この記事は、Netflixオリジナルのノルウェードラマ『ミステリーバス』(原題:Bloodride)「究極の犠牲」のネタバレと考察、感想です。
都会に住んでいたハルトマン一家はお金のやりくりに失敗し、田舎のホルゲン町へと引っ越してきました。
町民から「生贄の石」について聞いた妻モリーは、都会に戻る引っ越し資金のために生贄を捧げますが、小銭しか得られません。
モリーは思い切って、愛犬ボルトを生贄に捧げます。それでも引っ越し資金には程遠い金額しか手に入らず、モリーは憤ります。
主な登場人物とキャスト
モリー(アイネ・マリー・ウィルマン)
レオン(ビョルナル・テイゲン)
カーチャ(エマ・スペタレン・マグヌソン)
ミステリーバス – 究極の犠牲
ハルトマン・ファイナンスに向かうひとりの男性は、電話相手に「社長への正式な取材は今回が初めて」と話しています。
5年前
「ハルトマン」と書かれた段ボールが積まれた車が、田舎にある一軒家へと進んでいきます。その車には、ハルトマン一家が乗っていました。
夫レオンと娘カーチャは乗り気ですが、妻モリーは不満げです。都会育ちのモリーは、田舎での生活に不安を感じていました。
無理して都会のマンションを購入した夫婦は、お金のやりくりに失敗して田舎に引っ越してきたのです。
そこに訪れた地元住民が、親し気に夫婦に話しかけてきます。一軒家には修理が必要だと知り、手伝いを申し出てくれました。
その老夫婦は飼い猫を抱いたまま、家族をずっと見つめています。モリーはなれなれしい老夫婦に違和感を覚えるのでした。
手伝いに来た住民と動物たち
平日の昼だから手伝いにくる人は少ないだろう……そんなレオンの予想を裏切り、手伝いをする町民が押し寄せてきました。
バーベキューには、なんと神戸牛が振る舞われました。そこでモリーは町民たちが皆、動物を連れていることに気付きます。
住民は「田舎だから」「役立つ時がある」と語りました。レオンは不満げなモリーを、いつかは都会に戻るのだからと慰めます。
ヴァイキング村の風習
ジョギングしていたモリーは、町民が可愛がっている動物を連れて森に入っていくところを目撃します。
こっそり後を追うと、大きな石に黒猫を乗せた町民が、持ってきた刃物で猫を刺し殺しました。
驚いたモリーが足音を立てると、町民は説明をしてくれました。かつてヴァイキング村だったホルゲン町の風習について……。
ヴァイキングは森にある大きな石に生贄となる動物――時には人間を捧げ、幸福を願ったのです。
ある町民が病気になったペットを石の上で撃ち殺した直後、宝くじで高額当選しました。
それ以来、町民は必要な時にだけ生贄を捧げるようになりました。見境なくやってしまうと、石が人を変えてしまうからです。
等価交換
どうしても金を得て都会に戻りたいモリーは、家に棲みつくネズミを捕まえて生贄に捧げました。
その直後、モリーはスクラッチを買いに行きます。高額当選するものと思っていたのですが、得られたのは400円程度でした。
町民に抗議しにいったモリーは、捧げ物の価値と得られる金額は同等なのだと話します。絆のある生き物でなければダメなのです。
モリーは飼い犬のボルトを森に連れて行きます。そして数秒のためらいの後、思い切ってナイフを振り下ろしました。
返り血を川で洗い流したモリーは、もう一度スクラッチを買いに行きました。そして、その結果を楽しみに待ちます。
ボルトを探しにレオンとカーチャが出かけた後、モリーは当選番号発表を見守ります。しかし、得られた賞金は6万6000円ほどでした。
「愛犬を殺したのに」と憤るモリーに、町民はボルトを可愛がっていたカーチャが捧げていれば億万長者だったと語りました。
絆のある生き物
モリーは、レオンにボルトが死んだと話します。ボルトを生贄にしたと語るモリーに、レオンは「君は異常だ」と言いました。
モリーはレオンを石の上に倒すと、ボルトを刺したナイフを突き刺しました。その時、こっそりついてきたカーチャが声を上げます。
レオンを殺そうとするモリーと揉み合ったカーチャは、手元にあった石を振りかぶりました。
石で思い切り頭を殴られたモリーは、生贄の石の上に倒れ込みます。それと同時に、気を失っていたレオンが起き上がりました。
ハルトマン・ファイナンス社長
ハルトマン・ファイナンスにやってきた男性記者トマスは、社長であるカーチャにインタビューを始めます。
トマスは、カーチャが開業資金の出どころについては語らないと知って、違うことを聞こうと想っていました。
カーチャは、精神を病んだ母モリーを喪った1年後、父レオンが消息不明になった悲劇について尋ねられます。
カーチャは膝の上に乗せた真っ白な猫を優しくなでながら、昏い目で頷きます。「とてつもなく悲しいです」と……。
考察と感想
考察
その昔、ヴァイキングは幸せを願って生贄を捧げていました。その儀式を行っていた場所が森にある「生贄の石」だったのです。
その風習は今の町民たちにも伝わっており、どうしてもお金が必要な時のために、動物を愛し絆を作っています。
モリーは本当のところ、飼い犬ボルトはもちろん夫レオンにも娘カーチャにも愛を注がずにいたのだと思います。
しかし、裏切られたと知って怒るほどにカーチャはモリーを愛していました。もちろん、レオンのことも……。
一番大切だった愛犬ボルトを引っ越し資金のために殺されたカーチャは、モリーを殺すことで大金を得たと思われます。
それで味を占めたカーチャは、レオンも殺しました。そしてまたお金が必要になった時のために、猫を飼い始めたのでした。
ミヅチガタリ
田舎から出るためなら何でもするモリーの狂気を中心にストーリーが展開していきましたが、結局何も得られませんでしたね……。
愛犬ボルトを「友達がいる慣れた場所に戻りたい」というしょうもない理由で殺されたカーチャの怒りは理解できます。
実は一番可哀想なのはレオンで、愛犬を殺され、妻にナイフで刺された挙句、おそらく娘に殺されたんですよ。
ハルトマン・ファイナンスの社長はだ~れだ? モリーかな? レオンかな? ――カーチャでした! というお茶目な作り、好きです。
モリーは町民たちを気味が悪いと言っていましたが、視聴者の私からしてみると一番気味が悪いのはモリー自身でした。
「何としても都会に戻るんだ!」という強烈な願望に駆られて殺人にまで踏み込んでしまうモリー、確かに精神を病んでいましたね……。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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