Netflix独占配信の『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「呪いの拡散」は、ホラーラジオ番組『テラー・チューズデイ』を視聴したことで人生が変わる母娘の物語です。

ついに最後の話となりました。38分と短いストーリーですが、今までの7話への見方が変わるような物語でした。
Netflixドラマ『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「呪いの拡散」【最終回】情報
日本公開日 | 2024年8月20日 |
制作国 | タイ |
ジャンル | ホラー |
注意書き | R-16+ 暴力、性描写、ヌード、言葉づかい、薬物、児童虐待 |
上映時間 | 38分 |
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「呪いの拡散」【最終回】主なキャスト・スタッフ
キャスト
プル クリーニング店店主のシングルマザー | ヤリンダ・ブンナーク 『転校生ナノ』 |
DJ ホラーラジオ番組『テラー・チューズデイ』のDJ | カチャパー・タンジャルーン |
ホンさん プルの営むクリーニング店の大家さん | ジャルパス・パッタマシリ |
校長 トリアム初等学校の校長先生 | スラポーン・プーンピリヤ 『ケイブ・レスキュー:タイ洞窟決死の救出』 |
スタッフ
監督 | アリサ・ピエン 『ダラーの事件簿:殺人は花の香り』 |
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「呪いの拡散」【最終回】あらすじ
タイで個人商店であるクリーニング店を営んでいるプルは、シングルマザーとして6歳になる娘キャウを女手一つで育てています。
客には名前を覚えてもらえず「白人さん」と呼ばれるほど、プルは周囲と馴染めずにいます。娘によい教育を与えたいという希望も、叶えられそうにありません。
プルのクリーニング店の収益は芳しくなく、家賃の支払いすら滞っているのです。大家のホンさんは、高額な学校への進学を望むプルに生き方を変えるよう諭してきます。
日々のストレスを紛らわせるために、プルはホラーラジオ番組『テラー・チューズデイ』をつけます。しかし、その放送にはノイズが入り――。
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「呪いの拡散」【最終回】ネタバレと感想・考察
シングルマザーのプル
シャワーを浴び終えて、ひとりの女性――プルが着替えています。スウェーデンからの絵葉書を横目に、きちんとしたワンピースをまといました。
しかし、開店前に店のドアを叩く客に応対するため、プルは普段着へと再び着替えます。迷惑な客から「白人さん」と呼ばれ、プルは曇った笑顔で応えました。
プルはひとりで娘・キャウを育てています。キャウは朝から母親にかまってもらうため、風呂に身を隠していました。
キャウはもうすぐ学校に上がる年です。勉強があまり好きではないキャウに、アニメを2本見てもいいからと、プルは勉強するよう諭しました。
クリーニング店を営んでいるプルは、仕事をしながらホラーラジオ番組『テラー・チューズデイ』を視聴します。
すると、突然動画にノイズが走りました。何を言っているか分からなくなって早戻ししても、また同じところでノイズが入ります。
プルがいらだちながら画面を見入っていると、動画がフッと消えて幽霊のようなものが映り込みます。プルはとっさにスマートフォンを手放しました。
するとそこに大家のホンさんがやってきました。プルに家賃の催促をしにきたのです。プルが高額なトリアム初等学校を希望していると知り、ホンさんの態度はより厳しくなります。
2ヶ月だけ待つと言い残し、ホンさんは帰っていきました。その翌朝、今度はトリアム初等学校の職員が店を訪れます。家庭訪問の日だったのです。
届いた手紙を店のテーブルに置きっ放しにしていたプルは、通知に気付いていませんでした。トリアムの職員は、プルにとっても娘にとっても我が校は相応しくないと告げます。
友人たちとの食事会
友人たちから夕食会を開くという楽しげなメッセージが届きますが、プルの気持ちは晴れません。そのとき、2階から娘キャウがやってきました。
キャウは母親の手伝いをしにきたのです。ママと一緒にいる時間が好きなキャウは、お風呂に入るのも一緒でなければ満足しません。
もうすぐ6歳になるキャウですが、まだまだ甘えん坊です。そんなキャウに留守番をさせることになり、プルはいい子にしているようにと言い聞かせました。
表のドアをロックして、プルは食事会に出かけました。節約するため、プルは食事をもう摂ってきたと話します。
友人たちは余裕のなさそうなプルを心配して、他の仕事を勧めてきます。しかし、プルはキャウの面倒を見ることを優先し、転職するつもりはありません。
プルが食事会に出かけているとき、キャウはベッドの上でおえかきをしたまま眠り込んでしまっていました。そこに夜の冷たい風が吹き込んできます。
目が覚めてしまったキャウは、向かいにある建物を見つめます。窓ガラスに反射した背後に、何者かが立っていることには気付いていません。
家に戻る途中、キャウのスマートフォンから電話がかかってきてプルは驚きます。電話口から奇妙な音が聞こえてきました。
キャウに何かあったのではと、プルは駆け出します。店のシャッターを開けたプルは、なぜか洗濯機が回っていることに気付きます。
そして、キャウがいるはずの2階からは水が滴り落ちてきました。キャウの身に何かあったのではないかと、プルは2階へと駆け上がります。
お姉ちゃん
いつも娘キャウが眠っているベッドの上には、小さな体を包んだ布団が丸まっています。プルはキャウが無事なことにほっとして、その丸みに手を乗せました。
すると、プルの手がぐっしょりと濡れてしまいます。布団の中にいたのはキャウではなく、キャウより少し大きい真っ黒な皮膚の“女の子”でした。
“女の子”に迫られてじりじりと壁に寄っていった瞬間、部屋の電気が点きました。トイレに行ったキャウが戻ってきたのです。
キャウの身が無事だと分かり、プルはキャウの体を抱きしめます。そして、びしょぬれになったベッドを乾いているものに取り換えました。
プルは友人たちの話していた全寮制の学校について、キャウの意見を聞いてみます。ママにべったりのキャウは、全寮制に入ることを拒否しました。
キャウに留守番中のことを聞くと、不思議なことを言い出しました。キャウはお向かいに住んでいる“お姉ちゃん”と遊んだと言うのです。
キャウがおえかきしていたのは、影のように真っ黒な女の子でした。『テラー・チューズデイ』で聞いた話と似ていると感じたプルは、少し不安になります。
翌日、トリアム初等学校から電話がかかってきます。まだお金の都合がついていないプルですが、絶対に入学させると決め仕事に勤しみます。
キャウに大きめの制服を用意したその日、プルは大家のホンさんに利息分だけでもと金を渡しに行きました。そこでプルは、奇妙なことを言われます。
雨で洗濯物が台無しになって大変な思いをしたのに、雨など降っていないと言われたのです。プルは首を傾げながら店に戻りました。
向かいの建物
ある日、客の洗濯物から落ちた金のネックレスを、プルはこっそりポケットにしまいました。そのネックレスが質店に売られたと客が店にやってきます。
プルがいなかったため、6歳の娘キャウが大人たちに責められてしまっていました。質店は金を返せばネックレスを返却すると言い、2日の猶予が与えられました。
学校の費用と大家への支払いで、もう金は使い果たしました。残っている金では生活していくことも難しく、プルは逃げることを決意します。
その用意を進めるため、プルはキャウに風呂場にいるよう命じます。嫌がるキャウを残して準備を進めていると、突然風呂場が静かになりました。
あわてて風呂場を開けると、そこには誰もいませんでした。キャウを探していると、向かいの建物からキャウの笑い声が響いてきます。
向かいの廃墟に入っていったプルは、部屋の中を見て驚きます。自分の店とまったく同じ景色だったのです。
回っているドラム式洗濯機の中から小さな手が見え、キャウが入っているのではとプルは必死で扉を開けようとします。
そのとき、笑い声と共にキャウの救いを求める声が響いてきました。プルが2階のキャウの部屋がある場所へと向かうと、キャウのおえかきが何枚も散らばっています。
描かれていたのは、見慣れた赤いバスタブとあふれた水、そこに横たわる人の絵でした。プルが急いで風呂場へと向かうと、水で満たされたバスタブが目に入ります。
その中に沈んでいるキャウを引き上げたプルは、タイルの上で泣き崩れます。そして、冷たくなったキャウをゆっくりとタイルの上に寝かせました。
プルがふと目を上げると、そこにはびしょぬれで真っ黒な皮膚をしているプル自身の姿がありました。プルは訳も分からず、叫び声を上げます。
呪いの拡散
プルが姿を消したあと、ある美容室のおしゃべりでプルの件が取り上げられます。美容師はプルを「白人さん」と呼ぶ女性で、客は大家のホンさんでした。
ホンさんは「自分が追い出した」と鼻高々ですが、美容師は同情を寄せます。プルに夫はおらず、幼い娘キャウも亡くなってひとりぼっちになってしまったためです。
しかし、ホンさんは同情することに否定的です。プルは外国で働きたがっていたのだから、悲しい思いをしているとは限らないと、ホンさんは語りました。
美容院を出たホンさんは、自宅に戻ります。1階はなぜか水浸しでした。見上げると、天井からぽたぽたと水が滴り落ちてきます。
ホンさんは雑巾で水を吸いながら、『テラー・チューズデイ』を聞き始めます。すると、どこか聞き覚えのあるような声が聞こえてきました。
弱々しい声で、女性は「追われている」と訴えます。『テラー・チューズデイ』を見て以来ずっと、女性は“何か”に追われているというのです。
女性は甲高い声で泣き叫び、番組DJや視聴者たちを責め立てます。『テラー・チューズデイ』が幽霊の呪いを拡散しているのだと、女性は主張しました。
しかし、DJはただ視聴者から集めた話を流しているだけなので、心当たりがなく戸惑います。女性はどんどん取り乱していき、ついには電話が切れました。
名も名乗らずに一方的に話した女性との会話は、突然終わってしまいました。DJは、女性が危険な目に遭っているのではとかけ直すようスタッフに指示します。
ホンさんは雑巾を絞るため、画面の前から離れました。するとそのとき、画面にノイズが走り――“お姉ちゃん”が映り込むのでした。
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「呪いの拡散」【最終回】まとめ
最後に語られた話は、原作であるホラーラジオ番組『テラー・チューズデイ』についての話でした。
『テラー・チューズデイ』を視聴してきた私たちは、これまでの7作品を他人の身に起きた話として、気軽に見てきました。
しかし『テラー・チューズデイ』で語られる物語に乗って、霊は移動してくるのです。『リング』で貞子がビデオを通して移動するのと同じように、“お姉ちゃん”も人から人へと……。
“お姉ちゃん”はさみしい思いをしている幼い子と仲良くなり、あの世へと連れ去っていくことを目的として動いているようですね。
自分の子がそうではないと断言できる親は、そういないでしょう。“お姉ちゃん”は物語が語られ続ける限り、さみしい子をさらい続けるのでしょうね……。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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