こちらにはNetflixで配信中の韓国ドラマ『明日』エピソード14「風の花」のネタバレと感想があります。
主な登場人物・キャスト
チェ・ジュヌン(ロウン)
危機管理チーム長ク・リョン(キム・ヒソン)
イム・リュング(ユン・ジオン)
玉皇大帝(キム・ヘスク)
引導管理チーム長パク・ジュンギル(イ・スヒョク)
あらすじ
4月28日、危機管理チーム長ク・リョンの年に一度の休暇の日です。それは、クチーム長の命日でした。
ふと気になって危機管理チームの新人チェ・ジュヌンがクチーム長のネガティブ度を見ると、100%になっていました。
ジュヌンがクチーム長の役に立ちたいと思い玉皇大帝を訪ねると、ジュヌンの覚悟を知った玉皇大帝がクチーム長の過去を見せてくれました。
約400年前、貴族の娘だったク・リョンと貴族の息子だったパク・ジュンギルは偶然知り合いました。
第一印象は悪かった二人ですが、毒蛇に噛まれ村人に救われるという共通の体験を通して、次第に仲良くなっていきます。
パク・ジュンギルは国を守るため、政治家ではなく武官を目指し始めました。そして従事官(チョンサガン)となります。
パク・ジュンギルが屋敷を離れて戦っている時、女真族の襲撃を受けたク・リョンは勇敢に戦いますが、力及ばず連れ去られてしまいました。
知識と度胸を駆使して連れ去られた女性たち全員で帰国したク・リョンでしたが、人々の反応は酷いものでした。
妻ク・リョンを追い詰める人々に怒りを爆発させたパク・ジュンギルは、噂を流す者たちを殺して回る殺人者になります。
夫を変えてしまったのは自分だと考えたク・リョンは、自ら命を絶つことに決めたのでした。
ミヅチガタリ
夫婦でしたね! ク・リョンとパク・ジュンギルは前々世で夫婦だったことが分かりました。
ク・リョンの性格はあまり変わりませんが、パク・ジュンギルはほぼ別人でしたね……。
国を、民を守りたいという同じ気持ちを持った二人は、若くして志を同じくする“同志”として惹かれ合ったようです。
13話に引き続き、国力のなさは女性に悲劇をもたらすという流れで話が進んでいきました。
武力を持つ女真族に攻め入られた後に連れ去られた女性たちは、当然慰み者になったと考えられてしまいます。
事実がどうであれ、一度穢れた女性として扱われれば、そのレッテルを剥がすことは難しいものです。
妻への愛が暴走した結果、パク・ジュンギルは殺人鬼になってしまいました。ク・リョンはそれが自分のせいだと考えます。
しかし、本当に伝えたいのは10話や13話同様「被害者を追い詰める周囲が悪い」というメッセージだと思います。
人は、どうしても「被害者に非があった」と考えたいのです。誰もが被害者になり得ると考えると、安心して生きていけなくなるからです。
人は安心して生きるためだけに他の人を踏みつけることがある……それを忘れないでいたいなと思いました。
明日 第14話「風の花」
ネガティブ度100%
4月28日 休暇
屋台で酒を楽しんでいる危機管理チーム長のク・リョンのテーブルに、新人のチェ・ジュヌンが座りました。
しかしクチーム長は不機嫌なようで、心配して酔ってきたジュヌンを追い返してしまいます。
一度は引き下がったジュヌンでしたが、クチーム長がテーブルに顔を伏せて眠ったため再び席に着きました。
「明日になるのが嫌なの……」
クチーム長の寝言を聞きながら、ジュヌンはその腕に巻き付いている誰とも繋がっていない赤い糸を見つめるのでした。
翌朝、休暇だというのにクチーム長は危機管理チーム室にいました。しかし「友達に会う」と言って去って行きます。
ジュヌンはいつもと違うクチーム長の様子が気になり、アプリでクチーム長のネガティブ度を見ました。100%でした。
ジュヌンが頭を抱えていると、危機管理チーム代理のイム・リュングが話しかけてきます。
「今日は休みですね。死神の休暇は年に一度、自分の命日です」
クチーム長のネガティブ度100%と聞いても、イム代理は表情を変えませんでした。幸せな死に方をした死神は少ないからと……。
ジュヌンのお節介
朝鮮時代をお嬢様として生きたクチーム長は、自分を慕ってくれた侍女の生まれ変わりが芸能人として活躍しているのを見て微笑みます。
ジュヌンは温室にいる玉皇大帝を訪ねました。玉皇大帝はクチーム長の事情を知っていると、ジュヌンは確信しているのです。
「引導チームに所属してから、今のチームを任せた。なぜですか? 理由は?」
クチーム長と引導管理チーム長パク・ジュンギルが生きている頃に関係があったということも、盗み聞きしたためジュヌンは知っています。
クチーム長のことを聞き出そうとするジュヌンに、玉皇大帝は問いかけました。クチーム長はジュヌンにとってどんな存在かと……。
「初めは気難しくて、近寄り難かった。今は、カッコいい人です。見習いたいし、力になりたいです。全力を尽くして」
そう答えたジュヌンに満足したのか、玉皇大帝はジュヌンの目を覆いました。
おてんばなお嬢様
約400年前――お嬢様のク・リョンは、居眠りをしている侍女コプタンの隙を見て部屋から逃げ出しました。
何度も家出を繰り返しているク・リョンは侍女コプタンから信用されていません。そんなク・リョンが外で何をしているかと言うと……。
弓矢を持って狩りをしていたのです。その森では、貴族の息子も鍛錬をしていました。
貴族の息子は、迷い込んだ貧しい親子に剣を向けます。ク・リョンは丸腰の親子に武器を向けた貴族の息子を諫めました。
その親子は貧しい村の住民でした。その村には、毒蛇に噛まれたク・リョンを救ってくれた男たちがいます。
貴族の娘が貧しい自分たちを人間扱いしてくれるというだけで、男たちは喜んでいました。
何気ないやりとりの中で、ク・リョンは牛や馬も殺せるという強力な毒を持つ植物の存在を教えられるのでした。
毒蛇
村人たちに恩を返すためにと、ク・リョンは獲物を捕まえては村に持って行っていました。
ある日、ク・リョンは貴族の息子が毒蛇に噛まれて苦しんでいるところに遭遇します。
ク・リョンが貴族の息子を村に連れて行って救うように頼んだため、村人たちは貴族の息子を治療します。
全快した貴族の息子は、村に大量のお礼を持って行きながら、ク・リョンが再び現れるのを待ちました。
「人がいて初めて法が存在する。皆、同じ人間です」
親子を救う時の言葉を守るように、ク・リョンは貴族の息子をも救ったのです。
大量の食糧をもらって喜ぶ村人たちでしたが、貴族の息子が虎を狩ろうと言い出した時にぽろりとこぼしました。
「近頃、北にいる女真族が鴨緑江(アムノッカン)を渡ってきてるそうです」
もし戦になれば村は真っ先に攻められるだろうと、村人は語ります。そこでク・リョンは父親から聞いた話を思い出しました。
女真族の国家である後金は、朝廷に無理難題を押し付けています。朝廷が学問ばかりを優先し武力を軽んじたからだと村人はぼやきます。
婚期のふたり
「パク・ウォンシクの長男、ジュンギルです」
ク・リョンが村から去ろうとした時、貴族の息子がそう名乗りました。ク・リョンも自分の名を明かし、二人は別れます。
村人のぼやきを聞いたパク・ジュンギルは、武力も鍛えなければと鍛錬により時間をかけるようになりました。
「お前も婚期に達した。生まれる前から決まっていたことだ」
ク・リョンは親が勝手に決めた結婚などしたくないと反発しますが、片親でク・リョンを育てた父親も意見を曲げません。
婚約者など認めないと言い放ち、ク・リョンは父が決めた婚約者に会いに行くことに決めました。
好きな人がいるからと結婚を断りに行った先にいたのは、村で出会ったパク・ジュンギルその人だったのです。
ク・リョンはすっかり機嫌を直し、パク・ジュンギルと共に町に出ました。そこで二人は、お互いの想いを確認し合います。
「私は武科を受けることにしました。我が国が災難に見舞われると苦しむのは民ゆえ、彼らのために戦います」
パク・ジュンギルは貴族の息子でありながら、出世が約束されている政治家を目指す文科ではなく、武科の受験を決めます。
従事官の妻
パク・ジュンギルとク・リョンは仲のいい夫婦になりました。ク・リョンのわがままに、パク・ジュンギルは振り回されています。
しかし夜の市を夫婦で楽しんでいた時、兵たちがパク・ジュンギルのもとにやってきました。
「接伴使(チョプパンサ)からの急報で、略奪している女真族を食い止めろと」
すぐに漢陽(ハニャン)に向かわなくてはいけなくなり、パク・ジュンギルは険しい顔でク・リョンを見つめました。
「国の安危に関わる問題なのでお行きください」
突然夫婦の時間を邪魔されたにも関わらず、ク・リョンは冷静でした。従事官(チョンサガン)の妻としての自覚を持っているのです。
パク・ジュンギルが見えなくなってから、ク・リョンは不安げな表情になります。その予感は的中しました。
「初代皇帝が死にホンタイジが即位し、国名を清に変えたそうね。曲者よ」
危険を感じた人々は、王様がいる漢陽に逃げていました。侍女コプタンは相変わらずク・リョンに仕えており、不安を口にします。
パク・ジュンギルの母は、ク・リョンの影響で息子が武科を受けたのだと、戦地に行ったのはク・リョンのせいだと嫌味を言います。
「国を愛する心は誰にも負けない夫をとても誇らしく思います」
ク・リョンはそう語りますが、未だ子を持たないク・リョンに自分の気持ちなど分からないと義母は言い放つのでした。
ク・リョンの戦い
その時、女真族が屋敷に乗り込んできました。夫のパク・ジュンギルと共に修行をしてきたク・リョンは応戦します。
被害者は大勢出ましたが、義母は救うことができました。ク・リョンは義母に地下室へ向かうよう伝えます。
そしてク・リョンは侍女コプタンを捜すため、弓矢を持って争いの真っただ中に乗り込んで行きました。
街中では無抵抗の人々が次々に殺されていきます。侍女コプタンは、声を潜めて床下に隠れていました。
しかし女真族に見つかり、首に縄をかけられてしまいます。そこにク・リョンが駆けつけ、侍女コプタンを救い出しました。
侍女コプタンを救ったク・リョンでしたが、馬で引きずられている女性を見つけて思わず助けに向かいます。
しかし目の前で女性は射殺され、代わりにク・リョンの首に縄がかけられてしまいます。
ク・リョンは馬にくくられた縄によって引きずられていきます。そんなことも知らず、パク・ジュンギルは戦地で死闘を繰り広げていました。
猛毒
パク・ジュンギルは屋敷に戻りましたが、出迎えたのは母親だけで、妻ク・リョンの姿はありませんでした。
ク・リョンが女真族に捕まったと知り、パク・ジュンギルはすぐに馬を出します。
ク・リョンと侍女コプタンは、女真族に縄で手首をくくられて、どこかへと連れて行かれていました。
侍女コプタンは、自分のせいでク・リョンが捕まったのだと涙します。そんな中、ク・リョンは逃げ出すチャンスを見つけていました。
数千人の女性が女真族にさらわれというウワサを聞いてパク・ジュンギルが焦っている頃、ク・リョンは行動を起こしていました。
昔、村人から教わった猛毒を持つ植物を見つけていたのです。それを女真族の食べ物に混ぜて、脱出の機会を作りました。
囚われた女性たちの縄を解き、ク・リョンたちは逃げ出しました。パク・ジュンギルがそこにやってきたのは、全てが終わった後でした。
帰国しても
女性たちは夜を徹して森を歩き続けました。そしてやっと、朝鮮の地へと足を踏み入れたのです。
城門には兵士が立っていましたが、疲れ切った女性たちを冷たい目で見下ろしてこう言い放ちます。
「戻れ。女真族の間者かもしれぬ者は通さない。国境を越えた者は朝鮮の民でないとのお達しだ」
兵士は女性たちに剣を向けました。しかし、ク・リョンは迷いなく一歩また一歩と進んでいきます。
「斬りなさい」
兵士が剣を振り上げた時、パク・ジュンギルが矢でその剣を撃ち落としました。兵士は、上官であるパク・ジュンギルに逆らえません。
パク・ジュンギルはその後どんな目に遭うかなど気にせず、妻ク・リョンと女性たちを救ったのでした。
しかし、1年が経ってもク・リョンはトラウマを抱え続けていました。また、周囲の目も気にして生きています。
ク・リョンは共に帰国した侍女コプタンと共に回節江(フェジョルカン)に指定された小川にやってきました。
節義を回復する川――そこで体を洗えば、女真族に捕まり生きて帰ってきた罪が許されると定められていました。
朝鮮の中で、生きて帰国した女性は女真族に体を売ったものと考えられていたのです。
噂が招くもの
「話を聞いたか? 新豊府院君(シンプンプウォングン)が離婚を許可してほしいと上訴した」
パク・ジュンギルの母は、ク・リョンの体は汚れていると言い、離婚し再婚するよう勧めました。
町では、ク・リョンが女真族の子を宿した、その子を堕ろすために医者にかかったという噂が流れていました。
それを聞いたパク・ジュンギルは怒りに任せて町民に剣を向けます。目撃した使用人は、すぐにパク・ジュンギルの母に伝えました。
すぐに駆けつけたパク・ジュンギルの母は、火のない所に煙は立たぬとク・リョンに非があるように語ります。
噂を流した男たちはにやつきながら去って行きます。パク・ジュンギルの怒りは、ク・リョンですら抑えられなくなっていました。
「お前の命など、家門の名誉より貴重でない。選択せよ。名誉ある死を遂げるか、何者かに殺されるか」
パク・ジュンギルの母は箱に入った短剣を差し出し、ク・リョンに選択を迫りました。
市場では、噂を信じた町民たちがク・リョンに嫌がらせをしてきます。しかしク・リョンは黙ってなどいません。
「国も守れない男の自尊心を保ってあげたのに、私たちを非難するとは恥を知りなさい」
それが町民たちの怒りに火をつけました。町民たちは石を手にして、ク・リョンと侍女コプタンにぶつけ始めます。
夫婦のすれ違い
侍女コプタンはク・リョンに覆いかぶさり、石を受け続けました。そして町民たちが去った後、ク・リョンは侍女コプタンの死を知ります。
ク・リョンはもう耐えられなくなっていました。その夜、割った壺の欠片で自殺を図ろうとしたク・リョンは、パク・ジュンギルに止められます。
「噂には尾ひれがつくものです。証拠などないのに、連日話の種になっています。眠ることも食べることも、もう何もできません」
パク・ジュンギルは妻ク・リョンを喪ってまで保つものなどないと考えていました。出世も、家門も……。
その夜から、パク・ジュンギルの殺戮が始まったのです。ク・リョンの悪い噂を流す者は、容赦なく始末するようになりました。
そんな暴挙にク・リョンが気付かないはずがありません。民のために仕える武官であってほしいと、ク・リョンは訴えました。
「私が守り抜こうとした民はあらぬ噂を流している。新たな風説が広まる一方だ。それゆえ彼らを斬る他ない。何人でも斬り続け、一切何も残さぬ」
パク・ジュンギルは妻ク・リョンの苦しみを取り除くため、殺人を繰り返していました。
しかし、ク・リョンが望んでいたのはパク・ジュンギルが誇り高い武官でい続けることだったのです。
「その剣で私を殺してほしかった。いっそ、戻らなければよかった」
ク・リョンのためにやっているのだと信じ込んでいるパク・ジュンギルにとって、ク・リョンの言葉はつらいものでした。
妻との別れ
「私は恥ずべきことはしていません。しかし、夫は正気を失いました。そんな夫にした私に、生きる資格はありません」
ク・リョンは自ら命を絶つことに決めました。手首に深く刃物を差し入れ、ゆっくりと倒れ込みます。
血塗れのパク・ジュンギルが戻ってくると、母は自害したク・リョンの遺体を片付けようとしていました。
パク・ジュンギルは冷たくなったク・リョンの遺体を抱き締めて、やっと自らの行動を悔やみます。
「逝かないでくれ。私が悪かった。私を置いて逝くなんて……」
しかし、ク・リョンが目を開くことはもうありませんでした。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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