ドラマ『恐怖の劇場』はNetflixにて2019年からシーズン1が独占配信されている作品です。
台湾の出版社「鏡文学」の短編小説を原案としており、シーズン1では30分程度の短編SFスリラーが7話公開されています。
この記事ではNetflixオリジナルドラマ『恐怖の劇場』シーズン1「ひき逃げ」のネタバレ、解説と考察を行っています。

「ひき逃げ」には、アニメ好きには馴染み深いSFのある設定が出てきます!
「ひき逃げ」のネタバレあらすじ
大学事務員のシェンヤンは、ある夜の帰り道に女子学生フーが運転する車にひかれ、亡くなってしまいます。
ふと気が付いたシェンヤンは、事故の前に戻っていました。全く同じことを繰り返したシェンヤンは、時間がループしていることに気付きます。
実は、加害者であるフーもループを繰り返していました。そんなフーは、過去に事故から生き延びたことで、自責の念を抱いていました。
シェンヤンは「身代わりの魂を探せ」という怪しげなサイトが気にかかりながらも、自分とフーが事故が起きる23:50を超えられる方法を探します。
フーの自殺をシェンヤンが止めなかったことで、23:52を迎えました。しかし、その瞬間時計は巻き戻り、またシェンヤンは事故の前へと戻るのでした――。
『恐怖の劇場』シーズン1「ひき逃げ」
23:50
23:50――シルバーの車が横断歩道を歩いている男をひいてしまい、男が死んだことを確認した運転手は車に戻って逃げていきました。
もう一度、23:50
大学の事務員をしている男・シェンヤンは、同僚男性から昨日買ったタピオカミルクティーをもらい、可愛らしい女子学生を見てはしゃいでいました。
2人揃ってはしゃいでいたところ、机の上に置いてあったタピオカミルクティーを倒してしまい、シェンヤンのスマホがびしょ濡れになってしまいます。
その夜の帰り道、シェンヤンが横断歩道を渡っている時、急に突っ込んできたシルバーの車にはね飛ばされてしまいました。
車から降りてきた若い女は震える手でシェンヤンの様子を確かめ、耳からも口からもドロリと血が流れていることを確認します。
23:50のことでした。
まだ息があったシェンヤンは、ピンクのアンクレットを巻いた白いスニーカーの女が走り去り、車に乗り込んで逃げて行く音を聞きます。
3回目
フッと気が付いたシェンヤンは、自分が事務室にいることに気付きます。同僚からもらったタピオカミルクティーはまだ倒れていません。
ふとパソコンの画面を見ると「身代わりの魂を探せ」と書いてあります。そこに、可愛らしい女子学生とその連れがやってきました。
去って行く可愛らしい女子学生の足元を見たシェンヤンは、その女子学生がピンクのアンクレットをつけていることに気付きます。
同僚は「今の子、お前のタイプだな」とからかいますが、男は気にせず、レポートに書かれている女子学生の名前を確認しました。
女子学生がフー・リンジャという名前だと確認したシェンヤンは、同僚に腕を引っ張られてタピオカミルクティーをこぼしてしまいます。
直後にかかってきた母親からの電話も、言い争いをするカップルも、見知らぬ男女がぶつかって口論になるのも、ランニングする女性を見つけるのも……全て、先程見た景色でした。
恐ろしくなったシェンヤンは別の道を通ろうとしますが、映画の撮影や道路工事により、別の道は全て封鎖されていました。
シェンヤンは夢で見た交差点に差しかかりました。ビクビクしながら横断歩道を渡る男は、思っていたよりも数秒遅く、車に跳ね飛ばされます。
やはり、シェンヤンをひいたのはフーでした。そのフーは、事故現場から逃げていく際に、他の事故を起こしてしまったのでした――。
4回目
また事務室で目を覚ましたシェンヤンは、荷物を持って事務室を出ると、レポートを出しに来た可愛らしい女子学生フーを連れ出しました。
そしてシェンヤンは、フーに「同じ時間を繰り返している」と明かします。フーを信じさせるため、シェンヤンは近い未来に起こることを予言します。
フーは「なぜ私だと?」と、加害者がフーだと分かった理由をシェンヤンに尋ねました。
ピンクのアンクレットを見たと打ち明けたシェンヤンに、フーもある事実を打ち明けます。フーもあの事故の直後に死んで、同じ時間を繰り返しているのでした。
飲酒運転のために見た夢なのではないかと考えたフーでしたが、同じ時間を繰り返す内に夢ではないと分かりました。
実は昔、炎上する車の中にいたフーのことを、シェンヤンが救出したことがありました。それを知ったフーは、本来自分は死ぬはずだったと考えるようになります。
フーが飲酒運転をしたのは1回目と2回目だけで、3回目と4回目はお酒を飲みませんでした。それでもまた、事故を起こしてしまったのです。
自分が死ぬしかないのだと思い詰めるフーに、シェンヤンは「可能な限りのシナリオを試してみよう」と優しく諭しました。
フーのメンタルは限界に近いようで、シェンヤンの車で家に送られている間もぼんやりとしていました。そして、話をしながら寝てしまいます。
23:49――シェンヤンの運転する車は、あの交差点に差しかかりました。何かとぶつかった感覚がして、シェンヤンは車を降ります。
シェンヤンが停めた車の下を覗き込んでいる時、その背後から車が近付いてきました。驚いて振り返るシェンヤンの目前に車が迫り――。
5回目
シェンヤンは事務室で目を覚ましました。そして、パソコンにある「身代わりの魂を探せ」という言葉を目にします。
同僚男性は「死んでも身代わりを探せば生き返るが、身代わりがいなければ同じ時間を繰り返す」という意味ではないかと推測しました。
またフーが事務室に来るはずだと考えたシェンヤンでしたが、フーは全てを諦め、自分の車で単独事故を起こそうと考えていました。
シェンヤンの「交差点に近付かなければいい」という説得を振り払うように車を発進させたフーを、シェンヤンはバイクで追いかけました。
渋滞に引っかかって動けなくなった車から、フーは降りてきました。そして、車が往来している車道を歩き始めます。
フーは2回目の時、身代わりの魂はシェンヤンだと考え、わざとひき殺したことを打ち明けます。そして、そんな自分に嫌気が差した様子でした。
シェンヤンとフーが言い争っていると、そこに同僚男性が現れました。車が迫る中、シェンヤンはフーを守るか、同僚男性を守るか迷います。
シェンヤンが同僚男性を守ったため、フーは車にひかれてしまいました。倒れたフーの元に歩み寄ったシェンヤンは、23:51になったことを確認しました。
そして6回目へ
しかし、23:52を指した時計は少しずつ巻き戻っていきます――。そして事務室へと戻ってきたシェンヤンは、怪しげなサイトをダブルクリックするのでした。
次の画面には「身代わりの魂を探せ」というメッセージが出てくる、あのサイトを……。
解説と考察

解決しないんかーーーーい!!
5回目、フーの「自分は死ぬべきだったんだ」という考えに影響されたのか、シェンヤンはフーを見捨てるという判断をしました。
しかし、23:52にまで進んだ時計は、無情にも巻き戻ってしまいます……。
ループを抜け出すヒントは「身代わり」
やはりヒントとなるのは「身代わりの魂を探せ」というメッセージなのでしょう。フーとシェンヤンはおそらく、両者共に生き残る必要があるのです。
ただし死者が出るイベントは必ず発生します。おまけに、シェンヤンとフーは23:50には交差点にいなければならないようです。
つまり、23:50にあの交差点にいるシェンヤンとフーは、自分以外の誰かがそこで亡くなるように仕向けることで、ループから抜け出せるということになります。
「身代わり」になるのは誰?
ここで面白いのが、フーの身代わりになりそうな若い女性も、シェンヤンの身代わりになりそうな若い男も、ループの中に出てきている点です。
フーの友達である女子学生と、シェンヤンの同僚男性こそが、2人の身代わりの魂なのでしょう。
5回目にして、シェンヤンの同僚男性を事故現場に導くことができました。もうひとり、フーの友達を連れてきて、2人を事故に遭わせれば、このループは終わります。
しかし、それを実行するためには、シェンヤンもフーも、今持っている倫理観を捨てなければならないでしょう。

あのサイトは何なのでしょう……? フーもあのサイトを見ているようですし、人の倫理観を弄んで楽しむ何者かの存在を感じますね。
※トップ画像はNetflixから引用いたしました。
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