Netflixドラマ『恐怖の劇場』ネタバレ考察「終点:楽園」ここは楽園か、それとも……

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ドラマ『恐怖の劇場』はNetflixにて2019年からシーズン1が独占配信されている作品です。

台湾の出版社「鏡文学」の短編小説を原案としており、シーズン1では30分程度の短編SFスリラーが7話公開されています。

この記事ではNetflixオリジナルドラマ『恐怖の劇場』シーズン1「終点:楽園」のネタバレ、解説と考察を行っています。

ミヅチ
ミヅチ

「終点:楽園」は、不幸とは言い切れない物語です。覚悟さえできていれば、これも幸せなのかもなあ……。

ここから先にはネタバレがあります!
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「終点:楽園」のネタバレあらすじ

キャンプ

古びたラジカセから、カセットテープに録音された歌が流れてきます。その傍らで、老いた男性がひとりでバーベキューをしていました。

肉を焼き終わった男は、テントの中にいる妻シュヌに肉を渡しに行きました。しかしシュヌは、シェフが用意した料理を食べています。

結婚30周年祝いとして、老夫婦はキャンプにやってきたのです。シュヌはせっかくだからとシェフを呼んだのですが、夫は気に入らないようです。

夫が流している音楽は、ふたりの思い出の曲でした。それもシュヌには気に入らないようで、ラジカセを止めさせると、スマホでオルゴール曲を鳴らしました。

ホテル

ふたりはすれ違ったまま朝を迎えます。夫がまだ寝ている間に、シュヌはテントを抜け出してどこかへ向かいました。

それに気付いた夫は、シュヌの後を追います。すると、3人のホテルマンがふたりを出迎えました。

ホテルマンは、シュヌが2部屋予約していると話します。納得がいかない様子の夫に、シュヌは「ここに泊まると夫婦仲が修復できる」という噂を教えました。

シュヌは夫を置いてホテルへと入っていきます。ホテルマンはシュヌに「ここなら若さと活力をきっと取り戻せます」と話していました。

シュヌを追って、コンクリート打ちっぱなしの外観や、貼りついたような笑顔のホテルマンたちに違和感を覚えながら、夫もホテルに入っていくのでした。

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若返り

ホテルに泊まったふたりは、若返っていました。そうなるとは知らなかったふたりは驚きつつも、若い体で過ごす日々を楽しんでいます。

夫(カー・ハウスさん)は若返った体で色々楽しみたいようですが、シュヌ(ジーン・リョウさん)はゆっくり休みたいと言い、またしても夫婦仲がこじれてしまいます。

部屋から夫を追い出したシュヌは、ホテルマンにマッサージをさせていました。そんなシュヌにメッセージを伝えるため、夫は館内放送を利用します。

若い頃、ふたりは貧しさで苦労していました。30年間の思い出を語り出した夫をうっとうしく思ったシュヌは、夫を止めに行きます。

しかしその途中で、不器用ながらも夫が自分を愛していると理解したシュヌは、夫を許すことにしました。

盛り上がったふたりは、中庭の草むらの陰で行為を始めます。若返ったせいか、ふたりは大いに楽しみました。

WV237

部屋に戻った時、夫の体がうまく動かなくなります。そこで初めて、ふたりは若返りについての説明を受けました。

ホテルマンによると、若返りは一時的なものであり、特別な栄養サプリWV237を飲めば若さを保てるのだそうです。

しかし、WV237を飲むには臓器ドナーの同意書に署名しなければいけないと言われ、とても読み切れなさそうな分厚い同意書を差し出されました。

その代わり「とわに若く」の正会員となると、ホテルに永住できると言われました。シュヌはためらいますが、夫は迷わず署名しました。

そして、ふたりはWV237を飲みました。すると、ホテルマンが「とわに若く」とポーズを決めつつ、結婚30周年を祝うケーキをくれました。

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怪我

若返ったままでいられるようになり、ふたりは有頂天です。お酒にダンスにと楽しんでいる時、夫がトイレのために席を立ちました。

すると、シュヌに見知らぬカップルが話しかけてきました。カップルは、ある「お楽しみ」に夫婦を誘ってきます。

そこに帰ってきた夫は、カップルを追いやりました。すぐに部屋に戻ろうとしたところ、カップルの男が殴りかかってきます。

応戦した夫は、頭に傷を負ってしまいました。部屋に戻ったシュヌが傷の手当てをしたところ、驚くべきことが起きます。

夫の額にある傷が消えたのです。見間違いかと思ったシュヌは、夫の腕を切りつけました。すると、みるみるうちに傷が消えていきます。

シュヌも試してみたいため、夫に刃物を手渡します。しかし夫から少し切られただけでシュヌは怒り、夫に向かって刃物を振り上げました。

いつの間にか、ふたりは刃物で切りつけ合い始めてしまいます。シュヌは怒りに任せて「私が流産した日から、あなたはずっとそう」と言い出しました。

夫は、自分の稼ぎが悪いせいで医師に診せるのが遅くなり、そのせいで流産したのだと自分を責め続けていたのです。

シュヌは、そうやって夫が自分を責め続けている姿を何十年も見続けてきました。そして、それが精神的な負担になっていたのです。

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同意書

ホテルマンを呼んで説明を求めますが、いつもは親切なホテルマンたちが、今回はさっさと部屋を出て行こうとします。

夫が強く迫ったところ、ホテルマンが事実を話します。ふたりは放射線で細胞が再活性化されて若返り、WV237で治癒力を高めたのです。

それらは全て同意書に載っていることだと、ホテルマンは話します。そして「時間をムダにしてはいけません」と続けました。

WV237を飲んだ7日後、ふたりは脳死するのです。そして、臓器が摘出されるという契約になっているのです。

それを聞かされた夫は、初めて同意書に目を通しました。何か防ぐ手立てはないかと考えたのですが、そんな方法は書いてありません。

ふたりは絶望に打ちひしがれ、血塗れの部屋の中で呆然と時間を過ごすのでした――。

バーベキュー

シュヌは、流産した時の手術痕が消えていることを夫に話します。もう後戻りはできないのだと、ふたりは覚悟を決めました。

翌日、ふたりはホテルを出ることにしました。ホテルマンに止められますが、シュヌは「キャンプしに来たから」と話します。

ホテルマンたちに見送られて、ふたりはキャンプ場に戻りました。そして、最期の食事としてバーベキューを味わいます

シュヌはラジカセの再生ボタンを押しました。思い出の曲を流しながら、ふたりはダンスし始めます

不器用な男がひとりの女に永遠の愛を誓う――そんな歌を聞いて、シュヌの目には涙が浮かびます。

ふたりは草むらに寝転びました。百合の花を持ち、しっかりと手を繋いで、お互いを見つめ合いながら最期の時を迎えました

そんなふたりの腕に、パッと血飛沫が飛びます。同意書に書いてあった通り、脳死したふたりの臓器が移植のために取り出されているのでした……。

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解説と考察

ミヅチ
ミヅチ

契約書はちゃんと読みましょう!

老夫婦には、そこに至るまでの物語があります。たとえ長年連れ添っていても、解決できないままの問題もあるんですね。

もっと早く話し合えていれば、結婚40周年を迎えることができたかもしれません。でも、不幸な結末だと言い切れない自分がいます。

ケンカする体力

若返ったふたりは、若かった頃に楽しめなかった遊びを経験します。貧しく、流産にも苦しんだふたりに、遊ぶ暇などなかったでしょう。

今は年を取った人の意見がすぐに聞けるため「やりたいことは若い内にやれ」という言葉を目にすることも多くなりました。

「隠居してからやろうと思っても、体力もないし目もかすむ」と、老いを経験した人たちは口を揃えます。

もしかしたら、ケンカも「老いてできなくなったこと」に入るのかもしれません。本音をぶつけ合うのは疲れるだけだから……。

激しく言い争い、血まで流してやり合ったふたりは、やっとお互いの本音を受け止めることができました。

最期にふたりが抱き合い、手を握って旅立つことができたのは、若返ってケンカできたからだ――ということもできるでしょう。

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同意書

そもそも、同意書を読まなかったことが発端で問題が起きています。今は会員登録などで契約書を目にすることが多いので、身につまされますね。

ツイッターと連携できるサービスでよく話題になりますが、想定以上の権限を相手に渡してしまうという罠はごくありふれたものです。

今回は命までをも奪われてしまう罠でしたが、そこまでではなくとも、有り金すべて奪われて借金まで背負わされる類の契約はそこら中に溢れています。

気を付けないといけないなあ……と決意を新たにするお話でした。

ミヅチ
ミヅチ

リボ払いと連帯保証人は絶対にダメです。

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

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