Netflixドラマ『特別捜査部Q』エピソード3ネタバレ感想

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Netflixオリジナルドラマ『特別捜査部Q』エピソード3は、新部署”Q”の再捜査により失踪したリンガード検事とその家族の過去について解き明かされていく物語です。

ミヅチ
ミヅチ

リンガード家の姉メリットと弟ウィリアムが、現在の姿とはまったく違ったことに驚きました。あと、この物語にはダメな父親が多すぎます……。

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Netflixオリジナルドラマ『特別捜査部Q』エピソード3情報

公開日2025年5月29日
制作国イギリス
ジャンルミステリー、犯罪、サスペンス
注意書きR-16+
暴力、言葉づかい
上映時間54分

『特別捜査部Q』エピソード3主なキャスト・スタッフ

キャスト

カール・マーク
殺人犯に頭部を撃たれた刑事/主任警部
マシュー・グード
『ザ・クラウン』『家をめぐる3つの物語』
メリット・リンガード
頑固な女性検察官/首席検事
クロエ・ピリー
『クイーンズ・ギャンビット』
ジェームズ・ハーディ
マーク刑事と共に銃撃を受けた刑事/警部
ジェイミー・シーヴァス
スティーブン・バーンズ
リンガード検察官の上司/法務長官
マーク・ボナー
アクラム・サリム
新部署に送られたIT担当の警察官
アレクセイ・メンヴェロフ
『クイーンズ・ギャンビット』
ローズ・ディクソン
士官候補生の女性
リア・バーン
モイラ・ジェイコブソン
マーク刑事の上司/警視正
ケイト・ディッキー
クレア・マーシュ
シャーリー・ヘンダーソン
シャーリー・ヘンダーソン
『Okja/オクジャ』
レイチェル・アーヴィング
カールの担当精神科医
ケリー・マクドナルド
『ブラック・ミラー』『Giri / Haji』

スタッフ

原作ユッシ・エーズラ・オールスン
小説『特捜部Q』シリーズ
監督チャンドニ・ラカーニ
脚本チャンドニ・ラカーニ
スコット・フランク

『特別捜査部Q』エピソード3あらすじ

メリット・リンガード検事を誘拐監禁している犯人たちは、現状について初めて説明しました。今、リンガード検事は減圧室の中に入れられているのです。

誘拐犯たちに命を握られていると知り、リンガード検事はひるんだようでした。そんな中、リンガード検事の弟ウィリアムが治療施設を脱走したと再捜査中の新部署”Q”に報告が入ります。

“Q”を率いる主任警部カール・マーク刑事と事務担当アクラム・サリムは、実際にリンガード検事が姿を消したフェリーに同じ時間帯に乗り込み実験を行います。

その実験によって新たな事実が判明しました。そして、リンガード家の実家がある地方警察へと向かった二人は、姉弟をめぐる過去について知ることになり……。

ここから先はネタバレがあります!

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『特別捜査部Q』エピソード3ネタバレと感想・考察

DDC-OL1

その朝、目を覚ましたメリット・リンガード検事は、歯の痛みを感じました。しかし、お構いなしに誘拐犯のひとりである老女はリンガード検事に語りかけてきます。

老女は、リンガード検事に対するプレッシャー――圧力が足りなかったと笑いました。そしてPRESSUREと記されたつまみを回し、リンガード検事が入っているDDC-OL1の圧力を上げます。

リンガード検事が閉じ込められているのは、気圧を変化させられる施設の中でした。徐々に気圧を上げられていることで、リンガード検事は高気圧に慣れてきています。

けれども、もし誰かが上部にある通気口を開けでもしたら……一気に施設内の気圧は上昇し、その変化に耐えきれずにリンガード検事の体は一瞬でバラバラになってしまうでしょう。

そんな話を聞かされ、リンガード検事は自分の置かれた立場を初めて理解したようでした。今までの強気な態度は消え去り、リンガード検事の体は恐怖に震え始めます。

DDCとは”Deck Decompression Chamber”の略で、艦上減圧室のことだそうです。……と言われても、よく分かりませんよね。

日本国内で艦上減圧室を利用しているのは、海上自衛隊潜水医学実験隊だそうです。最深で450mも潜るため、その隊員の養成には特殊な装置が必要になるのです。

飽和潜水――深海の水圧に体をさらして潜水する技術――を身に着けるための装置です。その装置の中に人間が入り、地上の7倍の気圧の中で訓練するそうです。

リンガード検事が入れられた装置はもう少し古い型のようなので、さすがに7倍まではいかないとしても、倍以上の気圧はかけられるのではないでしょうか。

地上にいる場合は1気圧で、水の中に入ると10mごとに1気圧ずつ増えていくそうです。さすがに10m以上潜った経験のある方は多くないようなので、逆に考えてみました。

山に登ったとき、気圧は逆に下がっていきます。しかし水中とは違い、気圧の下がり方はゆるやかです。

たとえば富士山は3,776mですが、山頂まで登ったとしても1気圧の半分までは減りません。それよりずっと低い山でも体に異常をきたすことはままありますよね。

水中では水の重さがある分、気圧の上がり方が激しいのです。その訓練のための装置で気圧を上げられているとなれば、体がおかしくなるのも納得ですね。

実地調査

新部署”Q”を率いる主任警部カール・マーク刑事は、事務担当の新人アクラム・サリムと共にフェリーに乗っていました。サリムはマーク刑事の代わりに電話連絡を受けています。

マーク刑事が記者会見でリンガード検事失踪事件を再捜査すると発表した直後……リンガード検事の弟ウィリアムが行方不明になったと知らせが入ったのです。

事件当時、スコットランドのオーバンを出たフェリーの中、10時22分にチップスを買ったウィリアムは、11時に避難集合場所で目撃されています。

ウィリアムが投げた帽子が強風に乗って船の外に出たのが姉弟のケンカの原因です。それを聞いたマーク刑事は、サリムのニット帽を取って船の外へと投げました。

ニット帽は強風に乗って――船の中、乗り込んでいる自家用車が停車している場所に落ちます。マーク刑事は、リンガード検事が”船に乗っていなかった”と結論付けました。

カメラからリンガード検事の姿が消えたあと、何が起きたか分かりました。執念深くリンガード検事を尾行していた犯人は、カメラの死角になる停車場でリンガード検事をさらったのです。

マーク刑事の問題行動がまたしても増えました。電話を取らないそうです。本部からの連絡を受ける気がないのは1話冒頭で描かれていましたが、筋金入りですね。

事務担当でと言われたサリムでしたが、署を離れても事務をさせられています。ちゃんとした社会人であるサリムがいて本当によかったです。

それでも、マーク刑事には刑事としての優秀さがあるんですよね。実際に同じ時間帯にフェリーに乗り、同じ強風の中で帽子を飛ばしたからこそ見えてきた事実があります。

カメラに映っている帽子は、風に飛ばされて船外に行ってしまったように見えました。しかし、実際には船の別の場所へと落ちていたのです。

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姉弟の過去

リンガード家は不幸という暗雲につきまとわれた家族だった……地元警察の高齢男性カニンガムはそう語ります。初めに母が亡くなり、幼い姉弟はアルコール依存症の父と暮らしていました。

母の死因は、居眠り運転での事故です。ちなみにグラスゴーに引っ越してきた当時、弟ウィリアムは運動が得意な優秀な生徒でした。

逆に、姉メリットは悪さばかりして地元警察に厄介になることもある問題児だったのです。けれども、ウィリアムの頭が砕かれたことで姉弟の人生は大きく変わりました。

連続強盗事件の犯人ハリー・ジェニングスは、メリットが男のところにいる間、ウィリアムが眠る家に侵入し……ウィリアムに障害が残るほどのケガを負わせたのです。

犯人ハリーはフェリーで逃走を図ったものの、船上で刑事に追い詰められて飛び降りました。高さは十分ではなかったものの、泥酔していたハリーはそのまま息絶えます。

いかにも”堅物”といったキャラクターのリンガード検事ですが、10代の頃は地元警察から「男好きの問題児」として認識されているいわくつきの女の子でした。

おそらく、薬物――とはいかないまでも、合法ドラッグくらいは手を出していたのでしょう。夜間の外出も少なくなかったものと思われます。

その一方で、弟ウィリアムは優等生だったようです。スポーツが得意な男の子で、強盗に頭を打ちすえられるまでは順風満帆な人生を歩むはずだったものと思われます。

リンガード検事が犯罪者に対して許せないという気持ちを強く抱いているのは、この出来事がきっかけなのかもしれません。

弟を言語障害にしておきながら、罪を償うことなく身投げして死んだ連続強盗犯のことを、リンガード検事は生涯忘れられないのでしょうね。

その一方で、リンガード検事を誘拐した犯人も強盗事件の関係者なのかもしれないと思いました。姉弟が10代の頃の話だとするならば、犯人の母親が老女になっていてもおかしくないからです。

父ジェイミー

姉弟の父ジェイミー・リンガードが酒を断ち漁師として働いていると聞いたマーク刑事は、港へと向かいました。ジェイミーの家は綺麗に片付いています。

帰宅したジェイミーは、娘であるメリットについて「嫌な女」と語りました。24歳の娘から法廷で”父親失格”の烙印を押され、保護者の立場を奪われたことが理由です。

サリムが2001年の飲酒運転と2003年の暴行罪が理由だろうと言うと、ジェイミーは素直に認めました。そして、12年後にメリットが来訪したのは意外だったとつぶやきます。

優しくて賢く有望な息子ウィリアムが障害者となり、”嫌な女”の娘メリットは自分を避けている……そんな状況で、姉弟に関わるのはやめようとジェイミーは考えていました。

最後にジェイミーは、妻ライラの唯一の形見であるネックレスをメリットが盗んでいったと話します。その行為は、自分を傷つけるためであろうとジェイミーは考えていました。

父ジェイミー、母ライラ、姉メリット、弟ウィリアムで構成されたリンガード家には、あまり幸せな瞬間はなかったようです。

漁師であるアルコール依存症のジェイミーは、有望な息子ウィリアムに期待をかける一方で、問題児の娘メリットのことは理解しようと努力する姿勢すら感じられません。

ウィリアムはいわゆる”いい子”だったのでしょう。酒におぼれる父と問題行動ばかりの姉に挟まれ、リンガード家唯一の希望として存在していたのだと思われます。

けれども、同じ遺伝子を継いでいる姉弟なのですから、姉メリットが10代の頃”賢くなかった”とは考えにくいですよね。

24歳にして父親を法廷で吊し上げ、親権を奪い、自身が後見人となったことを考えると……反抗期がひどかっただけで、素養はあったと考えるのが妥当です。

素直でありながら勉強もできた弟ウィリアムは大人の考える都合のいい子です。反対に姉メリットは、親すらもたばかり法廷で打ち負かす切れ者で、かわいい子ではなかったでしょう。

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反発し合う父と娘

姉メリットが10代の頃、父ジェイミーは母ライラについて説明したことがあります。年の離れた漁師と結婚出産したライラのことを、ライラの実家は見捨てました。

エディンバラの上流階級に生まれ育ったライラは、一度は夫と子どもを置いて実家に戻りました。その点に対して、父と娘の意見は食い違っています。

父ジェイミーは、生家から母ライラを救い出そうとしたけれど失敗したと語ります。貧しい暮らしに耐え切れず、ライラは実家に戻ってしまったのだと考えているのです。

一方で、娘メリットは別の考えを持っていました。母ライラは、父ジェイミーと共にいては遺産の権利を失うからと、財産を引き継ぐために実家に戻ったと思っているのです。

二人が言い争う姿を見て、ウィリアムが止めに入りました。母が亡くなったことは父のせいだと語る姉の発言に耐え切れなくなったためでした。

そもそも、父ジェイミーの置かれた立場と、娘メリットの置かれた立場は大きく違うということを理解しなければなりません。

おそらくジェイミーとライラとの関係は、友情や恋愛から始まっているはずです。その中でジェイミーはライラの心の内をつかんだと思い、その末に「救おう」と考えたのでしょう。

エディンバラの上流階級の人々は当然のように貧しい人々を差別し、人とすら考えていない節もあったようです。ペストが流行した際には、死亡した人ごと埋めてしまったとのことです。

そんな環境に身を置くことにライラが苦しんでいると感じ、ジェイミーはライラを連れ去ったわけですね。しかし、その生活は長く続かなかったようです。

貧しい暮らしは子が二人できてからさらに厳しいものとなり、実家からの援助がない状況ではやっていけないようになったのでしょう。おまけに夫はアルコール依存症です。

これでは子どもたちの未来に影を落とすことになる……とライラが考えたとしてもおかしくないでしょう。私も、この点についてはメリットに共感します。

けれども、分からないのはそのあとです。実家に戻ったライラが、生家の人々と仲直りできたのかどうか――これは、エディンバラに行けない父と子には分からないことです。

ライラが「私はエディンバラにいるほうが正しい」と感じたか「生家の人々をだましてでも遺産をもらって家族を養うんだ」と考えたか……今となっては分からないのです。

人間関係の変化

リンガード検事の父ジェイミーからは、現在の状況について知ることはできませんでした。やはり弟ウィリアムを探すしかないと、マーク刑事は結論を出します。

その頃、ウィリアムは姉メリットや家政婦クレアと共に暮らしていた家に戻っていました。廃墟となった自宅のアトリエで、ウィリアムは自身が描いた鳥のマークの絵を見つけ持ち出しました。

帰宅したマーク刑事は、元妻の連れ子ジャスパーの部屋に入りました。相変わらず大音量で音楽をかけオンラインゲームにいそしむジャスパーは、休戦しようと言い出します。

成人するまで一緒に暮らす義務があるため、マーク刑事は父の役割を果たさねばなりません。そこで、父と継子とは妻・母である女性に裏切られた者同士、協力しようと意気投合します。

翌朝、かつての同僚である女性刑事ローズ・ディクソンがマーク刑事に話しかけてきました。心の病によってデスクワークを何年も続けてきたローズは、現場に戻ろうと大胆な行動に出ます。

同じチームにいる際に病となったことでマーク刑事を嫌っていたローズですが、現場に戻るためならばと”Q”への配属を願い出たのです。

弟ウィリアムはいい子だったと話していた父ジェイミーでしたが、それは偏屈な父と問題児の姉との間を取り持って平和な家庭を保つための努力によるものだったのかもしれません。

姉と弟ふたりきりの家族となったあとのウィリアムは、言語障害を持ったとはいえ、気を遣うことなく自由な振る舞いをしています。

周囲からいい人でいることを求められる立場が姉メリットのものとなり、解放されたのかな……と思いました。

お互いに問題児であるマーク刑事と継子ジャスパーとは、リンガード家の父娘とは違い、しっかりと仲直りすることができました。

この点は、母という存在がお互いの意見の相違を決定的にするアイコンとなるか、共通の敵となるかで大きく違ったのだと考えられます。まさか後者のほうがいい働きをするとは……。

そして、ローズが突然動き出して驚きましたね。もはや手段は選んでいられないぞと腹をくくったのでしょうか。ちょっと格好よく感じてしまいました。

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黒幕がいる

ウィリアムは、刺青だらけの男女3人に囲まれていました。かつて自宅だった廃墟は、辺境にあるということもあり、地元の不良のたまり場になっていたのです。

ウィリアムがかつての自宅から逃げ出している頃、マーク刑事はローズ刑事と二人で”Q”にいました。ローズの咀嚼音を気にするマーク刑事はミソフォニアだとローズ刑事は語ります。

そこでマーク刑事は突然、父とは仲がいいかと尋ねます。ローズ刑事は、5歳の頃に母と離婚した父は、担当の歯科衛生士と再婚し別の家庭を築いたため、連絡が少なくなったと答えました。

12年間父と疎遠だったリンガード検事が故郷に行った理由が、ローズ刑事には察しがついていました。父に会いに行ったのではなく、別の人と会うのが目的だったのです。

そう答えたローズ刑事を横目に満足げにうなづいたマーク刑事は、すぐに指示を出しました。調べ物が得意なローズ刑事に、失踪前の3ヶ月間の不可解な予定や会議などが対象です。

リンガード検事のパソコンはピギーバッキングされていました。しかし、誰もそのデータを回収していません。そこでマーク刑事はある仮説を立てていました。

当時、捜査を担当していたファーガス・ダンバーは、同時期にロイヤル・ビュー・ホテルの強盗恐喝事件も担当していました。そんな忙しい刑事に任せたら捜査が失敗するのは目に見えています。

誰かがわざとリンガード検事失踪事件の捜査を失敗させるために動いたのではないか――。今後は警察関係者も捜査対象に入れることを、マーク刑事は示唆するのでした。

ミソフォニアとは、音嫌悪症とも呼ばれる障害です。恐怖症ではないため、そこまで激しい症状は引き起こされません。

しかし、特有の音に対して嫌悪感・心拍の上昇・攻撃的衝動などが起きるという特徴があるため、本人にとってはかなりつらいものであると思われます。

また、ピギーバッキングとは、本来アクセス権を持たない者が他人のアクセス権を悪用してネットワーク等を利用することを指します。

どうやって誘拐犯がリンガード検事のメールアドレスや電話番号を知ったのかが謎でしたが、ピギーバッキングを用いて知ったのかもしれませんね。

リンガード検事が10代を過ごした場所はグラスゴー、そして12年後に訪ねたのはモル島でした。この2ヶ所はどんな位置関係なのかを調べてみます。

実家があったグラスゴー、母の生家があるエディンバラ、パースを結んだ三角形の内側は都会とされ、モル島はそこから少し離れた場所にあります。

スコットランドは山の多い地域です。グラスゴーとモル島との間にはいくつもの上り下りがあり、かつて住んでいた頃に行き来していたとは考えにくいです。

モル島へと向かった理由が父との再会ではないとするならば……リンガード検事とモル島との関係性が分かりません。

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姉弟を探せ

マーク刑事は裁判所に向かい、リンガード検事の上司スティーブン・バーンズ法務長官と会いました。リンガード検事の関係者を知るためです。

マーク刑事はその理由として、リンガード検事に届いていた脅迫メールを見せました。バーンズ法務長官は脅迫について知らなかったため、驚きます。

そして、リンガード検事は出世を急いでおり、周りの検事たちと仲間になろうとしなかったとバーンズ法務長官は語りました。

サリムはというと、リンガード姉弟が暮らしていた辺境の家に踏み込んでいました。刺青の入った不良たちが1階で眠っていますが、サリムは気にせず2階へと向かいます。

一通り探り終えたあと、サリムは2階のアトリエにある箱を開けたのはウィリアムかと尋ねました。不良たちは逆らいますが、しっかりと鍛錬をしているサリムには敵わず正直に白状しました。

法務長官と犯罪者とを同じように扱うなと言われたマーク刑事ですが、まったく気にしていないようでした。社会不適合者もここまでくるとあっぱれです。

リンガード検事は出世を急いでいたと法務長官は語ります。それが本当かは分かりませんが、そう感じさせるほど野心の強さを感じる勢いがあったのでしょう。

リンガード検事には何か目的があったのでしょう。弟を養うには十分な収入がありましたし、収入面のことではなさそうです。

賢く有望だった弟の代わりに、無茶をしてでも出世したかったのでしょうか? 自分が外出している間に障害を負うケガをしたことに責任感を覚えていたとも考えられます。

そんな中、サリムが書類から事実を見つけ出す能力だけでなく、戦闘能力も高いことが分かりました。ツボを押して不良を抑え込むなんて、北斗の拳かと思いましたよ。

ウィリアムの思い

ウィリアムの行方を探るため、マーク刑事とサリムはウィリアムを世話していた家政婦クレア・マーシュの家を訪ねました。

治療施設エグリー・ハウスからウィリアムが脱走したと聞き、クレアは驚いた顔をします。クレアは元夫フレッドや亡き子どものことを話し、リンガード姉弟に思いを馳せました。

そのとき、窓から温室を見たサリムはマーク刑事を呼びました。クレアが気付かないうちに、ウィリアムはクレアの庭にある温室に逃げ込んでいたのです。

クレアが作った食事をがっつきながら、ウィリアムは持ち帰った絵を差し出しました。二重丸の中に海鳥が描かれたワッペンのついたキャップをかぶった人を見たとウィリアムは示します。

言葉も発せず、文字も書けないウィリアムですが、その動作からクレアが意味を導き出します。そして、そのマークを付けた人物を家とフェリー両方で目撃したことが分かりました。

ウィリアムが再捜査のニュースを見て施設を飛び出した理由が分かりました。姉の失踪事件を捜査しているマーク刑事に、この事実を伝えるためだったのです。

ウィリアムは言葉によって相手にものを伝えることができません。何か伝えたいことがあるのならば、絵に表したり、クレアを介したりと工夫が必要なのです。

おそらく、ウィリアムの中であのマークの記憶は薄れていたのでしょう。けれども、それを絵にしたことは覚えていたようです。

だからこそ、危険を冒してでもかつての自宅に戻り、絵を回収する必要があったのです。そして、どこで目撃したのかを伝えるためには、クレアの協力が必要です。

クレアは亡き子どもとウィリアムを重ねているところがあるため、ウィリアムがどんな状況にあっても協力してくれると分かっていたようですね。

以前クレアは、姉弟は深く思い合っていたと語っていました。とはいえ、それは二人の間で呪いのように強くなっており、離れることが幸福だったのかもしれないとも思ったようでした。

しかし、その考えをウィリアムの行動が否定します。姉と再会できる可能性に賭けて、ウィリアムは寒さにも空腹にも耐えて一枚の絵を取りに走ったのです。

マーク刑事にすべてを伝えられたと確信したあと、ウィリアムは施設に戻りました。その思いの強さは、皮肉屋のマーク刑事にも届いたものと思います。

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立派な責任者

マーク刑事は、半身不随になった同僚ジェームズ・ハーディ刑事の病室へと向かいました。マーク刑事はリンガード検事失踪事件について分かったことを報告します。

二人の意見は同じでした。この失踪事件は計画的犯行とは考えられません。ハーディ刑事は、リンガード検事の運が悪かったのだろうとつぶやきます。

そして、捜査を手伝うためにはパソコンがいると告げました。不自由な体になっても、立派な責任者であるマーク刑事に協力したいと考えているのです。

署に戻ったマーク刑事に、モイラ・ジェイコブソン警視正が立ちはだかります。国内での捜査権を持たないサリムが捜査していることやら、カウンセリングをすっぽかしたことやら……。

マーク刑事の担当であるレイチェル・アーヴィング医師は、会見の映像を見て心配していたのです。しかしレイチェル医師は自分もパニック発作が出たことがあるとだけ語るのでした。

レイチェル医師は、自分のことを語りたがらないマーク刑事から聞き出すことは一旦やめて、自分のことを語りました。

かつてパニック発作を起こしたのは結婚式の最中で、誓いの言葉の瞬間でした。しかしレイチェル医師の相手は既婚者で、すでに家族を持っていたのです。

心の開き方を教えるというていで、レイチェル医師は先に自己開示してみせたのです。人より優れた存在でいたいマーク刑事にとっては痛恨の一撃になるかもしれません。

また、半身不随になって家族や病院関係者の世話にならないと生きていけない状態になったハーディ刑事の意識の変化も、マーク刑事に影響することでしょう。

「もう自分には捜査なんてできない」と諦めるのではなく、ハーディ刑事は「今の自分にできることをやる」という方向で考え始めました。

マーク刑事は、身近な人々が変わっていく中、ひとりだけ取り残されることをよしとするタイプとは思えません。今こそ成長の時ですね!

隠されているもの

“Q”に戻ると、大量の書類が積み上げられていました。リンガード検事が関わった事件の書類が届いたのです。マーク刑事は、最後の5ヶ月分だけ目を通そうと言います。

サリムもローズ刑事も、それでは足りないと考えているようでした。しかしマーク刑事は話を聞かず、ローズ刑事へとモル島に向かうよう指示しました。

地元警察のカニンガムから、より詳しくリンガード家や強盗犯のいたジェニングス家について聞き出すためです。自分は失敗してしまったからという理由でした。

そんな中、母親に呼び出された継子ジャスパーが暴れて家を飛び出してしまい、マーク刑事は頭を抱えます。一方で、ウィリアムは嵐の夜のことを思い出していました。

海鳥のマークをつけたキャップをかぶった男はどんな顔をしていたか、記憶の中から探り出そうとしているのです。けれどもそれは、トラウマを呼び起こす作業でもありました。

ローズ刑事が自ら飛び込んできたのをいいことに、自分が失敗したことをやり直させるつもりですね。マーク刑事の妙なフレキシブルさに笑ってしまいました。

そもそも、あのとてつもない上から目線の聴取が功を奏したことはあるのでしょうか? 事情聴取は他の人に任せて、実地調査だけを行うメンバーにしたほうがいいような……。

それはそうと、ウィリアムの頑張り屋さんな部分が出てきましたね。10代の頃は相当頑張っていい子を演じていたのだろうなと思ってしまいました。

その努力家な面が、今度は姉のために使われるわけですね。自分の中に眠らせている恐ろしい記憶を引きずりだして、震えながら描き続けています。

今の自分にできることを精一杯にやる――障害を持つ一般人のウィリアムにすら遅れをとって、マーク刑事は何をしているんでしょうか……。

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ブーブリー

海鳥のマークが透かしで入った紙が貼られていたのは――リンガード検事がいる減圧室の中です。その裏の壁に文字が刻まれていることに気付き、リンガード検事は紙をはがしました。

L H why are you here?――リンガード検事が壁の文字を読み上げている頃、ローズ刑事はマークに描かれた海鳥が何かを調べていました。

途中で母親から電話がかかってくると、ローズ刑事は自分が刑事だということを隠し、嘘を並べて母親を安心させます。

そしてローズ刑事は突き止めました。マークに描かれていた海鳥は、スコットランドの神話に登場するUMAブーブリーだったのです。

ローズ刑事は虫眼鏡を取り出し、モル島で起きた強盗事件について取り扱った記事に載っていた写真を覗き込みます。そこに写ったフェリーには”ブーブリー2号”と記されていました。

女性刑事あるある、母親には自分が刑事であることを隠している――が出ましたね。やはり母親としては、危険で婚期を逃す職業には就いてほしくないものなのでしょう。

それはそうと、ローズ刑事には「あれ? どこかで見たような?」という絶妙にぼやけた記憶力が備わっているんですね。

サリムは資料をしっかり読み込んで、書かれていることと書かれていないことを正確に読み分け、そこから事実を導き出す力があります。

ローズ刑事は多くの資料にざっと目を通して、どこに着目するかを適宜決めながら、ざっくりした記憶をもとに資料を再確認していくタイプです。

どちらも調べ物が得意と言えますが、ここまでタイプが違うのは面白いですね。そして、マーク刑事は現場に足を運び、実際に体感することで真実を引きずり出します。

凸凹どころかガタガタなトリオですが、なぜだか弱点を補い合えているのが面白いですね。

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『特別捜査部Q』エピソード3まとめ

失踪したリンガード検事の弟ウィリアムまでが姿を消したところから始まった3話は、そのウィリアムの人間性を知ることで終わりました。

リンガード家の家政婦クレアによって語られた通り、リンガード姉弟はお互いのためならば努力を惜しまない二人だったようです。

そして、リンガード検事の現在と過去についても明かされました。上流階級の母と貧しく荒れた生活を送る父は離れました。そして、努力が報われぬまま命を落とした母によって父娘は断絶します。

誘拐犯たちはリンガード検事を減圧室の中に入れ、気圧をコントロールしながらその体を痛めつけています。犯人たちに命を握られていると知り、リンガード検事は恐怖を覚えたようでした。

二重丸の中にブーブリーが描かれたマークが、次回以降に描かれる犯人のキーアイテムになるようですね。

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

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