こちらにはNetflixで配信中の韓国ドラマ『明日』エピソード10「息」のネタバレと感想があります。
主な登場人物・キャスト
チェ・ジュヌン(ロウン)
危機管理チーム長ク・リョン(キム・ヒソン)
イム・リュング(ユン・ジオン)
玉皇大帝(キム・ヘスク)
引導管理チーム長パク・ジュンギル(イ・スヒョク)
あらすじ
危機管理チームが今回相手にするのは、双子の兄妹チャ・ユンジェとチャ・ユニです。
チャ・ユニが強姦事件の被害者であるため、生前母親が同じ目に遭ったイム・リュング代理は怒りに燃えます。
明るい妹ユニは、兄ユンジェと日々ケンカしながらも仲良く過ごしていました。そしてある夜偶然、同じ店で出会います。
妹ユニの頼みをはねのけてひとりで帰らせ、兄ユンジェは朝帰りします。そして昨晩、妹ユニが暴行の末強姦されたと知りました。
事件を表沙汰にしたくない妹ユニの気持ちが理解できない兄ユンジェは、妹ユニの行動が悪かったのだと責め立ててしまいました。
妹ユニはおしゃれをやめ、大きな男性服を着て、人の声に耳を塞いで寝て過ごすようになります。自傷行為も繰り返していました。
兄ユンジェは犯人が優秀な弁護士と裕福な両親の手で庇われたことに納得が行かずデモをしますが、妹ユニはその行動に激怒しました。
すれ違いの末に、兄ユンジェは犯人を殺して自殺しようとします。しかしそこにイム・リュング代理が割って入り、犯人を殴りつけました。
イム代理を止めたク・リョンチーム長は犯人を法により裁くと決め、検事となって15年の懲役を科すことに成功します。
既に心臓麻痺で死ぬと決まっていた犯人でしたが、引導管理チーム長パク・ジュンギルにより地獄の火で焼かれて死ぬのでした。
ミヅチガタリ
まず、イム代理に「すぐ死ぬから殺さなくて大丈夫だよ」と伝えてあげたかったです。
同じ被害者家族として許せないイム代理の気持ちは理解できますが、殴ったところで反省しないクズですし……。
犯人タク・ナミルの巧妙なところは、まず脅すだけで相手の反応を見て、反抗したらどうなるか味わわせておきながら、逃げる隙を与えるところです。
一直線に行動するよりも、被害者が「私に非があったんだ」と思い込んでしまうように振る舞っているわけです。
しかも医者の卵です。両親に至っては、優秀な弁護士をつけ、おそらくは世論操作もして息子を庇っているんですよね。
加害者の親が必死になって子どもを庇っているのに、被害者の親は本人を責めて心を踏みつけているのが何というか……。
誰もが「自分のせいじゃない」と思いたいがために、誰かに責任を負わせようとして、それが被害者本人に集中してしまったのです。
それでも心の底ではお互いを大切に想い合っていたため、兄妹はやり直すことができました。両親とは……まだちょっと難しいかな……。
今回明かされた分と合わせて、次回イム代理の母親の一件が描かれるようです。イム代理は人殺し――なんでしょうか?
そうなると危機管理チームは地獄出身2名に半人半霊が1名というとんでもないチームになるんですね。
明日 第10話「息」
ク・リョンとパク・ジュンギル
危機管理チーム長のク・リョンは、生前の記憶を振り返っていました。朝鮮時代を生きた頃のこと――。
「選択せよ。名誉ある死を遂げるか、何者かに殺されるか」
家族からそう迫られた後……城下に閉じ込められたク・リョンは官吏に逆らい、外に出ようとして剣を向けられます。
その剣を弾き飛ばしたのは、ひとりの兵士でした。その顔は――引導管理チーム長のパク・ジュンギルにそっくりです。
混乱したクチーム長は、玉皇大帝のもとへと急ぎます。別人であるはずのパクチーム長は、なぜ生前のク・リョンを記憶しているのか……?
「恐れてるの? 彼の愛する人を殺したから?」
クチーム長は、全てを見通しているはずの玉皇大帝が何を考えているのか分からず、戸惑うのでした。
双子の兄妹
危機管理チーム代理のイム・リュングは、現世に行き大きなお腹を支えながら歩く女性を見つめ、人知れず涙をこぼします。
新人のチェ・ジュヌンとクチーム長が集まっているカフェに、イム代理も遅れてやってきました。
今回の自殺予定者は2人います。23歳の男子大学生チャ・ユンジェと、双子の妹チャ・ユニです。
妹ユニはネガティブ度94%、兄ユンジェも88%と高い数値を出していました。しかしクチーム長は話を進めようとしません。
クチーム長はイム代理に注文した商品を取りに行かせると、ジュヌンに小声で忠告します。
「イム代理が不快に思う事件なの。しっかりサポートしてあげて」
自殺予定者のひとりチャ・ユニは、レイプ被害者なのです。ヤンヒョン洞暴行事件はテレビでも大々的に報道されていました。
犯人に殴られたチャ・ユニはひどい怪我を負い、入院しています。ただぼうっと虚空を見つめては涙を拭って……。
加害者は懲役2年に執行猶予が付いており、両親は控訴を考えています。チャ・ユンジェは単独でデモを行っていました。
クチーム長は男性を怖がるであろうチャ・ユニの様子を見に行くことにして、イム代理とジュヌンにチャ・ユンジェを任せました。
それぞれの気持ち
「子どもの頃、母親が集団暴行を受け自ら命を絶ったの」
ジュヌンに尋ねられたクチーム長は、イム代理の過去を静かに語りました。ジュヌンは短く息を吐きます。
チャ・ユニが入院しているミョンシン大学病院に向かったクチーム長は、担当検事だと名乗ります。
しかし、チャ・ユニは受け取った名刺を握って丸め床に投げ捨てると、何もなかったかのようにクチーム長から視線を逸らすのでした。
兄チャ・ユンジェは“性犯罪の量刑を改正せよ! 加害者を許すな!”と書かれたボードを持って裁判所の前に立っていました。
ジュヌンとイム代理は記者を名乗ってチャ・ユンジェに近付きます。意外にも、チャ・ユンジェは素直に応じてくれました。
「苦しまないと。俺のせいだから……」
チャ・ユニはと言うと、裁判を望んではおらず控訴もしないと強い態度で言い切ります。
誰が検事になっても結果は変わらないと荒れるチャ・ユニを、クチーム長はひたすら待つことに決めたのでした。
ひとりの帰宅路
ジュヌンとイム代理はカフェに移動し、チャ・ユンジェから話を聞いていました。
明るかった妹ユニは事件の後、大きく変わったとチャ・ユンジェは語ります。
責めるように自分を殴りつけ、おしゃれを捨てて男性用の大きな服でシルエットを隠すようになったのです。
「あの日、ひとりで帰らせなければ……事件は起きなかった」
事件の朝、2人暮らししている兄妹はケンカしていました。お互い夜に予定があったのですが、同じ店を選んでしまいます。
ケンカばかりの兄妹は、離れた席に座ってそれぞれの友人たちと呑んでいました。
「ひとりじゃ怖いから一緒に帰ろう」
先に呑み終えた妹ユニが甘えてきましたが、兄ユンジェは2次会に行くからと鬱陶しそうに断りました。
夜に母親から電話が来る予定があり、どちらかが帰宅しなければいけない日でした。妹ユニはひとりで帰宅します。
友人のウンギョンとソジンは心配してメッセージを送ってきていました。チャ・ユニは安全のため、脇道から大通りに出ようとします。
チャ・ユニの望み
誰かが後ろからつけてきていると気付き、チャ・ユニは兄ユンジェが追ってきてくれたのだと思って笑いました。
「死にたくなければ俺に従え」
無防備なチャ・ユニの肩を抱いたのは、見知らぬ男でした。チャ・ユニは隙を見て男の腕を振りほどき、全速力で駆け出します。
しかし男に捕まえられてしまい、アスファルトに叩きつけられ殴られて、引きずられるように裏道へと連れて行かれてしまいました。
チャ・ユニから帰宅の連絡がないため、兄ユンジェは不思議に思います。しかしそのまま朝まで呑み、誰もいない家に帰宅しました。
チャ・ユニの姿が見えないことに違和感を覚えたものの、徹夜したチャ・ユンジェはシャワーを浴びて寝ることにしました。
シャワーを浴び終えたチャ・ユンジェが部屋に戻ると、そこには父が立っていました。そして、いきなり頬を叩かれます。
「お前は何してた? ユニがああなるまで、どこにいた?」
何も知らないチャ・ユンジェの前で、父は泣き崩れました。病院に向かったチャ・ユンジェは、犯人を捕まえると息巻いています。
「やめて。お母さんの通報もやめさせて」
チャ・ユニが望んでいるのは、全てを隠して今まで通りの生活を送ることだったのです。
1000
「夜遅くフラフラしてるからこうなるんだ。あんな所を通るな。変な奴に狙われて当然だ!」
「あんたのせいよ。あんたが悪いのよ! 一緒に帰ってたらこんなことにならなかった。全部あんたのせいよ!」
言い争う中で、チャ・ユンジェは妹ユニの両腕を掴みました。その瞬間、ユニは犯人の姿がフラッシュバックして正気を失います。
裏道の行き止まりに連れ込まれたチャ・ユニは、反撃する気力がなくなるまで犯人から殴られ、首を絞められていました。
犯人は命乞いを始めたチャ・ユニを人気のないトイレに連れて行き、こうささやいたのです。
「生きたいか? 言う通りにしろ。絶対に叫ぶな。目も開けるなよ。1000まで数えたら出て行け。いいな」
個人情報が記された登録証を奪われたチャ・ユニは、通報すれば家まで行くという犯人の言葉を恐れていました。
男がトイレから出て行ったため、チャ・ユニは数え始めました。683まで数えたところで、チャ・ユニは周りを見ます。
物音が聞こえなくなったため、チャ・ユニはトイレから出て行こうとしました。しかしドアを開けると、そこには男がいたのです。
「1000まで数えろ」
男は冷たい表情のまま、トイレに入ってきました。――そこでチャ・ユニは目を覚まします。
助けてと言いながらベッドから滑り落ち、何度も助けを求めるチャ・ユニを見て、クチーム長は呆然とするのでした。
心の痛みと体の痛み
裁判に出廷したチャ・ユニは、相手の弁護士から強く責められました。合意があったのだと弁護士は印象付けたいのです。
なぜ誰にも助けを求める声が聞こえなかったのか、なぜ鍵の壊れたトイレから逃げなかったのか、なぜ本気で抵抗しなかったのか……。
法廷で辛い思いをして涙を流すチャ・ユニを見て、兄ユンジェは怒りに震えていました。
優秀な弁護士がついた理由は、犯人が医大生だったからでした。裁判は有利に進み、反省文と奉仕活動を強いられただけで済みます。
両親の手で高級マンションに引っ越した犯人は、今まで通り楽しい日々を送っています。
チャ・ユンジェは、何もできなくなって寝ていることしかできない妹ユニと、自由に過ごす犯人の姿をどちらも見ていました。
「妹を救います。奴に罪を償わせる。妹に許してもらうために……」
チャ・ユニは自分を責めていました。酒を呑んだこと、夜ひとりで出歩いたこと、体のラインが出る服を着ていたこと……。
ネットには被害者であるチャ・ユニを責める声が溢れていたのです。チャ・ユニは外に出ることもできなくなりました。
「爪を噛んで皮膚をむしれば落ち着いた。痛みで恐怖を忘れるの。その痛みで生き抜いた」
何をしていても事件当夜の記憶が蘇るため、チャ・ユニは自傷行為を繰り返すようになっていました。
世間の声
心の痛みを忘れるために自らの体を傷付けるようになったチャ・ユニに、クチーム長は優しく語りかけます。
「あなたのせいじゃない。あなたは痛みに耐えながら生き抜いた気丈な被害者。世間はまだ被害者の味方よ」
チャ・ユニが落ち着いたのを見て、クチーム長は病室を後にしました。しかし、状況は変わっていません。
チャ・ユンジェもひどいことを言って妹ユニを傷付けたことを悔やんでいると、ジュヌンはクチーム長に伝えます。
控訴審までに事態を好転させたいクチーム長ですが、一方で過去の傷を掘り返されたイム代理のことも気になっていました。
チャ・ユニは世間の声にもう一度向き合おうと、ネットを見ます。しかしそこにあったのは、加害者を擁護する声でした。
チャ・ユニのネガティブ度が97%にまで上昇します。その頃、チャ・ユニは自宅に戻って兄ユンジェを責めていました。
裁判所前でデモを続けるチャ・ユンジェのせいで事件が注目され続けるのだと、チャ・ユニは怒りを爆発させます。
チャ・ユンジェは反論する気力を失い、家を出て行きました。チャ・ユニは腕から流れる血を拭おうともせず、しゃがみ込みます。
未練
チャ・ユニが行くところは自宅しかないと、クチーム長とイム代理とジュヌンは駆けつけました。
チャ・ユニは、最初に被害者が悪いのだと言い出したのは家族だったと語りました。両親や兄が、チャ・ユニの行動を責めたのです。
「あんな言葉は求めてない。家族は頼みの綱だったのに。それが一番傷付いた」
いくら後からチャ・ユニのためにと言って家族が動いても、チャ・ユニはその言葉を信じることなどできないのです。
その時、チャ・ユンジェのネガティブ度も95%に上がっていると通知が入りました。イム代理とジュヌンは、ユンジェのもとに向かいます。
ひとり残ったクチーム長は、チャ・ユニに語りました。ク・リョンの死は、手首を切ってのものだったのです。
「死ぬ気で手首を切ったらどうなると思う?」
自分の存在そのものが罪だと感じたク・リョンは、死ぬために手首を深く切りつけました。
その時になって初めて、隠れていた未練が顔を出したのです。しかし、それが分かったのは死んだ後でした。
残された家族が嘆く声を聞きながら地獄の道を歩き続けたク・リョンにしか、伝えられないことがあるのです。
生きたい
自分で傷付けた痕を見ながら、チャ・ユニはこんな自分でもまともに生きていけるだろうかと疑います。
「醜くないわ。生きたくてもがいた痕だから」
チャ・ユニが自傷行為を繰り返すのは生き続けたいと望んでいるからだと、クチーム長は見抜いていました。
落ち着いたチャ・ユニの手当てをしながら、クチーム長は語りかけます。兄妹はすれ違ってしまっただけなのだと……。
「あいつと同じ。もっとひどいかも。二度と顔を見せないで! 死ねばいいのよ!」
兄ユンジェと言い争った時、チャ・ユニは怒りのあまりそう言ってしまったのです。
イム代理はジュヌンを連れて高級マンションに来ていました。加害者の自宅にチャ・ユンジェが来るはずだと考えたのです。
加害者の男は、呑気にチキンを食べていました。イム代理は瞬間移動で男の部屋に入り、殴りつけます。
そこにチャ・ユンジェが現れました。イム代理は殴りかかろうとするチャ・ユンジェを止め、怒りに燃えた目で男を見つめます。
「手を汚すな。あいつは俺が殺す」
イム代理の暴挙
置いて行かれたジュヌンが駆けつけた部屋の中では、イム代理が無表情で男を殴り続けていました。
止めようとするジュヌンを、チャ・ユンジェが止めます。加害者さえ死ねば全て終わると、チャ・ユンジェは語りました。
しかし、ジュヌンには分かっています。男が死んだことを確認したら、チャ・ユンジェも死ぬつもりなのです。
「謝るのが先だろ。振り払われても、悪かったと言うべきだ」
妹ユニが望むのは、一人デモでも復讐でもなく、ただ寄り添うことなのだとジュヌンは訴えます。
チャ・ユンジェは妹ユニに拒絶されることを恐れて向き合ってこなかったのだと自覚し、俯くのでした。
男を殴り続けるイム代理を制したのはクチーム長でした。イム代理は冷静さを取り戻し、部屋を後にします。
しかし死ぬ目に遭わされても、男は反省していませんでした。誘ったのはチャ・ユニだと主張し続けます。
記憶を消すにあたり股間にきつい蹴りを一発食らわせたクチーム長は、そのまま去って行くのでした。
1万24年
「服装のせい? 夜だから? 裏通りだから? 酔ってたから? それなら皆さんも標的になり得ますし、犯罪は正当化されます」
検事として法廷に立ったクチーム長は、性犯罪がいかに不当な扱いを受けるかと説明します。
そして、どんな理由があろうとも犯罪そのものを軽く扱うことは許されないと主張しました。
平均寿命83.3歳から現在の23歳分を引いて60年、それに関連映像の138本の書き込み合計9826回を1年に換算して、1万24年を犯人タク・ナミルに求刑したのです。
傍聴人たちは万雷の拍手でクチーム長の言葉を歓迎しました。チャ・ユニと兄ユンジェの顔も明るさを取り戻します。
裁判の後、隣の席に座った兄妹はお互いの本音を打ち明けました。ごめんと謝り合って、笑顔を向け合います。
兄妹は仲直りしネガティブ度も下がりましたが、ジュヌンはイム代理の動向が気になって仕方ありません。
しかしクチーム長に、相手は大人なのだからと放っておくように言われてしまうのでした。
地獄の火
懲役15年となったタク・ナミルは、ひとりだけが乗っている護送車で夜の道を運ばれていました。
ぎゃあぎゃあと騒ぐタク・ナミルに刑務官たちが気を取られている最中、護送車の前に人の姿が見えます。
急停車した護送車から刑務官たちが出てきて、今さっき現れた人がどこに行ったのかと捜しに行きました。
その刑務官たちの背後に再び姿を現したのは――引導管理チームのパクチーム長でした。
「タク・ナミル。1997年9月27日3時44分生まれ。お前の命を回収する」
蛍光灯の点滅する護送車に乗り込んできたパクチーム長は、何の感情もない声でそう告げました。
灯りの消えた護送車の中で、タク・ナミルはじっとパクチーム長を見つめています。
「10分後に心臓麻痺で死ぬ。寿命は変わらないが、方法を変えてもいい。簡単に死なせたらつまらん」
その言葉と同時に、護送車の中に火がつきました。あっという間に燃え広がり、タク・ナミルは炎に包まれます。
タク・ナミルは助けを求めますが、刑務官たちの耳には届きません。パクチーム長の能力により遮られているのです。
「彼女の後をつけた足、押さえつけた腕、笑った口は――地獄の火に焼かれるだろう」
薄く笑ったパクチーム長の目の前で、タク・ナミルは燃え上がっていきました。必死で助けを求めながら……。
隆求
チャ・ユニとチャ・ユンジェは、ふたり並んでカフェで時間を過ごせるほど日常を取り戻していました。
チャ・ユニは事件を乗り越え、女性服を着てメイクをして外に出られるようになったのです。
その姿を見届けたイム代理は、道を歩きながら昔のことを思い出します。生前、まだ幼かった頃のことです。
「ヨンシクとチャンボクにからかわれた。僕の名前が変だと言うんだ。犬みたいだって」
泣きながら帰宅したイム・リュングを、母親は抱き締めました。徳のある和尚さんがつけてくれた名前だと励まします。
「“隆求”――“高い所で大勢を救う人”という意味よ」
イム・リュングは物知りで漢字も書ける母親を誇りに思っており、大好きだったのです。
しかしある雨の夜、その母親は自ら命を絶ってしまいました。首を吊って死んでいる母親を見た子どものイム・リュングは、目を見開きます。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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