Netflixオリジナルドラマ『特別捜査部Q』エピソード3は、新部署”Q”の再捜査により失踪したリンガード検事とその家族の過去について解き明かされていく物語です。

リンガード家の姉メリットと弟ウィリアムが、現在の姿とはまったく違ったことに驚きました。あと、この物語にはダメな父親が多すぎます……。
Netflixオリジナルドラマ『特別捜査部Q』エピソード3情報
公開日 | 2025年5月29日 |
制作国 | イギリス |
ジャンル | ミステリー、犯罪、サスペンス |
注意書き | R-16+ 暴力、言葉づかい |
上映時間 | 54分 |
『特別捜査部Q』エピソード3主なキャスト・スタッフ
キャスト
カール・マーク 殺人犯に頭部を撃たれた刑事/主任警部 | マシュー・グード 『ザ・クラウン』『家をめぐる3つの物語』 |
メリット・リンガード 頑固な女性検察官/首席検事 | クロエ・ピリー 『クイーンズ・ギャンビット』 |
ジェームズ・ハーディ マーク刑事と共に銃撃を受けた刑事/警部 | ジェイミー・シーヴァス |
スティーブン・バーンズ リンガード検察官の上司/法務長官 | マーク・ボナー |
アクラム・サリム 新部署に送られたIT担当の警察官 | アレクセイ・メンヴェロフ 『クイーンズ・ギャンビット』 |
ローズ・ディクソン 士官候補生の女性 | リア・バーン |
モイラ・ジェイコブソン マーク刑事の上司/警視正 | ケイト・ディッキー |
クレア・マーシュ シャーリー・ヘンダーソン | シャーリー・ヘンダーソン 『Okja/オクジャ』 |
レイチェル・アーヴィング カールの担当精神科医 | ケリー・マクドナルド 『ブラック・ミラー』『Giri / Haji』 |
スタッフ
原作 | ユッシ・エーズラ・オールスン 小説『特捜部Q』シリーズ |
監督 | チャンドニ・ラカーニ |
脚本 | チャンドニ・ラカーニ スコット・フランク |
『特別捜査部Q』エピソード3あらすじ
メリット・リンガード検事を誘拐監禁している犯人たちは、現状について初めて説明しました。今、リンガード検事は減圧室の中に入れられているのです。
誘拐犯たちに命を握られていると知り、リンガード検事はひるんだようでした。そんな中、リンガード検事の弟ウィリアムが治療施設を脱走したと再捜査中の新部署”Q”に報告が入ります。
“Q”を率いる主任警部カール・マーク刑事と事務担当アクラム・サリムは、実際にリンガード検事が姿を消したフェリーに同じ時間帯に乗り込み実験を行います。
その実験によって新たな事実が判明しました。そして、リンガード家の実家がある地方警察へと向かった二人は、姉弟をめぐる過去について知ることになり……。
『特別捜査部Q』エピソード3ネタバレと感想・考察
DDC-OL1
その朝、目を覚ましたメリット・リンガード検事は、歯の痛みを感じました。しかし、お構いなしに誘拐犯のひとりである老女はリンガード検事に語りかけてきます。
老女は、リンガード検事に対するプレッシャー――圧力が足りなかったと笑いました。そしてPRESSUREと記されたつまみを回し、リンガード検事が入っているDDC-OL1の圧力を上げます。
リンガード検事が閉じ込められているのは、気圧を変化させられる施設の中でした。徐々に気圧を上げられていることで、リンガード検事は高気圧に慣れてきています。
けれども、もし誰かが上部にある通気口を開けでもしたら……一気に施設内の気圧は上昇し、その変化に耐えきれずにリンガード検事の体は一瞬でバラバラになってしまうでしょう。
そんな話を聞かされ、リンガード検事は自分の置かれた立場を初めて理解したようでした。今までの強気な態度は消え去り、リンガード検事の体は恐怖に震え始めます。
実地調査
新部署”Q”を率いる主任警部カール・マーク刑事は、事務担当の新人アクラム・サリムと共にフェリーに乗っていました。サリムはマーク刑事の代わりに電話連絡を受けています。
マーク刑事が記者会見でリンガード検事失踪事件を再捜査すると発表した直後……リンガード検事の弟ウィリアムが行方不明になったと知らせが入ったのです。
事件当時、スコットランドのオーバンを出たフェリーの中、10時22分にチップスを買ったウィリアムは、11時に避難集合場所で目撃されています。
ウィリアムが投げた帽子が強風に乗って船の外に出たのが姉弟のケンカの原因です。それを聞いたマーク刑事は、サリムのニット帽を取って船の外へと投げました。
ニット帽は強風に乗って――船の中、乗り込んでいる自家用車が停車している場所に落ちます。マーク刑事は、リンガード検事が”船に乗っていなかった”と結論付けました。
カメラからリンガード検事の姿が消えたあと、何が起きたか分かりました。執念深くリンガード検事を尾行していた犯人は、カメラの死角になる停車場でリンガード検事をさらったのです。
姉弟の過去
リンガード家は不幸という暗雲につきまとわれた家族だった……地元警察の高齢男性カニンガムはそう語ります。初めに母が亡くなり、幼い姉弟はアルコール依存症の父と暮らしていました。
母の死因は、居眠り運転での事故です。ちなみにグラスゴーに引っ越してきた当時、弟ウィリアムは運動が得意な優秀な生徒でした。
逆に、姉メリットは悪さばかりして地元警察に厄介になることもある問題児だったのです。けれども、ウィリアムの頭が砕かれたことで姉弟の人生は大きく変わりました。
連続強盗事件の犯人ハリー・ジェニングスは、メリットが男のところにいる間、ウィリアムが眠る家に侵入し……ウィリアムに障害が残るほどのケガを負わせたのです。
犯人ハリーはフェリーで逃走を図ったものの、船上で刑事に追い詰められて飛び降りました。高さは十分ではなかったものの、泥酔していたハリーはそのまま息絶えます。
父ジェイミー
姉弟の父ジェイミー・リンガードが酒を断ち漁師として働いていると聞いたマーク刑事は、港へと向かいました。ジェイミーの家は綺麗に片付いています。
帰宅したジェイミーは、娘であるメリットについて「嫌な女」と語りました。24歳の娘から法廷で”父親失格”の烙印を押され、保護者の立場を奪われたことが理由です。
サリムが2001年の飲酒運転と2003年の暴行罪が理由だろうと言うと、ジェイミーは素直に認めました。そして、12年後にメリットが来訪したのは意外だったとつぶやきます。
優しくて賢く有望な息子ウィリアムが障害者となり、”嫌な女”の娘メリットは自分を避けている……そんな状況で、姉弟に関わるのはやめようとジェイミーは考えていました。
最後にジェイミーは、妻ライラの唯一の形見であるネックレスをメリットが盗んでいったと話します。その行為は、自分を傷つけるためであろうとジェイミーは考えていました。
反発し合う父と娘
姉メリットが10代の頃、父ジェイミーは母ライラについて説明したことがあります。年の離れた漁師と結婚出産したライラのことを、ライラの実家は見捨てました。
エディンバラの上流階級に生まれ育ったライラは、一度は夫と子どもを置いて実家に戻りました。その点に対して、父と娘の意見は食い違っています。
父ジェイミーは、生家から母ライラを救い出そうとしたけれど失敗したと語ります。貧しい暮らしに耐え切れず、ライラは実家に戻ってしまったのだと考えているのです。
一方で、娘メリットは別の考えを持っていました。母ライラは、父ジェイミーと共にいては遺産の権利を失うからと、財産を引き継ぐために実家に戻ったと思っているのです。
二人が言い争う姿を見て、ウィリアムが止めに入りました。母が亡くなったことは父のせいだと語る姉の発言に耐え切れなくなったためでした。
人間関係の変化
リンガード検事の父ジェイミーからは、現在の状況について知ることはできませんでした。やはり弟ウィリアムを探すしかないと、マーク刑事は結論を出します。
その頃、ウィリアムは姉メリットや家政婦クレアと共に暮らしていた家に戻っていました。廃墟となった自宅のアトリエで、ウィリアムは自身が描いた鳥のマークの絵を見つけ持ち出しました。
帰宅したマーク刑事は、元妻の連れ子ジャスパーの部屋に入りました。相変わらず大音量で音楽をかけオンラインゲームにいそしむジャスパーは、休戦しようと言い出します。
成人するまで一緒に暮らす義務があるため、マーク刑事は父の役割を果たさねばなりません。そこで、父と継子とは妻・母である女性に裏切られた者同士、協力しようと意気投合します。
翌朝、かつての同僚である女性刑事ローズ・ディクソンがマーク刑事に話しかけてきました。心の病によってデスクワークを何年も続けてきたローズは、現場に戻ろうと大胆な行動に出ます。
同じチームにいる際に病となったことでマーク刑事を嫌っていたローズですが、現場に戻るためならばと”Q”への配属を願い出たのです。
黒幕がいる
ウィリアムは、刺青だらけの男女3人に囲まれていました。かつて自宅だった廃墟は、辺境にあるということもあり、地元の不良のたまり場になっていたのです。
ウィリアムがかつての自宅から逃げ出している頃、マーク刑事はローズ刑事と二人で”Q”にいました。ローズの咀嚼音を気にするマーク刑事はミソフォニアだとローズ刑事は語ります。
そこでマーク刑事は突然、父とは仲がいいかと尋ねます。ローズ刑事は、5歳の頃に母と離婚した父は、担当の歯科衛生士と再婚し別の家庭を築いたため、連絡が少なくなったと答えました。
12年間父と疎遠だったリンガード検事が故郷に行った理由が、ローズ刑事には察しがついていました。父に会いに行ったのではなく、別の人と会うのが目的だったのです。
そう答えたローズ刑事を横目に満足げにうなづいたマーク刑事は、すぐに指示を出しました。調べ物が得意なローズ刑事に、失踪前の3ヶ月間の不可解な予定や会議などが対象です。
リンガード検事のパソコンはピギーバッキングされていました。しかし、誰もそのデータを回収していません。そこでマーク刑事はある仮説を立てていました。
当時、捜査を担当していたファーガス・ダンバーは、同時期にロイヤル・ビュー・ホテルの強盗恐喝事件も担当していました。そんな忙しい刑事に任せたら捜査が失敗するのは目に見えています。
誰かがわざとリンガード検事失踪事件の捜査を失敗させるために動いたのではないか――。今後は警察関係者も捜査対象に入れることを、マーク刑事は示唆するのでした。
姉弟を探せ
マーク刑事は裁判所に向かい、リンガード検事の上司スティーブン・バーンズ法務長官と会いました。リンガード検事の関係者を知るためです。
マーク刑事はその理由として、リンガード検事に届いていた脅迫メールを見せました。バーンズ法務長官は脅迫について知らなかったため、驚きます。
そして、リンガード検事は出世を急いでおり、周りの検事たちと仲間になろうとしなかったとバーンズ法務長官は語りました。
サリムはというと、リンガード姉弟が暮らしていた辺境の家に踏み込んでいました。刺青の入った不良たちが1階で眠っていますが、サリムは気にせず2階へと向かいます。
一通り探り終えたあと、サリムは2階のアトリエにある箱を開けたのはウィリアムかと尋ねました。不良たちは逆らいますが、しっかりと鍛錬をしているサリムには敵わず正直に白状しました。
ウィリアムの思い
ウィリアムの行方を探るため、マーク刑事とサリムはウィリアムを世話していた家政婦クレア・マーシュの家を訪ねました。
治療施設エグリー・ハウスからウィリアムが脱走したと聞き、クレアは驚いた顔をします。クレアは元夫フレッドや亡き子どものことを話し、リンガード姉弟に思いを馳せました。
そのとき、窓から温室を見たサリムはマーク刑事を呼びました。クレアが気付かないうちに、ウィリアムはクレアの庭にある温室に逃げ込んでいたのです。
クレアが作った食事をがっつきながら、ウィリアムは持ち帰った絵を差し出しました。二重丸の中に海鳥が描かれたワッペンのついたキャップをかぶった人を見たとウィリアムは示します。
言葉も発せず、文字も書けないウィリアムですが、その動作からクレアが意味を導き出します。そして、そのマークを付けた人物を家とフェリー両方で目撃したことが分かりました。
ウィリアムが再捜査のニュースを見て施設を飛び出した理由が分かりました。姉の失踪事件を捜査しているマーク刑事に、この事実を伝えるためだったのです。
立派な責任者
マーク刑事は、半身不随になった同僚ジェームズ・ハーディ刑事の病室へと向かいました。マーク刑事はリンガード検事失踪事件について分かったことを報告します。
二人の意見は同じでした。この失踪事件は計画的犯行とは考えられません。ハーディ刑事は、リンガード検事の運が悪かったのだろうとつぶやきます。
そして、捜査を手伝うためにはパソコンがいると告げました。不自由な体になっても、立派な責任者であるマーク刑事に協力したいと考えているのです。
署に戻ったマーク刑事に、モイラ・ジェイコブソン警視正が立ちはだかります。国内での捜査権を持たないサリムが捜査していることやら、カウンセリングをすっぽかしたことやら……。
マーク刑事の担当であるレイチェル・アーヴィング医師は、会見の映像を見て心配していたのです。しかしレイチェル医師は自分もパニック発作が出たことがあるとだけ語るのでした。
隠されているもの
“Q”に戻ると、大量の書類が積み上げられていました。リンガード検事が関わった事件の書類が届いたのです。マーク刑事は、最後の5ヶ月分だけ目を通そうと言います。
サリムもローズ刑事も、それでは足りないと考えているようでした。しかしマーク刑事は話を聞かず、ローズ刑事へとモル島に向かうよう指示しました。
地元警察のカニンガムから、より詳しくリンガード家や強盗犯のいたジェニングス家について聞き出すためです。自分は失敗してしまったからという理由でした。
そんな中、母親に呼び出された継子ジャスパーが暴れて家を飛び出してしまい、マーク刑事は頭を抱えます。一方で、ウィリアムは嵐の夜のことを思い出していました。
海鳥のマークをつけたキャップをかぶった男はどんな顔をしていたか、記憶の中から探り出そうとしているのです。けれどもそれは、トラウマを呼び起こす作業でもありました。
ブーブリー
海鳥のマークが透かしで入った紙が貼られていたのは――リンガード検事がいる減圧室の中です。その裏の壁に文字が刻まれていることに気付き、リンガード検事は紙をはがしました。
L H why are you here?――リンガード検事が壁の文字を読み上げている頃、ローズ刑事はマークに描かれた海鳥が何かを調べていました。
途中で母親から電話がかかってくると、ローズ刑事は自分が刑事だということを隠し、嘘を並べて母親を安心させます。
そしてローズ刑事は突き止めました。マークに描かれていた海鳥は、スコットランドの神話に登場するUMAブーブリーだったのです。
ローズ刑事は虫眼鏡を取り出し、モル島で起きた強盗事件について取り扱った記事に載っていた写真を覗き込みます。そこに写ったフェリーには”ブーブリー2号”と記されていました。
『特別捜査部Q』エピソード3まとめ
失踪したリンガード検事の弟ウィリアムまでが姿を消したところから始まった3話は、そのウィリアムの人間性を知ることで終わりました。
リンガード家の家政婦クレアによって語られた通り、リンガード姉弟はお互いのためならば努力を惜しまない二人だったようです。
そして、リンガード検事の現在と過去についても明かされました。上流階級の母と貧しく荒れた生活を送る父は離れました。そして、努力が報われぬまま命を落とした母によって父娘は断絶します。
誘拐犯たちはリンガード検事を減圧室の中に入れ、気圧をコントロールしながらその体を痛めつけています。犯人たちに命を握られていると知り、リンガード検事は恐怖を覚えたようでした。
二重丸の中にブーブリーが描かれたマークが、次回以降に描かれる犯人のキーアイテムになるようですね。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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