この記事は、Netflixオリジナルのノルウェードラマ『ミステリーバス』(原題:Bloodride)「毒筆」のネタバレと考察、感想です。
愛嬌たっぷりの女性オリヴィアは、物語を書くのが趣味です。今日は恋人の家でディナーパーティーが開かれます。
執筆講座に出たオリヴィアは、パッとしないおじさんアレックスと出会いました。彼も物語を作っているようです。
帰宅したオリヴィアは、シェアハウスの同居人たちが自分を殺す計画を立てていることを盗み聞きしてしまいました。
オリヴィアの最悪の1日が始まります。そしてオリヴィアは恐ろしいことが起きていることに気付くのでした……。
主な登場人物とキャスト
オリヴィア(ダグニー・バッケル・ヨンセン)
アナリセ(シヌーブ・マコディ・ルンド)
アレックス(ヘンリク・ラファエルセン)
マルケス(シメン・ボスタド)
ミステリーバス – 毒筆
オリヴィアという女性
オリヴィアは朝、恋人マルケスの母親からディナーの誘いを受けました。オリヴィアは嫌われているはずだと不安がります。
しかしマルケスは可愛いオリヴィアが嫌われているはずはないと能天気です。2人は笑いながらいちゃつくのでした。
オリヴィアは愛嬌たっぷりの性格で、シェアハウスの同居人から親切に接してもらっています。食べようとしたリンゴをもらえるほど……。
そして執筆講座に向かったオリヴィアは、初対面のおじさんアレックスからも一目で気に入られました。
アナリセ執筆講座
執筆講座に出たオリヴィアは、講師アナリセから人生最悪の出来事を聞かれます。オリヴィアは12歳の頃のポニーの死のことを話しました。
悪いことがあった後はいいことが起きる。しかし書き手は登場人物に試練を与えて、絶好調にしないように……。
アナリセは「作家は全てを支配する神よ」と語ります。実体験を交えたり、憎い人を登場させて殺すのもいいとアナリセは言いました。
講座終了後、オリヴィアはアレックスに話しかけます。アレックスは既に物語の執筆に取りかかっているようでした。
アレックスは「素人の駄作だ」と言って、作品を読みたがるオリヴィアに原稿を見せませんでした。
友人たちの殺意
帰宅したオリヴィアは、同居している女友達3人が自分のことを「ウザ過ぎる」と話しているのを聞いてしまいます。
彼女たちは、何でも買ってくれる母親がいるのに家賃が遅れるオリヴィアを嘲笑っていました。
そして、オリヴィアにひどく恥をかかせようと企み始めます。それはオリヴィアを裸にして公園に置き去りにするという策でした。
その写真をSNSに上げようと盛り上がりながら「マジで死ねばいいのに」と言い、本気の殺意を滲ませました。
「あのクソ女を殺す。ピクニックに誘おう。殺して森に埋める」彼女たちのどす黒い感情を見て、オリヴィアは息を呑みます。
ピクニックの誘い
友人たちが部屋から出てくるのを察知し、オリヴィアはたった今帰ってきたふりをしました。
いつものように優しくお茶に誘ってきた友人たちは、週末にピクニックしようと誘ってきます。彼女たちは皆笑っていました。
オリヴィアは笑ってピクニックの誘いに乗ると、早く彼女たちから離れたくて席を立ちました。
しかし彼女たちは話を聞かれたと思い、オリヴィアが家から出ないように立ちはだかります。そこにマルケスもやってきました。
オリヴィアはお茶を淹れるために沸かしていたポットを手に取ると、沸騰しているお湯を女友達3人にかけて家を飛び出します。
警察署へ
何とか家から出たオリヴィアでしたが、マルケスが追いかけてきました。マルケスも女友達3人とグルなのだと感じたオリヴィアは焦ります。
車のキーを掴んで振り上げたオリヴィアは、キーをマルケスの頬に突き刺しました。そして、車道を駆け出します。
偶然そこをアレックスの車が通りかかり、オリヴィアを乗せてくれました。オリヴィアは警察署へと向かいます。
慌てていたオリヴィアは、散らばった荷物をカバンの中に詰め込んで車を降りていきました。
しかし待っている最中、女友達が警察署にオリヴィアを探しに来たことに気付きます。オリヴィアは警察署からも飛び出しました。
ある物語
隠れて友人たちをやり過ごしたオリヴィアは、まだ警察署の前に停まっているアレックスの車に向かいました。
その途中で転んだオリヴィアは、自分のカバンに見覚えのない小説がプリントされたコピー用紙が入っていることに気付きます。
その小説には、聞き覚えのある友人たちの言葉や、マルケスの言葉が書かれていました。
ふと目を上げると、車の中でアレックスがパソコンで入力している姿が見えました。アレックスは不敵な笑みを浮かべています。
オリヴィアは執筆講座で「書き手は登場人物に試練を与えなきゃダメ」と言われたことを思い出しました。
執筆合戦
オリヴィアは、アレックスが登場人物である自分に試練を与えており、それが現実になったのだと考えます。
そこでオリヴィアはアレックスから死角になる場所のベンチに座り、ノートパソコンを開きました。
「ある作家が私の物語を書いている――」
オリヴィアはやり返すように、アレックスのことを執筆します。試しに「鼻をほじる」と書くと、アレックスは鼻をほじりました。
「だが、私についての物語がその醜い男の最終作となる」
オリヴィアの逆襲
「なぜなら突然、男のパソコンが怪物に化けたのだ」
アレックスのノートパソコンが動かなくなり、画面に怪物の口が映し出されました。そして、画面がいきなり噛みついてきます。
キーボードに乗せたままだったアレックスの右手はかじられ、骨ごと指を失くしてしまいました。
「そして男の電話が鳴った」
アレックスのスマホに着信があります。アレックスが無事だった左手で電話に出ると「あなたのオリヴィアよ」と言われました。
オリヴィアはアレックスに物語を書かないよう忠告すると、車の窓を叩きました。アレックスはひどく驚きます。
アレックスの妻
アレックスはオリヴィアに片想いしており、落ちるところまで落としてからハッピーエンドにするつもりだったと語ります。
それを聞いたオリヴィアは、物語を書き足してアレックスの指を再生させました。そして、共同で物語を作ろうと誘いました。
オリヴィアは恋人マルケスと会った寿司店にアレックスと向かいます。そこでオリヴィアは、アレックスの妻について知りました。
アレックスは有名な小説家であるアナリセの夫だったのです。それを聞いたオリヴィアは、何かひらめいたように笑いました。
しかしそこでオリヴィアは違和感を覚えます。店に飾られている日本刀が、3振りあったはずなのに2振りになっているのです。
本当の作家
アレックスは「もしや……私たち2人とも登場人物じゃ?」と呟きました。そこに、刀を構えたウェイターが忍び寄ります。
ウェイターの格好をしたマルケスが、アレックスの胸を一突きしました。息絶えたアレックスを見て、オリヴィアは取り乱します。
マルケスはオリヴィアをクズだと言い、背後にいる母親にどうするべきか助言を求めました。
その母親こそが――アレックスの妻であり、マルケスの母である作家アナリセだったのです。「殺して。クソ女に死を」
マルケスに刀を突き立てられたオリヴィアを見ながら、アナリセは高笑いするのでした……。
書き直し
「美しい作家はそう言い放ち、笑った」
ノートパソコンに物語を綴りながら、平凡な主婦アナリセは含み笑いをしました。庭では、夫アレックスが肉を焼いています。
そこに息子マルケスが恋人オリヴィアを連れてやってきました。アナリセは笑顔で2人を出迎えます。
アナリセは近寄ってきたオリヴィアを抱き締めると、グリルフォークをオリヴィアの腹に突き立てました。
アナリセは倒れたオリヴィアを放置し、物語を書き直すと言ってパソコンに向かいます。しかし、なぜかキーが利きません。
「消えない……消えない……消えない……」
考察と感想
考察
最初の朝のベッド上のシーンは事実ですね。アナリセが息子マルケスの恋人オリヴィアをディナーに誘ったところです。
アナリセは息子マルケスを「頭空っぽ」とバカにするオリヴィアのことが心底嫌いなようです。まあ本当に頭空っぽなんですが……。
しかし、アナリセと夫アレックスの見た目は最終章とそれ以外で全く違います。最終章のビジュアルが現実でしょう。
そうなると、いかにもなキャリアウーマンな作家アナリセと、パッとしないストーカー気質の醜い夫アレックスは妄想です。
気に入らないオリヴィアを殺したいアナリセは、妄想の中で楽しむだけでは飽き足らず、本当にオリヴィアを刺してしまった……。
物語の中では持論通り神様になれたアナリセでしたが、現実で殺人を犯してしまったらもう「おしまい」ですね。
ミヅチガタリ
とりあえずアナリセは夫アレックスに申し訳ないと思って欲しいです。息子マルケスはそのままなのに、夫を醜くし過ぎ!
ディナーパーティーの手伝いで肉を焼くくらいには家族に貢献している夫ですよ。醜くするのは理不尽です。
おまけに若い女――息子の恋人に片想いさせるなんて、あんまりです。ストーカー化したり酷い目に遭わせたり、やりたい放題!
オリヴィアは正直好きになれない女性なので、そりゃ殺意のひとつやふたつ抱くだろうなと思いました。
実際に殺すのは絶対にダメです。でも自分のために作った物語の中で殺すくらいは好きにすればいいと思います。
印象に残ったのは寿司店のシーンです。日本刀の一般的な使い方は「突き」なので、マルケスが正確に使っていて「おおっ!」と思いました。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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