Netflix独占配信の『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「ざわめき」は、鳥類学者のブラッドリー夫妻が研究のために泊まったお屋敷で起きたことの物語です。

マーマレーションという言葉自体を始めて知りました。世の中には面白いものがたくさんありますね~!
Netflixドラマ『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「ざわめき」情報
日本公開日 | 2022年10月25日 |
制作国 | アメリカ |
ジャンル | ホラー |
注意書き | R-16+ 暴力、ヌード、言葉づかい、薬物 |
上映時間 | 65分 |
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「ざわめき」主なキャスト・スタッフ
キャスト
ナンシー・ブラッドリー 鳥類学者/エドガーの妻 | エシー・デイヴィス 『アップルサイダービネガー』『One Day/ワン・デイ』 |
エドガー・ブラッドリー 鳥類学者/ナンシーの夫 | アンドリュー・リンカーン 『ペンギンが教えてくれたこと』 |
スタッフ
監督 | ジェニファー・ケント |
脚本 | ジェニファー・ケント ギレルモ・デル・トロ 『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』 |
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「ざわめき」あらすじ
鳥類学者のブラッドリー夫妻――ナンシーとエドガーは、ある不幸に見舞われながらも仕事を続けていました。二人は、ビッグ・ハーバー島でハマシギの観察を始めます。
二人は、意外にも大きなお屋敷を用意してもらえます。するとその夜から、ナンシーだけが霊現象を感じ取るようになりました。
ナンシーはある悲しい出来事のあと、夫婦の営みを避けるようになります。しかしそれが一年も続き、エドガーは拒絶され続けることに苦しんでいました。
そんな中、ナンシーは子どもの声や足音、女性の怒りに満ちた声を聴くようになり、だんだんと屋敷の住人に興味を持つようになっていき……。
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「ざわめき」ネタバレと感想・考察
ビッグ・ハーバー島へ
鳥類学者ナンシー・ブラッドリーが、ハマシギの生態について発表しています。ハマシギは“ざわめき”という飛び方をして、天敵のハヤブサから逃げていました。
砂時計から円、飛んでいる鳥へと群れの形を変えていく鳥たちについて、学者たちは研究し続けてきました。しかし、今もその謎は解明できていません。
モンタギュー老夫婦はこの研究を後援しています。老夫婦の寄付で得られた高価なビデオカメラによって、ナンシーの夫で研究仲間のエドガーは新たな映像の撮影に成功しました。
研究発表のパーティーのはずですが、ナンシーもエドガーも沈んだ表情です。それでも彼らは、ハマシギの研究のためにビッグ・ハーバー島に出かけていきました。
寒い時期にやってきた二人のため、案内人グリーブスは立派なお屋敷を用意してくれました。お金持ちが州に寄付したものとのことで、その豪華さに二人とも驚きます。
寄付したお金持ちの娘が住んでいた屋敷とのことで、2階へと向かう階段の壁にはいくつもの写真が飾ってありました。若い軍人の写真の下には「愛する君へ」と記されています。
荷物を置いた二人は、海の近くにテントを張りました。1951年10月5日――砂洲にいるハマシギの群れを観察していると、そこにハヤブサがやってきました。
マーマレーションが撮影できるチャンスです。エドガーはビデオカメラを、ナンシーはマイクを構えました。彼らは静かにマーマレーションを見つめます。
けれども、ナンシーはどこか憂いを帯びた表情をしていました。鳥のさえずりが、赤ちゃんの泣き声のように聞こえてきたためです。
その夜、夫婦の営みを断って早めに眠りについたナンシーでしたが、夜中に目を覚ましてしまいました。すると、その耳に赤ちゃんの声が聞こえてきます。
屋敷の音
赤ちゃんの泣き声に続き、誰かの足音が聞こえてきました。その次に聞こえてきたのは、彼らがその日に録音したテープの音声です。なぜか勝手に起動したのです。
何が起きたのか分からないまま、二人は夜明け前にテントへと向かいました。島のいたるところにいるハマシギを、夫妻は別々に観察して撮影したり、メモを取ったりします。
観察とランチを終えたナンシーは、屋敷に戻って録音の整理をしていました。すると、夜中に聞こえたものと同じ足音が響いてきます。
不安になったナンシーでしたが、そこに夫エドガーが戻ってきたため、気にするのはやめにします。夕食を摂ったあと、夫妻は暖炉のある部屋に移ります。
そこでダンスを楽しんだ二人でしたが、エドガーが意図を持って抱きしめた瞬間――ナンシーはまたも拒絶反応を示しました。エドガーはふてくされてしまいます。
その夜、またしても音が響いてきました。エドガーはいびきをかいて眠っています。ナンシーはひとり部屋を出て、2階の端の部屋へと向かいました。
ドアがバタンバタンと開閉している部屋に入ってみると、そこには――屋根の抜けた場所に集まっているハマシギが群れていました。
ナンシーはエドガーを叩き起こし、間近でハマシギを観察できる幸運に二人で喜びました。夜明けになるとエドガーは屋敷の外に出て、カメラを構えます。
ナンシーは鳥のさえずりを録音するため、屋根裏に残りました。すると、今度は口笛のような音が聞こえてきました。エドガーかと思って返事をしますが、誰も応えません。
録音を整理していたナンシーは、少年の声が入っていることに気付きました。ところが、エドガーがいる場では、その声が聞こえなくなるのです。
屋敷の主
屋根裏にいたハマシギの群れは去ってしまいました。それでも、人工の建造物に棲みついた例のないハマシギの異常さがナンシーの心に残ります。
この屋敷はどこか異常だ――ナンシーの興味は、この屋敷にも向けられました。しかしエドガーはナンシーの気持ちをよそに、夫婦の営みを求めます。
夫婦のすれ違いが続く中、その夜も「僕、寒いの」という少年の声が聞こえてきました。ナンシーの気持ちはどんどん不安定になり、自分にしか聞こえない声に脅えます。
翌日、ナンシーはひとり屋敷に戻りました。すべての生活用品が置かれたまま、人だけがいない異様さを解明するためです。
1階の部屋には、丁寧に刺繍されたハンカチが置かれていました。ハマシギの群れと金髪の女性、海岸線近くの太陽――そして「freedom」の文字が縫われています。
freedom――自由は、ナンシーが鳥を愛する理由としていつも挙げている言葉です。この屋敷の主と自分とは共鳴しているのだと、ナンシーは自覚するのでした。
刺繍を通じて屋敷の主に心を寄せていくナンシーを、エドガーは心配します。けれども、ナンシーの心はもうエドガーよりも屋敷の主へと向かっているのです。
その夜、ナンシーは亡き娘エヴァをなでる夢を見ました。そのとき、ナンシーの肩に小さな手が乗せられます。それはおそらく、屋敷の主の息子のもの……。
ハッとなったナンシーの前から、エヴァの姿が消えます。目を覚ましたナンシーは、赤ちゃんの泣き声につられるように、刺繍が置いてあった部屋へと向かいました。
固く閉ざされていた戸棚が開いており、束ねられていた手紙が床に散らばっています。そこには、少年の父である軍人が妻のもとに戻ったと書かれていました。
ナンシーはその軍人のやり口に怒りを覚えます。そんなナンシーと観察に打ち込むエドガーは言い争いになり、ナンシーはひとり屋敷に戻ることにしました。
母子
屋根裏にハマシギの群れが戻ってきましたが、エドガーは屋敷に戻らず観察を続けると告げました。ナンシーはひとりで録音を始めます。
録音を確認していたナンシーは、理不尽な怒りをぶつけられて苦しむ少年の声を聴きます。そこに現れた少年の霊は全身ずぶぬれで、顔がはれ上がっていました。
夜遅く戻ってきたエドガーとナンシーが言い争っていると、一羽のハマシギが玄関に飛び込んできました。ハマシギは部屋を飛び回ったのちに、壁に衝突して首を折ってしまいます。
風呂に入っていたナンシーは、少年の霊が浴槽に沈んでいる様を見て、浴室のドアから叫ぶ女性の霊が飛び込んでくるのと直面しました。
感情がぐちゃぐちゃになっているナンシーを、エドガーはどうにか説得しようとします。けれども、言葉の端々にナンシーが突っかかるため、うまくいきませんでした。
案内人グレーブスが本土から食材を運んできてくれました。地元の人に聞いたほうがいいだろうと、ナンシーは屋敷に住んでいた人々のことを尋ねます。
30年前――母子は島に隔離されました。息子がおぼれ死んだのちに、母親は自殺を図ります。ナンシーだけでなく、他にも彼らの声や姿を感じる人はいました。
グレーブスもエドガーも幽霊を信じていません。彼らにこだわるナンシーに、亡き娘エヴァについては涙のひとつもこぼさないのにと、エドガーは責め立てました。
同じベッドで眠ることをやめたその夜、ナンシーは屋根裏に出向きました。そこに現れたのは少年の霊です。そのあとを追うのは、怒りを燃やす母親の霊でした。
「何をした!?」と激怒する母親から逃げて、少年はひとり泣いていました。少年は暗く冷たい水の中で、恐ろしい母親に脅えたままでいるのです。
ナンシーは暖かい光の中に来るように、少年に向かって両手を広げました。夜明けの光が窓から差し込んできます。少年はナンシーの腕に向かって駆け出し、そして光の中で霧散しました。
マーマレーション
屋根裏の大きな扉の前には、母親の霊がいました。「何をした」と繰り返す母親は、徐々に声を落としながら自分の両手を見つめていました。
そこでナンシーは気付きます。母親は幼い息子に怒っていたわけではなく、凶行に走った自分自身に怒りをぶつけていたのです。
開いた扉から、母親がその身を投げました。ナンシーはあわてて駆け寄りますが、地面に母親の姿はありません。その代わり、ハマシギの群れが飛び立っていきました。
屋敷を出て空を見つめるナンシーの前で、ハマシギの群れによるマーマレーションが始まります。そのマーマレーションはナンシーを取り囲み……去っていきました。
ナンシーは、エドガーに無線で連絡を取ります。母子が光と鳥に導かれて旅立ったのを見て、その心には大きな変化が訪れたようでした。
娘エヴァを亡くしてから一年間流していなかった涙をたたえながら、ナンシーは告げます。エヴァのことを話したい――。
『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』「ざわめき」まとめ
ナンシーとエドガーの中年夫婦は、我が子を授かる幸せに恵まれましたが、娘エヴァは赤ちゃんのうちに亡くなってしまいました。
鳥類学者同士の二人は男女差もあり、一年経ってもお互いの気持ちを分かり合えずにいました。鳥類学者同士としての会話はできても、夫婦としての会話はできずにいたのです。
そこでナンシーが出会ったのが、ビッグ・ハーバー島のお屋敷にいる母子の霊でした。30年前に亡くなった母子に寄り添い、その心を解き放つことが、ナンシー自身の心を変えることに繋がります。
この物語のタイトルは「ざわめき」――鳥の群れが作り出す飛行形態「マーマレーション」を指しています。マーマレーションとは死者の魂をあの世に送るものではないか? と考えたわけですね。
現在でも解明されていないマーマレーションの理由や仕組みについて、このように考えられるのは今のうちだけかもしれませんね。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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