このページには、劇場アニメ『雨を告げる漂流団地』のキャスト情報やネタバレ、感想があります。
小学6年生、最後の夏休み――“オバケ団地”と呼ばれる60年ほど前に立てられた鴨の宮団地に6人の同級生が集まっていました。
サッカー部に所属する航祐、譲、太志と、航祐に淡い想いを抱いている令依菜、令依菜の幼馴染の珠理……。
そして、団地への並々ならぬ執着心を抱えている夏芽。その全員が屋上に集まった時、団地の周りは大海原へと変わってしまいました。
団地が漂流を始める中、オバケ団地の由来となったオバケ――のっぽくんが姿を現します。
小学生6人はぶつかり合いながら少しずつお互いへの理解を深め、協力して元の世界へと戻ろうとするのですが……。
基本情報
2018年日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞『ペンギン・ハイウェイ』の石田監督と『はたらく細胞BLACK』脚本の森さんがタッグを組んだ作品です。
団地が漂流するというファンタジーの中で“家族とは”“友情とは”“無機物への愛とは”という複数のテーマが扱われます。
夏の空気を感じられるアニメーションは多くありますが、ここまで水量の多い作品はそうそう出てこないでしょう。
スタッフ
監督
石田祐康
脚本
森ハヤシ
石田祐康
キャラクターデザイン
永江彰浩
キャラクターデザイン補佐
加藤ふみ
キャスト
熊谷 航祐/くまがや こうすけ(田村睦心)
兎内 夏芽/とない なつめ(瀬戸麻沙美)
のっぽ(村瀬歩)
橘 譲/たちばな ゆずる(山下大輝)
小祝 太志/こいわい たいし(小林由美子)
羽馬 令依菜/はば れいな(水瀬いのり)
安藤 珠理/あんどう じゅり(花澤香菜)
熊谷 安次/くまがや やすじ(島田敏)
兎内 里子/とない さとこ(水樹奈々)
『雨を告げる漂流団地』ネタバレ
夏休みの始まり
小学6年生の兎内夏芽は、夏休み前の最後の登校を終えて帰宅していました。ぼーっと外を眺めていると、作業員たちの声が聞こえてきます。
「俺、祟られるかも。だって、ここで見ちゃったもん。子どもの幽霊」
畳の上に小さなちゃぶ台を出して宿題をしていた夏芽は、いつの間にか眠ってしまっていました。
そして、亡くなったばかりの“やすじい”――熊谷安次のことを夢に見て、一筋の涙を流します。
夏芽ややすじいの一家が過ごしている鴨の宮団地は、60年ほど前にできたものです。周囲の人からは“オバケ団地”と呼ばれています。
やすじいの孫である熊谷航祐は、ベランダに出てLINEの画面を見つめていました。夏芽からのメッセージをたどっているのです。
夏芽と航祐は、同じ団地で姉弟のように育ち、やすじいからも本当の家族のような関係を築いた仲なのです。
しかし、やすじいの体調が悪化して入院してからは、やすじいに会いたい夏芽と気の進まない航祐の距離は開いていました。
悩みながらも、航祐は夏芽に電話をかけようとします。しかし突然母に声をかけられて驚き、ベランダからスマホを落としてしまうのでした。
お誘い
一学期の終業日、航祐と夏芽のクラスに羽馬令依菜が飛び込んできました。令依菜は航祐のことが気になっているようです。
令依菜はおしゃれな女の子で、ヘアスタイルにも服にも気を遣い、紫のランドセルを背負っています。
しかし航祐と最も距離が近い女子は夏芽――女子っぽさがほとんどない、ショートカットにTシャツにジーンズ姿です。
令依菜は夏芽にぶつかっておきながら謝ることもなく、教室の中にいる航祐に話しかけます。
「熊谷! 私、明後日からフロリダ行くんだけど、席がひとつ余っててさ~」
令依菜と長い付き合いである安藤珠理は、夏芽への失礼な態度に苦言を呈しますが、令依菜は一切気にしません。
令依菜はわざと夏芽を足止めしていたようで、航祐を連れて行ってもいいだろうと夏芽に問います。
「私に聞かなくても……あんなお子さま、ご自由に」
夏芽の言葉を聞いて、航祐はまぶたをぴくりと動かします。しかし、その表情は誰も見てはいませんでした。
令依菜の牽制が続く中、まったく空気を読まずに小祝太志が走り寄ってきました。太志は目を輝かせて夏芽に言います。
「明日、オバケ団地に行くぞ! 夏休みの自由研究! 詳細は……シークレット! おーい、航祐も行くよな?」
航祐や夏芽、太志、橘譲は鴨小サッカー部に所属しているため、令依菜の誘いより優先されるものだと太志は主張するのでした。
ふたつの家族
夏芽は、オバケ団地はもう取り壊しに入っているから危険だと太志を止めます。太志と共にやってきた譲も、夏芽に同調します。
「もう~! お前ら、うるっさいなあ! どっちも行かねえよー!」
航祐は令依菜と太志が言い争っているのを遮るように大声を出すと、教室を飛び出していきました。
女子たちがぽかんと見送る中、男子たちは一緒に帰り道を歩いていました。3人は、夏芽のことについて話しています。
来週には中小と試合だというのに、航祐とのツートップの片割れである夏芽がサッカー部に来なくなったことを惜しんでいるのです。
航祐は話題を切り替えるために、鴨の宮団地から引っ越した部屋でゲームをしようと太志と譲を誘いました。
その頃、夏芽も引っ越し先の部屋に着いていました。夏芽の母・里子は在宅ワークをしており、部屋は片付きそうにありません。
航祐の母・靖子や祖父・安次は、里子が団地を離れている間、夏芽の面倒を見ていてくれたのです。
靖子は、不愛想な息子・航祐よりも気遣いができて笑顔の多い夏芽の方が気に入っていたようです。
しかし、団地の取り壊しや里子の帰宅、安次の逝去などが重なり、ふたつの家族は少し遠くなってきていました。
オバケ捕獲作戦
翌朝、強引な太志に付き合って譲が取り壊し中の“オバケ団地”にやってきました。航祐はふたりを出迎えます
「オバケ捕獲作戦な!」
太志はオバケを捕まえるためなのか、虫取り網を持ってきています。そして、トランシーバーも……。
作業員の視線を避けるように、3人は敷地内を進んでいきます。しかし、もうどの階段も塞がれていました。
結局、鍵が開いていたために忍び込めたのは“熊谷安次・豊子”の表札がついている、航祐の祖父母が住んでいた部屋でした。
もう住まない部屋だからと航祐や太志が土足で上がり込む一方、譲は他人の家だからと靴を脱いで上がっていきます。
太志は昼間だというのにアウトドア用のヘッドライトをつけっぱなしにして、オバケを捕まえんと虫取り網を振り回し続けます。
太志はオバケがいそうな場所――押し入れを開きます。するとそこには、膝を抱えて眠っている夏芽がいました。
夏芽と気まずい関係になっている航祐は、夏芽が目を覚ます前に立ち去ろうとします。
しかし、何としてもサッカー部に戻ってきてほしい太志は、大きな声を出して夏芽を起こしてしまうのでした。
屋上
「何……? のっぽくん?」
寝ぼけた夏芽は、ふと“のっぽくん”と口にします。夏芽はのっぽくんは屋上にいるのだと、3人を案内しました。
屋上への鍵は開いており、夏芽は屋上にテントを張って頻繁に来ているようです。そんな中で、夏芽はのっぽくんに出会ったのです。
「前にこの団地に住んでたみたいで。背がこんくらい高くて……名前教えてくれないし、家に帰りたくないみたいでさ……」
のっぽくんが同年代の小学生だということもあり、夏芽は親近感を覚えているようです。しかし、航祐は夏芽の発言を疑います。
その頃、令依菜は珠理を含めた女友達を引き連れて、自慢話をしながらオバケ団地の近くを歩いていました。
珠理は屋上にいる人の中に航祐がいることに気付き、令依菜をけしかけます。
「令依菜ちゃん、“女は先手必勝、好機は食らいつけ”だよ!」
令依菜は航祐への好意を否定しながらも、昨日の航祐の態度が気に食わないから文句を言うのだとオバケ団地へと向かうのでした。
古いカメラ
「どんだけ団地好きなんだよ。クラブにも来ねえでさ、片付けが終わってないとか嘘こけ! もう2ヶ月経ってんだぞ」
航祐は夏芽にケンカをふっかけています。航祐は、団地に心を残したままの夏芽が気に食わないのです。
そこに現れた令依菜は、夏芽が悪いのだと決め付けて怒り始めます。そして、夏芽が設置したテントを外そうとしました。
すると、テントから古いカメラが出てきます。令依菜がカメラを手に取ると、夏芽は必死になってカメラを取り返しました。
カメラは安次――航祐の祖父・やすじいのものでした。航祐は、夏芽が盗んでいったのだと思い、カメラを奪います。
「じいちゃんはもうくたばってんのに、人んちに土足で上がったまんまで……お前、気持ち悪いんだよ!」
夏芽は、航祐の言葉に怒りを爆発させます。そして、カメラを取り返すと屋上にある鉄塔に上りました。
雨が降る中、足元が悪くなります。夏芽は足を滑らせて塔から滑り落ちてしまいました。
何とか航祐が片方の腕を掴みますが、雨の中で手が滑ってしまい、夏芽は落ちて行ってしまいます。
その時、航祐と夏芽が住んでいた112号棟をバケツを引っくり返したような雨が襲いました。
漂流団地
航祐たちが夏芽に気を取られている間に、オバケ団地の112号棟を残して街が消え去り、周りが大海原になってしまいました。
おかげで夏芽は無事だったのですが、団地はそのまま海を進んでいく大きな船になってしまいました。
船――のように見えた一軒家が流れてきましたが、誰もいませんでした。無情にも一軒家は通り過ぎていきます。
「ちょっと、どうにかしなさいよ! あんたのせいでしょ! 元はと言えば、あんたがここにいたからじゃん!」
電波は圏外、他の人の姿はありません。夏芽がいう“のっぽくん”もどこにもいません。
令依菜が焦りから夏芽を責めていると、航祐が止めにやってきました。そして、最も入り浸っていた夏芽に助言を求めます。
夏芽は食料を探しに階下に向かいました。そして、探していたのっぽくんと再会します。
そんなことも知らず、屋上に残った航祐たちは脱出策を練っていました。大きなSOSを書いたり、花火を上げたり、双眼鏡で船を探したり……。
しかしどの策も不発に終わり、全員で比較的綺麗だった101号室に向かうことにしました。
その途中で、航祐たちは見知らぬ人影と遭遇します。令依菜が叫び声を上げると、それにつられるように皆も走り出しました。
やはりオバケはいたのだと、太志が叫びます。皆で鍵が開いている部屋に飛び込み、人影から逃げました。
一晩限りの夢
人影から逃げてさまよう内に、太志と譲は夏芽のいる部屋にたどり着きました。遅れて他の子たちもやってきます。
そして最後に人影――のっぽくんが現れました。令依菜はあまりの恐怖で気を失いますが、目を覚ますといつも通りの意地っ張りを取り戻します。
夏芽は工事用の油を夜間の灯りに使い、キャンプをするつもりでためていたブタメンやお菓子、ジュースなどを皆に配ることにしました。
のっぽくんは背が高いだけではなく知識も豊富で、皆が団地で暮らせるようコンロを使い雨水を沸かせるようにしていました。
「実は私、ここに来たこと、前にもある。団地にいて、気付いたら海に来てたことが何度かあって」
夏芽はいつも寝て起きたら元の世界に戻れていたこと、時間も経っていなかったことを説明します。
令依菜は夏芽の言葉を信じません。それは、航祐も同じでした。航祐は、夏芽の夢物語など信じられないと語ります。
そして航祐の考えた通り――翌朝になっても、団地は漂流したままでした。他の建物が見えたことはありますが、返答はありません。
数日経ち、ブタメンもずいぶん減って、食料はスナック菓子だけになってしまいました。
皆の心はどんどんすり減っていきます。そんな中、テントにあるぬいぐるみを見て航祐はぼんやりしていました。
ナラハラでの冒険
航祐と夏芽が仲良く過ごしていた頃、水色のぬいぐるみはふたりの共有のおもちゃでした。航祐はぬいぐるみを眺めては、昔を思い出します。
夏芽とぎくしゃくし続けるのは、航祐とて本意ではないのです。のっぽくんはそれを察して、夏芽と仲直りするよう勧めてきます。
しかし、航祐は素直に応じられません。団地から脱出する方策を練りながら、のっぽくんのお節介にいらだつのが関の山でした。
翌日、団地の横に建物が現れました。航祐は屋上からくさびのついたロープを投げ、ジップラインの要領で乗り移ります。
航祐は建物の屋根を突き破り、中に飛び込みました。そこは“ナラハラ”と呼ばれる体育館でした。
夏芽も別の手段でナラハラにやってきており、航祐とふたりで備蓄食料がないか探すことにします。
「でも、どういうことだ? ナラハラって3年のときに絶対壊されたはずなのに……」
夏芽は上の階に自動販売機があったことを思い出し、段ボールだらけの中を無理矢理進んでいきます。
そのときバランスを崩し、夏芽は転んでしまいました。夏芽は賞状の額にひざを突っ込み、怪我を負ってしまいました。
ツートップ
サッカー部でツートップとして過ごしてきた航祐と夏芽は、お互いのダメなところをよく理解していました。
なりふり構わず危険に突っ込んでいってしまう夏芽のことを航祐が責めると、夏芽は航祐のイライラしがちなところを責めます。
それでも力を合わせなければ自動販売機を壊すことはできないからと、ふたりは一緒にブラウン管テレビを投げつけました。
しかし、どんなに衝撃を与えても自動販売機の堅牢さには敵いません。そのとき、団地から太志と譲の声が聞こえてきました。
「早くしろー!」「早く戻ってこーい!」「離れてってるぞー!」
団地とナラハラは進むスピードが違うようで、団地がどんどん離れていっているのです。
何も得られないまま団地に戻ることを拒んでいた夏芽でしたが、航祐の説得により戻ることを決めます。
そのとき、物音と走り去る足音が聞こえました。驚いたふたりが振り返ると、食料用と書かれた非常持出袋が床に落ちました。
ふたりはナラハラから大量の食料を持ち帰ることができました。皆はふたりの無事と新しい食料に喜びます。
そして、共に過ごした航祐と夏芽が仲直りするきっかけを得たのではないかと期待するのでした。
古いカメラ
航祐と夏芽が少しは仲直りしたようだと分かり、太志は報告します。街にある給水塔が見えるようになっていたのです。
やっと帰れるのだと、皆の表情が明るくなりました。そこから離れている夏芽に、のっぽくんが古いカメラを差し出します。
屋上から部屋に下りてきた航祐に、夏芽はその古いカメラを差し出しました。
「これね、やすじいから航祐にって。その……ふたりで話してたんだ、航祐の誕生日にサプライズしようって。ずっと欲しがってたでしょ」
家族同様に過ごしてはきたけれど、本来、夏芽は熊谷一家とは血が繋がっていません。
あまりに近過ぎて距離を見誤ったのだと、夏芽は謝ります。そんな夏芽を前に、航祐はただ走り去ることしかできないのでした。
夏芽は脇腹やひざの怪我の痛みを堪えながら、笑顔で過ごしていました。航祐はそれに気付くことはありません。
夜中、トイレに起きた航祐はのっぽくんと出会いました。のっぽくんは、左腕にある紫のあざのようなものをさすっていました。
その様子を見て、航祐はのっぽくんに対する疑惑を大きくしていくのでした。
のっぽくんの謎
翌朝、航祐は思い切ってのっぽくんに尋ねます。航祐もずっと団地で過ごしてきた身、のっぽくんのような人がいれば知らないはずはないのです。
「僕は、この団地にずっといる。この団地が出来たときから」
出来たばかりの団地にたくさんの人がやってきたこと、子どもが産まれて、そして……去って行ったこと。
そして、のっぽくんは左腕をまくりあげます。のっぽくんの腕からは、枝や葉っぱが生えていました。
太志はのっぽくんを“妖怪葉っぱ人間”と呼び、のっぽくんこそがオバケ団地のオバケだったのだと叫びます。
そんな中でも、航祐は冷静でした。のっぽくんが何かしっているのではないか、のっぽくんのせいで漂流しているのではないか……。
のっぽくんに疑いを持つ航祐を制止する夏芽に、令依菜は怒ります。夏芽のせいで汚い場所で過ごすことになったのだと声を荒らげました。
「令依菜ちゃん! そういうこと言っちゃダメ!」
大きな声を出したのは、常に令依菜と一緒にいる珠理でした。性格に難がある令依菜を、ここぞというときにフォローしたのです。
太志はのっぽくんを触りまくり、怖くないと言い放ちます。そして珠理も、優しい目をしているのっぽくんは怖くないと言いました。
夏芽とやすじい
やすじいが入院している頃、夏芽は航祐を連れて病室に向かいました。夏芽は、弱っているやすじいに会うのを怖がっているようです。
「まあ、お前のじいちゃんじゃないんだし、そんなビビんなよ」
航祐は夏芽を元気づけようとそう言ったのですが、夏芽は深く傷付いた表情をして走り去ってしまいました。
そのとき、病室からやすじいが出てきます。夏芽を航祐と同じくらい可愛がってきたやすじいは、怒っていました。
「航祐、謝ってこい。早く! 謝ってこい!」
夏芽のあとを追いかける航祐を見ながら、やすじいは床にひざをつきました。胸をおさえながら、航祐の後ろ姿を見守ります。
それが、やすじいと夏芽がサプライズで航祐にプレゼントを贈ろうとした日に起きた出来事だったのです。
夏芽は幼い頃、欲しがっていたのに口に出せずにいた水色のぬいぐるみを、やすじいから誕生日プレゼントとして贈られたことがありました。
「私にとってお父さん代わり……だったのかな。うわ、人んちのおじいちゃんなのに、ちょっと気持ち悪い……よね」
令依菜の想い
令依菜は両親に連れて行ってもらう遊園地が大好きです。そのため、今回フロリダに行けなかったことにすねていました。
「私の思い出、全部詰まってんだもん」
「同じじゃないかな。夏芽ちゃんにとっては、ここが思い出の詰まった大切な場所なんだと思うよ」
珠理は、夏芽のことを敵視して理解しようとしない令依菜に優しく助言しました。
「あのね、私、令依菜ちゃんに謝りたいの。私、口ばっかりでしょ。ズカズカ行動できる令依菜ちゃんに隠れてばっかでさ。色々言ってごめんね。私、もっと頑張る」
考えずに短絡的に行動に移してしまう令依菜は困った子に見えますが、珠理にとっては憧れの存在だったのです。
珠理は自分のことを口ばかりだと言いますが、令依菜の突発的な行動をフォローしてあげられる右腕です。
令依菜は、珠理こそが最も大切な友達であることに気付き、これからは大事にしていくことを誓うのでした。
給水塔が近付いているのか疑問に思われる中、団地の目の前にデパートが現れました。
前回と同じように航祐と夏芽が行こうとすると、のっぽくんも一緒に行きたいと名乗り出ます。
3人はデパートに乗り込みますが、中は廃墟のようにボロボロです。落ちていたチラシは2016年――6年前のものでした。
太志のピンチ
夏芽は突然駆け出すと、おもちゃ売り場に向かいました。恐竜のぬいぐるみが並んでいる場所で、夏芽は立ち止まります。
“おもちゃの楽園”と名付けられたおもちゃ売り場は、他のフロアと同じように水たまりができ、草に覆われています。
「ここ……嫌いだった。小さい頃、誕生日プレゼント買いに来たんだけど、お母さんたちがここでケンカしちゃって、結局何も買ってもらえなかったな」
おもちゃ売り場は、夏芽にとってよくない思い出の場所だったのです。航祐が心配していると、太志の慌てた声が聞こえてきました。
団地とデパートの他にも建物が近付いてきて、それぞれがぶつかり始めたのです。3人は慌ててデパートを出ようとします。
そのとき、水が光って小さな女の子が泣いている姿を描き始めました。夏芽とのっぽくんはハッとして足を止めます。
航祐はふたりを引っ張り、デパートから出て行きます。その頃、屋上にいた太志は衝撃で落ちそうになっていました。
縁につかまって何とか耐えている太志に気付いた珠理は屋上に急ぎます。それを令依菜が追いかけました。
譲がデパートと繋がっている綱を必死で引っ張っている頃、屋上の太志は珠理と令依菜によって助け出されていました。
しかし、太志が落としてしまったトランシーバーを拾おうとした珠理は崩れた瓦礫に乗ってしまいます。
親友
譲に指示を出して珠理がぶら下がっている場所の下に浴槽で作ったボートをつけると、夏芽は建物を壁伝いに上っていきました。
落ちてきた珠理の腕をつかんだ夏芽は、一部の壁が崩れた部屋の中に珠理を放り込みます。
しかしコンクリートから突き出した鉄の棒につかまっていただけの夏芽はバランスを崩し、堪え切れず海に落ちてしまいました。
海の中には、乗り物のおもちゃやぬいぐるみがたくさんありました。それらを飲み込むように、砂のような黒いものがうごめいています。
その黒いものは、夏芽の靴もつかみました。海に飛び込んだ航祐が夏芽の手を引き、のっぽくんが夏芽の靴を脱がせます。
航祐と夏芽が海面へと上っていく一方、のっぽくんは左足を黒いものにつかまれてしまいます。
団地へとたどり着いた夏芽がのっぽくんを引き上げると、のっぽくんの左足はかかとから先が取れ、鉄の棒が出ていたのでした。
その頃、珠理は壁に打ち付けられた衝撃で負った頭の怪我を手当てされたものの、まだ目覚めずにいました。
珠理を助けるためにしたこととはいえ、令依菜は夏芽のことを許せないと思っていました。
「珠理は……珠理は私の親友なんだよ。なのに、あんたが!」
本当の家族
令依菜のメンタルは限界に達していました。心の支えになっていた珠理が意識不明になったことで、その言動はより過激になっています。
夏芽は令依菜を心配しつつも、皆の前にやってこなくなったのっぽくんのことも心配していました。
夏芽が人には見せないようにしつつも落ち込んでいることに気付き、航祐は水色のぬいぐるみをパペットのように使って励まそうとします。
しかし、夏芽は航祐にも本当の気持ちをごまかそうとします。いつものように、軽口を叩いて……。
それでも航祐は諦めません。弟扱いしてバカにするのは、航祐をいらつかせて立ち去らせようとしているからだと分かっていたからです。
「私は本当は泣き虫だよ。知ってるでしょ? うちの家族は大変だったからさ、私は泣いてばっかだったもん」
家庭内暴力を振るっていた父親に対して、幼い夏芽は泣くことしかできませんでした。家族が離れ離れになっても、涙するだけだったのです。
父も母も離れていき、夏芽は団地に移ることになりました。そこで夏芽を受け入れたのが、航祐の祖父・やすじいだったのです。
やすじいは同い年の孫・航祐と夏芽を同じように扱っていました。それを航祐がさみしく思っていることを、知ってか知らずか……。
夏芽は、やすじいと航祐の方が本当の家族だと思うようになっていました。しかし、その安らぎの場はもうないのです。
ぬいぐるみの思い出
夏芽には血の繋がった母親がいます。母親が帰ってきたらもう、航祐と共に暮らすことはできません。
やすじいが亡くなり、団地の取り壊しが始まっても、夏芽は温かい家族の思い出を過去にすることができませんでした。
「その子はね、やすじいがくれたとき、ほんとは好きじゃなかった」
デパートで両親がケンカしてプレゼントを買ってもらえなくなったことを想起させるため、水色のぬいぐるみは嫌な思い出のトリガーでした。
しかし、夏芽が航祐と遊ぶときにぬいぐるみはいつもそばにいました。航祐が、嫌な思い出を塗りつぶしていったのです。
「はい! もうこの話は終わり。私はもう平気だからさ。自分のことは自分でなんとかするし」
航祐は、夏芽が独りで頑張ることを良しとはしていません。夏芽には人を頼ってほしいと思っているのです。
その想いに反して夏芽が心を閉じたと同時に、団地に衝撃が走りました。多くの沈みかけた建物がぶつかってきたのです。
デパートとぶつかったことが原因で、団地は半壊していました。夜空にはぎらぎらと星が光り、怖いほどです。
その翌日、団地に水が入ってきてしまいました。もう1階には下りられなくなり、航祐は団地を出ることを決意します。
1階にいたはずののっぽくんが見つからないため、皆でのっぽくんを探すことにしました。
この海
のっぽくんは、もう顔まで葉っぱで覆われていました。航祐は、のっぽくんが知っていることを全て知りたいと語りかけます。
すると、のっぽくんから出た水色の光が空に広がりました。その光は、航祐たちを包み込みます。
「僕は、誰もいなくなったはずのこの団地で、ひとりぼっちでいた夏芽のことがどうしても放っておけなかった。それに、航祐のことも」
のっぽくんは今までの人生を振り返ります。航祐、やすじい、夏芽が楽しげに笑い合う姿が、のっぽくんは本当に好きだったのです。
ずっと団地に住む人々を見守ってきたのっぽくんでしたが、いつも屋上にいるためか、屋上に上ってくるやすじい達はより印象的だったようです。
「この海は、きっと僕だけが来るはずの場所だったんだよ。僕が……君たちを連れてきてしまったんだと思う」
その言葉を聞いた令依菜は、のっぽくんに怒りをぶつけます。しかし、帰り方を知らないのっぽくんにはどうにもできません。
ボロボロの状態の令依菜を救ったのは、目を覚ました珠理でした。珠理は泣きじゃくる令依菜を抱き締め、励まします。
珠理は誰のことも責めず、大丈夫だと繰り返し伝えました。そんな珠理の周りに皆が集まります。
「イカダで早くここを出た方がいい。僕のことは、もういいから……」
のっぽくんは皆と一緒に過ごすことを諦め、ひとり海で朽ちていくことを選んだのでした。
みんな一緒に
皆がのっぽくんを置いて脱出することを受け入れる中、夏芽はそれを納得できずにいました。
令依菜が人間ではないのっぽくん、そもそもの原因であろうのっぽくんを置いていくのは当然だと主張したため、夏芽は航祐に語りかけます。
幼い頃からずっと自分たちを見守ってきてくれたのっぽくんとの別れを、夏芽は受け入れられないのです。
「一緒に帰れないなら、私はここから出たくない!」
夏芽がどうしても団地から心を離すことができないと知り、航祐は頭に血を上らせます。
しかし、譲までもが夏芽に同調しました。令依菜の考えも分かるけれど、仲間をひとり置いていくことも心の負担になると……。
黙って話を聞いていた珠理は、仲間割れすることこそが最も避けるべき事態だと主張しました。
太志はひとりで浴槽を繋いでイカダを作り続けていました。のっぽくんの分が増えても、文句ひとつ言わずにイカダ作りを続けます。
イカダ作りも荷物を詰めるのもまだ終わっていません。そんな中、団地が傾き水が入ってきました。
航祐は皆を率いて団地からの脱出を進めます。やすじいの部屋で物思いにふける夏芽の手を引いて……。
のっぽくんの想い
衝撃と共に浸水の勢いが増し、航祐と夏芽は流されそうになります。そんなふたりの手を取ったのはのっぽくんでした。
航祐が屋上から繋がるイカダに乗るようのっぽくんを促したとき、のっぽくんは突然、航祐を突き飛ばしました。
航祐がイカダに乗ったのを確認すると、のっぽくんはイカダを無事な右足で押し出しました。
「僕はこのまま行くよ。だから、ごめん」
夏芽は、やすじいの葬儀のことを思い出します。これが最後のお別れだと実感した瞬間のつらさが心に蘇ります。
もうつらいお別れをしたくはないと、夏芽はイカダから海に飛び込みました。そして、そのまま波に乗って団地へと向かいます。
航祐も続けて飛び込みますが、どうしても夏芽に追いつけません。イカダを戻そうとしても、波が逆方向に進むのです。
朽ち果てる覚悟を決めたのっぽくんは、夏芽が戻ってきたことに驚きます。団地はもう、屋上以外のすべてが水に沈んでいました。
「ダメだよ、君までこんなこと……僕のことはもういいのに!」
のっぽくんが何と言おうと、夏芽はのっぽくんと共に元の世界に戻ると決めていました。もう後悔しないために……。
嵐の中の漂流団地
航祐が夏芽を救いたいと強く願っていると、海面が光り始めました。水色の光が海から飛び出し、それぞれの家族を映し出します。
イカダは、まるで元の場所に戻っていくように逆方向に進み始めました。皆は家族の姿を見てほっとしています。
しかし、航祐が見たのは夏芽だけがいない光景でした。ふと後ろを向くと、闇の中に浮かび上がった夏芽が団地に向かっていく姿が見えます。
そのとき、デパートの屋上にあるようなうさぎの乗り物がイカダにぶつかってきました。
その向こうには大観覧車があります。夏芽を救いたいという強い想いを持った航祐は、観覧車を見て何か思いついたようでした。
嵐の中に取り残された団地の屋上では、のっぽくんと夏芽が必死に建物の一部にしがみついていました。
もし、私が戻らなかったらお母さんはどうするんだろう? ……きっとその方がお母さんは楽なんだ。
漂流団地に皆を連れてきてしまったのは夏芽、航祐とやすじいの最期のお別れを邪魔したのも夏芽……。
「私が、私なんか、いなくなった方がいいんだ。でも……でも、怖い。怖いよ……」
夏芽が漏らす本音を聞きながら、のっぽくんは目を伏せることしかできませんでした。
航祐の真意
そのとき、航祐たちの声が聞こえてきました。航祐は観覧車から伸びているワイヤーを使って団地に渡ることを思いついたのです。
航祐は自分の体に巻き付けたワイヤーを、団地の構造物に巻き付けます。観覧車に団地を引っ張ってもらおうと言うのです。
観覧車の下で航祐を応援していた令依菜は、衝撃でバランスを失い嵐の海に落ちそうになります。
そこに手を伸ばしてきたのは、ピンクの服を着た少女でした。少女は令依菜を優しく見つめます。
「あなたのこと、よく覚えてるわ。お父さんとよく来てたでしょ?」
その少女は遊園地を思い出の場所としている令依菜にとって、のっぽくんのような存在だったのです。
一方、無茶をして自分たちを助けに戻ってきたことに対して、夏芽は航祐に怒りをぶつけます。航祐もまた、怒りを爆発させました。
「ここは立派なお前んちだよ。でも、もう捨ててかなくちゃいけねえんだよ!」
航祐は、団地を嫌う理由を初めて明かしました。本当の家族と離れ離れになり涙する夏芽を救ってあげられない自分を思い出すからなのだと……。
夏芽も航祐も、お互いを家族だと思っていました。それでも突き放したのは、団地に執着する夏芽へのいらだちからでした。
「のっぽなんかより俺の方がな、夏芽と一緒にいたいんだよ!」
回る観覧車
航祐と夏芽は共にやすじいのもとで育った孫同士であり、そしてサッカー部のツートップでもあります。
航祐が繋いだら、夏芽がシュートする。それはツートップのいつもの動きでした。次は、いつも通りのことをするだけです。
「おい、のっぽ。お前も一緒に帰るんだからな。分かったな?」
観覧車が団地を持ち上げていきます。しかし、団地の重さに耐えられないのか、ワイヤーが外れて絡まってしまいました。
譲と太志は、観覧車の精であろう少女の指示を受けながらワイヤーの先にある滑車を支えます。
「みんなで絶対帰るぞ! 帰ってみんなに母ちゃんのコロッケ食わしてやるんだー!」
「俺だって! 俺だって! みんなでスマブラやりてえぞー!」
「私だって! 熊谷とフロリダ行くんだからー!」
「私もでしょ! みんなで熊谷くんたちを助けよう!」
「行くぞ! 鴨小ファイトー!」
譲、太志、令依菜、珠理が力を合わせてワイヤーが外れないように滑車を支えます。しかし、もう限界でした。
令依菜が怪我しそうになり、少女は思わず令依菜を突き飛ばしました。ワイヤーがどんどん外れていきます。
団地は再び嵐の海を進み始めました。大きく傾いた団地の屋上では、航祐と夏芽が順番に滑ってしまいます。
ふたりを支えたのはのっぽくんでした。のっぽくんの助けで何とか体勢を持ち直したものの、団地は物凄いスピードで進んでいきます。
愛したものとの別れ
何が起こるのかは分かりませんが、再会したツートップは恐れず、互いを信じて耐えることができていました。
しかし大波に飲み込まれ、黒い砂に侵食され始めるとふたりの表情は変わります。
離れそうになった航祐と夏芽の手を握ったのは、のっぽくんでした。
もうあの頃に戻れなくたっていい。僕のことなんてどうなったっていい。だけど、夏芽と航祐は生きてるんだ! 生きて、笑っていてほしいんだ!
のっぽくんが決意と共に伏せていた目を開くと、水色の光が海中を駆け巡っていきました。
3人が目を開くと、嵐は収まっていました。霧が晴れると、目の前に島が見えてきました。
そして、団地の横には壊れた観覧車が建つ小島が浮かんでいました。譲、太志、令依菜、珠理が団地に向かって手を振っています。
「あの……八島は、パパに初めて連れてきてもらった遊園地なの。この観覧車も何度も何度も乗った。大好きだったの」
令依菜は、大好きだった観覧車との離れがたい気持ちを覚えていました。少女はそれを分かっていて、優しく微笑みます。
「あなた、本当にパパっ子で甘えんぼさんだったけれど、よく頑張ったわね」
令依菜たち4人が乗ったイカダは団地にたどり着きました。真っ青な空の下、団地は島に向かって進んでいきます。
空飛ぶ漂流団地
島に着くと、太志は率先して降りて行こうとします。しかし、のっぽくんが太志を止めました。
「分かったんだ。僕とあの子たちは一緒だよ。ここは僕らが帰る場所なんだ」
島から手を振っている男の子には、のっぽくんと同じように枝や葉っぱが生えていました。
夏芽は涙を堪えて、手をぎゅっと握りながら笑顔を作りました。のっぽくんとの別れの寂しさを、必死で耐えているのです。
水色の光が夏芽たちの周りに浮かんできました。その光が夏芽たちを導いてくれるのだと、のっぽくんは語ります。
そして突然、のっぽくんは団地の屋上から島へと飛び降りました。航祐と夏芽、ふたりでいれば大丈夫だと安心して笑っています。
「私は大丈夫だって! 航祐と一緒に頑張るから!」
ひとりでに動き始めた団地の屋上で、夏芽はのっぽくんに別れの言葉を叫びます。
波を立てて進んでいた団地は、光の力で持ち上げられたかのように空に浮かびました。
そして、空に浮かんだ団地も光の粒へと形を変えていきます。その光は、団地が今まで聞いてきた温かな声を放っていました。
その中にあるやすじいの声を見つけて、航祐と夏芽は微笑みます。
冒険の終わり
夏芽たちが目を覚ますと、そこは夕方の団地でした。しかし、夏芽や珠理の怪我は残っており、夢ではなかったことが分かります。
夏芽が帰路を歩いていると、夏芽を探しに来た母・里子が駆け寄ってきました。そして、ぎゅっと夏芽を抱き締めます。
「一緒にご飯作ろ、お母さん」
ずっと離れて暮らしていた里子に気を遣ってきた夏芽ですが、一緒に暮らすからには家族として接しようと決意したのです。
夏芽はサッカー部に戻り、航祐とのツートップが再結成されました。あれは夢だったのか……航祐はまだ分からずにいます。
航祐はやすじいからもらった古いカメラで撮った写真を手に取り、奥に写っているのっぽくんのとぼけた顔を見つめます。
夏芽たち母娘は、航祐の家族と親しく過ごすようになっていました。航祐の母・靖子もご機嫌です。
漂流団地での出来事は、それぞれの関係を少しずつ変えました。しかし、大きく変わったわけではありません。
仏壇の中に立てられている笑顔のやすじいは、全てを分かって笑っているように見えたのでした。
ミヅチガタリ
水を描くのが得意な監督の作品とは聞いていましたが、ここまで水浸しだとは思いませんでした……。
コロナ禍になってから取り壊しになる建物は多く、その中に慣れ親しんだ建物があることも多々あるかと思います。
私も慣れ親しんだ場所がいくつも取り壊され、思い出ごと取り壊されてしまうような感覚になりました。
新しい生活を受け入れられない夏芽にとって、いい思い出の詰まった団地はもはや自分の一部だったのでしょう。
その夏芽の想いの強さが邪魔して、のっぽくん=鴨の宮団地は向かうべき場所に進むことができなかったんじゃないでしょうか。
夏芽ひとりを乗せたまま島に着いてしまったら、夏芽も一緒に島に降りてしまうでしょう。のっぽくんは、それを望んでいません。
だからこそ、航祐たちがいるタイミングを狙ってのっぽくんは海へと漕ぎ出したのではないでしょうか。
よかったのは、遊園地が好きという伏線がきちんと回収されたことです。令依菜をただのトラブルメーカーとして扱わないところがよかったです。
常にはしゃいでいるけれど地道な作業を続けられる太志、ガタイの良さを100%活かして皆を鼓舞できる譲も、ただの脇役じゃありませんでした。
観終わったときに、航祐・夏芽・太志・譲・令依菜・珠理の全員を好きになれたなと感じるいい作品でした。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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