Netflix独占配信映画『ザ・ラストハウス』は、天変地異によって家の中に閉じ込められてしまった一家が過ごした日々を綴った物語です。

SFホラーとして見ると、粗が目立つ作品です。好意的に捉えて、楽しむ姿勢を崩さない自信がある方はどうぞ!
Netflix映画『ザ・ラストハウス』情報
| 日本公開日 | 2026年8月7日 |
| 制作国 | アメリカ |
| ジャンル | SF、ホラー、サスペンス |
| 注意書き | 13+ 暴力、言葉づかい、薬物、恐怖 |
| 上映時間 | 1時間52分 |
『ザ・ラストハウス』主なスタッフ
スタッフ
| 監督 | ルイ・ルテリエ |
| 脚本 | マシュー・ロビンソン |
『ザ・ラストハウス』あらすじ
父 ジェイソン、母 アン、13歳の長男 グレアム、8歳の長女 ルースの4人家族は、ワシントン州の一軒家に住んでいます。
家にはガタがきているのですが、失業中のジェイソンは税金を払うことすら難しい状況です。貧しさにあえぐ一家は、日々の食費も抑える努力をしています。
ある日、大きな雷雲がワシントン州を襲いました。その後、家を出ようとした一家は、家のドアや窓が一切開かなくなっていることに気付きます。
家の中に閉じ込められてしまったのは、一家だけではありませんでした。ご近所さんたちも家の中に閉じ込められていると知り、一家はどうやって暮らしていくか考え始めます。
そんな中、8歳のルースはある存在に気付きました。当初は誰も本気にしなかったのですが、その存在は確かに一家を狙っており――。
ミヅチガタリ
アメリカの作品であることと、<怪物>の造形が<悪魔>とされるタコの形をしていることから、この作品はとてもキリスト教的なものだと考えました。
神道・仏教が強い日本人が作ったSFやホラーである場合、人間を襲ってくる者は<天災>がモチーフとなっていることが多いですよね。ゴジラもそのひとつです。
日韓合作で作られた映画『オクス駅お化け』では、脚本担当が日本人でした。その製作の中で、霊的存在に<霊となった理由>と<倒す方法>とが確立されていないことが問題視されたそうです。
『富江』『貞子』『呪怨』など多くのシリーズ作品が存在するJホラーですが、呪いに対抗する方法はあっても、本体を倒す・消滅させる方法は不明なものです。
天災としての霊が問題視される一方、まったく別の問題も持ち上がることがありました。ハリウッド映画化された『ザ・リング』は、キリスト教的な改変の分かりやすい例です。
貞子にあたる<サマラ>は享年11歳ということもあり、原作小説や日本での映像化作品とは大きく違います。<美しいこと>への強い執着はなく、男性医師から性的暴行を受ける描写もありません。
キリスト教では外見の美しさにとらわれることは、よくないこととされています。また、婚前の性交渉や、子作り以外での性交渉が禁じられています。貞子は禁忌をダブルで犯しているのです。
サマラは敵対する人物でありながら、禁忌を犯した人物としては描かれません。それは今作における<雨の人>が、最終的には思いやりを持って一家を解放することにも通じます。
タコは悪魔の象徴であり、悪魔はそもそも大天使でした。思い返してみると、キリスト教的なホラー作品で酷い目に遭う人物は、大抵<思いやり>が欠けています。
<思いやり>がキリスト教における黄金律である限り、思いやりはすべてを解決する方法となるのでしょう。今後、キリスト教圏のホラー作品をご覧になる際には、思い出してくださいね。
『ザ・ラストハウス』ネタバレと感想・考察
ワシントン州の異変
この星を地球と呼ぶのはおかしい
明らかに海なのに
<市民の釣り場 第21桟橋>という看板が立てられているのは、海に突き出した桟橋です。冬が訪れる少し前の日曜日――晴れの予報を裏切り、大きな雨雲が近付いてきていました。
小物しか釣れないため、は帰宅することにします。ラジオからは、洪水や高波の恐れがあると注意が促されました。その雨が来るまでは、ごく普通の朝だったのです。
ジェイソンが家に着く頃には、雨が打ちつけてきていました。ジェイソンは、急いで11817番地の自宅へと入っていきます。
雨に降れた封書の中には、内国歳入庁からの<至急>と記されたものがありました。ジェイソンは飼い犬 キャシディ――通称 に挨拶し、寝室へと入ります。
ジェイソンの妻 アンは、寝ぼけ眼でジェイソンを迎えました。そこに子どもたちが飛び込んできます。12歳の息子 と、8歳の娘 です。
朝食を摂り始めたところ、Wi-Fiの電波が入らなくなりました。金銭的に厳しい状態に追い込まれている一家を見て、ジェイソンは責任を感じます。
煙突にもひびが入っており、明日はその修理が来る予定でした。煙突が一軒家を支える支えとなっていると知り、二人はため息をつきます。
そんな中でも、子どもたちはクリスマスツリーを買う約束を果たすよう両親に詰め寄ってきました。約束を守るように迫られたジェイソンは、家族皆で買い物に出かけようとします。
そこで、最初の異変が起こりました。家のすべてのドアと窓が、何かに押さえつけられているかのように動かなくなっているのです。電話もつながらなくなりました。
ご近所さんたち
は全力でドアを蹴り飛ばしますが、押し返されたかのように床に倒れ込んでしまいました。それでも諦めず、今度は窓を割ろうとします。
が止めるのも聞かず、ジェイソンは窓に金具を突き立てました。けれども、小さな穴が開いて周りにひびが入るだけなのです。どこで試してみても、その状況は変わりません。
ジェイソンが別の窓を割ろうとしたとき、向かいの老夫婦の家から鏡越しの光が届きました。その様子に目を奪われていると、目の前の道をご近所さんが通り過ぎていきます。
それは、グレッグの妻 スーザンでした。ジェイソンたちは必死で大声を出しますが、スーザンには届きません。しかし、自宅に着いたスーザンは異変に気付きました。
スーザンが通報してくれたからどうにかなるはず――そう思いながら、一家は昼食を摂り始めます。そしてようやく、ご近所さんはどうなっているのかと考え始めました。
老夫婦 リチャードソン家には、孫が3人います。<サイクル野郎>グレッグに、誰も名を知らない<野次馬>の男、いつも小型犬を抱えている<犬おばさん>――。
<チャンスは一海号>を持つ<ボート野郎>は、ワンナイトを過ごすはずの女性と共に閉じ込められていました。皆、外の人に事情を伝えようと工夫をしています。
<ボート野郎>とワンナイト相手は、鏡に口紅で文字を書いています。老夫婦はホワイトボードを使っていました。そこでジェイソンは、のおもちゃの黒板を手に取ります。
政府が安全のためにやっていることなのか、エイリアンの仕業か、この地域だけなのか、世界中なのか……誰も、事情を分かっている人はいませんでした。
外に出られない以上、家にあるものを食べるしかありません。ルースはドーナツを食べたがりますが、食べさせてあげることはできませんでした。
<バリア>
子供たちの前では落ち着いた態度を通していたでしたが、夜中になると不安が襲ってきます。すると、はクローゼットの奥から拳銃を取り出しました。
内緒で拳銃を買っていたことに驚き怒るアンでしたが、家族の安全を守るためと言われて納得します。そのアンが眠ったあと、ジェイソンは動き始めました。
まずは、車のキーを使って遠隔操作を行います。ライトが点いたり、トランクが開いたりするものの、大きく動かすことはできませんでした。
次に、ドリルを使って木製の扉を開こうとします。けれども、開いた穴に粘度の高い透明な液体が入り込んできて、穴をすぐに埋めてしまいました。
今度は、外に面した部屋の壁を破ってみます。床もめくってみましたが、外に出ることはできなさそうでした。人工物ではない、なんらかの<バリア>が張られているとジェイソンは考えます。
目を覚ましたアンが、ジェイソンの様子を見にきました。そして、子供たちが不安にならないよう、壁や床を隠しておくようにと告げます。
8時20分――朝になりました。やはり、ドアは開きません。すでに起きていた子供たちは、驚くほど冷静な様子で両親を迎えました。
「どうにもできないいんでしょ」
「そう。親が考える」
もも、自分たちがあせっても仕方がないと割り切っているようでした。そこでジェイソンは、子供たちに名作を学ばせようとレコードや映画のDVDを取り出します。
「朝はベッドを整える。着替える。歯を磨く」
アンは、特殊な状況にあっても普段通りに過ごすようにと、子供たちに教えました。子供たちと同じように、頭を切り替えて過ごそうと決めたのです。
デルガド組
冷蔵庫やパントリーにある食料は、2ヶ月ほど持ちそうです。電気と水、ガスはいつ止まるか分からないため、節約して使っていこうと決めました。
「<デルガド組>をやりましょ。1、2、3……<デルガド組>!」
飼い犬 は、散歩に出られなくなり不満げです。四日目となると、子供たちにも不満が広がっていました。同じところばかり勉強して、飽きてしまっているのです。
魚のワタ抜きを学ぶという体でぬいぐるみを解体するという、主導の<授業>が始まりました。釣り好きのジェイソンの得意分野です。
事情が分からないまま、一週間が経ちました。伝言ゲームで事情を尋ね回っているものの、成果は得られません。そんな中でも、は先のことを考えながら行動していました。
食材として使ったトマトの種を取っておき、いずれ種まきできるようにと工夫しているのです。ジェイソンはいつも通り、ご近所さんとの<会話>を始めます。
リチャードソン氏により5ブロック先まで質問が回ったものの、誰も何も知りませんでした。親しくなった二人は、お互いが失業中のエンジニアと、元小児歯科医だと教え合います。
リチャードソン老夫婦の家では、食料が尽きてしまったようでした。ジェイソンは二人の心配をしつつも、何もできないのでした。
そして、2週間が経ちました。いつものようにおえかきをしていたは、窓についた雨粒が勝手に動いていることに気付きます。その雨は、ルースのペンを追うように動きます。
<雨の人>
が音楽を流したり、映画を見始めたりすると、窓についた雨粒も楽しげに動きます。けれども、それを知っているのはただひとりでした。
は園芸の本を熟読し、植物育成LEDのついた装置で家庭菜園を始めます。本を読んだり、ウノで遊んだり、通告書を暖炉の火にくべてみたり……家族は思い思いに過ごしました。
そしてクリスマス当日となり、家にあるものを組み合わせた即席のツリーでお祝いします。ご近所さんたちも、電飾で部屋を飾って楽しんでいました。
そうして、1ヶ月が経ちます。その夜、おえかきをしていたは窓から外を眺めていました。そこでルースは、以前と同じように<雨の人>を見ます。
「戻ってきた。雨の人。雨のときに来る。ほら、いる」
はもちろん、ジェイソンもアンも、ルースの話を信じてくれません。食料が少なくなって貧しい食卓につく中、皆の気持ちが沈んでいるのです。
子供たちが寝静まったあと、ジェイソンとアンとは『エアフォース・ワン』を観て、星を眺めました。そこで、親としての振る舞いに対して抱える不安を、二人で分かち合います。
翌朝、子供たちは望みとは違うプレゼントを開いて微妙な表情になりました。その一方、子供たちが用意した<初めて実ったトマト>は、アンの胸を温かくします。
そんな中、向かいのリチャードソン夫人が倒れました。食料がなくなって随分経ちます。無事ではないだろうということは、皆が分かっていました。
飼い犬 が飲む薬も、最後の一回分が終わります。その夜、雷鳴が響く中、ルースは不安げに鼻を鳴らすキャスのもとへと足を運びます。
スーザンとの再会
リビングにいたの前に、髪を振り乱した女性が現れました。その女性は、左手に包丁を持って、デルガド一家の一軒家に突進してきます。
「中に入れて! 皆 死んだの! ……姿を見せちゃダメ。終わりよ、連中がいる。……助けは来ない!」
叫んでいるのは、通報しに行ってから姿を消していたご近所のスーザンでした。ひどく脅えた様子です。その後、何者かに襲われたかのようにスーザンは吹き飛ばされました。
何かがうごめいているようですが、雷雨の夜のため、はっきりとは見えません。そして、一段と強い雷鳴が響いたあと、スーザンの姿は消えていました。
「前の人は優しそうで、今の人たちと違った」
雨が意思を持って動いていることは、事実だと判明します。が言っていたことが、ようやく皆の心にも届いたのです。
<雨の人>が生きた人間を襲うことが分かったため、これからは気配を消して過ごそうと皆で決めました。特に雨が降っているときには、気を付けなければなりません。
リチャードソン夫人の顔には、白い布がかけられました。<ボート野郎>とワンナイト相手の女性とは、激しくケンカしています。
子供たちが朝の運動を始めると、煙突の笠が落ちてきました。下から覗いてみると、ぽっかりと開いた口から外が見えます。そこでは、体重が軽い自分が登ると言い出しました。
煙突に入ったひびが広がっていく中、ルースは先端へとたどり着きます。けれども、そこは金属が入り組んでおり、ルースですら片手を出すことが精一杯でした。
<怪物>との遭遇
薬がなくなってしまったため、飼い犬 の心臓は弱ってきました。キャスはぜいぜいと苦しそうに呼吸をしています。そこで、は決断を下しました。
ジェイソンは、に子供たちを任せ、リビングに行き大音量で映画を観るようにと耳打ちします。アンはすべてを理解し、耳が割れそうなほどに音量を上げました。
そんな中で、ジェイソンはキャスを射殺します。それは正しい決断だったと、アンも感じていました。けれども、その後の考えには賛同しかねたようです。
ジェイソンは、いずれ食料が完全に尽きたときのためにと、キャスの遺体をさばいて冷凍したのです。それは、ジェイソンにとってもつらい行動でした。
キャスが射殺されたと気付いてしまったを、アンが慰めます。その間、ジェイソンは肉以外の部位を暖炉にくべようとしていました。
そこに、以前やってきた黒い犬が現れます。ジェイソンは煙突を使って、キャスの遺体の一部を黒い犬の前に落としました。黒い犬は興味を持ちますが、鳴り響いた雷に驚いて去ってしまいます。
その様子を見つめていたジェイソンは、窓に手をついていました。その手の形に添って雨粒が集まっていることに、ジェイソンは初めて気付きます。
は<雨の人>がエイリアンなのかもしれないと考えました。一方、グレアムはなんらかの罰で<連中の檻>に入れられたのかもしれないとつぶやきます。
そのとき、真っ黒い雲と共に激しい雨が降り出しました。<怪物>から姿を隠そうと、家族皆でカーテンを閉め始めます。そこでルースは、大切な花の鉢を回収し忘れたことに気付きました。
カーテンを開いて花を回収したところで、窓の外に<怪物>が現れます。窓に張り付いた<怪物>は、枝のような形の何本もの腕を窓に叩きつけました。
恐怖で声を上げそうになるルースに、家族皆が<静かにしろ>と合図を送ります。ルースは震える体を縮こまらせて<怪物>が去っていくのをじっと待つのでした。
罠と栽培
3ヶ月が経ち、子供たちはどんな食事でも完食するようになりました。は我慢の限界を迎え、もっと食べさせてほしいと迫ります。
は、子供たちにも事実を伝えることを選びました。はそれを受け、冷蔵庫やキッチンの扉すべてを開きます。そこには、両手で持てるほどの食べ物しかありませんでした。
ルースはショックを受け、泣きながら子供部屋へと向かいました。は家族皆のためにと、保存されていた魚を教わった通りにさばいて両親へ見せます。
グレアムの優しさは、諦めそうになったジェイソンの心を奮い立たせました。家にあるものを組み合わせて罠を作り、庭にやってくるキツネを捕まえようと考えます。
煙突を通じて、罠を何度も仕掛けました。けれども、キツネは重すぎて回収できません。絶食続きのジェイソンを見かねて、アンは野菜と豆のプレートを持ってきました。
そこで、ジェイソンは考え方を変えます。小型の草食動物を狙うことにしたのです。その目論見は成功し、一家はリスを捕まえることに成功しました。
久しぶりに肉を食べた一家は、精力的に活動し始めます。まずは床をはがし、下にある土を用いて植物の栽培に力を入れ始めました。肥料には、家で出た糞尿を用います。
鳥を捕まえることにも成功し、食料が豊富になります。電気やガス、水が通じていることは幸いでしたが……それも遂に尽き始めました。
電気がなくとも音楽はある――は、祖母からもらったはいいものの、誰も弾いていなかったピアノに手を伸ばします。
希望と絶望
5年後――家庭菜園は大きく育ち、リビングは背の高い植物に覆われています。17歳となったの弾くピアノは、プロ並みに上達していました。
13歳になったは、今も絵を描き続けています。屋根裏の子供部屋から見える景色は一変しました。緑に覆われた都市の中、家の周りに熊や鹿も出るようになっています。
の狩りは上達し、今や自動で狩りが行われるようになりました。一家の生活が進化していく中、遂に家が沈み始めます。毎日雨が続いたため、地盤沈下しているのです。
家族が憂いに浸る中、ジェイソンは車庫にあった車を改造し、動くようにしました。7年がかりの作業です。電気もガスも水も途絶えた中、ジェイソンは希望を捨てずにいました。
一方で、成長したグレアムは現実に希望を抱けなくなっています。すべてが無駄なように思えて、荒れていました。ルースも表には出しませんが、同じように思っているのでしょう。
雨雲が近付いてきたら、カーテンを閉めて露集めをするのがルールとなりました。子供たちが反抗する中でも、そのルールは徹底されます。
ある日、<怪物>が家の中に入ってきました。<バリア>がドアノブを回したのです。一家はそれぞれ、物陰に身を隠しました。
<怪物>はタコのような姿をしています。その<怪物>は、水の中に塩を発生させる力を持っているようでした。床下に身を隠していたルースは、<怪物>が自分の上を通るのを感じます。
「リバイアサン、クラーケン、人魚……父さん、海の80%は未知の世界なんだって。エイリアンの仕業じゃないなら? こういう海の動物が実在して、雨を操ってるなら? ――ここは<雨の人>の世界。<雨の人>の家なんだよ」
は外に出たいがあまり<怪物>を追って、開いたドアから出ていこうとしました。それを留められ、グレアムは絶望したような表情になります。
両親はというと、塩によって土壌も飲み水もダメにされたことで、喧嘩を始めました。そんな中、自動狩りマシンがフェレットを捕獲します。
襲来のあとで
フェレットを自動狩りマシンから取り出したでしたが、小さすぎる獲物を食べる気にはなれません。両親は<怪物>の襲来をきっかけに怒鳴り合っています。
「目を開けて。生きてるのは煙突のひびのおかげよ。よそより幸運なだけなの。家から出る方法を見つけないと死ぬ」
楽観的なを、現実的なが打ちのめしているとき――フェレットが、ルースの指を噛んで逃げてしまいました。悲鳴を聞いた二人は、すぐ駆けつけます。
ジェイソンは部屋を見回し、葉の陰に隠れていたフェレットを発見しました。そして、いま抱えているストレスをすべてぶつけるように、フェレットの首を折ります。
止める間もなくフェレットを殺され、ルースはショックを受けました。その晩、ルースは高熱を出して寝込んでしまいます。
ルースはなんらかの菌に感染したようで、治療には抗生物質が必要でした。残りわずかな水をすべてルースに飲ませ、家族皆でルースを囲んで眠ります。
そこから抜け出したのは、ジェイソンでした。直した車に乗り込み、何度も何度もガレージの門扉へとぶつけます。それは、ほかの家族が物音に気付いて目を覚ますまで続けられました。
したたかに頭を打ちつけていたジェイソンは、に車から引きずり出されて目を覚まします。その目に映ったのは、ガレージの床に入った大きなひびでした。
頭からの流血も気にせず、ジェイソンはひびを押し広げようとします。煙突に支えられていた家は5年の間に沈んできており、その影響で<バリア>が弱まっているようでした。
「ひびをたどらないと。……離せ。やらせてくれ」
アンに何度止められても、ジェイソンは家の床をバールで叩き続けます。ついには、トイレの床が抜けて下水管が見えたのでした。
下水管を伝って
「下水管だ。近所中がつながってる。リチャードソン家にも。――抗生物質がある。行くよ」
代々歯医者をやってきたリチャードソン家には、抗生物質があるはずです。けれども下水管は細く、男性が通るには難しい様子でした。
そこで、が下水管を通る役目を担うこととなりました。自ら名乗り出たアンは、心配そうなととに見守られながら下水管へと入っていきます。
<怪物>のうなり声のような音が、遠くから響いています。子供用のカメラ付きトランシーバーを持って、アンはリチャードソン家へと進んでいきます。
リチャードソン家の地下には、レンガの壁がありました。アンが悔しまぎれにレンガを叩くと、その振動で一部のレンガがずれます。アンは勢いのままに、どんどんと壁を崩していきました。
トランシーバーの電波が不安定な中、アンはリチャードソン家へと入っていきます。遺体の口からサワガニが出てくることを始めとして、家の中は不思議な状態になっていました。
「潮の跡? 家全体が何年も浸水してたのかな」
そこに、雨が降り出します。雷鳴を聞いたは、すぐに帰宅するよう促しました。それでもアンは、抗生物質を探すことをやめません。
ベッドにかけられていた布団をめくると、そこにはクリンダサイクリンとアジスロマイシン、テトラサイクリン、ペニシリンが置いてありました。
大喜びで窓越しに抗生物質の瓶を見せるアンに、ジェイソンととが必死な形相で呼びかけます。リチャードソン家の中に<怪物>が入っていったためです。
水槽
<怪物>が迫ってくる中、海水に浸かった下水道を通っては自宅へと戻りました。うなり声を上げて襲いかかる<怪物>を撃ちながら、アンは必死に逃げ帰ります。
下水道から上がってくる<怪物>を留めるため、はトイレの壁を壊し、瓦礫で穴をふさぎました。逃げる道中で、アンは銃を落としてしまいます。
アンは持ち帰った抗生物質を寝込んでいるに飲ませました。そしてルースを除く家族3人は、いかにして<怪物>に対峙するのかを考え始めます。
窓をふさぐのをやめて、逆に<怪物>を家の中に呼び込み、罠にかける作戦を立てました。ジェイソンの得意な<釣り>を用いて、<怪物>と戦うことを決めたのです。
ベッドから起きられるようになったルースを含めて、家族4人で準備を始めました。は<怪物>を追い、ルースはロープを引いて罠を作動させます。
アンがおびき寄せたところに、ジェイソンが銛の先を撃ち込むのです。そして<怪物>を巻き上げて家に拘束し、あとは家族が悠々と家を出ればいいのです。
準備が終わるのを待っていたかのように、雷雨が訪れました。家の中にいた家族を襲うかのように、いたるところから水が噴き出します。
<バリア>によって封じられた家の中は、水槽のように海水に満たされました。胸まで水に浸かりながら、ジェイソンは<怪物>に向かってアーチェリー銃を向けます。
海水に浸かったアーチェリー銃が撃てなくなってしまったため、アンが<怪物>に火をつけることになりました。体に火をつけられた<怪物>は怒り狂い、アンやジェイソンを襲います。
水位が上がったため、もう1階にはいられません。全員で屋根裏に逃げようとしたとき、が足を止めました。グレアムは、ジェイソンが放棄したアーチェリー銃を回収すると言い出します。
赦し
は1階の海水の中に飛び込み、天井まで数センチの空気の層で呼吸を整えます。そしてアーチェリー銃と、狙いをはずした銛とを回収しました。
2階の床を抜いて、家族3人がグレアムへと手を伸ばします。すんでのところで<怪物>の触手から逃げ切ったグレアムを連れ、家族全員で屋根裏部屋へと急ぎました。
けれども、怒り狂った<怪物>と呼応するかのように、海水がどんどん流れ込んできます。ついには屋根裏部屋も水に浸かり、一家は潜ったまま戦うこととなりました。
銛を再び装填したため、家そのものを仕掛けとした罠を発動できる状態にあります。は集中を高め、<怪物>へと銛を放ちました。
銛はしっかりと<怪物>に刺さり、罠が動き始めます。すると<怪物>が危機を迎えたのと同時に、家の中から海水が抜けていきました。その勢いは凄まじく、皆が流されていきます。
水が引いたら、ドアを開けて外に出る計画でした。けれども<バリア>は解けておらず、ドアはびくともしないのです。ジェイソンはナイフを持ち<怪物>へと突きつけました。
そのとき、が<怪物>を殺さないよう訴えます。かつてルースが<雨の人>――<怪物>が攻撃的な者ばかりでないと言っていたことを、ジェイソンは思い出しました。
何より<バリア>を解く能力を持つのは<怪物>のみです。ジェイソンは一縷の望みをかけて、<怪物>に巻きついたワイヤーを切りました。
自由の身となった<怪物>は、家のドアを開きます。そこから出た一家を、4体の<怪物>が取り囲みました。絶体絶命の危機に陥った一家の背後で、家に侵入した<怪物>が叫びます。
その声に応えるかのように、4体の<怪物>が家の中へと入っていきました。そのとき、家が崩れ始めます。もともと地盤沈下していたところに長雨が降り、地面はゆるくなっていました。
谷底のような深い穴の中へと、家は崩れ落ちていきます。家の中へと入っていった<怪物>たちも同様に、落ちていったのでしょう。
「あの雨がやんだ日の記憶を、皆忘れない。火曜日で、まだ夏ではなかった。何年かぶりに、うちの家族が希望を感じた。結局、思いやりが解放の決め手だった。私たちの思いやりに<雨の人>も応えた。その後、二度と見ないけど、きっといる。<雨の人>の家でもあるの」
<ボート野郎>の船を用いて、生き残った人を探す旅が始まりました。明るい表情を取り戻した一家は、新たな<1日目>を迎えたのです。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。


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