Netflix独占配信の『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」は、安いボロアパートに引っ越したばかりの青年バードが隣の美女との出会いをきっかけに始まる物語です。
「妹」を見ておくと予習になるかもしれません。主人公が下半身でものを考えるタイプなので、女性ウケは悪いかもしれませんね。
Netflixドラマ『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」情報
日本公開日 | 2024年8月20日 |
制作国 | タイ |
ジャンル | ホラー |
注意書き | R-16+ 暴力、性描写、ヌード、言葉づかい、薬物、児童虐待 |
上映時間 | 39分 |
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」主なキャスト・スタッフ
キャスト
バード ボロアパートの407号室に引っ越してきた若い男性 | ナット・キチャリット 『DELETE/デリート』『ジョコ・アンワルのナイトメア&デイドリーム』 |
ジェーン 406号室の美女 | チャラダ・イムラポーン |
スタッフ
監督 | プリン・キーラティラタナラク |
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」あらすじ
若い青年バードは職を失い、金もなく、安いボロアパートに引っ越すことになりました。男友達キイはそんなバードを気にかけ、付き添います。
バードはアパートのエントランスで衝撃的なものを見ました。目の前に真っ赤なワンピースを着た女性が落ちてきたのです。
しかし、その死体はすぐに消えてしまいました。嫌な感じはしたものの、他に選択肢がないバードは安アパートに住むことを決めます。
そんな先行き不安なバードに希望の光が差し込みました。隣の部屋に入っていく美女を見かけたのです……。
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」ネタバレと感想・考察
ボロアパートへの引っ越し
自家用車の助手席に若い男性バードが乗っています。男友達キイが運転する車で新居にやってきたバードは、荷物を引きずりながらエントランスへと向かいました。
そのとき、エントランスのすぐ横に女性が落ちてきました。血で真っ赤に染まった顔がバードの足もとにあります。バードの顔も血しぶきで汚れてしまいました。
衝撃的な出来事に、バードは言葉を失います。しかしキイは平然と話しかけてきました。すると、目の前にあった死体も顔に飛んだ血しぶきも嘘のように消え去っています。
バードとキイは407号室に入りました。バードは先ほどのことを話さず、言葉少なに引っ越し作業を進めていきます。
部屋の外に置かれた荷物を取りにドアを開けると、隣の406号室に入っていく若い女性の姿が見えました。隣人が美女だと分かり、バードの口角が上がります。
にやついた顔で戻ってきたバードを見て、キイはいい女がいたのだとすぐに察しました。バードは隣の美女へのメッセージを書きながら、キイの言葉に応じます。
トレーダー職を続けたほうがいいとキイは言います。しかしバードは、家族経営をしているキイに、雇われであるバードの立場など分からないとはねのけました。
かたくなな態度のバードを見て、キイは説得することを諦め帰宅します。キイを見送る際に、バードは406号室のドアに挨拶文を書いた付箋を貼りつけました。
キイの乗ったエレベーターを見送り戻ってくると、もう付箋はありませんでした。バードは気分が良くなり、部屋に戻って薬物を吸い込みます。
バードは美女がシャワーを浴びる様子を妄想しながら、ベッドに横たわりました。妄想の中で、美女はシャワーを終えて浴室から出てきます。
初めての夜
ふっと正気に戻ったバードは、妄想と同じように、浴室のドアが開いていることに気付きます。不安な気持ちになりながら玄関に向かったバードは、紙切れを見つけました。
それは、隣の美女からのメッセージのようです。何か聞こえても人を呼ぶな――夜12時以降に音が聞こえても応答するな――部屋からも出るな――部屋を暗くし物音を立てるな――。
バードは、隣の美女は商売女だと決めつけます。夜12時以降に部屋に客を連れ込むため、隣人に音を立てないでほしいと頼んでいるように思えたためです。
美女の言葉にいらだちを覚えながらも、バードはメッセージを捨てることはできませんでした。冷蔵庫に、マグネットでメモを貼りつけます。
そして夜になり、アパートのいたるところから物音が聞こえてきました。夫婦がケンカする声、女性が泣く声、そして性行為に励む声――。
隣の美女が“仕事”をしているのだと思ったバードは、ベランダの柵から身を乗り出します。隣の部屋で行われていることを見ようとしたのです。
しかし、カーテンを閉じきらないまま行為に及んでいたため、美女本人と目が合ってしまいます。バードはあわてて室内に戻りました。
すると、激しくドアを叩く音が聞こえてきました。バードはおびえながら玄関へと向かいます。そのとき、美女からのメモが目に入りました。
「夜12時以降は」――ふと時計を見ると、0時5分を過ぎています。しかしバードは、激しいノック音と部屋の外を行き来する人影に誘われるように、玄関へと進みました。
息を潜めたまま、バードはドアスコープを覗き込みました。すると、音と振動がぱたりと止みます。ドアの前にも廊下にも、人の姿はありませんでした。
406号室
ドアスコープをふさぐ手が現れて、バードは一度身を引きます。すると再び激しいノック音と振動が始まったため、バードは再びドアへと向かいました。
しかし、またしても相手の姿が見えません。バードがドアから遠ざかったとき、キイから電話がかかってきました。バードの忘れ物についてです。
バードは声をひそめながら応答し、隣の美女がドアをたたいてくるのだと伝えました。性行為を覗いたバードをからかうキイにいらだち、バードは電話を切ります。
そうして眠りについたバードでしたが、悪夢を見ました。エントランスに落ちてきた女性の目が開き、バードを見つめてくるのです。
朝、部屋を出たバードは驚きます。406号室のドアには、チェーンが巻かれ南京錠がつけられていたのです。美女に何かあったのではと、バードは室内へ呼びかけました。
部屋に灯りがともり、急にドアが開きました。隙間から美女の姿が見えましたが、バードに言葉をかけることはなく、そのまま閉まります。
大変な事態だと思ったバードはエントランスに向かい、隣の部屋に人が監禁されていると伝えました。しかし警備員は「406号室には誰も住んでいない」の一点張りです。
確認すらしない警備員に怒りを覚えつつ、バードは買い物に出かけました。美女を救うため、バールで部屋に押し入ろうと考えたのです。
ベランダを伝って406号室に押し入ったバードは、人の気配がする浴室へと向かいました。しかし、そこにいたのは――ぐったりと便器に座り込むバード自身でした。
深呼吸すると、そこはバードの部屋でした。406号室に押し入ったのは、バードの妄想だったようです。
夜12時を過ぎて
電話をかけてきたキイに、バードは美女からのメモを撮って送りました。キイは妙なメモだと言い、406号室の所有者を探してくれることになります。
美女の様子を伝えたバードは、少しだけ不安が解消されました。そして、夜12時になる前に部屋を出ようと考えます。
しかし、トレードに打ち込むうちに夜11時55分になっていました。母からの着信を切り、バードはすぐに部屋を出てエレベーターへと向かいます。
そのとき、着信音がバードの部屋の中から聞こえてきました。スマートフォンを机の上に置き忘れてしまったのです。
もう時刻は夜12時まで1分を切っていました。バードはためいきをつき、部屋に戻ります。406号室からチェーンと南京錠がはずれていることなど、まったく気付かずに……。
部屋に戻ったバードは、電話をかけてきたキイに怒ります。しかし、電話口のキイのほうがよほど怒りに燃えていました。
バードの母から、バードがクビになった理由が薬物依存だと聞かされたのです。貸した金を薬物に使われたと思ったキイは、幻覚に溺れるバードにきつく当たります。
そしてキイは、明日406号室の所有者を連れて行くため、真実が何か分かると言います。バードは、現実と幻覚の区別くらいできると悪態をつくばかりでした。
怒りのままに薬物を吸い込んだバードは、美女からのメモを丸めて床に捨て、何度も踏みつけます。そしてメモの内容を無視して、部屋を出ました。
すると、美女が406号室から出てきます。出かけようとするバードに、共に過ごさないかと誘ってきました。美女は風呂を上がったばかりで、バスタオル1枚しか身に着けていません。
407号室
翌朝、目を覚ましたバードは玄関に差し込まれた文書に気付きます。それは、管理人から全住民に対して建物の不具合を知らせるものでした。
異臭や熱の発生源は調べずに自室で過ごすこと――騒音には防音保護具を使うこと――配管が故障しているため水に触れないこと――自室に人がいても目を合わさず話さないこと――。
そしてやはり、自室を出るなと締めくくってありました。いつの間にか、部屋の時計が止まっています。しかし、バードはそのことに気付いていません。
部屋のドアは開かず、スマートフォンも通じません。ベランダに出て外の人に呼びかけても無視され、灰皿を落としても――なぜか元の場所に戻っています。
飛び降りた女性と同じ真っ赤なワンピースを着た女性がベランダの柵に腰かけています。バードはそのことには気付かず、部屋へと戻りました。
キイは406号室の所有者と会っていました。その頃、バードは部屋に入った瞬間、夜になったことに脅えていました。
浴室の灯りが点滅しています。便器からは水があふれてきました。背後に誰かがいる気配はしますが、振り返ると誰もいません。
キイは、深夜のルールについて所有者に尋ねました。すると、問題があるのは406号室ではなく407号室なのだと返されます。
406号室の所有者は、看護師の妻と二人で生活していました。そして、その向かいにある407号室に住んでいた美女こそが――バードが見た“隣の美女”だったのです。
いつしか美女と不倫するようになった所有者は、妻が帰ってくる夜12時を目安に美女を407号室に帰していたのです。しかし、不倫はすぐに妻の知るところとなりました。
ジェーンの不幸
不倫を知られた406号室の所有者は、美女に「何か聞こえても助けを呼ばないように」とメモを渡しました。妻が美女に当たり散らすと分かっていたためです。
所有者の妻は何度も美女――ジェーンの住む406号室のドアを激しく叩き、出てくるように繰り返し怒鳴りました。その間、ジェーンは声をひそめて泣くことしかできません。
所有者はジェーンに離婚すると約束しましたが、その約束は守られませんでした。翌朝、妻に付き従い406号室から引っ越していったのです。
ジェーンは裏切りで心を病み、ベランダから飛び降りました。それを聞いたキイは、バードに危険が迫っていると感じ駆け出します。
怪異の続く部屋にいるバードは、燃え盛る火から逃れるために必死でドアを叩きます。バールでこじ開けようともしますが、バールが熱を持ち火傷してしまいました。
ドアの外からキイの声が聞こえてきたため、バードは必死に叫びます。しかし、部屋の外から激しいノック音が聞こえてきて、バードは飛びのきました。
バードのいる“箱”に、キイが手を添えて謝ります。そして、読経が始まりました。バードの母は儀式の順番通り、“箱”に水をかけます。
バードは警告文を思い出し、防音保護具――ヘッドフォンで耳をふさぎました。また、天井からしたたり落ちる水に触れないよう、部屋の隅でひざを抱えます。
突然ドアが開き、バードの母が入ってきました。話さず、目も合わすな――その言葉通り、バードは母と話しませんでした。
しかし、部屋を出るなという一文は守れませんでした。母を追いかけ、ドアを開けて廊下に出て行ってしまったのです。
あの夜の真実
最後にバードが住んでいた部屋を見ようと、親族が訪ねてきていました。バードの母は、突然407号室のドアが開き、驚いて振り返ります。
まだ息子が部屋にいるのでは……そんな表情をするバードの母に、親戚が優しく声をかけます。「バードは天国にいる」と……。
ドアを開いたバードでしたが、母の姿を見ることは叶いませんでした。その代わりに、昨夜に起きた出来事を見ることとなります。
バードは美女ジェーンに「私と一緒にいる?」と誘われて407号室に入りました。そして、そのままベランダに出て柵を乗り越え、飛び降りていたのです。
自分の身に何が起こったかを知り、バードは立ち尽くします。その後ろで407号室のドアが閉まり、新たな入居者を募集し始めるのでした……。
『テラー・チューズデイ:8つの戦慄』「隣の美女」まとめ
「隣の美女」は「妹」と似通った部分がありましたね。現実と妄想との区別がつきにくいことと、サブタイトルがミスリードになっていることです。
主人公はバードでしたが、おそらく視聴者は皆キイと同じ目線で物語を見ていたのではないでしょうか。
バードの見ている現実はどこまでか、どこからが妄想なのか、そしてどれが霊現象なのか――。いや、そもそも美女ジェーンは本当に存在しているのか?
そうして信頼できない語り手のひとつである“狂人”であるバードは、視聴者にすら信じてもらえず孤立し、美女ジェーンへと心を寄せていくことになります。
ジェーンを心配する心根の優しい青年であったバードですが、皆そうした長所を拾い上げず短所ばかりを見て、本気で助けようとはしませんでした。
仏教が思考のベースにしっかり入り込んでいることもあってか、気付かされることの多いドラマシリーズですよね……。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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