Netflixドラマ『今際の国のアリス』シーズン3-3「ぞんびがり」「暴走でんしゃ」

Netflixドラマ『今際の国のアリス』シーズン3タイトル_新シーズン
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Netflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス』シーズン3 エピソード3はアリスが仲間をひとり喪いひとり得て、ウサギがリュウジと共に戦う物語です。

ミヅチ
ミヅチ

印象に残ったのは、ノブの目が強くなっていく様子です。その一方で、リュウジの目がずっと遠くを見ているように見えて気になります。

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Netflixドラマ『今際の国のアリス』シーズン3 エピソード3 情報

公開日2025年9月25日
制作国日本
ジャンルSF、アクション、サスペンス
注意書きR-16+
暴力、薬物、性的暴行、自殺
上映時間1時間2分

Netflixドラマ『今際の国のアリス』シーズン3 エピソード3 主な登場人物・キャスト

有栖良平/アリス(山崎賢人)
宇佐木柚葉/ウサギ(土屋太鳳)

盤田素那斗(ばんだ・すなと)/バンダ(磯村勇斗)
ヤバ(毎熊克哉)

テツ(大倉孝二)
サチコ(須藤理彩)
カズヤ(池内博之)
レイ(玉城ティナ)
ノブ(醍醐虎汰朗)
シオン(玄理)
ナツ(吉柳咲良)
マサト(三河悠冴)

イツキ(岩永丞威)
ユナ(池田朱那)

鉄オタの男性(森田甘路)
ターバンを巻いた女性(難波なう)
ウェーブヘアの女性(磯部莉菜子)

イケノ(落合モトキ)
黒いパーカーの男(ゆうたろう)
グレーのジャケットの男(鳥羽潤)

松山隆二助教/リュウジ(賀来賢人)

ここから先はネタバレがあります!

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『今際の国のアリス』シーズン3 エピソード3 げぇむの詳細(ネタバレあり)

げぇむ

「ぞんびがり」

難易度:不明

るうる

一対一のカードゲーム

一人7枚のカードを使い、全20ターン、一対一のカードゲームを行う。参加人数は64名

対戦したい相手にタッチすることで、次のターンでその相手と対戦することとなる。

手持ちのカードから同じマークのカードを出し、合計数が多いほうが勝ち。勝ったぷれいやぁは、負けたぷれいやぁからカードを1枚もらう

20ターン終了後、<ゾンビ>か<人間>数の多いほうが勝ち。少ないほうはげぇむおおばぁ。

ゾンビカード

グループの一人だけに配られるカード。全4チームなので、開始時点で4枚ある。

どのカードよりも強く、即座に勝利できる

負けたぷれいやぁはゾンビカードが手持ちに追加される。

ゾンビカードを持った状態でショットカードを使われると、げぇむおおばぁ

ゾンビカードを持った状態でワクチンカードを使われると、人間に戻れる

ショットカード

一人1枚必ず配られる一度使うと消滅する。

ゾンビ(ゾンビカードを持ったぷれいやぁ)を殺すことができるカード。

ゾンビカードが場に出ていなくても有効だが、人間(ゾンビカードを持っていないぷれいやぁ)には無効

ワクチンカード

ランダムに配られるカード。自分に対しては使用不可

ゾンビカードを無効化し、ゾンビ(ゾンビカードを持ったぷれいやぁ)を人間(ゾンビカードを持たないぷれいやぁ)に戻すことができる。

「げぇむ」の参加者

有栖良平/アリス
レイ
ノブ
テツ
カズヤ
サチコ
シオン
ナツ
ほか

マサト

イケノ
黒いパーカーの男
グレーのジャケットの男
ほか

げぇむ

「暴走でんしゃ」

難易度:不明

るうる

勝利条件

無人運転の9両編成の地下鉄のスタート車両(9両目)から、先頭車両(1両目)へと移動する。

停車のサイレンのあとに電車を停めることができればげぇむくりあ。

マスクについて

前の車両に移動したあと、前後のドアがロックされる。その30秒後に酸素か毒ガスのどちらかが車両内に噴出される。

スタート車両以外の8車両のうち、4車両で毒ガスが噴出される。噴出までの30秒間でガスマスクを装着するかしないか判断する。

ガスマスクにつける中和剤が入ったボンベのカートリッジは一人5本までで、使う際はマスク右側の差込口に装着する。

禁止事項

他のぷれいやぁの中和剤ボンベは使用できない

前の車両に戻ることはできない

「げぇむ」の参加者

宇佐木柚葉/ウサギ
松山隆二助教/リュウジ
ユナ
イツキ

ターバンを巻いた女性
ウェーブヘアの女性
鉄オタの男性
ほか

氏名不明 5人前後

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ミヅチガタリ

レイの行動が不可解だということはエピソード2でも気になっていました。それがアニオタ由来の非日常を思い切って楽しむ感性かと思いきや……。

確かに、レイが<人間>ならば「やってみよう」と思い立つ気持ちは分かります。勝ち筋が見えない状況なら、引っかき回すのも一つの手です。

そして意外なことに、アリスは最初から<ゾンビ>でした。<人間>のふりをして、残り3ターンになるまで潜んでいたのです。

気弱な中学校教師マサトは、過激派となった<バリケード>の仲間によってショットされてしまいました。まさか二つ目のげぇむにして仲間がひとり減るとは……。

そして、やっとウサギ側のげぇむが描かれました。<暴走でんしゃ>は原作にあるげぇむで、シブキがアリスたちと出会う前にくりあしたものだそうです。

5号車の時点で、ウサギたちは正規のルートではくりあ不可能となりました。毒ガス車両をひとつ飛ばす手立てを思いつけなければ、げぇむおおばぁです。

詳細なネタバレはこの下です!

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『今際の国のアリス』シーズン3 エピソード3 ネタバレと感想・考察

信頼

<ワクチンを持つゾンビ>であるレイが発案した<信頼のバリケード>に、ターンを終えたぷれいやぁたちが戻ってきました。

チェックのシャツを着た男――イケノは、中学校教師マサトの表情を見て何があったか気付きます。マサトはゾンビになってしまったのです。

イケノは、無職の青年ノブにショットカードを使うよう指示しました。薬物中毒者テツがノブをかばい、アリスも反論します。

げぇむで人を殺したことのない者などいないと、イケノはアリスを牽制しました。そして、ノブがやらなければマサトをショットすると、イケノは宣言します。

ノブは指示通り、マサトをゾンビに変えた男と対戦しました。ノブはごめんとつぶやき、場に出したショットカードをめくります。

イケノさん、前回は名前が出ていませんでしたね……。落合モトキさんほどの俳優さんがネームドキャラでないなんてと思っていたので、安心しました。

そして、多分今回でげぇむおおばぁになるのだろうな……と予感しています。『今際の国~』は名前を与えられた悪役が消えていくタイプの物語ですからね。

おそらくイケノは、レイが想定していた<信頼を崩す者>です。脅しだけではなく、実際にショットカードを使おうと言い出す人のことです。

ゾンビをショットするということは、実際に目の前で、自分の出した手札によって人が死ぬということです。

いくら一度<今際の国>を再訪した人であっても、自ら手を下した経験があるとは限りません。

罪悪感や恐れ、自分を人殺しにした者への恨みなどで、バリケード内の人間関係は大きく揺らいでいくものと思われます。

ノブは自分の顔に飛び散った返り血を拭います。そのとき、人間関係がうまくいかず、自殺未遂を図った際の苦しみが蘇ってきました。

『残り4ターン。対戦相手を選んでタッチしてください』

ショットカードを使ってしまったノブの前に、巻き毛の男が現れました。その後、ノブは放心状態でバリケードへと戻ります。

次のターンで、ノブはバリケードの外に行ってしまいました。アリスはノブを探すため、バリケードを出ます。

その頃、バリケードには巻き毛の男を連れた外のチームがやってきていました。彼らは、ノブがゾンビになったことをイケノたちに告げます。

やはりノブはゾンビにされていましたね。ノブがそのことを言い出せなかったのは、過去のトラウマにあるのかもしれません。

おそらくノブは、高校か大学でいじめに遭っていたのだと思います。ひどい目に遭わされ、その様子を大勢に笑われ、苦しい思いをしたようです。

その経験ゆえに、ゾンビになってしまったと告げることができなかったのでしょう。またのけ者にされ、攻撃対象にされるかもしれないと恐れたのです。

イケノとイケノの考えに賛同する者たちは、自分たちの考えこそが正しいと信じ込んでいます。

そういった人々は正義感による暴走をしやすいものです。そして、ノブのように内向的な人物は、そういった人々の攻撃対象にされやすいもの……。

そんなノブの恐怖心を察したのか、アリスはノブを探しに行きました。さすが主人公ですね。それでこそアリスです。

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ゾンビか人間か

黒いパーカーの男は、ゾンビになったことを隠している者がいると言い出します。イケノが様子のおかしいテツを疑ったため、専業主婦サチコがとっさにかばいます。

黒パーカーの男は、そもそもバリケード作戦の発案者であるレイがゾンビであることを思い出しました。そして、レイはゾンビ側のスパイだと推測します。

レイが姿を消したこともあり、イケノは潮時であると判断しました。バリケード内で管理していたゾンビもショットすると決断します。

アリスとノブが不在の中、ゾンビの処分が行われようとしています。マサトは一瞬の隙を突き、バリケードから逃げ出しました。

施設内を走っていたマサトは、たまたまレイと遭遇します。マサトは、ワクチンを使ってほしいとレイに頼み込みました。

そこに、マサトを追ってきたイケノたちもやってきます。次のターンの始まる時間となり、イケノはレイにタッチしました。

考えてみると、イケノたちは自分の中にある信頼を、自らの行いによって崩してしまったんですね。

人間であろうとゾンビであろうと、バリケード内にいる仲間は守るべき――その考えを捨てた瞬間、バリケードは意味をなさなくなります。

イケノたちは、おそらく<自分たちは賢く、正しい判断をした>と考えているでしょう。しかしそれは、あくまでバリケード内だけでの話です。

施設内には16人のチームが4個あります。単純計算で64名のぷれいやぁがいるわけです。そして、バリケード内にいるのは30名に満たない人数です。

そもそも、バリケード内の人数が全体の半数を超えていなければ、ゾンビを処分したところで勝つ見込みなどないのです。

バリケードの外にどれくらいの<人間>が残っているか……それが分からない限り、ゾンビをショットしても勝てるとは限りません。

マサトは、バリケード内の<仲間>にタッチされました。マサトが引きずられていっている頃、アリスはマサトとの対決を始めます。

アリスは、ゾンビカードを出すかどうか悩むマサトに、ある提案をしました。同じように、レイもイケノに提案しています。

「残念ながら、君たちが思ってる以上に、ゾンビは広がってると思うよ~。どっちかというと、君もゾンビになったほうがいいかも」

レイは、相手をショットすることも、相手にワクチンを使うことも、ためらわれる行動だと語ります。けれども、ゾンビを出すことをためらう理由はありません。

マサトは、震えながらゾンビカードを出します。相手が出したのはショットでした。思わず席を立って逃げたマサトでしたが、無情にも頭を撃ち抜かれます。

イケノも同じく、レイに対してショットを使います。それと同じ頃、アリスとノブはバリケードへと戻っていました。

レイが言う通り、ゾンビが最速で増えた場合は4枚が1ターン目で8枚になり、2ターン目で16枚になり、3ターン目で32枚、4ターン目で62枚(全員)となります。

半数を超えるには、3ターンあればよいのです。そして、現在は残り3ターン――今ゾンビの者が最速でゾンビを増やせば、過半数を超えられます。

アリスはおそらく、この計算ができているはずです。だからこそ、ゾンビであるノブを探し当て、対決を申し出たのでしょう。

ただ気になるのは、ショットを持っている相手に対して、まったく恐れを見せないレイの存在です。

もしかしたらレイは、最初から……ワクチンはおろか、ゾンビすら持っていないのかもしれません。

人間がゾンビになるには、1ターンあれば充分です。それまでの19ターンで人間相手にショットを無駄撃ちさせられれば、ゾンビの数を保持できます。

そうなるとレイは<ワクチンを持つゾンビ>ではなく、<ゾンビを守る人間>となるわけですね。複雑です……。

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レイの嘘

バリケード内のゾンビたちは、ショットによって皆殺しとなりました。殺人を強制された者の中には、やり過ぎだと訴える者もいます。

そこに、とぼとぼとイケノが戻ってきました。黒パーカーの男があせる姿を、ヤクザのカズヤが冷静に見つめています。

CEOのシオンとダンサーのナツ、サチコは混乱に乗じて別の場所に身を隠していました。そこにノブがやってきて、アリスの作戦を伝えます。

「指数関数の理屈どおりゾンビ増殖が勝つか、感情に打ち勝った人間がゾンビを殺しまくって勝つか――最後はその対決だと思った」

単独行動をしていたアリスは、レイを見つけて対戦を申し出ました。そしてアリスは、レイがゾンビではないことを言い当てます。

黒パーカーの男の言う通り、ゾンビが人間を倒すことはできません。ただ増えていくことしかできないのが、ゾンビの弱点です。

しかし、それはあくまで理論上のことです。実際にゾンビを倒そうと思えば、目の前で銃弾に貫かれる人間を見なければなりません。

レイも語っていましたが、人殺しは簡単なことではありません。また、ワクチンを使って他人を救うという行動も、献身的で現実味がありません。

ただのカードゲームではなく、今際の国で行われるげぇむであるからこそ、<ぞんびがり>には制約がつきまとうのだといえるでしょう。

ところで、テツはどこに行ったのでしょう……。カズヤは自分が暴力装置であることを理解してバリケード内に残ったようですが……。

アリスは手札から1枚だけ場に出し、レイに向かって語り始めました。信頼のバリケードはレイの嘘から始まったのだと、アリスは語ります。

「お前ほどの戦略家が、最後は人の恩を信じて、命懸けの計画を立てる気がしない。でももし、実はお前がゾンビじゃないのだとしたら、この計画は完璧だ」

アリスはレイを多数派にするため、ゾンビカードを出しました。レイは、人間が勝つかゾンビが勝つか、バリケードを作った時点では分からなかったとつぶやきます。

実は、アリスは最初からゾンビだったのです。アリスがその事実を隠し続けていたことに、レイは感服するのでした。

サチコたちと合流したアリスでしたが、ノブはもういませんでした。テツを探しに出たノブはカズヤと遭遇しますが、隙を突いて逃げ出します。

アリスの言葉が事実かどうかは分かりませんが――おそらく本当でしょう。最初からゾンビならば、残り3ターンまで待っても問題はないからです。

とはいえ、ゾンビだと知られてしまうことは危険です。ショットを使われないために、人間のふりをしてバリケードに残っていたのでしょう。

最初からゾンビならば、途中からゾンビになった人間のように、動揺して見抜かれることもありません。

<レイがゾンビならばバリケードを作る必要がない>と気付いたのは、アリス自身が最初からゾンビだったことが理由かもしれませんね。

そして、意外なのはノブの行動です。テツを守るために、危険を冒してまで施設内を移動しているのです。

ノブは、イケノからショットを使うよう強制されたとき、テツがかばってくれたことに恩義を感じているのでしょうか……。

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空は繋がっている

ノブはナツの手助けもあってテツを見つけますが、そこにカズヤが現れます。そこにアリスもやってきました。

最終ターンを告げるアナウンスが流れます。ノブはすでにショットを使ってしまったカズヤと、アリスはテツと対戦することにしました。

対戦を経て、カズヤとテツはゾンビになります。二人は、落ち着いた様子のアリスやノブを見て、怪訝な顔をします。

『最終ターンが終了しました。この時点で総数を発表します。ゾンビ 32人、人間 13人。ゾンビの勝ちです。人間のほうが少ないので、この13人の方々はげぇむおおばぁ』

アリスたちや、遭遇しなかったチームの人々が安堵する一方――イケノたちバリケード内の<人間>は天からの赤い光線に貫かれて倒れていきました。

アリスたちと遭遇しなかったチームは、おそらく<完全に結束したチーム>でしょう。

他のチームとは出会わないよう、移動を控え隠れていたのだと思われます。描かれてはいませんが、正当な<信頼のバリケード>を築いたチームでしょう。

このチームには頭脳明晰な者が複数おり、レイやアリスのような考えを皆で共有したのだと思います。

どんなに人間の人数を保ったとしても、最後の3ターンでゾンビは状況をひっくり返せる――そうなれば、ゾンビになるほうが有利です。

残りのターン数が少なくなればなるほど、ゾンビに有利なのです。仲間にショットを使わない約束と、それを支える信頼さえあれば……。

さて、カズヤとテツは、この状況を理解できたのでしょうか。

ひとりになってしまったレイに、ナツが声をかけます。レイを仲間にすることに反対する者は、誰もいませんでした。

南西16km
お進みください。
2日後日没
【GAME】開催されます。

夜になり、カズヤはノブに謝罪のような言葉をかけます。ノブは、げぇむなのだから仕方ないと気にしていない様子でした。テツもノブに同意します。

ナツはシオンを「姉さん」と呼び、より仲を深めていました。サチコは、ひとり離れた場所で妻を想うアリスを羨ましく思っています。

アリスが見上げる空を、妻ウサギも同じように見上げていました。行方不明になった夜――ウサギはアリスにではなく、亡き父に謝っていたのです。

ウサギは以前の今際の国で、アリスと衝突し理解し合うことによって、亡き父へのわだかまりを解消させていました。

しかし、今際の国での記憶を失ってしまった現在――アリスとの関係性も変わり、亡き父への思いも再び重く暗いものになってしまったようです。

父が自殺を図る悪夢に悩まされるようになり、ウサギは松山助教に救いを求めたと言えますね。

アリスは一家の中で役立たずな自分に劣等感を持っていただけです。きちんと学校に通い、働くようになれば問題は解決します。

明るく優しいアリスに対して、過去に留まったままの自分をさらけ出すのは、ウサギにとってはとても難しいことだったのかもしれませんね……。

そして、アリスチームからはマサトが脱落し、レイが加入しました。最終的には何人残れるのでしょうか……。

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見えない糸

ウサギの亡き父への後悔を晴らすために、松山助教はウサギと共に今際の国に入りました。そして、当たったら死ぬ光線が飛び交うげぇむに参加します。

人を盾にして身を守る松山助教――リュウジに、ウサギは怒りを見せます。けれども、ウサギはそんなリュウジのことも守って進むのでした。

ターバンを巻いた女性は、ウサギを知っていると語ります。その隣を歩くウェーブヘアの女性は、ウサギの父を「無酸素登頂と嘘をつき自殺した登山家」と言いました。

二人は謝りつつも、週刊誌の記事は事実だろうとひそひそ話しています。視線を落とすウサギに、リュウジは冷たい態度です。

「初めて君を見たとき、僕たちは似ている気がした。生きている中で、死という想念から抜け出せないような」

アリスは、嘘をついたレイのことも、ゾンビになったと言い出せないノブのことも、イケノに同調したカズヤのことも、助けようと考える人です。

ウサギもその点では、とても似ています。リュウジが他人を犠牲にしたからと言って、リュウジが犠牲になっていいとは考えません。

アリスもウサギも<相手がどんな人物か>ではなく<自分がどうありたいか>を基準に行動しているのだと思います。

一方で、ウサギとリュウジが<死>との距離の近さにおいて似ているというのも分かります。

健康な人間は、どこかで<死>を遠いものとして、無いもののように扱っています。しかし二人は、いつも頭のどこかに<死>を置いているのです。

「僕はここに来たかった。ずっと。そして、この狭間の国の先にある死の世界が見たい」

<ばばぬき>を終えたリュウジは、今際の国の<国民>バンダと話していました。バンダは、リュウジの望みを叶える代わりにウサギを連れてくるよう命じたのです。

バンダに今際の国への片道切符である透明の液体を差し出され、リュウジは決断します。ウサギは、アリスを呼び出すための駒だとも知らずに……。

「アリスはウサギを離さない。人間の感情というものはね、見えない糸だ。手繰り寄せれば必ず動く」

バンダは、今際の国でヤバと話しています。ウサギへの特別な感情を抱き始めたリュウジを利用しようと、二人は笑い合うのでした。

今際の国での経験を忘れ、劣等感とも距離を置いたアリスを呼び出すことは容易ではありません。

けれども、その妻であるウサギには<死>がつきまとっており、ちょっと背中を押すだけで今際の国へとやってきそうな危うさがあります。

とはいえ、ウサギと直接コンタクトを取ったところで、バンダに従うとは思えません。ウサギも人を見る目がないわけではないので……。

そこで使われたのが、ウサギの亡き父への後悔に寄り添ったリュウジ――松山助教でした。

恐ろしいことに、松山助教は生きて帰ろうという確固たる意志がありません。なんなら、死の世界を見たいとすら思っています。

そんな人と連れ立ってげぇむを勝ち抜いていくのは、相当な困難を伴うはずです。ウサギの勝率を下げる存在といってもいいでしょう。

しかし、今の国民はバンダとヤバとの二人のみです。ウサギを勝たせようと思えば、体力勝負のげぇむに参加するよう仕向ければいいだけです。

逆に、アリスを勝たせようと思えば、頭脳で戦うげぇむに参加させればいいのです。なんというご都合主義でしょうか。

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カナリア

ウサギとリュウジとが入った場所は、地下鉄の世田谷大橋駅でした。げぇむの開始がアナウンスされ、電車がやってきます。

停車した電車のドアが開きました。参加者たちは、電気のついていない車両へと乗り込んでいきます。

車内のモニターとアナウンスで、げぇむ<暴走でんしゃ>のるぅるが説明されます。8両の中の4両で毒ガスが噴出されると聞き、不安げな表情の参加者もいました。

説明が終わると、すぐに隣の車両へ続くドアが開きました。ウサギとリュウジとは顔を見合わせ、隣の車両へと進んでいきます。

車両の真ん中に突き出た棒の上には、黄色いカナリアが入った鳥かごがありました。噴出したのが毒ガスか否か、カナリアの動きで判断できるのです。

<暴走でんしゃ>が行われたのは、おそらく田園都市線でしょう。ターコイズのようなラインカラーが見えたので、間違いないと思います。

ただし、田園都市線にあるのは<池尻大橋>駅です。世田谷大橋という駅は実在しません。なお、池尻大橋駅があるのは世田谷区です。

全9両の編成ということで、すべて10両編成の田園都市線の最後の1両を外した形となるわけですね。

今回も説明が長かったので、上部のげぇむ説明の部分を参考にしていただきたく思います。

8両のうちの4両で毒ガスが噴出され、中和剤の入ったボンベは5本のみです。そして、ボンベをつけるガスマスクは特殊な構造をしています。

一般的にガスマスクといえば、顔全体を覆うものに、缶のような円柱がついていますよね。その缶が毒を吸収する役割なのです。

しかし<暴走でんしゃ>のガスマスクには吸収缶がなく、代わりに中和剤が入っているボンベを装着する仕組みとなっています。

リュウジはためらいなくガスマスクにボンベをつけました。ウサギもそれにならい、ボンベを装着します。

共に参加した女子大学生のユナと、その兄で消防士のイツキもボンベをつけました。天井から白い煙が噴き出し、車内に満ちていきます。

脅える参加者たちでしたが、カナリアは無事でした。ボンベをひとつ無駄にしたと、ターバンの女性はあせります。

車両のドアがすべて開き、濁った空気が外に出ていきました。次の車両に移った参加者たちは、皆ボンベをつけるか否か悩みます。

ウサギとリュウジは、続けてボンベを装着しました。白い空気が噴き出すと、間もなくカナリアが落ちていきます。2号車では毒ガスが使われたのでした。

そうそう、カナリアといえば<炭鉱のカナリア>ですね。

炭鉱の中ではメタンや一酸化炭素などの窒息を引き起こすガスが発生しがちなのですが、その検知のために使われるのがカナリアなのです。

カナリアは毒物に弱い鳥のため、少しでも毒ガスや窒息ガスがあるとすぐに異常な行動を取り死に至るそうです。

炭鉱で使っていたのは主にイギリスで、80年代までこの方法が取られていたとのことです。

日本では、1995年にオウム真理教の施設に強制捜査で入る際、カナリアのかなちゃんが連れて行かれました。平成でも使われた手法なんですね。

そしてここで、ウサギチームとなるユナとイツキに出会いました。どんな関係を築くのか、楽しみですね。

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鉄道オタク

3号車となり、ウサギはボンベをつけないと言い出します。不安を利用して序盤にボンベを使い切らせる罠だと判断したためです。

残り5両、毒ガスが出るのは3両、ボンベも3個です。イツキも使わないと言い、ユナもそれに従いました。

ターバンの女性は、兄が間違えていたらどうするのかとユナに問います。そんなやりとりを見つつ、他の参加者たちは迷っていました。

参加者たちがボンベを使わずにいる中、空気が噴出します。カナリアが倒れず安心していると、電車のドアが開きました。そして、隣に別の車両がやってきます。

「浅草方面行きだ! 表参道、青山一丁目間を並走します」

鉄オタの男性がそう言った瞬間、もう一つの車両の窓に血まみれの男がへばりつきました。あちらの車両でも、同じげぇむが行われているようです。

表参道駅と青山一丁目駅とがあり、浅草行きがあるのは銀座線ですね。あちらの車両は銀のボディにオレンジのラインが入った銀座線で間違いなさそうです。

なお、こちらの車両は田園都市線が渋谷で終わって半蔵門線となりました。押上から先はまた別の路線になります。

しかしターバンの女性といい、ウェーブヘアの女性といい、どこか人を見下している雰囲気がありますね。

ところがリュウジのように知識があるわけでもなし、ウサギのように主催者の意図を読むわけでもなし、ただ大きな声で威圧しているだけです。

こういう人がいると、空気が悪くなりますよね……。抑えきれないオタクの性を出してしまった鉄オタの男性のほうが、よほど雰囲気づくりに役立っています。

もう一度も間違えられないと分かり、リュウジは鉄オタの男性に尋ねます。空気より重い神経ガスを車両に充満させるには、それなりのスペースが必要でした。

「あ……多分だけど、この型の、この車両には、パンタグラフはないはずです」

電車の上につけられている電気を受け取る装置――パンタグラフは、車両上部の半分以上のスペースを必要とします。

それがついていない車両には、ガスタンクを置くスペースがあるといえます。確実とは言えませんが、リュウジとウサギ、ユナ、イツキはボンベをつけました。

ボンベをつけなかった参加者もいる中、空気が噴出します。カナリアが下に落ちました。そして、ボンベをつけなかった参加者たちが泡を吹いて倒れていきます。

5号車にはパンタグラフがあるはずだと、鉄オタの男性が告げました。空気が噴出したあとカナリアの様子を見て、皆が胸をなでおろします。

倒れていく参加者たちの様子を観察して、神経ガスであろうと判断する冷静さがリュウジの持ち味でしょう。

この特性はアリスにもウサギにもないものなので、有難い存在ですね。シリーズ1、2でいうところのアンやチシヤといったところでしょうか。

アリスは理系の一面も持ちつつも、文系の要素が強いように感じます。人の心を読むことに長けているためです。

一方、リュウジやレイは、人の心を読み切れないところがあります。だからこそ、相手を試すような行動に出がちですね。

ウサギはバリバリの体育会系なので、いいことはいい、悪いことは悪いとしっかり線を引いています。もめたときにいてほしい存在ですね。

パンタグラフについては以前『新幹線大爆破』のネタバレにて説明したので、よかったらそちらも目を通してみてください……。

車両を移動したとき、鉄オタの男性が驚きの発言をしました。なんと、想定していた型式とは違ったのです。

ターバンの女性は、大声を出して鉄オタの男性につかみかかります。それを止めたウサギは、勘でボンベを使うことを決断しました。

そんなウサギに従い、リュウジやイツキ、ユナなど参加者たちはボンベを使います。しかし、カナリアは生きたままでした。

「生きてる。ガス車両じゃない!」

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

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