――アンジェラが殺され、恋人ピーターが犯人と目された事件です。
真犯人はピーターですが、警察は同好の士を起訴しませんでした。無罪放免となったピーターを殺したのはペニーで、夫ジョンと遺体を埋めたのです。
そして50年が経ち、イアンがピーターの遺体を掘り起こそうと考えました。そこでペニーを守ろうと、ジョンがイアンを殺害したのです。
ジョンが眠ったままの妻ペニーのためにできることは、それだけでした。永遠の別れになる前にと、ジョンはクラブの皆に部屋から出ていくよう頼みます。
二人の部屋には、イアン殺害に使った注射器が残されていました。大量のフェンタニルが入った注射器が、何本も……。
愛
木曜殺人クラブは<白をまとった女性事件>も、トニー殺害も、イアン殺害も解決しました。しかしその心には、喪失感が広がっています。
イブラヒムは、ジョンの行動は妻ペニーへの愛によるものだったと弔辞を述べます。入居者たちとフェアヘイブン署の二人は、二人を見送りました。
エリザベスは、ペニーが身に着けていたペンダントをジョイスに贈ります。木曜殺人クラブのロゴ<TMC>が刻まれたものです。
ジョイスの娘ジョアンナは、夫の死後もっとも幸せそうな母を見て考えを改めました。そこでエリザベスは、クーパーズ・チェイスを買い取らないかと提案します。
ジョアンナはすぐに提案を受け入れました。反発してばかりの母娘でしたが、このときばかりは抱き合って喜びます。
エリザベスと夫スティーブン、ロンと息子ジェイソン、そしてイブラヒムとジョイス――皆それぞれの絆を築き、保ち、幸福な時間を過ごしていくのです……。
Netflix独占配信映画『木曜殺人クラブ』まとめ
コメディ要素が強めに入っているためか、サスペンスやミステリーとの緩急がしっかりついていて楽しく観られる作品でしたね!
様々な専門職に就いていたメンバーが集まっているため、合わない部分も多いです。しかし、そこを譲り合いとフォローとで補う大人な一面があります。
これが20代や30代だと、思いきりぶつかってしまうでしょう。また、40代や50代だと、気難しさを抑えきれず冷戦状態になってしまいます。
高齢者となり、人生に一段落ついたところだからこそ、まったく異なる生き方をしてきた相手とも仲良くできるのではないでしょうか。
おしゃれを忘れないところや、既成概念にとらわれないところ、運動や知的活動などを習慣として楽しんでいるところ……。
こんな未来があったら楽しいだろうな、と高齢者になる将来にわくわくできる作品でした。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
コメント