こちらにはNetflixで毎週配信中の韓国ドラマ『あなたに似た人』シーズン1エピソード16「嵐が過ぎ去った場所」のネタバレと感想があります。
主な登場人物・キャスト
チョン・ヒジュ(コ・ヒョンジョン)
ク・ヘウォン(シン・ヒョンビン)
ソ・ウジェ(キム・ジェヨン)
アン・ヒョンソン(チェ・ウォニョン)
パク・ヨンソン(キム・ボヨン)
アン・ミンソ(チョン・ヘジン)
チョン・ソヌ(シン・ドンウク)
アン・リサ(キム・スアン)
ユン・サンホ(キム・サンホ)
イ・ヒョンギ(キム・ホジョン)
あらすじ
ソ・ウジェは酔っ払った状態でかつての不倫相手チョン・ヒジュを訪ねました。そして、ヒジュに戻ってくるつもりがないと知ります。
ウジェはカッとなりヒジュを押し倒すと首を絞めました。そこにヒジュの娘リサがやってきて、ウジェの首に万年筆を刺します。
リサが逃げ出した後、ウジェは首から万年筆を抜いてしまいました。大量出血によりウジェは、ヒジュのアトリエで命を落とします。
アトリエで血痕の処理をしたヒジュは、トランクにウジェの遺体を詰めて自家用車に乗り、湖に向かい遺体を沈めました。
何事もなく翌日を迎えたヒジュは、ウジェは無事だとリサに嘘をつき、いつも通りの日々を送るよう心がけます。
しかし、思わぬ目撃者がいました。ウジェの後を追ってきたウジェの元妻ク・ヘウォンは、アトリエに入ってウジェの遺体を見たのです。
ヘウォンが物的証拠である万年筆を持っていることを知り、ヒジュは全てを引き換えにリサを見逃すようヘウォンに頼みました。
そこからヒジュは義母の思うように子どもたちを育てるようにと頼み、美術品をギャラリーに渡し……少しずつお別れを済ませていきました。
そんな中、ヘウォンの母ジョンヨンは詐欺に関わったことを警察に明かし、主犯の男を警察に引き渡しました。
ジョンヨンは逮捕されましたが、ジョンヨンに想いを寄せる行きつけのバーのマスターはジョンヨンを待つと決めます。
ヒジュは子どもたちと最後の夜を過ごし、姿を消しました。ヘウォンは、ヒジュとウジェが再び関係を始めたのだと世に広めます。
これから自分の人生を始めようと思ったヘウォンの前に、かつて罠にはめたイ・ジュヨンの父が現れ、ヘウォンは刺されてしまいました。
そして数年後――ヒジュは介護士をしながら過ごしてきましたが、ヘウォンが芸術家になったと知り、人生を終わらせようと決意します。
かつて女友達イ・ドンミが経営していた釣り場にやってきたヒジュは、湖の底から響いてくる鐘の音を耳にするのでした……。
ミヅチガタリ
1話からずっと謎のままだった「死んだのは誰なのか」「殺したのは誰なのか」が分かりましたね……。
ヒジュを襲ったウジェが、リサの一撃により亡くなったのでした。リサはただ母を救おうと必死だったのだと思います。
飲酒により血流がよくなっていたウジェは、急所を刺されたことと、刺さった万年筆を抜いたことにより、命を落としました。
確かにリサが加害者ではありますが、命を落とした原因となったのは万年筆を抜いたことなので、法的には未遂あたりかなと思います。
しかし、ヒジュはリサが「人を殺してしまった」と思うことそのものを避けたかったのではないでしょうか?
リサの心を守るためにも、ヒジュは全てを捨てる覚悟を決めました。それは、ウジェのためにはできなかったことでした。
やはりヒジュはウジェを愛していたのではなく、ただ熱狂的に自分自身を求めてくれる相手を手に入れたかっただけなのでしょう。
しかしウジェは、ヒジュが自分を愛していると信じていました。お互いに求め合っていると考えていたのです。
しかしウジェの抱えていたものも愛ではありませんでした。相手に大事なものを捨てさせようとするのは、ただの独占欲でしょう。
そしてヒジュとウジェの関係は「奪うか、奪われるか」の究極の2択へと突き進んでいってしまいました。
ウジェは結果的に望みを叶えることができました。そこにウジェはいませんが、ヒジュは家族を捨て、男とは縁遠い生活を送ることになります。
何もかも失ったように見えるヒジュの生活ですが、ヒジュが最も守りたいと考えていた家族は立場を失わずに生きられています。
しかし夫ヒョンソンの絶望は深く、誰も救うことはできません。ヒョンソンだけは、新しい幸せを掴むことはできなさそうですね……。
人生を終える決意をしたヒジュは、愛する者のために全てを捨てたことを神に認められたのか、純粋な者だけが聞こえる鐘の音を聞きます。
家庭も欲望も手に入れたいと欲張ったヒジュは、結局全てを捨てることになり、因果応報の物語は終結しました。
そして、ヘウォンが新しい物語を始められたのは、ヒジュの切なる願いを聞き届けた最後の優しさがあったからではないかと思いました。
ヘウォンが一度は捨てた名「ハンナ」を再び名乗り始めたのは、もしかしたらヒジュに再会したかったからかもしれませんね……。
あなたに似た人 第16話 嵐が過ぎ去った場所
ヒジュを訪ねたウジェ
ソ・ウジェは離婚協議書にサインしにアトリエにやってきた妻ク・ヘウォンから、チョン・ヒジュの真意を聞かされます。
ウジェは、ファインギャラリー館長のイ・ジョンウン代表からもらった動画を確認し、あるシーンで一時停止します。
その動画は、チョン・ヒジュがウジェとの共同プロジェクトを辞退する理由としてイ代表に提出したものでした。
既婚者で有名な女性画家であるヒジュが、まだ無名のウジェに一方的に好意を寄せられ襲われているように見える映像なのですが……。
その中でヒジュは一瞬、動画を撮影していた車載カメラを確認していたのです。そこでウジェは、ヒジュの狙いに気付きました。
ウジェがアトリエを飛び出していくところを、アトリエのすぐ外で煙草を吸っていたヘウォンがじっと見つめていたのでした。
その頃、ヒジュはもうすぐ家に着くところでした。そこにイ代表から電話がかかってきます。
ヒジュがウジェからの暴行を理由にプロジェクトを抜けたことを話した後、ウジェが荒れたところを見て、イ代表は不安になったのです。
イ代表はウジェが極端な行動に出るのではと心配していました。そしてその心配通り、ウジェはヒジュの前に現れます。
ヒジュの家の目の前にいるウジェを見つけて、ヒジュは焦ります。車が近付いていると知り、ヒジュは慌ててウジェの手を引きました。
ウジェの暴走
かつての不倫相手ヒジュから芸術家としての活動を妨害されているのではと、ウジェは怒ります。
ヒジュは自宅の敷地内にあるアトリエにウジェを連れていくと、共同プロジェクトを抜けるための理由が必要だったのだと説明しました。
「ウジェ、私を解放して」ヒジュは、ウジェとの不倫生活は失敗だった、間違いだったとウジェに訴えます。
家族を守っていきたいヒジュと、愛するヒジュに戻ってきて欲しいウジェの意見は平行線でした。
ウジェは、ヒジュの夫アン・ヒョンソンがウジェ自身を車ではねた張本人なのだとヒジュに語ります。
しかしヒジュは、事故が起きた晩には夫と一緒にいたのだと証言しました。それを聞いたウジェは言葉を失います。
「私たちは、もう終わってるの」そう言いながらウジェから離れていくヒジュを見て、酔っているウジェの感情が爆発します。
ウジェを脅えた目で見つめるヒジュを見て、ウジェは手に力を込めます。そしてヒジュは、アトリエの床に押し倒されました。
ウジェはヒジュに馬乗りになると、ヒジュの首を絞めます。その時、大切に持ち歩いていたヒジュからもらった万年筆が転がり落ちました。
「納得できない。諦めろと言うなら、誰にも渡さない。それで公平だ」ヒジュは必死で近くにある画材を手で探りました。
リサとウジェ
ウジェが落とした万年筆を拾った人物が、ヒジュの首を絞めることに夢中になっているウジェの首筋に万年筆を突き立てました。
ウジェは首を押さえると、床に尻餅をつきます。ウジェが目の前からどいたことで、ヒジュはウジェを刺した犯人の姿を見ました。
それは、ヒジュがウジェをアトリエに連れて行ったところを2階の自室から目撃していたヒジュの娘リサでした……。
ウジェは自らを襲ったリサに手を伸ばします。そこでヒジュは、リサを守るためにウジェの体を抑えつけました。
一瞬呆然としていたリサですが、ハッと正気に戻ってアトリエから飛び出していきます。
リサが去って行ったのを確認したヒジュは、よろめきながら立ち上がり、首から万年筆を抜こうとするウジェを止めます。
しかしウジェは言うことを聞かず、刺さった万年筆を抜いてしまいました。ウジェの首から出た血が、ヒジュの描いた家族4人の絵に飛び散ります。
リサは自宅へと戻っていました。リビングで息子ホスと遊んでいたヒジュの夫ヒョンソンは、心配してリサの部屋に向かいます。
しかしそこに、ヒジュが駆けつけてきました。ヒジュはヒョンソンをリビングへと戻るよう促すと、リサに声をかけます。
部屋の中から、リサが消え入りそうな声で「おじさんは?」と尋ねてきて、ヒジュは大きく溜息をつくのでした。
ヒョンソンとヒジュ
ヒジュは、娘リサからウジェの容体について聞かれて「幸い大した怪我じゃなかった」と嘘をつきました。
自室の中にいるリサが落ち着いたところをドア越しに確認したヒジュは、リビングに降りて夫ヒョンソンに説明します。
それは、ヒジュが感情的にリサを怒ってしまって、リサがショックを受けたのだという嘘でした。
気を落ち着かせようとお茶を淹れたヒジュの耳に、インターフォンの音が響きます。脅えるヒジュの前に現れたのは、デリバリー業者でした。
ヒジュは夕食の席につくヒョンソンを見て、いつものように飲み物を用意しました。こっそりと鎮静剤を混ぜ込んで……。
コーラを開けようとするヒョンソンからペットボトルを奪い、ヒジュは鎮静剤入りの飲み物を渡します。
リサが自傷癖を再開させたという嘘を匂わせ、リサのことは明日対応しようと、ヒジュはヒョンソンに語りかけました。
そしてヒジュはアトリエへと戻ります。そして、リサが去って行った後に起きたことを思い出しました。
首に刺さった万年筆を引き抜いたウジェは、床に倒れ込むと、おびただしい量の血を流しました。
ウジェは自分の名を呼ぶヒジュを見つめながら、静かに息絶えていったのでした……。
後始末
アトリエでウジェから流れ出た血の後始末をしていたヒジュは、血が飛び散った自身のコートを暖炉に押し込みます。
そして大量の床の血を拭い、ヒジュが描いた絵に飛んだ血飛沫も拭おうとします。しかし、絵に残った血は取れません。
アトリエの外を人影が通り、ヒジュはびくりとして外を見ました。しかし、人影は通り過ぎて行っただけでした。
――カッサンドラは言っていました。人間を刺せばお前も死ぬだろう。これはマーヤの記憶に深く刻まれました。――
息子ホスに本を読み聞かせていたヒジュの夫ヒョンソンは、大きなあくびをするとホスのベッドで一緒に眠ってしまいました。
ヒジュは車を出します。夜の闇の中、ヒジュは泣きながら運転していました。そんなヒジュの耳には、ウジェの声が聞こえてきます。
「俺たちは一緒だ。今も、これからも、死ぬまでずっと……」思わず車から降りたヒジュでしたが、ウジェの声は追いかけてきます。
ヒジュは嗚咽を漏らしながら車のトランクを何度も殴りつけました。そして、勝手に出てしまう叫び声を手で押さえます。
ヒジュは気を取り直し、重たいトランクを引きずって、送電塔が立ち並ぶ背の高い草が生えたところを歩いていきます。
そして小さなランプのついた船に乗ると、湖に出ました。その中ほどで、ヒジュはトランクを湖に放り入れます。
ヒジュが迎える朝
「湖にスライゴ修道院の鐘が沈んでるんだよ。今でも純粋な心を持つ人には、鐘の音が聞こえるんだって。聞こえる?」
かつてアイルランドで不倫生活を送っている頃、ウジェがヒジュに教えてくれたことでした。
ヒジュは「聞こえるわけない」とつぶやくと、暗い水面をじっと見つめます。そして、自分がしたことと向き合うのでした。
帰宅したヒジュは、下着を身に着けたままシャワーを浴びます。鼻血も涙も流れたまま、ヒジュは独りの夜を過ごしました。
翌朝、いつも通りの顔をしてヒジュは夫ヒョンソンを起こしに行きます。ヒョンソンは、息子ホスのベッドで眠りこけていました。
ヒョンソンはホスを起こし、楽しげな朝を迎えます。ヒジュは微笑みながら、ふたりを見つめるのでした。
ヒジュの娘リサも目を覚まし、自宅横にあるヒジュのアトリエへと向かいました。しかしそこは、綺麗に整えられていました。
ウジェが暴れた後は少しも残っていませんでした。ヒジュが描いた家族4人の絵は撤去されていましたが……。
リサは、後からやってきたヒジュに「おじさんは? 本当に大丈夫? 死んでない?」と不安げに尋ねます。
ヒジュは軽く笑うと、リサの小さな手で大の男を殺せるわけがない、悪いのはウジェなのだと語りました。
目撃者
ヒジュの弟チョン・ソヌが海外留学を前にヒジュを訪ねてきました。様子のおかしなヒジュを見て、ソヌは心配します。
ヒジュは寝違えてしまったのだと嘘をつき、ソヌを安心させました。しかしソヌは、ヒジュの娘リサも様子がおかしいことに気付きます。
「今も私が羨ましい?」下校してきたリサは、ソヌに尋ねました。ヒジュと一緒にいられる私が、今でも羨ましいかと……。
「リサのママはいつでも娘の味方だよ」ソヌはそう言って微笑みます。リサは返事をせず、とぼとぼと家へ向かうのでした。
ヒジュは、数年前に使っていたマンションの部屋へと向かいました。そこは、ヘウォンと別居したウジェの過ごす場所でした。
ウジェの言葉通り、暗証番号は変わっていませんでした。部屋に入ったヒジュは、ウジェの持ち物をかばんに詰め込んでいきます。
そこにウジェの元妻ヘウォンがやってきました。何をしているのかと聞かれたヒジュは、韓国を離れるウジェの荷造りをしていると説明します。
「先輩は死んだでしょ。知らないと思った?」ヘウォンはじっとヒジュを見つめました。
リサが慌てて自宅に戻ったのを見たヘウォンは、ヒジュが自宅へと戻った隙にアトリエに入っていたのです。
ウジェの血が染みた万年筆を差し出したヘウォンは「すぐバレる嘘はつかないで」とヒジュに迫りました。
償い
必死で証拠隠滅をして、万年筆も奪い取ろうとするヒジュを見て、ヘウォンは確信しました。
ヘウォンの元夫ウジェを殺したのは、かつての不倫相手であるヒジュではなく、その娘リサなのだと……。
ヒジュはヘウォンの前でひざまずき「お願いだから目をつぶって」と懇願しました。自分が殺人犯になるからと必死で訴えます。
家族も絵も捨てた薄情な女として、この先の人生は非難され続ける覚悟があるのだと、ヒジュは必死で語ります。
全てを捨てるからリサを見逃して欲しい、助けて欲しいとヒジュはすがるような目でヘウォンを見ます。
「自分で作った檻の中で死ぬまで過ごす――そういうこと?」ヘウォンはヒジュの覚悟を問い直しました。
自宅に戻ったヒジュは、アトリエに残った血痕を拭っていきます。見逃しのないよう、入念に掃除していました。
そこにヒジュの夫ヒョンソンがやってきて、洗車もしてアトリエの掃除もしてと忙しそうなヒジュを気にかけます。
ヒジュは、掃除していると考えがまとまるのだと言って掃除を続けます。そこでヒョンソンは絵について質問します。
家族4人の大きな絵を気に入っていたヒョンソンに、ヒジュは手直し中にダメにしてしまったのだと説明するのでした。
挨拶回り
「欲を出さずに思いとどまるべきだった。それなのに下手に手を出して台無しに」ヒジュは涙ながらに語ります。
ヒジュの夫ヒョンソンは、余計な加筆で家族の絵をダメにしてしまってショックを受けているのだろうとヒジュを慰めます。
ヒジュは、冷静に絵を破って暖炉に入れていました。それは、ウジェの血飛沫を消すための唯一の手段でした。
そしてヒジュは義母パク・ヨンソンのもとへと向かいます。ヨンソンの望み通り、ヒジュの息子ホスを留学させて欲しいと頼むためです。
ヨンソンは急に心変わりしたヒジュをいぶかしげに見つめますが、ヒジュはホスを後継者にするためだと微笑むのでした。
そして次に向かったのは、ファインギャラリーから引き抜いたキュレーターのもとでした。
今まで集めてきた芸術品をキュレーターに任せたヒジュは、ギャラリーの運営は理事である夫と進めるよう頼んだのでした。
ファインギャラリーを去る時、ヒジュは壁に飾ってあった『チョン・ヒジュソロ招待展』のチラシを抜いていきます。
そしてヒジュはヒョンソンを呼び、初デートで来たお店に行きました。そこは、ヒョンソンお気に入りのレストランです。
「あなたのおかげで、たくさん贅沢できたわ」ヒジュは今までの夫婦生活について、ヒョンソンにお礼を言うのでした。
変わらないソヌ
元夫ウジェがいなくなった部屋で、ヘウォンは考え事をしていました。「別れたいなら死んで」と言ったことを思い出しているのです。
その言葉通り、ウジェはこの世からいなくなってしまいました。ヘウォンが離婚協議書にサインした、その夜に――。
ヒジュの弟ソヌは、教会に出向いていました。亡き友人ジョンソプの母が祈りを捧げる横で、ソヌはひとり語り始めます。
優秀だったジョンソプを失った母の辛さを汲んだソヌは、これから先も連絡を取れるようにと留学先の住所と電話を教えました。
ジョンソプの母はずっと無言のままでした。教会を出て行くソヌの姿を横目で見送って、やっと封筒を手に取ります。
封筒ごと破いてしまおうと思ったジョンソプの母でしたが、思い直して封筒を開き、中の紙に目を通しました。
紙には、留学先の家の住所と、病院の連絡先、そして国際電話のかけ方の説明が書いてありました。
「友達が一生苦しむのを望むでしょうか」ヘウォンからかけられた言葉が、ジョンソプの母には強く響いていました。
変わりゆくもの
ヘウォンの母ジョンヨンは、不自然に目を泳がせながら人を待っていました。するとそこに、笑顔の男性が現れます。
「ダーリン」と手を振るジョンヨンに駆け寄ってきた男性のもとに、わっと数人の男たちが現れて、男性を羽交い絞めにします。
ジョンヨンは連行される男性を見て、涙を浮かべていました。そしてそのまま、行きつけのバーに向かいます。
バーのマスターは音もなく現れたジョンヨンに驚きますが、いつもと様子が違うジョンヨンにも優しく接します。
ジョンヨンの要求通り、マスターは「よくやった」と誉め言葉を口にします。そして、事情を話そうとしないジョンヨンを受け止めました。
「どうしてこうなったのか」と落ち込むジョンヨンに、マスターは人生とはそういうものなのだと笑います。
ジョンヨンはマスターにご飯を作って欲しいと頼むと、奥に入っていったマスターが戻ってくる前に店を出るのでした。
その頃テリム病院では、DV夫のイ・ヒョンギ弁護士に医師のアン・ミンソがリハビリをさせていました。
思うように体が動かず泣き始めるイ弁護士に、ミンソは「下の世話をさせる気?」とささやきます。
「ため口は不愉快? あんたの敬語の方が気持ち悪かった」冷たい目で見つめるミンソを見て、イ弁護士は涙を流すのでした。
優しさの理由
今週末に留学を控えたヒジュの弟ソヌは、ヘウォンに会いに行っていました。ふたりはいつものように食事をします。
その後、ソヌは搭乗券を渡してきました。一緒に来てとは言わず、辛くなったら来てとヘウォンの意思を尊重します。
ヘウォンが未成年後見人となった女子高生イ・ジュヨンは、学校で新しく友達を作り楽しそうに生活しています。
その一方で、新しい生活を始めようと決めたヘウォンの母ジョンヨンは、都会を離れることを決めていました。
ヘウォンが元夫ウジェと別れたことを知り、ジョンヨンは安心します。「よくやった」とヘウォンを褒めました。
荷造りを終えたジョンヨンのもとに警察がやってきました。ジョンヨンは何も説明することなく、警察についていくのでした。
ヒジュの女友達で釣り場を経営していたイ・ドンミは、これからは放浪して過ごすつもりだと笑います。
ヒジュは笑い話のように「ついて行ってもいい?」と尋ねます。そして、ドンミに自家用車をプレゼントするのでした。
ドンミは釣り場経営のために使うトラックしか持っていなかったため、中古車であるヒジュの車を大喜びで受け取るのでした。
裏切られても
バーのマスターは、店に大量のバラを飾りました。するとそこに、ヘウォンがやってきます。
ヘウォンは母ジョンヨンが警察で取り調べを受けていることを説明し、母の代わりに謝ると言います。
しかしマスターは「本人が謝ってくれた」と話します。ジョンヨンはバーを出る直前、マスターに「ごめんなさい」と深く一礼していたのです。
「ジョンヨンさんも被害者だ」と、ジョンヨンが罪を償い再出発することをマスターは望みました。
ドアのベルが鳴るたびに出入り口を覗き込んでしまうマスターに、ヘウォンは母はすぐ逃げるからもう来ないと語ります。
しかしマスターはジョンヨンを待つと決めていました。「裏切られても信じてる。バカみたいだけど勇気がいることなんだよ」
強気で賭けにまで出たマスターでしたが、閉店後の店の前に座ると、つかないライターを握り煙草をくわえて虚空を見つめるのでした。
ヘウォンはヒジュに会いに行き、いつ発つのかを尋ねました。ヒジュは、あと一晩だけ子どもたちと過ごしたら離れると答えます。
ヘウォンは、母になれなかった自分の半生を振り返り、母になるチャンスはあったとつぶやきます。
ヒジュは、昔ヘウォンの輝きに憧れていたことを明かし、その証拠である写真を置いて去って行くのでした。
最後の夜、最初の朝
ヒジュは娘リサの寝顔を見つめ「大丈夫よ」とささやくように言って、リサの手をとんとんとたたきました。
ヒジュが部屋を出た後、リサは目を開きます。しかし、もう一度ゆっくりと目を閉じるのでした。
ヒジュは息子ホスのベッドに入り、ホスに寄り添います。それはとても、静かな夜でした……。
翌朝、ヒジュの夫ヒョンソンはヒジュを探してアトリエに向かいます。するとそこに、部下から連絡が入りました。
ヒジュがウジェに襲われている動画から数枚の画像が切り取られ、ネットにアップされたのです。
ウジェが何かしたのだと考えたヒョンソンは、ウジェのアトリエに向かいました。そこにはヘウォンひとりがいました。
ウジェも姿を消していると知ったヒョンソンは、ヒジュがウジェに連れ去られたのだと考えます。
焦ってヒジュの行方を探すヒョンソンに「チョン・ヒジュとソ・ウジェはまた一緒に去って行った」とヘウォンは言いました。
そしてウジェから届いた「心のままに生きていく。ごめん。捜さないで」というメッセージをヒョンソンに見せます。
ヘウォンは、もうウジェを捜さないと宣言しました。ヒョンソンは、もし嘘なら殺すと捨て台詞を吐いて去って行きます。
消えたヒジュ
輝いているヘウォンが羨ましかったと語ったヒジュが置いていったのは、ヒジュとヘウォンが仲良さそうに微笑むツーショット写真でした。
ヒジュの夫ヒョンソンが去って行ったアトリエで、ヘウォンは数年間溜め込んできた涙を一気に流しました。
ヘウォンのSNSアカウント「bluhen2012」が話題となり、ヒジュの義母ヨンソンもそこに上げられた写真に目を通しました。
怒るヨンソンに部下が報告します。ヒジュの口座もクレジットカードも携帯電話も解約され、芸術品は全てギャラリーに寄贈されています。
画像の元の映像が入っているドライブレコーダーの記録もなく、もはやヒジュの行方を知る手立てはありません。
コケにされたと怒り心頭のヨンソンの前で、ヒョンソンはもっと強い怒りを抱えていました。
ヒョンソンは、アメリカに発つ直前だったヒジュの弟ソヌに電話をかけます。するとソヌは、ヒジュは見送りに来ないと話しました。
ヒョンソンは空っぽのままの助手席を見ると、堪え切れずに涙を流し始めました。
ヘウォンは、元夫ウジェと連絡がつかないかとファインギャラリー館長のイ代表から尋ねられました。
ヘウォンは、ウジェは途中で逃げ出したのだ、もう戻ってこないと語り、プロジェクトからウジェを除名するよう語るのでした。
ヘウォンに訪れた変化
空港にいるヒジュの弟ソヌは、出発前にヘウォンに電話をかけました。そして、搭乗券を捨てていないか確かめます。
「待たないで。行く気はない」「じゃあ、僕が戻ってくるよ」何も知らずに明るく話すソヌに、ヘウォンは会いに行くことにしました。
しかしヘウォンが横断歩道を歩いていると、向こう側からジュヨンの父が歩いてきました。
ジュヨンの父は通り過ぎざまにヘウォンの腹をナイフで刺し、そのまま立ち去って行きます。
ヘウォンは、ジュヨンの父から家も娘も奪ったことを思い出しながら、横断歩道に倒れ込みました。
やっぱり私の物語はハッピーエンドにはならない?――ヘウォンは本当の人生はこれからなのにと考えながら、ゆっくりと目を閉じました。
ヒジュの夫ヒョンソンは、いまだにヒジュを探し続けていました。しかしヒジュは全ての痕跡を消しているため、見つかりません。
そこにヒジュの女友達ドンミが訪ねてきました。ドンミは、ヒジュがウジェとの不倫を深く反省していたと語ります。
しかし、ヒョンソンの傷は埋められません。ヒジュが何も言わずに去って行ったことには変わりがないからです。
私の物語
ヒジュの義母ヨンソンは、まだヒジュを捜しているのかとヒジュの夫ヒョンソンに問いかけます。
ヒョンソンは捜していないと嘘をつき、留学のため韓国を発つ娘リサと見送る息子ホスを見送ります。
そこにヒジュの義姉ミンソがやってきました。ミンソはいまだ体が不自由なままのDV夫イ弁護士を連れています。
ヒョンソンは皆を見送ると、仕事があるからと言って家に戻りました。よく晴れた日のことでした――。
ヒジュが使っていたアトリエは、どんどんと寂れていきました。そして数年が経ち、ヒジュは新しい生活に慣れてきていました。
ヒジュは介護士として、老人たちの世話をする日々を送っていました。ヒジュは老婆の長い話を聞きながら、老婆の爪を切っていきます。
休み時間になると、ヒジュは外の階段に座って空を眺めます。そして休みの日には、街に出ることもありました。
街を歩いていたヒジュは「HANNAH ク・ヘウォン初展示会」というのぼりを見つけました。
ヘウォンは自分の物語を始めたのだと知り、ヒジュは自分の物語を終わらせる時が来たと感じます。
かつて女友達ドンミが経営していた釣り場にやってきたヒジュは、非公開のままのリサのSNSアカウントを開きました。
リサが使っているアイコンは、義母ヨンソンとリサ、ホス、ヒョンソンが写った幸せそうな画像でした。
まだ地獄ではない。私の物語はここで終わる――ヒジュがそう決意した時、どこからか鐘の音が聞こえてきました。
釣り場の近くに鐘の鳴る場所はありません。ただ、目の前に湖が広がっているだけです。しかし確かに、鐘の音が聞こえたのでした……。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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