この記事は、Netflixオリジナルのノルウェードラマ『ミステリーバス』(原題:Bloodride)「モルモット」のネタバレと考察、感想です。
製薬企業の社長エドマンドは、抗うつ剤の開発成功を祝って妻と社員たちを招いてパーティーをしていました。
しかし新薬を披露しようとした時、金庫から新薬が消えていることに気付きます。エドマンドは怒り心頭でした。
妻と社員たち5人の中の誰かが新薬を盗んだ――独創的なやり方で道を切り拓いてきたエドマンドは、ある解決法を思いつきます。
エドマンドに事件解決か死かの2択を迫られた5人は、ガラス張りの部屋の中で疑心暗鬼を膨らませていくのですが……。
主な登場人物とキャスト
エドマンド・ブラゼン(スティーグ・アンダム)
イセリン(アンナ・バッハ=ウィーグ)
オーダ(イザベル・トミング)
フィリップ(トロント・テイゲン)
アブディ(キングスフォード・サイヤー)
マルグレーテ(ピア・ボーグリ)
ミステリーバス – モルモット
無神経な社長
あるビルの屋上で、製薬会社の創立10周年のパーティーが開かれました。ほとんど副作用のない抗うつ剤の開発が成功したのです。
女性社員のオーダとマルグレーテ、男性社員のフィリップとアブディ、そして社長エドマンドとその妻イセリンが乾杯をします。
競合企業に勝利したことを喜ぶエドマンド社長は、エドマンドの3ヶ条を話します。イセリンの見ている前で、オーダの手を握りながら……。
常に賢くあること。自分以外を絶対に信じないこと。ポケットチーフをネクタイに合わせること――エドマンドは笑い出します。
そしてエドマンドは優秀な若手社員アブディを褒め称えます。その傍で、老いたフィリップが不満げな顔をしていることにも気付かずに……。
新薬の行方
老いた女性社員マルグレーテが「あれを見せてくれませんか?」と言うと、エドマンドは下ネタでふざけ始めました。
場が笑いで満ちたところで、エドマンドは皆が見たがっている新薬を取りに金庫へと向かいました。
そこに新薬は――ありませんでした。慌てたエドマンドは監視ルームへと向かいます。しかし侵入者はいないとのことでした。
つまり、パーティーに参加している人の内の誰かが新薬を盗んだということです。エドマンドは怒り、表情を固くしました。
パーティーの場に戻ったエドマンドは、新薬が見つかるまで誰も帰さないと言って身体検査を始めました。
身体検査
ベテラン社員のマルグレーテとフィリップが検査を終え、若手のアブディとオーダも検査に臨みます。
しかし新薬は見つかりません。全員が素知らぬ顔をしていることで、エドマンドの怒りは強くなっていきます。
エドマンドは「服を脱げ」と言い、ボディーガードが銃を構えます。半笑いだった社員たちも一斉に表情を変え、従いました。
エドマンドは社員だけでなく、妻イセリンにも下着姿になるよう迫ります。もはやパーティーなどなかったかのように凍った雰囲気になりました。
8桁の数字
下着姿の妻と社員たちの前で、彼らの荷物も検査されました。しかしやはり見つからず、下着の中も検査することになります。
金属探知機で検査すると決まりましたが、エドマンドはモルモットの剥製を見ている内に考えを変えました。
下着姿のままの妻と社員たち5人を研究室に連れて行ったエドマンドは、ガラス張りの部屋の中に彼らを閉じ込めました。
エドマンドは部屋の暗証番号を変えました。その8桁の数字は、新薬を入れておいた金庫と同じものです。
5人を置いてエドマンドは去って行ってしまいました。イセリンは試しに以前の番号を入力しますが、鍵は開きません。
争い
アブディが「独創的な解決法だ」と笑ったり、フィリップがストレスで痙攣したり、イセリンが怒り始めたり……。
疑心暗鬼が空気を悪くしていきます。イセリンは、オーダがエドモンドと不倫していると思い込んでいました。
エドマンドの不倫を疑っていたなら、イセリンにも新薬を盗む動機があるとオーダは反論します。
2人が言い争うところにフィリップが割って入ります。会社の株を持つ自分は動機がないと主張したのです。
そして「若きアインシュタイン」とエドモンドに評されるアブディが暗証番号を解読したと言い出します。
しかしアブディはフィリップが自分に嫉妬心を向けていたことを知っています。今度はアブディとフィリップが争い始めました。
フィリップがアブディを殴り飛ばすと、アブディは鼻血を出して意識を失ってしまいました。モルモットのケースが床に散らばります。
エドマンドの人間性
エドモンドはカメラで5人を見張りながら、ボディーガードに新薬を探させました。そして、5人の過去を洗うように指示します。
犯人がアブディだった場合、アブディが死んだら部屋から出られずに死んでしまう……そう考えたフィリップは痙攣を起こします。
99年――投資に失敗したエドマンドは、社員に自社株を買わせました。しかしその後、エドマンドは会社を倒産させます。
自分の失敗を社員に着せ、エドマンドは新会社を立ち上げました。フィリップは、エドマンドへの不信を抱いているのです。
「彼にとって私たちはモルモット同然だ」社員を踏みにじり、妻イセリンの誕生日も覚えないエドマンドは人として欠落しています。
毒ガスの中で
その時、ボディーガードがある映像を発見しました。エドマンドは映像を見て頷き、研究室へと向かいました。
「名乗り出ないなら殺す」エドマンドは毒ガスを出す栓を開きました。5分もすれば中にいる全員が死ぬのです。
フィリップは倒れているアブディを起こします。しかしオーダは、アブディが犯人でない可能性もあると考えていました。
オーダは研究室の中にあるメモ用紙を使い、全員に8桁の番号を書くようにと言いました。そして、それを試すと言います。
それならば犯人が誰かバレずに外に出ることができる――その話を聞いたエドマンドは、毒ガスの栓をさらに開きました。
部屋の中のモルモットが血を吐いて死に、イセリンは夫エドマンドに救いを求めます。しかしエドマンドは静かに見守るだけでした。
犯人は……
このままでは死んでしまう……焦りが犯人を炙り出しました。オーダが金庫と同じ暗証番号を入力し、ドアを開けたのです。
オーダに続き、イセリンと社員たちも部屋から出ました。脅えるイセリンに接するのを諦めたエドマンドは、オーダに話しかけます。
オーダは競合しているミュラー・ノヴァ社から新薬を破壊させるよう指示を受けたと打ち明けました。
復讐
オーダの父は、エドマンドが倒産させた企業の社員でした。99年、オーダの父は自社株を買わされ、会社倒産後に自殺したのです。
孤児となったオーダは姓を里親のものに変え、エドマンドにバレずに会社に入り込み、エドマンドの秘書となりました。
オーダは復讐を果たすため、エドマンドの夜の相手もしていました。それを秘密にする代わりに、今夜のことは隠されることになります。
そしてオーダは最後にハグを求めました。エドマンドとオーダは抱き合い、会社の前で別れます。
どちらが勝つか
ハグを終えたエドマンドは、ガラスに映った自分を見て立ち止まります。いつも綺麗に整えているポケットチーフが乱れていたからです。
食事前に新薬を盗み出したオーダは、身体検査の際にエドマンドの胸ポケットに新薬を入れ、たった今それを取り出した……。
エドマンドは弾かれたように走り出しました。「私には勝てんよ」エドマンドは手を差し出しました。
イセリンの怒り
オーダから受け取った新薬を持って、エドマンドは研究室にいる妻イセリンのもとへと戻りました。
しかしイセリンは無表情に銃を取り出すと、エドマンドにガラス張りの部屋に入るよう命じました。
部屋に入ったエドマンドは言い訳を並べますが、イセリンは取り合いません。マルグレーテが毒ガスの栓を開きました。
イセリンは暗証番号を変えたことを告げます。「私の誕生日。生年月日だから簡単ね」エドマンドはドアに向かいます。
しかしフィリップの証言通り、エドマンドはイセリンの生年月日を覚えていませんでした。毒ガスが部屋の中に充満します。
エドマンドは口から白い泡を垂らしながら、冷たい床へと倒れ込んでいったのでした……。
考察と感想
考察
割と分かりやすい話でしたね。ざっくりまとめると、ドクズ社長エドマンドが妻と社員から見捨てられた話です。
99年、エドマンドは自らの投資の失敗を社員たちに押し付けて会社を倒産させ、すぐさま新しい会社を立ち上げました。
失敗を押し付けられた社員の一人が、新会社で秘書となるオーダの父親でした。オーダは父を喪い、里子に出されます。
古株の社員フィリップとマルグレーテ、当時秘書だったイセリンはその荒波を乗り越え、新会社へと移りました。
そして現在――エドマンドは競合企業ミュラーと抗うつ剤の開発のスピードを競っています。そして、半年の差で勝利を収めました。
しかし、その新薬が盗まれてしまいます。ミュラーに渡ることを恐れ、エドマンドは何としても犯人を見つけ新薬を取り戻そうと画策します。
古株フィリップとマルグレーテ、若手アブディとオーダ、エドマンドの妻となったイセリンは下着姿で閉じ込められます。
イセリンはその中で、オーダが夫エドマンドと不倫していることを確信し、エドマンドが自分の誕生日すら覚えていないと知ります。
エドマンドにとって、妻となっても自分は社員たちと同様モルモットでしかない……イセリンの想いは冷え切りました。
エドマンドは犯人を見つけ、新薬を取り戻して得意満面です。しかしイセリンと社員たちは、エドマンドを許さなかったのでした。
ミヅチガタリ
「ざまあ」以外の感想が浮かびません。しかし、復讐のために父の仇と寝たオーダの芯の強さは大したものですね。
よく考えてみると、オーダが競合ミュラーと組んでいたかは明らかにされていないんですよね。
オーダが手渡した瓶が本物の新薬かどうかも分からないので、もうこの件は藪の中と言うしかありません。
そもそもオーダの真意、事件の真相はこの話の肝ではないのです。この話のタイトルは「モルモット」なのですから。
そう……モルモットと同じ扱いを受け、怒りに燃えたイセリンと社員たちこそがこの話の中心にいたのです!
フィリップにぶん殴られて倒れていただけのアブディにまで見捨てられているので、普段からクズ行動をしていると思われます。
さらっとボディーガードにも見捨てられています。さすがに毒ガス部屋に閉じ込めるのはアウトだと思ったのでしょうか……。
「8桁の数字」というのがミソでした。こういうこともあるので、皆さん配偶者の生年月日だけはよく覚えておきましょうね!
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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