Netflixドラマ『子供はあなたの所有物じゃない』ネタバレ感想「ADHDは必須」

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ミヅチ
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この記事は、Netflixオリジナルの台湾ドラマ『子供はあなたの所有物じゃない』(原題:你的孩子不是你的孩子)「ADHDは必須」のネタバレと考察、感想です。

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主な登場人物とキャスト

母ヤン・ホワン/楊鵑(エルシー・イェ/葉全真)
ヤン・ルオワ/楊若娃(フランシス・ウー/呉兆絃)
シュウ先生/玲娜(ティン・イェティン/丁也恬)
キズン・ジョー/周啟正(阿正)(リン・ファンジュン/林煥鈞)

ここから先はネタバレがあります!

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あらすじ

現代より少し進んだ未来――政府はクローンで子作りすることを全面的に認め、優秀な子の親には豪邸に住む特典を与えるようになっていました。

母親たちは胎芽を子宮に植え、優秀な子を育てるために努力します。子供たちは10歳から3年毎に資格試験を受けていきます。

ヤン・ホワンは満点を取り続けた亡き息子ルオジェを育てた母として、都心住宅に住む母親たちの羨望の的です。

しかしホワンには悩みがあります。第2子の娘ルオワの点数が伸びず、最初に取った60点からどんどん下がっていく一方なのです。

そんな中、国家的な問題が発生していました。資格試験の後に長期間の眠りにつく子どもが増えているのです。

ハー・イーシェン医師は国家の教育方針に異を唱えて自由な育て方を推進しますが、反逆者として処刑されてしまいました。

ある日、ルオワはハー医師の母親から木製のキーホルダーがついた古びた鍵をもらいます。

その後も、ルオワの前にハー医師の母親は現れます。二度目は、ルオワが資格試験を避けるためADHDを演じた後でした。

ルオワはハー医師の母親から基準以下の子は抹消されると聞き、母ホワンの言う通りにADHDを演じることはやめました。

しかしルオワは点数を伸ばすことができず、同級生男子のキズンを頼って基準以下の子を救っているシュウ先生のもとへ行きました。

シュウ先生はハー医師の母親でした。救われたかに見えたルオワでしたが、才能豊かな子たちを見て、シュウ先生のもとから自宅へ戻ります。

ルオワは自分が抹消対象だと知っており、かつ成績を落とし続けると母ホワンの人生まで終わらせてしまうと知ってしまます。

そこでルオワは自殺未遂をしました。愛する母ホワンが次の子を育てられるように、ルオワは胎芽に問題があったと政府に思わせたのです。

ホワンは次の胎芽を植えられます。ふたりの子を喪ったホワンは悲劇の母として、憧れられる立場を取り戻していました

しかしホワンは少しだけ変わっていました。優秀な母親というだけでなく、点数が悪く眠り続ける子を気にかけるようになったのです……。

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ミヅチガタリ

クローンが認められた社会の話なので、『子供はあなたの所有物じゃない』全5話の中で一番SF感が強いかもしれませんね。

しかしクローンとはいえ、優秀な人の遺伝子を使った胎芽から優秀な子が産まれるとは限りません

ホワンの第1子である息子ルオジェは満点ばかりを取る優秀な子でしたが、その一方で木工の趣味を持っていました。

木工のような頭も手も使う趣味ならば、息抜きとしてちょうどいいのでは……と思いますが、この社会ではそうもいきません。

大工となるのは、資格試験で40点台しか取れない長屋区域の住民です。大工は卑しい仕事と位置づけられているのです。

大工になる夢を否定され、大工道具を捨てられ、いい点数を取ることだけが自分の価値だと知ったルオジェは自殺しました。

第2子の娘ルオワは、逆にいい点が取れない子でした。母ホワンからのプレッシャーでじわじわと精神が追い詰められていきます。

さらに他の才能も持たないルオワは、他の世界に救いを求めることもできません。ただホワンの愛だけがルオワの存在理由なのです。

ADHDを演じ切ることもできず、成績を伸ばすこともできず、他の世界にも逃げられなかったルオワができることはひとつしかありませんでした。

ルオワは、妄想癖があり暴れる特性や自殺衝動を持つ人を演じたのです。それは、ルオワ一世一代の大芝居でした。

ルオワは母ホワンがこれからも金メダリストの母親として羨まれる地位に就き、都心の豪邸に住み続ける未来を、自身の命の代わりに手に入れたのです。

しかし、そもそもルオジェもルオワも母ホワンのクローンです。ホワンは、出来損ないの自分のコピーの死に痛みを覚えませんでした。

クローンでも産まれてきたからには尊い命――という考えは、この国家にはありません。出来損ないは人間として認めないのです。

出来損ないにならないために踏ん張る都心の人々と、ギリギリで抹消を免れた長屋の人々は、まるで別の国の人間のようです。

この世界を別の国の問題を反映したものと思って他人事のように見られるか、自分のこととして見てしまうかは人によるのでしょうね……。

詳細なネタバレはこの下です!

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子供はあなたの所有物じゃない – ADHDは必須

ある女性――ヤン・ホワンが産科で胎芽を移す治療を受けます。無事に子宮の中に胎芽が入り、女性は胎芽を育てるガイドラインを受け取りました。

「この世界へようこそ」――ホワンはガイドラインを胸に抱き締め、体の中に息づく子どもへと声をかけました。

優秀な母親ホワン

都心住宅カードの授賞式が行われています。95点以上を取る子どもの母親たちが壇上に並び、ガラスの盾を誇らしげに掲げます。

授賞式の後、講演が行われました。「奇跡のルオジェ」の母であるホワンが呼ばれ、母親たちはスタンディングオベーションをします。

別の場所では男性たちが病室を覗き込み、世界に131の症例があり、目覚めた者のいない病気について語っています。

その頃、壇上のホワンはルオジェを偲ぶ講演を始めていました。ホワンはルオジェを金メダリストに育て上げた優秀な母親です。

男性たちのところに、もう一人の男が飛び込んできました。男は過眠症患者たちについて、諦め症候群が出たと語ります。

過眠症患者による諦め症候群は、絶望の表現手段なのだと男は語ります。その一方で、ホワンは力強く語っていました。

「男性は社会の演出家です。そして女性は、次世代を育む強力な力です」胎芽から優秀な子を育て上げたホワンは注目の的でした。

男――ハー医師は周囲の男性たちから、最低基準点を下回った子は処分される予定だという話はデマだと強く訂正されます。

基準点を下回る子は国家が資金援助するのだと、ハー医師は教えられます。そして、基準以下の子は起きる必要がないと言われました。

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ひとつのテスト

ハー医師は「人の価値を一つのテストで決めるべきじゃない」と語気を荒げますが、それは周囲に理解されませんでした。

ホワンは「満点の秘訣は献身的な愛です」と語り、15歳で受ける資格試験で不合格ならば18歳の資格試験に挑もうと訴えかけます。

ハー医師は「試験は意味がない」と語る一方、ホワンは家族が都心住宅に戻るために献身的に努力せよと母親たちに話します。

「教育は社会の流動性を奨励する。母親万歳!」ホワンが唱えたスローガンに、集まった母親やその家族たちが続きました。

ホワンはルオジェの次に女の子ルオワを胎芽から育てていますが、ルオワの点数については口を閉ざすのでした。

ホワンが娘ルオワと共に歩いていると、銃を持った男たちに厳しく指示されながら先を急ぐ若者たちがやってきました。

そこに中年女性がやってきて、若者たちの顔を一人ずつ確認していきます。そしてその母親は「処分されるのよ! 逃げて!」と叫びました。

中年の男女が若者たちの手を取って、屋外を目指して駆け出します。ホワンとルオワは抱き合って、脅えていました。

『遠い笛の音が空の秘密を明らかにする。貴方は望んで子供になった』『あなたが最も信頼されるべき人間だ』

施設の壁には、大きな文字でそう記されています。――騒動が収まったところで、ルオワは床に落としたスカーフを拾い上げます。

そしてルオワはスカーフを洗うためにお手洗いに向かいました。ホワンとは、プラットフォームで待ち合わせをすることにして……。

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ハー・イーシェンの処刑

お手洗いでルオワは見知らぬ老女に話しかけられます。老女はルオワの兄ルオジェを知っていると語りました。

そして老女はルオワにお守りと言って木のキーホルダーがついた古びた鍵を渡してきました。

呼び止めるルオワに、老女は「助言するわ。従順過ぎないこと」と言って去って行きました。

ルオワは母ホワンにお手洗いで起きたことを報告しようとしますが、ホワンはニュース映像に食い入っていました。

昨年摘発された元医師のハー・イーシェンが組織したグループについてのニュースです。

ハー医師は自由に才能を発達させる組織を作り、国家の治安制度を汚したとして処刑されていました。

その中で、ハー医師の母親も紹介されます。国で初めて金メダルを受賞した母親でしたが、息子を止められなかったと……。

その映像を見たルオワは、鍵を渡してきた老女がハー医師の母親であることに気付きました。

ルオワは教育制度を破壊しようとして処刑されたハー医師の母親と接触したことをホワンに言うことはできず、隠すのでした。

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長屋区域

1997年7月5日、羊のドリーが産まれました。クローンとして産まれた羊は非難の的でしたが、今やクローンは当たり前の存在です。

ルオワの成績はどんどん下がっています。母ホワンは勉強時間を増やそうとしますが、家庭教師は学習能力が弱いから無駄だと答えました。

ルオジェは常に満点だったのでホワンが胸につけたメダルのライトは5つ全て光っていましたが、ひとつ消えてしまいます。

ルオワは中学資格試験で30点しか取れていないためです。危機感を覚えたホワンは、ルオワに現実を見せることにしました。

ルオワの模擬試験と同じ30点台を取った大人は、廃棄物の処理などの肉体労働をして生きていくことになります。

ルオワは自分は女だからと言い逃れますが、それでも都心住宅からは追い出され、長屋区域に移されるのだとホワンは語りました。

ルオワは自分が優秀な子どもを産めば都心に戻れると反抗しますが、一度堕ちたら戻れないのだとホワンは冷たく言い放つのでした。

ルオワは紙ごみ置き場の山を登っていきます。そこから見える景色は都心とは全く違うもので、ルオワは思わずしゃがみ込みました。

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ルオワはADHD

ホワンはメダルから光が消えつつあることを気にして、他人からメダルが見えないようスカーフで隠しています。

しかしホワンを知る人に、メダルの光がひとつ消えていることを知られてしまいました。ホワンは言い訳しながら帰宅します。

ホワンがマンションに戻ると、都心住宅から長屋区域に移されることに反抗する母親を見つけました。

必死で抵抗する母親と、無気力な息子は対照的でした。15年豪邸に住んでいても、子の出来が悪ければ長屋に移されるのです。

自宅に戻ったホワンは、娘ルオワの学習状況を確かめるために教室の監視カメラ映像を見つめます。

するとその時、ホワンの胸のメダルの5つのランプから、またひとつ光が消えました。

ルオワはRNAとDNAの違いについて学んでいました。しかしルオワはもう、やる気など持っていませんでした。

ルオワはわざとに大きな音を立て、クラスメイトの学習の邪魔をします。そしてルオワはADHDだと診断されました。

ルオワがADHD――注意欠陥多動性障害だと聞かされたホワンは、以前はそんな行動はしなかったのだと医師に語ります。

しかしその間もルオワはせわしなく動き回っており、ついには部屋を出て行ってしまうのでした。

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資格試験のために

医師は、成長期のAHDHはうつ病に変わってしまう恐れがあるといい、自傷行為に注意するようホワンに告げました。

学校に戻ったルオワですが、掃除の時間も妙な行動が目立ちます。モップを振り回し、担任の足にぶつけて謝りもしないのです。

担任に暴力を振るわれたと大騒ぎしたルオワは、ベランダの手すりに行くと、足をかけて下に落ちようとします。

母ホワンの説得や同級生男子に心配されたのもあり、ルオワはベランダに引きずり下ろされました。

帰宅したルオワに、ホワンは「今日はよくやったわ」と微笑みます。ルオワはホワンの指示で、ADHDを演じているのです。

ADHDだと診断が下れば、資格試験を受けなくていいのです。それは勉強が苦手なルオワにとって喜ばしいことでした。

ごはんを食べているルオワに、ホワンはカッターナイフを渡します。同級生からの誕生日プレゼントを切り裂けと言うのです。

ルオワは好意を無下にすることを嫌がります。しかしホワンは、症状が6ヶ月続いていないと診断は下されないのだと語りました。

ルオワを助けた同級生男子のキズン・ジョーと、ルオワが誕生日プレゼントをもらいました。

ルオワはプレゼントを開けるよう急かされ、迷った末に握っていたカッターナイフを机に置いてしまいました。

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古びた鍵

教室の様子を映像で見ていたホワンは、娘ルオワが指示通りにカッターでプレゼントを切り裂かなかったことに失望します。

ルオワの同級生男子キズンは、金メダルの母親だと大変だろうとルオワを労います。

奇跡と呼ばれた兄ルオジェと違ってバカなのだと、ルオワは自分を卑下します。しかしキズンは「君はいい人だ」と微笑むのでした。

帰宅したルオワは、がっかりした様子のホワンに責められます。そこでルオワは、ADHDのふりをするのは嫌だという気持ちを伝えました。

しかしルオワが今まで取った最高点は60点で、現在まで落ちていく一方です。家庭教師を雇っても意味がありませんでした。

ルオワは15歳の試験がだめでも18歳の試験があると言いましたが、ホワンは「死んだ方がまし」とルオワを遮ります。

ルオワには、資格試験で90点以上を取るか、ADHDのふりをして資格試験から逃げ続けるかの2択しかないのです。

夜中に勉強していたルオワは、式典の日にハー医師の母親からもらった古びた鍵を見つけてホワンの部屋に向かいました。

ホワンはハー医師の母が持っていた鍵に見覚えがあるようで「どこでそれを?」と口走ります。

しかし、ホワンはそれ以上語りませんでした。ルオワから鍵を預かり、早く寝るようにとルオワを遠ざけます。

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胎芽 309875

死刑囚だったハー医師の母親が持っていたのは、亡きルオジェが母ホワンに渡したツリーハウスの鍵でした。

夜中に鍵をもらったホワンは少しだけ喜びますが、欲しいのは金メダルだけだと言って鍵をルオジェに返していたのです。

その時の夢を見たホワンは涙を拭い、いつもと同じ朝を迎えました。そしてルオワにADHDのふりをしなくてもいいと語ります。

しかし、もし6ヶ月の間に成績が伸びなければ再びADHDのふりをしてもらうと約束をして、母娘ふたりで頑張ることにしました。

ルオワはがむしゃらに勉強し、ホワンも寝る時間を削ってルオワに協力します。

ある日、ルオワは閉館時間まで図書室に残っていました。そして帰宅しようとした時、またしてもハー医師の母親と出会います。

「ADHDなの?」まるで真実を見透かしているかのように、ハー医師の母親は尋ねます。そして、恐ろしい事実を口にしました。

ADHDと診断された子は、治療など受けられません。胎芽の欠陥として推進プログラムに入れられるのです。

その頃、ホワンは「胎芽 309875」の資格試験が20点以下だったという結果報告を読んでいました。

「胎芽には深刻な欠陥があり、調整も治療も不可能」と記されています。ホワンは冷静にその報告を読み続けます。

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ルオジェの真実

死刑囚だったハー医師の母親が語るところによると、推進プログラムとは勉強をするためのものではありません。

「推進プログラムは――国家が不適合とする人間を抹消するの」社会の資源を無駄遣いする欠陥品を消すのが国家の方針なのです。

「ルオジェのようになって欲しくないの。ホワンに殺される」その言葉に対し、兄ルオジェは交通事故で死んだのだとルオワは言い張ります。

そんなルオワに、ハー医師の母親はルオジェの死は自殺によるものだと告げました。ルオワは息を呑みます。

帰宅したルオワは「奇跡のルオジェ」と検索します。すると、ルオジェがトラックにはねられて死んだという記事が出てきました。

トラックの運転手は最初ルオジェをはねたことを否定したのに、後から罪を認めていました。ルオワは違和感を覚えます。

ルオワは長屋区域に行き、加害者であるジョ・ファングオを訪ねました。ファングオはルオワを鬱陶しそうに見つめます。

「君のお母さんに騙されたんだ」とファングオは語ります。ホワンは、模範的母親になる秘訣を教えると持ちかけたのです。

しかし秘訣を教わったファングオの母が真似したところで、ファングオの家族たちは長屋区域から出て行くことはできませんでした。

ファングオは資格試験で38点しか取れないまま長屋で暮らし、ある日突然飛び込んできたルオジェをはねてしまったのです。

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キズンの生き方

ルオワは学校に行っても、タブレットをつけることすらできません。知ってしまった真実に涙を浮かべるだけでした。

ルオワが授業を受けないことで、母ホワンの胸にあるメダルからはどんどん光が消えていき、ついに2つにまで減りました。

授業が終わった後、ルオワは同級生男子のキズンに話しかけます。推進プログラムについて何か知っているかと……。

キズンは少し考え込んだ後、何も知らないと語りました。そこでルオワは胎芽ガイドラインに書いてあったことを語ります。

するとキズンは即座にルオワを止めました。違法だからです。しかしキズンはADHDが欠陥だとは知りませんでした。

そして、ADHDが抹消対象なのだとしたらホワンがルオワにADHDのふりをさせることは不可解だとキズンは言います。

ついにホワンのメダルの光が全て消えました。ホワンはルオワが親しげに話していたキズンが気になり、長屋区域に入っていきます。

キズンの母親は、都心住宅に住む人の格好をしているホワンをいぶかしげに見つめ、子どもを縛る方針に反対しました。

そこにやってきたキズンは、ルオワが自身を失くしているのはホワンの教育方針のせいなのだと訴えました。

しかし、ホワンにとって国家の反逆者である亡き父親を敬いながら生きているキズンの言うことなど聞く必要がないものなのでした……。

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希望の森

ルオワは、母ホワンの外出したタイミングで「胎芽 309875」の報告書を読みます。

「胎芽には深刻な欠陥があり、家庭環境では調整も治療も不可能である」――その一文は、推進プログラムに行くことを示していました。

ルオワは冷たい目で見つめてくるホワンに恐れをなし、キズンの家へと向かいました。

キズンの母親は、シュウという先生がやっている秘密の教室へとルオワを連れて行きました。

15歳と18歳の資格試験で20点以下を取った子は国家によって抹消されるため、それを防ぐためにシュウ先生は教室を開いたのです。

ルオワは、もし抹消対象になったら母親にも罰が下るのかとキズンの母親に問います。

もし胎芽の欠陥が原因であれば新しい胎芽をもらえるけれど、成績が原因なら母親は新しい胎芽をもらえず人生が終わると、キズンの母親は語りました。

ルオワは思い出します。兄ルオジェをひき殺したファングオは、瀕死のルオジェが「ありがとう」と言っていたと教えてくれたのです。

ルオワは倒れてしまいます。目を覚ますと、そこは見たこともない森の中でした。

そこには同じくらいの年頃の子どもたちがいて、楽しそうに自給自足の生活を送っていました。

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持つ者 持たざる者

そこにはシュウ先生――死刑囚ハー医師の母親がいました。そして、子どもたちは抹消対象となった者だと教えてくれます。

政府は、発作性睡眠が諦め症候群の兆候なのだというハー医師の主張を認めませんでした。

ハー医師は長くうつ病でしたが「奇跡のルオジェ」が死んだことで、社会を変えなければならないと立ち上がったのです。

「この社会の人々の人生には希望がない。成績は関係ない。行かせてくれ。やらせてくれ」

最後には死刑に処されてしまうハー医師ですが、その志は母であるシュウ先生に引き継がれ、今も続いていたのです。

駅で処刑されそうになっていた女の子も森の中にいました。キズンは、シュウ先生に言われてルオワの住処も用意してくれていました。

そこには、クジャクにとり憑かれた巧藝や、リモコンで母親に人生を操られていたペイウェイとその彼女のランもいます。

失敗してばかりのルオワは、皆ができることができない自分にいらだっていました。

キズンは初めてだから仕方ないと励ましますが、ルオワは森にやってきて気付いてしまったのです。

何の才能も持たない自分は、どちらの世界にもいられない。自分ができることは、勇気を持つことだけなのだと……。

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母娘の決断

帰宅したルオワは、母ホワンに髪を結んでほしいとねだります。ホワンは、洞窟を抜けてボサボサになったルオワの髪をとかし始めます。

ホワンはいつもピンクのスカーフを巻いています。それは願掛けのようなもので、ルオワがいい成績を取るのを願ってのことでした。

ルオワは立ち上がって謝りますが、ホワンはもう悟っていました。努力してもできないことはあるのだと、最初から間違っていたのだと……。

兄ルオジェの時のように、満点を取らせてほしいとルオワは必死で訴えます。しかしホワンは、ただ髪をすくだけです。

ルオワのポニーテールを仕上げたホワンは、いつもルオワの身だしなみを整えてきたと過去を振り返ります。

「ママ、私を愛してる?」ルオワの問いに、ホワンは抱き締めることで答えました。

ルオワは服を着たままシャワールームに入り、泣きながらシャワーを浴びます。ルオワは嗚咽を漏らしながら泣き続けました。

ルオワは濡れたままシャワールームから出ると、床を這いながら手を伸ばします。しかし、その途中で倒れてしまいました。

誰もいないリビングでは、ロボット掃除機だけが動いています。そこには、ホワンの姿はありませんでした。

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人生で一番

ルオワは一酸化中毒で倒れました。搬送されたルオワは、周りの男性たちからの問いに訳も分からず答えます。

問題に答えられなかった時、ADHDのふりをしろと言われた時――。男性たちはわめき散らすルオワに戸惑います。

「新しい子供を育てるためにママは私を消したいの」ルオワは必死で抹消されたくないと訴えます。

母ホワンはルオワを黙らせようとしますが、命の危機を感じているルオワは騒ぎ続けました。

ルオワの様子を見た男性たちは、政府に報告するとホワンに告げました。そこでホワンは、一筋の涙を流します。

欠陥胎芽 309875、妄想癖診断確認済み。抹消処分――ルオワはベッドに乗せられ、どこかへと連れて行かれます。

「ママでいて。これまでで一番賢いことをしたのよ」ルオワは必死でホワンに訴えましたが、抹消処分は免れませんでした。

ルオワは思い出します。ルオワに「愛してる」と言われたホワンは「充分よ」と返していたのです。

ルオワは、新しい胎芽をホワンに与えるため、成績が悪いのではなく胎芽の状態が悪かったのだという診断を手繰り寄せたのです。

ルオワにとって、最初で最後の親孝行でした。ルオワは自身の言葉通り、人生で一番賢く振る舞ったのです……。

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ふたりの母親

新しい胎芽を授かったホワンでしたが、目を覚ますと見たことのない洞窟の中にいました。

そこにハー医師の母親であるシュウ先生が現れます。「ホワン・ヤン! あなたのせいでルオワは殺された。あなたも罰を受けるべきでしょ?」

ホワンは目を丸くします。遅かれ早かれ抹消されていただろうと語るホワンに、シュウ先生は食い下がります。

自分の評判のためにルオワに死を選ばせたのだろうと突き付けられても、ホワンは反省の色など微塵も見せません。

シュウ先生は、衝撃の事実を告げます。ホワンの胎内に植えられた胎芽は、移民労働者のものなのです。

それでは学業成績がよくなるはずがありません。ホワンは嘘だろうと言いますが、シュウ先生は「答えは15年後に出る」と言いました。

15年後に絶望の結果と向き合うのが嫌ならば、子どもが産まれる8ヶ月後までの間に、子どもの自由な才能発達を推奨してもいい――。

しかしホワンには、シュウ先生の言葉を聞き入れる気などありません。それでもシュウ先生は折れませんでした。

そんなシュウ先生に、抵抗グループを率いていたシュウ先生の息子ハー医師のやり方は間違っていたとホワンは告げます。

欠陥のある虫けらを救うのではなく、国家の役に立つ質のいい胎芽から産まれる欠陥のない子どもを増やすべきだったと……。

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金メダリストの母

ホワンは政府に逆らう抵抗グループになど未来はないと強気で語りつつも、お腹の中の子に対して不安を感じていました。

それでも今、ホワンの胸には5つのランプがきらめいています。そして都心住宅へと戻ったホワンは、子守歌を口ずさみます。

ホワンは優秀な母親としての地位を失っていませんでした。さらに、2人の子どもを喪った悲劇の母親としての側面も持ち合わせています。

ホワンは思い出します。優秀だった第1子ルオジェは、木工を趣味にしていました。しかしホワンは勝手に大工道具を捨てます。

大工は資格試験で40点台の人が就く仕事なのです。ホワンは、ルオジェに医師になってほしいと願っていました。

ホワンは興味の対象はすぐに変わると言い、ルオジェの意思を無視しました。国家の制度よりも重要なものなのないのだと……。

その頃、洞窟を抜けた森にある抵抗グループの住処には国家の軍が突入していました。子どもたちは皆捕らわれてしまいます。

キズンの母は息子が捕らわれて肩を落とします。生活の場をめちゃくちゃにされた子どもたちは泣き叫んでいました。

ホワンはと言うと、資格試験の後に深い眠りについた子たちを目覚めさせる活動を始めていました。

「秘訣は愛です。あなたの献身的な愛です」――ホワンは『金メダリストの母の談話記』という著作を出版していました。

「自分の幸せが、子供も幸せにします。……そう。自分を愛しなさい。必ず道はあります」

※トップ画像はNetflixから引用いたしました。

ミヅチ

ホラー好きのネタバレブロガーです。ダークファンタジーもミステリも好きです。Netflixオリジナルドラマに首ったけです。

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