Netflix独占配信映画『ザ・ラストハウス』ネタバレ感想

『ザ・ラストハウス』タイトル
この記事は約43分で読めます。

Netflix独占配信映画『ザ・ラストハウス』は、天変地異によって家の中に閉じ込められてしまった一家が過ごした日々を綴った物語です。

ミヅチ
ミヅチ

SFホラーとして見ると、粗が目立つ作品です。好意的に捉えて、楽しむ姿勢を崩さない自信がある方はどうぞ!

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Netflix映画『ザ・ラストハウス』情報

日本公開日2026年8月7日
制作国アメリカ
ジャンルSF、ホラー、サスペンス
注意書き13+
暴力、言葉づかい、薬物、恐怖
上映時間1時間52分

『ザ・ラストハウス』主なスタッフ

スタッフ

監督ルイ・ルテリエ
脚本マシュー・ロビンソン

『ザ・ラストハウス』あらすじ

父 ジェイソン、母 アン、13歳の長男 グレアム、8歳の長女 ルースの4人家族は、ワシントン州の一軒家に住んでいます。

家にはガタがきているのですが、失業中のジェイソンは税金を払うことすら難しい状況です。貧しさにあえぐ一家は、日々の食費も抑える努力をしています。

ある日、大きな雷雲がワシントン州を襲いました。その後、家を出ようとした一家は、家のドアや窓が一切開かなくなっていることに気付きます。

家の中に閉じ込められてしまったのは、一家だけではありませんでした。ご近所さんたちも家の中に閉じ込められていると知り、一家はどうやって暮らしていくか考え始めます。

そんな中、8歳のルースはある存在に気付きました。当初は誰も本気にしなかったのですが、その存在は確かに一家を狙っており――。

ここから先はネタバレがあります!

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ミヅチガタリ

アメリカの作品であることと、<怪物>の造形が<悪魔>とされるタコの形をしていることから、この作品はとてもキリスト教的なものだと考えました。

神道・仏教が強い日本人が作ったSFやホラーである場合、人間を襲ってくる者は<天災>がモチーフとなっていることが多いですよね。ゴジラもそのひとつです。

日韓合作で作られた映画『オクス駅お化け』では、脚本担当が日本人でした。その製作の中で、霊的存在に<霊となった理由>と<倒す方法>とが確立されていないことが問題視されたそうです。

『富江』『貞子』『呪怨』など多くのシリーズ作品が存在するJホラーですが、呪いに対抗する方法はあっても、本体を倒す・消滅させる方法は不明なものです。

天災としての霊が問題視される一方、まったく別の問題も持ち上がることがありました。ハリウッド映画化された『ザ・リング』は、キリスト教的な改変の分かりやすい例です。

貞子にあたる<サマラ>は享年11歳ということもあり、原作小説や日本での映像化作品とは大きく違います。<美しいこと>への強い執着はなく、男性医師から性的暴行を受ける描写もありません。

キリスト教では外見の美しさにとらわれることは、よくないこととされています。また、婚前の性交渉や、子作り以外での性交渉が禁じられています。貞子は禁忌をダブルで犯しているのです。

サマラは敵対する人物でありながら、禁忌を犯した人物としては描かれません。それは今作における<雨の人>が、最終的には思いやりを持って一家を解放することにも通じます。

タコは悪魔の象徴であり、悪魔はそもそも大天使でした。思い返してみると、キリスト教的なホラー作品で酷い目に遭う人物は、大抵<思いやり>が欠けています

<思いやり>がキリスト教における黄金律である限り、思いやりはすべてを解決する方法となるのでしょう。今後、キリスト教圏のホラー作品をご覧になる際には、思い出してくださいね。

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『ザ・ラストハウス』ネタバレと感想・考察

アンダーラインが引いてある役名をタップすると、キャストと簡単な役柄紹介が表示されます。

ワシントン州の異変

この星を地球と呼ぶのはおかしい
明らかに海なのに

<市民の釣り場 第21桟橋>という看板が立てられているのは、海に突き出した桟橋です。冬が訪れる少し前の日曜日――晴れの予報を裏切り、大きな雨雲が近付いてきていました。

小物しか釣れないため、ジェイソンは帰宅することにします。ラジオからは、洪水や高波の恐れがあると注意が促されました。その雨が来るまでは、ごく普通の朝だったのです。

ジェイソンが家に着く頃には、雨が打ちつけてきていました。ジェイソンは、急いで11817番地の自宅へと入っていきます。

雨に降れた封書の中には、内国歳入庁からの<至急>と記されたものがありました。ジェイソンは飼い犬 キャシディ――通称 キャスに挨拶し、寝室へと入ります。

ジェイソンの妻 アンは、寝ぼけ眼でジェイソンを迎えました。そこに子どもたちが飛び込んできます。12歳の息子 グレアムと、8歳の娘 ルースです。

朝食を摂り始めたところ、Wi-Fiの電波が入らなくなりました。金銭的に厳しい状態に追い込まれている一家を見て、ジェイソンは責任を感じます。

煙突にもひびが入っており、明日はその修理が来る予定でした。煙突が一軒家を支える支えとなっていると知り、二人はため息をつきます。

そんな中でも、子どもたちはクリスマスツリーを買う約束を果たすよう両親に詰め寄ってきました。約束を守るように迫られたジェイソンは、家族皆で買い物に出かけようとします。

そこで、最初の異変が起こりました。家のすべてのドアと窓が、何かに押さえつけられているかのように動かなくなっているのです。電話もつながらなくなりました。

一家は、ある日突然、なんの前触れもなく自宅に閉じ込められてしまいました。冒頭の<海>に関する言葉に関係あるのか否か……。

SNS上では、SFホラーにしてはツッコミどころが多すぎると話題になっていましたね。現在のところ、まだツッコミどころには達していないようです。

中年のジェイソンとアンの夫婦には、二人の子どもがいます。ジェイソンのキャストはブラジル人俳優ですが、欧州系の顔ですね。

その血を色濃く継いでいる――という設定――なのか、12歳の息子 グレアムも欧州系の顔立ちです。一方、アンは東洋系ですね。親しみを感じる、近しい顔立ちです。

娘のルースはアンの血が強かった――という設定――なのでしょう。どちらかというとルースのほうが精神的には落ち着いているようですね。

ジェイソンに封書を送ってきた<内国歳入庁>とは、米国内の税金を取り扱っている公的機関です。ジェイソンは税金の支払いが遅れるほど、金銭的に困窮しているようです。

朝食の魚を釣りにいって成果なしで帰ってくるという体たらくですが、妻 アンは責めません。失業率が高いのかもしれません……。

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ご近所さんたち

ジェイソンは全力でドアを蹴り飛ばしますが、押し返されたかのように床に倒れ込んでしまいました。それでも諦めず、今度は窓を割ろうとします。

アンが止めるのも聞かず、ジェイソンは窓に金具を突き立てました。けれども、小さな穴が開いて周りにひびが入るだけなのです。どこで試してみても、その状況は変わりません。

ジェイソンが別の窓を割ろうとしたとき、向かいの老夫婦の家から鏡越しの光が届きました。その様子に目を奪われていると、目の前の道をご近所さんが通り過ぎていきます。

それは、グレッグの妻 スーザンでした。ジェイソンたちは必死で大声を出しますが、スーザンには届きません。しかし、自宅に着いたスーザンは異変に気付きました。

スーザンが通報してくれたからどうにかなるはず――そう思いながら、一家は昼食を摂り始めます。そしてようやく、ご近所さんはどうなっているのかと考え始めました。

老夫婦 リチャードソン家には、孫が3人います。<サイクル野郎>グレッグに、誰も名を知らない<野次馬>の男、いつも小型犬を抱えている<犬おばさん>――。

<チャンスは一海号>を持つ<ボート野郎>は、ワンナイトを過ごすはずの女性と共に閉じ込められていました。皆、外の人に事情を伝えようと工夫をしています。

<ボート野郎>とワンナイト相手は、鏡に口紅で文字を書いています。老夫婦はホワイトボードを使っていました。そこでジェイソンは、ルースのおもちゃの黒板を手に取ります。

政府が安全のためにやっていることなのか、エイリアンの仕業か、この地域だけなのか、世界中なのか……誰も、事情を分かっている人はいませんでした。

外に出られない以上、家にあるものを食べるしかありません。ルースはドーナツを食べたがりますが、食べさせてあげることはできませんでした。

一家が暮らす一軒家があるのは、住宅街の一角です。ほかにも一軒家が立ち並んでおり、それぞれに様々な人種・性別・年齢の人々が住んでいます。

リチャードソン老夫婦は、アフリカ系の夫婦です。穏やかそうで、かつ知能指数が高そうに思えます。今回の閉じ込めは、政府が行ったものと推測しているようです。

一方、欧州系の<ボート野郎>は楽観的なアホです。<エイリアン>の綴りをワンナイト相手の女性と一緒に間違えているところを見るに、お勉強は苦手だったようですね。

<サイクル野郎>グレッグも欧州系で、妻 スーザンも欧州系です。子どもたちもいますが、母なき家に閉じ込められて不安でしょうね……。グレッグ当人は、呆然と座り込んでいます。

スーザンは通報しに行ったようですが、戻ってくる様子がありません。建物が封鎖されているということは、外から入ることもできないわけですから……どうしようもありませんね。

<犬おばさん>はよく見えませんでしたが、欧州系の高齢者だと思われます。小型犬を胸に抱いて、特に困った様子ではありませんでした。犬さえいれば幸せなのかもしれません。

<野次馬>と呼ばれている名前の分からない男は、この状態に至っても周囲とコミュニケーションを取ろうとはしません。一方で、どうやって過ごしているかは知りたいようです。

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<バリア>

子供たちの前では落ち着いた態度を通していたアンでしたが、夜中になると不安が襲ってきます。すると、ジェイソンはクローゼットの奥から拳銃を取り出しました。

内緒で拳銃を買っていたことに驚き怒るアンでしたが、家族の安全を守るためと言われて納得します。そのアンが眠ったあと、ジェイソンは動き始めました。

まずは、車のキーを使って遠隔操作を行います。ライトが点いたり、トランクが開いたりするものの、大きく動かすことはできませんでした。

次に、ドリルを使って木製の扉を開こうとします。けれども、開いた穴に粘度の高い透明な液体が入り込んできて、穴をすぐに埋めてしまいました。

今度は、外に面した部屋の壁を破ってみます。床もめくってみましたが、外に出ることはできなさそうでした。人工物ではない、なんらかの<バリア>が張られているとジェイソンは考えます。

目を覚ましたアンが、ジェイソンの様子を見にきました。そして、子供たちが不安にならないよう、壁や床を隠しておくようにと告げます。

8時20分――朝になりました。やはり、ドアは開きません。すでに起きていた子供たちは、驚くほど冷静な様子で両親を迎えました。

「どうにもできないいんでしょ」
「そう。親が考える」

グレアムルースも、自分たちがあせっても仕方がないと割り切っているようでした。そこでジェイソンは、子供たちに名作を学ばせようとレコードや映画のDVDを取り出します。

「朝はベッドを整える。着替える。歯を磨く」

アンは、特殊な状況にあっても普段通りに過ごすようにと、子供たちに教えました。子供たちと同じように、頭を切り替えて過ごそうと決めたのです。

窓を割ったときにも少し描写されていましたが、どうやらこの雨は特殊な素材でできているようです。建物に空いた穴を塞ぐような粘着力と意思のある<バリア>なんですね。

木造の住宅にそういった雨が降っているのであれば、建物内のドアや窓にも作用しそうなものですが……おお、ツッコミどころが出てきましたね!

しかし、この<バリア>に確たる意思があり、建物の外側だけに作用すると決意しているのであれば――話は別です。この仮説でいきましょう。

そんな危険な雨が降っている中、ご近所のスーザンは平気で走っていました。家を破壊しているジェイソンに異変がないことからも分かる通り、人体にはなんの影響もないようです。

ルースは<雨がおかしい>と直感的に気付いていましたが、親たちにはその考えは届いていません。もしや、この雨が降り続く限り<バリア>は解けないということでしょうか……。

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デルガド組

冷蔵庫やパントリーにある食料は、2ヶ月ほど持ちそうです。電気と水、ガスはいつ止まるか分からないため、節約して使っていこうと決めました。

「<デルガド組>をやりましょ。1、2、3……<デルガド組>!」

飼い犬 キャスは、散歩に出られなくなり不満げです。四日目となると、子供たちにも不満が広がっていました。同じところばかり勉強して、飽きてしまっているのです。

魚のワタ抜きを学ぶという体でぬいぐるみを解体するという、ジェイソン主導の<授業>が始まりました。釣り好きのジェイソンの得意分野です。

事情が分からないまま、一週間が経ちました。伝言ゲームで事情を尋ね回っているものの、成果は得られません。そんな中でも、アンは先のことを考えながら行動していました。

食材として使ったトマトの種を取っておき、いずれ種まきできるようにと工夫しているのです。ジェイソンはいつも通り、ご近所さんとの<会話>を始めます。

リチャードソン氏により5ブロック先まで質問が回ったものの、誰も何も知りませんでした。親しくなった二人は、お互いが失業中のエンジニアと、元小児歯科医だと教え合います。

リチャードソン老夫婦の家では、食料が尽きてしまったようでした。ジェイソンは二人の心配をしつつも、何もできないのでした。

そして、2週間が経ちました。いつものようにおえかきをしていたルースは、窓についた雨粒が勝手に動いていることに気付きます。その雨は、ルースのペンを追うように動きます。

この一家の苗字はデルガド――<Delgado>なんですね。スペインや中南米に多い苗字だそうです。もしかしたら、ジェイソンは移民かその子孫なのかもしれません。

子供たちが――おそらくは、自分たち親も落ち込まないようにと、デルガド一家は<デルガド組>と称して、サバイバルを楽しむ方向へと意識を転換しました。

食料が持つのは2ヶ月とのことで、その先は苦しい展開になるのかもしれません。飢える子どもは見たくないものですが……。

その不安に応えるためか、アンは食材から種を取り除いて保管しておくという作業を始めました。この家には土があるのでしょうか。

また、まだ余裕のあるデルガド一家とは違い、リチャードソン老夫婦の家は危機に瀕していました。食料が尽きてしまい、死へのカウントダウンが始まってしまったのです。

そんな中、またしてもルースが真実を見抜こうとしています。雨粒には人間のごとき意思がある――ルースは次々と発見をしているのですが、それを受け取る人がいません……。

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<雨の人>

ジェイソンが音楽を流したり、映画を見始めたりすると、窓についた雨粒も楽しげに動きます。けれども、それを知っているのはルースただひとりでした。

アンは園芸の本を熟読し、植物育成LEDのついた装置で家庭菜園を始めます。本を読んだり、ウノで遊んだり、通告書を暖炉の火にくべてみたり……家族は思い思いに過ごしました。

そしてクリスマス当日となり、家にあるものを組み合わせた即席のツリーでお祝いします。ご近所さんたちも、電飾で部屋を飾って楽しんでいました。

そうして、1ヶ月が経ちます。その夜、おえかきをしていたルースは窓から外を眺めていました。そこでルースは、以前と同じように<雨の人>を見ます。

「戻ってきた。雨の人。雨のときに来る。ほら、いる」

グレアムはもちろん、ジェイソンもアンも、ルースの話を信じてくれません。食料が少なくなって貧しい食卓につく中、皆の気持ちが沈んでいるのです。

子供たちが寝静まったあと、ジェイソンとアンとは『エアフォース・ワン』を観て、星を眺めました。そこで、親としての振る舞いに対して抱える不安を、二人で分かち合います。

翌朝、子供たちは望みとは違うプレゼントを開いて微妙な表情になりました。その一方、子供たちが用意した<初めて実ったトマト>は、アンの胸を温かくします。

そんな中、向かいのリチャードソン夫人が倒れました。食料がなくなって随分経ちます。無事ではないだろうということは、皆が分かっていました。

飼い犬 キャスが飲む薬も、最後の一回分が終わります。その夜、雷鳴が響く中、ルースは不安げに鼻を鳴らすキャスのもとへと足を運びます。

ルースは、雨が降ると<雨の人>がやってくると捉えているようです。獣のうなり声のようなものが聞こえるため、グレアムは何かしらの生き物が外にいると考えていました。

その証拠を示すかのように、ジェイソン・アン夫妻が星を眺めているときに、黒い犬がやってきます。しかし、その犬は建物内にいる二人に吠えることはありませんでした。

食べるものが野菜ばかりになり、子供たちは食欲を失くしてしまっています。アンが苦労して栽培した食料を無駄にするまいと、ジェイソンは皆の分も完食していました。

アンは家族皆のことを考えて動き、ジェイソンはアンの苦労をねぎらうことを第一に考えているんですね。子供たちの不満ではなく、妻の不安を取り除くことを優先しているのです。

そんなジェイソンの振る舞いを見ているからか、子供たちもアンをねぎらう姿勢を見せました。この点において、子育ては成功していると言えるでしょう。

子供たちが食事に不満を持つ中、食事を摂れていなかったリチャードソン夫人が倒れました。食べなければどうなるかという現実を見て、子供たちはどう思ったのでしょう……。

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スーザンとの再会

リビングにいたルースの前に、髪を振り乱した女性が現れました。その女性は、左手に包丁を持って、デルガド一家の一軒家に突進してきます。

「中に入れて! 皆 死んだの! ……姿を見せちゃダメ。終わりよ、連中がいる。……助けは来ない!」

叫んでいるのは、通報しに行ってから姿を消していたご近所のスーザンでした。ひどく脅えた様子です。その後、何者かに襲われたかのようにスーザンは吹き飛ばされました。

何かがうごめいているようですが、雷雨の夜のため、はっきりとは見えません。そして、一段と強い雷鳴が響いたあと、スーザンの姿は消えていました。

「前の人は優しそうで、今の人たちと違った」

雨が意思を持って動いていることは、事実だと判明します。ルースが言っていたことが、ようやく皆の心にも届いたのです。

<雨の人>が生きた人間を襲うことが分かったため、これからは気配を消して過ごそうと皆で決めました。特に雨が降っているときには、気を付けなければなりません。

リチャードソン夫人の顔には、白い布がかけられました。<ボート野郎>とワンナイト相手の女性とは、激しくケンカしています。

子供たちが朝の運動を始めると、煙突の笠が落ちてきました。下から覗いてみると、ぽっかりと開いた口から外が見えます。そこでルースは、体重が軽い自分が登ると言い出しました。

煙突に入ったひびが広がっていく中、ルースは先端へとたどり着きます。けれども、そこは金属が入り組んでおり、ルースですら片手を出すことが精一杯でした。

外に出ていたスーザンは<バリア>に触れても無事でいました。しかし、凶暴な<雨の人>たちに襲われて、その姿を消してしまいます。

おそらく、食べられてしまったのだと思われます。雨は、捕食者なのかもしれません。犬が無事であることから、人間のみを狙っている恐れがあります。

スーザンは「皆死んだ」と言っていました。おそらく、外に締め出されてしまった者同士、少ないながらも集まって過ごしていたのではないでしょうか。

そののち、外にいた人々はスーザンを残して、皆<雨の人>に襲われて亡くなったと思われます。最後に残されたスーザンは、助けを求めて家の近くまでやってきたのでしょう。

そして、キービジュアルにもなっている<煙突から手が出ているシーン>がやってきました。あれは8歳のルースの手だったんですね。

雨の<バリア>は、窓やドアを塞いでいました。煙突がまだ塞がれていないのは、これまでと違って横方向に開いた穴だったからかもしれません。

違う考え方もあります。<バリア>があっても息をし続けられていることから、横方向の穴はぴったりとは閉じないようになっている可能性があるのです。

ここもツッコミどころと言えば、そうですね……。ルースに対してだけは甘い判定になる――なんてこともあるかもしれません。見る側の譲歩が必要ですね。

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<怪物>との遭遇

薬がなくなってしまったため、飼い犬 キャスの心臓は弱ってきました。キャスはぜいぜいと苦しそうに呼吸をしています。そこで、ジェイソンは決断を下しました。

ジェイソンは、アンに子供たちを任せ、リビングに行き大音量で映画を観るようにと耳打ちします。アンはすべてを理解し、耳が割れそうなほどに音量を上げました。

そんな中で、ジェイソンはキャスを射殺します。それは正しい決断だったと、アンも感じていました。けれども、その後の考えには賛同しかねたようです。

ジェイソンは、いずれ食料が完全に尽きたときのためにと、キャスの遺体をさばいて冷凍したのです。それは、ジェイソンにとってもつらい行動でした。

キャスが射殺されたと気付いてしまったグレアムを、アンが慰めます。その間、ジェイソンは肉以外の部位を暖炉にくべようとしていました。

そこに、以前やってきた黒い犬が現れます。ジェイソンは煙突を使って、キャスの遺体の一部を黒い犬の前に落としました。黒い犬は興味を持ちますが、鳴り響いた雷に驚いて去ってしまいます。

その様子を見つめていたジェイソンは、窓に手をついていました。その手の形に添って雨粒が集まっていることに、ジェイソンは初めて気付きます。

ルースは<雨の人>がエイリアンなのかもしれないと考えました。一方、グレアムはなんらかの罰で<連中の檻>に入れられたのかもしれないとつぶやきます。

そのとき、真っ黒い雲と共に激しい雨が降り出しました。<怪物>から姿を隠そうと、家族皆でカーテンを閉め始めます。そこでルースは、大切な花の鉢を回収し忘れたことに気付きました。

カーテンを開いて花を回収したところで、窓の外に<怪物>が現れます。窓に張り付いた<怪物>は、枝のような形の何本もの腕を窓に叩きつけました。

恐怖で声を上げそうになるルースに、家族皆が<静かにしろ>と合図を送ります。ルースは震える体を縮こまらせて<怪物>が去っていくのをじっと待つのでした。

魚をさばくことができることは明かされていましたが、そのやり方で四つ足の動物もさばくことができるものでしょうか……。

家族を守るためにと購入した拳銃が、その家族の一員であるキャスを安楽死させるために使われるとは――ジェイソン自身も考えてはいなかったことでしょうね。

ジェイソンは、キャスの遺体を<食料>として見ていました。それを倫理観にもとると考える人もいるでしょう。家族として過ごした時間が長ければ、なおのことです。

しかし、これが犬ではなく、牛や馬だったらどうでしょうか。食べませんか? たとえ家族であった動物でも、それが食肉として転用できることに変わりはありませんよね。

アンとジェイソンとは考え方が異なる点もありますが、二人共<家族のため>に動いています。それを分かっているために、アンも協力はしないが否定もしなかったのでしょう。

ところで……<雨の人>と<怪物>とは、同じものなのでしょうか? <怪物>はしっかりと形があり、例えるならば<動く植物>といった風体でした。

それに対して<雨の人>には、定まった形がありません。雨粒が主体であり、窓について形を真似するくらいのことしかしていません。あとは<バリア>の役割ですね。

この二つが同一のものと考えるのは、少し難しいかな……と、個人的には思います。

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罠と栽培

3ヶ月が経ち、子供たちはどんな食事でも完食するようになりました。ルースは我慢の限界を迎え、もっと食べさせてほしいと迫ります。

ジェイソンは、子供たちにも事実を伝えることを選びました。アンはそれを受け、冷蔵庫やキッチンの扉すべてを開きます。そこには、両手で持てるほどの食べ物しかありませんでした。

ルースはショックを受け、泣きながら子供部屋へと向かいました。グレアムは家族皆のためにと、保存されていた魚を教わった通りにさばいて両親へ見せます。

グレアムの優しさは、諦めそうになったジェイソンの心を奮い立たせました。家にあるものを組み合わせて罠を作り、庭にやってくるキツネを捕まえようと考えます。

煙突を通じて、罠を何度も仕掛けました。けれども、キツネは重すぎて回収できません。絶食続きのジェイソンを見かねて、アンは野菜と豆のプレートを持ってきました。

そこで、ジェイソンは考え方を変えます。小型の草食動物を狙うことにしたのです。その目論見は成功し、一家はリスを捕まえることに成功しました。

久しぶりに肉を食べた一家は、精力的に活動し始めます。まずは床をはがし、下にある土を用いて植物の栽培に力を入れ始めました。肥料には、家で出た糞尿を用います。

鳥を捕まえることにも成功し、食料が豊富になります。電気やガス、水が通じていることは幸いでしたが……それも遂に尽き始めました。

電気がなくとも音楽はある――グレアムは、祖母からもらったはいいものの、誰も弾いていなかったピアノに手を伸ばします。

SNSには「電気が通じているのに、テレビが見られないのは違和感がある」という意見がありました。

これには、反論ができます。テレビがモニターの役割を果たすには、電気が必要です。一方で、地上波にしろBSやCSにしろ、番組を見るには電波を受信できる環境が必要なのです。

物語冒頭で、インターネットがWi-Fiでも電話回線でも通じなくなっていることが描写されていました。電波がすべて送受信不可能になっていると考えると、この現象には納得できます。

しかし、DVDやブルーレイなどを見るにあたっては、電波の送受信環境は必要ありません。デッキとモニターとが揃っており、電気が通じていれば見られるのです。

<家庭内に元からある情報・資材しか用いることができない>という特殊な縛りがある環境――ということですね。

ほかにも、人が生活していれば必ず出る「糞尿や垢などの排泄物の行方が分からない」という指摘もありました。

ぼかして描写されているので見逃した方もいるのでしょう。植物を育てる際に、肥料を<自分たちで出す>という表現がありました。

人糞は、そのままでは肥料として使えません。発酵させる必要があります。発酵させるには、夏は1~2週間、冬は3~4週間ほど必要だそうです。

つまり、植物を育てる前に、人糞肥料を作り始めなければ間に合わないのです。それもたった四人分の人糞でとなると、最初から肥料とするつもりで溜めておくしかありません。

「お風呂はどうしてるの?」という疑問に対しては、乾布摩擦でなんとか……くらいしか思いつきませんね。アンは東洋系ですし、乾布摩擦くらい知っているでしょう。

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希望と絶望

5年後――家庭菜園は大きく育ち、リビングは背の高い植物に覆われています。17歳となったグレアムの弾くピアノは、プロ並みに上達していました。

13歳になったルースは、今も絵を描き続けています。屋根裏の子供部屋から見える景色は一変しました。緑に覆われた都市の中、家の周りに熊や鹿も出るようになっています。

ジェイソンの狩りは上達し、今や自動で狩りが行われるようになりました。一家の生活が進化していく中、遂に家が沈み始めます。毎日雨が続いたため、地盤沈下しているのです。

家族が憂いに浸る中、ジェイソンは車庫にあった車を改造し、動くようにしました。7年がかりの作業です。電気もガスも水も途絶えた中、ジェイソンは希望を捨てずにいました。

一方で、成長したグレアムは現実に希望を抱けなくなっています。すべてが無駄なように思えて、荒れていました。ルースも表には出しませんが、同じように思っているのでしょう。

雨雲が近付いてきたら、カーテンを閉めて露集めをするのがルールとなりました。子供たちが反抗する中でも、そのルールは徹底されます。

ある日、<怪物>が家の中に入ってきました。<バリア>がドアノブを回したのです。一家はそれぞれ、物陰に身を隠しました。

<怪物>はタコのような姿をしています。その<怪物>は、水の中に塩を発生させる力を持っているようでした。床下に身を隠していたルースは、<怪物>が自分の上を通るのを感じます。

「リバイアサン、クラーケン、人魚……父さん、海の80%は未知の世界なんだって。エイリアンの仕業じゃないなら? こういう海の動物が実在して、雨を操ってるなら? ――ここは<雨の人>の世界。<雨の人>の家なんだよ」

グレアムは外に出たいがあまり<怪物>を追って、開いたドアから出ていこうとしました。それを留められ、グレアムは絶望したような表情になります。

両親はというと、塩によって土壌も飲み水もダメにされたことで、喧嘩を始めました。そんな中、自動狩りマシンがフェレットを捕獲します。

もはや、どこが外でどこが中か分からないくらいに立派な畑になりました。人糞肥料だけでそこまで成長させたのだとしたら、アンの園芸の才能はとんでもないレベルにあります。

ご近所さんたちとの接触は、もう途絶えていました。リチャードソン老夫婦は、おそらくもう亡くなっているでしょう。

ほかの家族たちも、計画的に食料を外から手に入れる術がない限りは、飢えて亡くなったはずです。絶望して自殺した人もいるかもしれません。

一番恐ろしいのは<怪物>に家の中に侵入されて殺されることです。窓越しでは枝のように見えた手は、タコの八本脚でした。

キリスト教圏では特に、タコが特別視されている節がありますよね。欧米の作品を見ると、未知の恐ろしいものの例として、よくタコのような軟体動物のビジュアルが用いられます。

日本人としては「おっ、太くて美味しそうですね!」と思ってしまうところですが、そこは感覚の違いということで……ツッコミどころではなさそうです。

<リヴァイアサン>というと、ファイナルファンタジーなどの影響で<海に棲む龍>というイメージを持つ人が多いでしょう。しかし、西洋ではそうでもないようです。

まさにタコやイカのような軟体動物の外見をした<クラーケン>ほどではありませんが……<リヴァイアサン>にも、軟体動物の脚がついているデザインのものが見受けられます。

キリスト教徒には「タコ=悪魔」「タコ=守銭奴」というイメージがあるそうです。一方でイカはそれほど気にかけられておらず、その差が気になるところですね。

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襲来のあとで

フェレットを自動狩りマシンから取り出したルースでしたが、小さすぎる獲物を食べる気にはなれません。両親は<怪物>の襲来をきっかけに怒鳴り合っています。

「目を開けて。生きてるのは煙突のひびのおかげよ。よそより幸運なだけなの。家から出る方法を見つけないと死ぬ」

楽観的なジェイソンを、現実的なアンが打ちのめしているとき――フェレットが、ルースの指を噛んで逃げてしまいました。悲鳴を聞いた二人は、すぐ駆けつけます。

ジェイソンは部屋を見回し、葉の陰に隠れていたフェレットを発見しました。そして、いま抱えているストレスをすべてぶつけるように、フェレットの首を折ります。

止める間もなくフェレットを殺され、ルースはショックを受けました。その晩、ルースは高熱を出して寝込んでしまいます。

ルースはなんらかの菌に感染したようで、治療には抗生物質が必要でした。残りわずかな水をすべてルースに飲ませ、家族皆でルースを囲んで眠ります。

そこから抜け出したのは、ジェイソンでした。直した車に乗り込み、何度も何度もガレージの門扉へとぶつけます。それは、ほかの家族が物音に気付いて目を覚ますまで続けられました。

したたかに頭を打ちつけていたジェイソンは、アンに車から引きずり出されて目を覚まします。その目に映ったのは、ガレージの床に入った大きなひびでした。

頭からの流血も気にせず、ジェイソンはひびを押し広げようとします。煙突に支えられていた家は5年の間に沈んできており、その影響で<バリア>が弱まっているようでした。

「ひびをたどらないと。……離せ。やらせてくれ」

アンに何度止められても、ジェイソンは家の床をバールで叩き続けます。ついには、トイレの床が抜けて下水管が見えたのでした。

家が沈下したため<怪物>の張った<バリア>が弱まったそうです。これは……理解が追いつきませんね!

<怪物>は水生生物であり、陸にあがって行動するために<バリア>を含む雨を降らせている――と、私は考えています。

そのため、<怪物>が接近してくると雨がひどくなるのです。<バリア>は<怪物>の体を守る粘液のようなものだと思われます。カタツムリの分泌液のようなものでしょう。

その<バリア>が、家が沈下すると効果が弱まる理由とは……せっかくなので、考えてみましょう。

まず、一家の暮らしている家の下には、土があります。畑になる程度の土壌ですので、海底の砂とはまったく違うと考えていいでしょう。

土の中には微生物がいるため、その影響で<バリア>の性質が変わってしまったのかもしれません。生ごみを分解するかのように、<バリア>を分解して無効化してしまったという説です。

こうして真面目に考えたところで、この作品の制作陣はあまり深く考えていないのでは……? と思ってしまう自分がいます。

ところで、小さなフェレットとはいえ貴重なたんぱく源です。ルースがすぐに絞めるか、絞められる人が来るまで罠を開かずにいれば、こんな事態にはなりませんでした。

8歳の頃から夢見がちなルースでしたが、成長して手先が器用になったことで、こんなことを引き起こしてしまうとは……!

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下水管を伝って

「下水管だ。近所中がつながってる。リチャードソン家にも。――抗生物質がある。行くよ」

代々歯医者をやってきたリチャードソン家には、抗生物質があるはずです。けれども下水管は細く、男性が通るには難しい様子でした。

そこで、アンが下水管を通る役目を担うこととなりました。自ら名乗り出たアンは、心配そうなジェイソングレアムとに見守られながら下水管へと入っていきます。

<怪物>のうなり声のような音が、遠くから響いています。子供用のカメラ付きトランシーバーを持って、アンはリチャードソン家へと進んでいきます。

リチャードソン家の地下には、レンガの壁がありました。アンが悔しまぎれにレンガを叩くと、その振動で一部のレンガがずれます。アンは勢いのままに、どんどんと壁を崩していきました。

トランシーバーの電波が不安定な中、アンはリチャードソン家へと入っていきます。遺体の口からサワガニが出てくることを始めとして、家の中は不思議な状態になっていました。

「潮の跡? 家全体が何年も浸水してたのかな」

そこに、雨が降り出します。雷鳴を聞いたジェイソンは、すぐに帰宅するよう促しました。それでもアンは、抗生物質を探すことをやめません。

ベッドにかけられていた布団をめくると、そこにはクリンダサイクリンとアジスロマイシン、テトラサイクリン、ペニシリンが置いてありました。

大喜びで窓越しに抗生物質の瓶を見せるアンに、ジェイソンとグレアムとが必死な形相で呼びかけます。リチャードソン家の中に<怪物>が入っていったためです。

<バリア>が効かない場所――というものがあるのでしょうか。しかし、生前のリチャードソン夫妻は、家から出られないと言っていました。

皆、家中を探索して外に通じる場所がないか探したはずです。地下室だけは確認しなかったということはないでしょう。

リチャードソン家は、海に沈んだかのような――沈んだ船の中のような状態になっていました。それが<バリア>を張られていない理由になっているのかもしれませんね。

人間が生きて住んでいる家の中は、海とはまったく違う状態になっています。そのため、外側だけは海と同じような状態にするために<バリア>を張っているのではないでしょうか。

ちなみに、クリンダサイクリン――クリンダマイシンは非常に強い薬のため、ほかの抗生物質が効かない場合に用いられるものだそうです。ペニシリンアレルギーの方に用いられます。

アジスロマイシンもペニシリンアレルギーの方向けですが、こちらは歯周病の原因菌に特によく効くそうです。一方で、やはり副作用も重く、飲み合わせにも注意が必要な薬です。

テトラサイクリンは、骨や歯の成長を妨げるため、妊婦と8歳未満の子供には原則使わない薬です。マラリア予防や、ピロリ菌の除菌などで用います。

ペニシリンは、この中では最も有名な薬ですね。欧米では、頭痛が起きたときに飲むものという描写が多いように思います。

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水槽

<怪物>が迫ってくる中、海水に浸かった下水道を通ってアンは自宅へと戻りました。うなり声を上げて襲いかかる<怪物>を撃ちながら、アンは必死に逃げ帰ります。

下水道から上がってくる<怪物>を留めるため、ジェイソンはトイレの壁を壊し、瓦礫で穴をふさぎました。逃げる道中で、アンは銃を落としてしまいます。

アンは持ち帰った抗生物質を寝込んでいるルースに飲ませました。そしてルースを除く家族3人は、いかにして<怪物>に対峙するのかを考え始めます。

窓をふさぐのをやめて、逆に<怪物>を家の中に呼び込み、罠にかける作戦を立てました。ジェイソンの得意な<釣り>を用いて、<怪物>と戦うことを決めたのです。

ベッドから起きられるようになったルースを含めて、家族4人で準備を始めました。グレアムは<怪物>を追い、ルースはロープを引いて罠を作動させます。

アンがおびき寄せたところに、ジェイソンが銛の先を撃ち込むのです。そして<怪物>を巻き上げて家に拘束し、あとは家族が悠々と家を出ればいいのです。

準備が終わるのを待っていたかのように、雷雨が訪れました。家の中にいた家族を襲うかのように、いたるところから水が噴き出します。

<バリア>によって封じられた家の中は、水槽のように海水に満たされました。胸まで水に浸かりながら、ジェイソンは<怪物>に向かってアーチェリー銃を向けます。

海水に浸かったアーチェリー銃が撃てなくなってしまったため、アンが<怪物>に火をつけることになりました。体に火をつけられた<怪物>は怒り狂い、アンやジェイソンを襲います。

水位が上がったため、もう1階にはいられません。全員で屋根裏に逃げようとしたとき、グレアムが足を止めました。グレアムは、ジェイソンが放棄したアーチェリー銃を回収すると言い出します。

誤解を招くといけないので、訂正しておきます。症状が出ている状態で抗生物質を飲んだ場合、効果が出るには2~3日かかります。

ルースはフェレットに噛まれた伝染病から自力で回復できており、最後のだるさを取り除くのに抗生物質が役立った――と考えるのが自然でしょう。

ちなみに、フェレットは人と同じくインフルエンザに罹ります。そのため、フェレットからインフルエンザをもらってしまう飼い主がいるそうです。

インフルエンザも症状がひどいと抗生物質を処方されるので、ルースがかかったのはインフルエンザだったのかもしれませんね。

ここで、リチャードソン家が海の中のような様相になっていた理由が分かりました。<バリア>によって隙間を塞がれた家の中に海水が流し込まれたためだったのです。

以前、<バリア>は垂直方向にだけ作用する性質なのではないかという仮説を立てました。<バリア>を張る目的が<家を水槽にすること>ならば、この考えは正確ではありません。

水槽を作るためには、壁はもちろん、底もふさぐ必要があります。一方で、天井をふさぐ必要はありません。むしろ、空気の圧力を逃すために開けておくほうが得策です。

<バリア>自身に意思があり、そのように動いた――と考えるのは、さすがにファンタジーが過ぎるでしょうか……。

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赦し

グレアムは1階の海水の中に飛び込み、天井まで数センチの空気の層で呼吸を整えます。そしてアーチェリー銃と、狙いをはずした銛とを回収しました。

2階の床を抜いて、家族3人がグレアムへと手を伸ばします。すんでのところで<怪物>の触手から逃げ切ったグレアムを連れ、家族全員で屋根裏部屋へと急ぎました。

けれども、怒り狂った<怪物>と呼応するかのように、海水がどんどん流れ込んできます。ついには屋根裏部屋も水に浸かり、一家は潜ったまま戦うこととなりました。

銛を再び装填したため、家そのものを仕掛けとした罠を発動できる状態にあります。ジェイソンは集中を高め、<怪物>へと銛を放ちました。

銛はしっかりと<怪物>に刺さり、罠が動き始めます。すると<怪物>が危機を迎えたのと同時に、家の中から海水が抜けていきました。その勢いは凄まじく、皆が流されていきます。

水が引いたら、ドアを開けて外に出る計画でした。けれども<バリア>は解けておらず、ドアはびくともしないのです。ジェイソンはナイフを持ち<怪物>へと突きつけました。

そのとき、ルースが<怪物>を殺さないよう訴えます。かつてルースが<雨の人>――<怪物>が攻撃的な者ばかりでないと言っていたことを、ジェイソンは思い出しました。

何より<バリア>を解く能力を持つのは<怪物>のみです。ジェイソンは一縷の望みをかけて、<怪物>に巻きついたワイヤーを切りました。

自由の身となった<怪物>は、家のドアを開きます。そこから出た一家を、4体の<怪物>が取り囲みました。絶体絶命の危機に陥った一家の背後で、家に侵入した<怪物>が叫びます。

その声に応えるかのように、4体の<怪物>が家の中へと入っていきました。そのとき、家が崩れ始めます。もともと地盤沈下していたところに長雨が降り、地面はゆるくなっていました。

谷底のような深い穴の中へと、家は崩れ落ちていきます。家の中へと入っていった<怪物>たちも同様に、落ちていったのでしょう。

「あの雨がやんだ日の記憶を、皆忘れない。火曜日で、まだ夏ではなかった。何年かぶりに、うちの家族が希望を感じた。結局、思いやりが解放の決め手だった。私たちの思いやりに<雨の人>も応えた。その後、二度と見ないけど、きっといる。<雨の人>の家でもあるの」

<ボート野郎>の船を用いて、生き残った人を探す旅が始まりました。明るい表情を取り戻した一家は、新たな<1日目>を迎えたのです。

ほかの家族たちは<怪物>と呼んでいましたが、ルースは変わらず<雨の人>と呼んでいたんですね。フェレットも<怪物>も、ルースにとっては同じなのでしょう。

<地球に生きている生き物>という点では、人間もフェレットも<雨の人>も同じである――そんなルースの思想が、家族を救ったのだといえますね。

この物語のオチについて、我々日本人が心から理解することは難しいのだと思います。<怪物>の造形がタコをモチーフにしているところから見ても、キリスト教圏のお話ですからね……。

<思いやり>とは、聖書の精神そのものだと語る人もいます。イエス・キリストの黄金律――時代が変わっていっても、変わることのない普遍的な考えのひとつであることは確かです。

人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。

引用:「新約聖書」マタイによる福音書7章12節

多くの日本人が考えるホラー作品に出てくる霊や怪物は、天災をモチーフにしていると言われています。人間の形をしていても、話が通じる相手ではないことが多いですよね。

そのため、成仏させようと努力をしたところで、それがまったく通じない場合もあります。天災が人の力ではどうにもできない現象であるのと同じことです。

一方で、キリスト教圏で作られたホラー作品に出てくる霊や怪物は、キリスト教圏の教えに基づいて作られています。

そのため、別の宗教を信じているというだけで異形として扱われることがあります。洗礼を受けていない人は乳児でも地獄に堕ちるわけですから、当然といえば当然ですね。

タコは悪魔のモチーフのひとつです。悪魔はもともと大天使であったとされているので、人間の話が通じる相手として描かれるのは当たり前なのかもしれません。

この作品は2時間近くを使って、キリスト教における思いやりの大切さを描いたものだった――というわけですね。だからこそ、家族間の言い争いが少なかったのかもしれません。

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

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